真剣で魔王に怯えなさい!! (5/26より、更新停止)   作:volcano

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今回短いです。


20

Side:------

 

天神館の二年生教室の廊下を大股で歩く男子生徒が一人。

眉をつり上げ、不機嫌ですと言わんばかりの顔で歩く彼の名は『石田三郎』。織田信長が天神館に転入してから最初に決闘を申し込んだ男である。

彼はあの決闘から数日間気絶しており、今日久しぶりに登校したのであった。彼は今、織田信長がいる2-7の教室に向かっていた。

 

 

「(許さん、絶対に許さんぞ! 織田信長!)」

 

あの日から石田は学校中の笑い者にされていた。一度も傷つけられず、あろうことかスタミナ切れで倒れて敗北…誇り高い石田には、これ以上ない恥だった。

 

 

「次は、今度は負けん! 必ず貴様を大将の座から引きずり下ろす!」

 

 

拳を強く握りしめ、石田は2-7の教室前に立ち、扉を開けた。

 

 

 

 

 

Side:織田信長

 

カチャカチャ

 

「フム……こうか…いや、こうして……」

 

 

織田信長は教室で一人、珍しく真剣な表情で手を動かしていた。試行錯誤を繰り返し、休むことなく動かし続けていると……

 

カチャンッ

 

「おぉ、外れた。」

 

 

手に持つ『それ』を机の上に置き、満足な笑みを浮かべていた。

 

 

「中々楽しめるではないか、『知恵の輪』とやらは。なぁ、帰蝶………ム? あぁ…『居らん』のだったな。」

 

 

呟きながら、信長はもう一つの知恵の輪を手に持つ。今日、織田帰蝶は学校を休んでいた。実家にいる父が怪我で入院したらしく、帰蝶は実家の名古屋に帰っていた。

 

 

「一人で学校にいるのは久しぶりだな……中学以来だ。」

 

カチャカチャ

 

 

知恵の輪を動かしながら、信長は久しぶりの一人の時間を過ごしていた。

 

 

 

 

 

バンッ!

 

 

突如教室の扉が勢いよく開けられた。教室にいた他の生徒達は皆驚愕し、入り口に顔を向ける。

 

 

「織田信長はいるか……」

 

 

そこには石田三郎が憤怒の形相で立っていた。石田は織田信長がいるのを確認すると、信長の席に一直線に向かった。

 

 

「久しぶりだな……」

「…………」

 

カチャカチャ

 

「貴様から受けた屈辱、万倍にして返してやる!」

「…………」

 

カチャカチャ

 

「っ! 聞いているのかっ貴様!!」

「…………」

 

カチャカチャ……

 

 

信長は知恵の輪をとくのを止め、石田の方へ顔だけ向ける。

 

 

 

 

 

「……誰だ貴様は?」

 

「っ!」

 

「今余(オレ)は知恵の輪をといている最中だ。用があるなら後にしろ。」

 

カチャカチャ

 

 

それだけ告げると、信長は再び手を動かしはじめた。

 

 

「……ふざけるな…貴様は、俺を覚えていないというのかっ…」

 

 

石田の声が低く震える。拳は血が出るほど強く握っている。

 

 

「知るか、貴様なんぞ。邪魔だ…失せろ。」

 

 

石田には目も向けず、信長は知恵の輪をといていた。

 

 

「…ざけるな……ふざけるなっ! 俺は、俺は石田三郎! 貴様と決闘した男だ!」

 

 

青筋を浮かべ、今にも血管が破裂しそうなくらい石田の顔は真っ赤になっていた。

 

 

「ム? ……あぁ、あの小僧か。余(オレ)に何か用か?」

「もう一度! もう一度俺と決闘しろ!」

 

バンッ!

 

 

信長の机に石田のワッペンが力強く置かれる。それを見て、信長の手が止まる。

 

 

「……ほぅ、余(オレ)との再戦を望むか……貴様はこの間の決闘で、実力の差が分からなかったのか?」

「確かに、俺は貴様に負けた。だがあれは、戦い方が悪かったのだ!」

 

「つまり…戦い方を改善したので今度は負けんと……くだらんな。」

 

 

信長は石田を蔑視する。再び手を動かそうとした時……

 

 

 

「……俺は貴様に負けて悔しい。貴様に復讐したいとも本気で思っている。……だがそれ以上に、俺は貴様が気にくわん!」

 

「……何…」

 

 

信長は動きを止め、石田に顔を向ける。

 

 

「天神館(ここ)は由緒正しき、伝統ある武士の学校だ! この学校の代表なる大将に選ばれる者は、誰よりも気高い武士でなければならない! だが貴様は違う……武士どころか、人としても危うい存在だ……そんな奴が大将など、俺は認めん!」

 

「……ほぅ、面白いではないか。」

 

カチャンッ

 

 

信長の手から知恵の輪が落ちる。複雑に絡み合っていたそれは、バラバラにとかれていた。

 

 

「では、貴様は復讐の為ではなく……余(オレ)が大将の座にいることが許せず戦うと……己の為でなく、武士の誇りの為に戦うと……そう言いたいのか?」

 

「あぁ、そうだ。第六天魔王(おだのぶなが)…武士(おれ)は貴様を認めない!」

 

 

信長の口角が上がる。石田に体を向け、自分のワッペンを取り出す。

 

 

「ちょうど暇潰しがなくなったところだ……遊んでやろう、武士(こぞう)。」

 

 

互いのワッペンを重ねながら、信長は『笑った』。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:織田帰蝶

 

帰蝶は名古屋市内の病院に入院している義父・信秀の見舞いに来ていた。

 

「大丈夫ですか? お義父さん。」

「あぁ、大丈夫だよ、足を軽く骨折しただけだから。」

 

「本当にビックリしたんだよ。階段で足かっくんしたら転げ落ちるんだもの。」

「いや、当然だよね!? 階段で足かっくんなんかされたら、落ちて怪我して当然だよね!?」

 

「信長君なら転ばなかったよ?」

「やったの!? 由紀さん、信長にしたの!? 足かっくん!」

 

「ねぇねぇ、信長君何で来なかったの?」

「はぁ…何でも、『父が怪我した程度で何故帰らなければならん』…とのことで。」

 

「……相変わらずのようだね。というか程度って、僕のこと程度って……」

「そっかぁ……確かに信秀君が昔痔になってた時も、笑ってたもんね。」

「ウソぉおお!? 初めて聞いたんだけど!」

 

「(……変わってないな、二人共。)

 

 

帰蝶はいつもと変わらない義父母を見て、安心した。入院したと聞いた時はハラハラしていた帰蝶だが、二人の様子を見ていて、杞憂だったと確認した。

 

 

「お見舞いにお花を買ってきたんです、花瓶に入れておきますね。」

「ありがとう、帰蝶ちゃん。僕に優しくしてくれるの、君だけだ…」

 

「む~、私もしてるよ。えい♪」

「ギャァアアアアアアア! そこ落ちて打撲したところぉっ ! 」

 

 

つつきあいをしている二人を見て微笑みながら、花瓶に触れようとした時……

 

パリンッ!

 

 

「痛っ!」

「どうしたの…ッ 帰蝶ちゃん! 血が出てる!」

 

「大丈夫です……花瓶がいきなり割れて……」

「大変! 今絆創膏貼ってあげるね!」

「ありがとうございます……」

 

 

帰蝶は割れた花瓶を見る。触ってもいないのにいきなり割れたのだ。帰蝶は何か嫌な予感を感じた。

 

 

「(もしかして……九州で何か……)」

 

 

 

 

 

帰蝶は指をしたたる血をぬぐいながら、九州にいる信長のことを思い浮かべた。

 

 

 




次回、
石田フルボッコ&魔王様の愉悦タイム
の巻。
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