真剣で魔王に怯えなさい!! (5/26より、更新停止)   作:volcano

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原作キャラの口調が合っているかどうか自信がない。


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2008年 4月9日 福岡県-『天神館』

 

『天神館』

個性を重んじる校則、ユニークな授業が特徴の九州を代表する学校である。

 

此処 天神館は全国でも珍しい『武術』をカリキュラムに取り入れた学校で、『弱肉強食』を教訓に日々生徒達は切磋琢磨し、各分野で好成績を残している。

 

 

そんな天神館の館長をつとめている『鍋島正』は、館長室で一人もの思いにふけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:鍋島正

 

「桜の匂いがするな…春の季節だ。」

 

 

窓から香ってくる校内の桜の匂いを嗅ぎながら、俺は手元の資料を見る。

 

 

「今年も良い『粒』がそろっているなぁ…いや、そろい『過ぎ』か?」

 

 

今年も天神館(ここ)にはイキのいい奴等が入ってきた。特に今年は『当たり』の年だ。飛び抜けていいのが『十人』も入ってきやがった。

だが……

 

 

「全く、今の若ぇ連中は急ぎすぎてるッつぅのが分かんねぇのかねぇ。」

 

 

先日、件の十人の一人が「俺を『大将』にしてくれ」と頼んできやがった。

 

 

 

天神館にはある『伝統』がある。

毎年春のこの時期、三年生と教師達が天神館の代表を決める『将選挙』という行事がある。

 

この『将選挙』で選ばれた者は全生徒の頂点にたち、学校を代表する優れた者として『大将』の称号を与えられる。

 

そして、この『将選挙』に選ばれるのは『二年生』のみという規則がある。しかし、件の十人の一人は、一年生でありながら「自分こそ『大将』に相応しい」と豪語し、選挙に出馬させてくれと頼んできやがった。

 

普通なら許可出来ねぇんだが、今年の二年生で選挙に出たがる奴が一人もいないッてぇのが問題だった。出馬したがっている一年生は『実力』も申し分ない。教師達の中には、『大将』にしていいんじゃないかと言う奴も現れた。

 

 

大切な伝統だけあって、何とかならねぇもんかアレコレしていたら……

 

 

「まぁ、調度良さそうなのが見つかって良かったがな……」

 

 

手元の資料を見ながら机の置かれた茶を啜り、俺は一息ついていた。

 

 

 

 

 

バンッ!

 

 

 

 

 

「館長! 一体どういうことなんですか!?」

 

 

生徒が一人突然部屋に入ってきた。

 

 

「オイオイ…目上の人の部屋に入るときは、ノックして入るッて習わなかったのか?」

 

「何故ですか館長! どうして俺が『天神館の大将』になれないんですか!?」

 

 

質問を質問で返しやがった、まったく最近の若い連中は……

入ってきたのは件の一年生『石田三郎』だった。何処で聞いたのか、もう『大将の件』を知っていやがる。

 

 

「何故ッてオメェ、入学案内にも書いてあったろぅが? 『大将になれんのは二年生』だって……」

 

「しかし、今の二年生で『大将』になりたい者は一人もいないではありませんか! なら、出世街道を歩く俺がなっても何も問題はないでしょう!?」

 

「……まぁな。確かに今の二年生でやりたがっている奴はいねぇ……」

「ならば…」

 

 

「だがな、石田。そいつは『昨日』までの話だ。」

 

 

そう、それは昨日まで…問題は解決したんだ。

 

 

「今日、二年生に転入してくる奴がいる。ソイツこそが新しい『天神館の大将』だ。」

 

「な!?」

 

 

石田の顔は驚愕に満ちた顔をしていた。まさか『他所の学校』から『大将』が選ばれるとは夢にも思わなかっただろう。

 

 

「『大将』はもう決まってんだよ、悪いが来年まで待ってくれやぁ。」

 

「な、ならば…」

 

 

石田が何かを言いかけた時、グラウンドがざわついているのが聞こえた。部屋の窓から外を見てみると……

 

 

 

「あぁ? 何だぁ、ありゃ?」

 

 

グラウンドに突如『真っ黒のリムジン』が入ってきた。それも二台。

リムジンがグラウンドのど真ん中に停車すると、中からどう見ても『カタギ』じゃねぇ連中が出てきやがった。

 

 

 

 

 

 

「天神館! 到着しましたっ! 『信長さん』!」

 

「「「 到着しました!!」」」

 

 

 

連中は軍隊顔負けのきびきびした動作で一礼していた。

暫くして、リムジンから男が一人降りてきた。

 

 

黒の髪を束ねた長身のソイツは、天神館(うち)の制服を着ていた。周りにいた生徒達は降りてきた男に釘付けになっていた。特に女子が。

 

 

男の顔が見えた。それはよ~く知っている顔だった。何せつい二分前まで資料で見ていた顔だ。

 

 

「な、何だあいつは!?」

 

石田はいつの間にか俺の隣に来て、窓の外を見ていた。

 

 

 

「……石田、紹介するぜ。」

 

隣で驚愕している石田に俺は告げた。

 

 

 

 

 

「アイツが新しい『天神館の大将』、『織田信長』だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は少し遡る。

 

2008年 4月9日 福岡県-福岡駅

 

 

「やっと着いたか、体が重くて気怠いな。」

「大阪を過ぎたあたりから、ずっと寝ていらしたからですよ。」

 

 

駅に降りて体を伸ばしす。バキバキと体が鳴る……ずっと座りっぱなしだったからだ。

 

 

織田信長と織田帰蝶は今日から転入する学校に行くため、福岡県に来ていた。

 

 

「ところで、これからどうします? 此処からだと天神館はかなり遠いですよ?」

「心配いらん、手は打ってある。」

 

 

帰蝶が言うとおり、福岡駅(ここ)から天神館まではかなりの距離があった。車で行くにしても、今は朝の7時。タクシーは全て出払っていて、バスも既に発車した後だった。

しかし、心配している帰蝶とは逆に信長は平然としていた。そして暫くすると……

 

 

 

キィィイイイイイイイッ!!

 

 

 

二人の前に黒のリムジンが物凄いドリフトしながら停車してきた。帰蝶は突然現れたリムジンに驚き、信長の後ろに隠れた。

すると、リムジンから強面の男達が出てきて……

 

 

 

 

 

「お迎えに参りましたっ! 『信長さん』!」

 

「「「 参りました!!」」」

 

 

 

 

 

信長に畏まって一礼した。その一連の動作に帰蝶は面食らう。

 

 

「ご苦労、天神館まで連れていけ。後、荷物を寮に運んでおけ。」

「了解しましたっ! 此方へどうぞ!」

 

「行くぞ帰蝶。」

「ちょ、ちょっと待ってください!」

 

 

 

帰蝶は困惑しながら信長の後を追い、リムジンに乗った。中はとても広く、何故か置かれてある机の上にはシャンパンがあった。

 

 

 

「誰ですか、この人達?」

「只の『知り合い』だ、此処に来る前に迎えに来るよう『頼んで』おいたのだ。」

 

 

サラリと信長は言った。帰蝶は今度は呆れた表情をして信長を見た。

 

 

「……『北沢組』の人達以外にもいたんですね、『知り合い』。」

「あぁ、昔全国を回ったからな…至る所にいるぞ。」

 

 

夫の新しい事実を知って、帰蝶はまた一つ『悩み』ができたと頭をかかえた。

 

 

 

 

 

暫くして、リムジンが学校のグラウンドに入っていった。どうやら此処が天神館のようだ。

 

 

 

「天神館! 到着しましたっ! 信長さん!」

「「「到着しました!」」」

 

 

車のドアが開かれ、『知り合い』は全員一礼していた。信長は開かれたドアからゆっくりと降りる。

 

 

 

「さて、現世(こよい)の武士(もののふ)は何処まで余(オレ)を享受させてくれるのだろうな……」

 

 

グラウンドに降りた信長はその『気配』に関心した。

 

 

「ほぅ…『これ』は……」

 

 

懐かしい気配がする。

戦国(昔)、よく感じた気配だ。

 

剣を、槍を、弓を、拳を誇りとし重んじる者達の気配。

 

 

そう、これは……『武士(もののふ)の気配』。

 

 

 

「フフフ、思った以上に『楽しめ』そうだ……天神館。」

 

 

懐かしい気配に浸りながら、織田信長は『笑った』。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:------

 

 

「ねぇねぇ、あの人誰!? スゴくカッコいい!」

「本当だ! 背、高~い!」

 

 

グラウンドに現れたイケメンに、クラスの女子達は興奮している。

 

 

「ねぇ『燕』! あの人ちょ~ヤバくない!?」

 

 

友達の一人が話しかけてきた。私はグラウンドにいるイケメンを見る……

 

 

「ん~、どうかな? 私はタイプじゃないなぁ。」

「うそ~! 私どストライクだよ! 告ろうかな~、彼氏いないし!」

 

 

顔を赤らめている友達を放置して、私はグラウンドの男を『観察』する

 

 

「(……只者じゃなさそう…見た感じ一年生じゃない、転入生? )」

 

 

男から感じる『気配』に私は顔を引き締める。

何だろう、この感じ…あの人から感じる『気配』は天神館(ここ)に多くいる武人の気配(それ)とは違う……

 

 

 

「……何だか天神館(ここ)、荒れそうだね……」

 

 

私、『松永燕』の直感がそう告げていた……

 

 

 

 

 





帰蝶の出番が少ない……

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