真剣で魔王に怯えなさい!! (5/26より、更新停止)   作:volcano

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何かイマイチです。スミマセン。


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2008年 6月4日 天神館

 

 

放課後

グラウンドで石田三郎他、西方十勇士のメンバーが特訓に明け暮れていた。

 

 

「鉢屋流手裏剣術! 『無限手裏剣』!」

 

 

十勇士の一人『鉢屋壱助』が無数の手裏剣を石田に目掛けて投げる。

 

 

「くっ! なんのぉおおおおおお!」

 

 

キンキンキン!

手裏剣を避けながら、かわしきれない手裏剣を『片手で構えた日本刀』で石田は弾いていた。

 

 

「俺がいるのぉ、忘れんなよ? 『オイル・ボンバー』!」

 

 

石田が手裏剣に集中している隙をついて、十勇士の一人『長曽我部宗男』はオイルでヌルヌルになった体で石田にタックルをしかけた。

 

 

「! フンッ!」

 

 

ズシャアッ!

 

長曽我部のタックルを上半身を上手く使ってかわし、二人から距離をおき体制を整えようとしたところを、

 

 

「まだ動きが『あまい』な……『ライフル・クロゥ』!」

 

 

ズドドンッ!

 

「グハァ……!」

 

 

後方から音も無く近づいてきた十勇士の一人『大村ヨシツグ』の強力な拳打が石田の背中にはいる。石田は数メートル地面を転がり滑っていった。

 

 

「 …っ、くそ、最後の一撃が…見えなかった……!」

 

「いや、よく対処していると思うぞ。気絶させるつもりだったんだが……」

「まさか一ヶ月ちょいでここまで『かたち』にするとはなぁ……やるじゃねぇか。」

「うむ。修行の成果は確実に実っている。」

 

 

攻撃を対処できなかった事に悔いる石田に、三人は励ましの言葉を送った。

 

石田が『打倒・織田信長』を誓ってから、退院後石田は西方十勇士のメンバーと朝夜特訓を行っていた。

織田信長に破壊された石田の右腕は、怪我は治ってもやはり再起不能であった。そこで石田は残った左腕で『片手の剣』を修得しようと考えた。

 

まだ怪我も癒えきっていない状態にも関わらず、石田は毎日ぶっ倒れるまで特訓をしていた。

 

 

 

「ハァ…ハァ……まだだ、この剣はまだ…『あいつ』どころか前の俺にも届いていない………もう一回だ! もう一回今のをやるぞ!」

 

 

何度も何度も転び泥だらけになった体を起こし、石田は三人に向かって構えた。

 

 

「……ハァ、これまた『夜中に石田おぶって帰る』パターンか?」

「だろうな。あと一回どころかあと十回はやるだろう。」

「それがし達も修行につきあうと約束した身、最後までつきあおう。」

 

 

石田の熱意に押された彼等は、再び石田に向かい合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:織田信長

 

「フフフ……実に美しいな。」

 

 

石田達の特訓の様子を屋上から見物している者がいた。石田の右腕を壊した張本人、織田信長であった。信長は石田達の様子を見て、嬉しそうに『笑っていた』。

 

 

「目標に向かい切磋琢磨し、希望を絶やさず仲間と共に道を歩む………今この学園において石田(やつ)程『武士(もののふ)』の名が似合う者はいまい。」

 

 

信長の石田への評価はかなり変わっていた。二度も自分に負けたにも関わらず、その闘いの中で四肢の一つを失ったにも関わらず、恐怖に屈っせず自分を倒すと面と向かって宣言してきた石田を、信長は『武士』と認識し、一目おいていた。

 

 

 

 

 

「…………そう思わんか? 『女狐』?」

 

 

信長は自分の後方に向かって話した。屋上には信長以外人が見当たらなかったが、信長は後ろの屋上の入り口に向かって言った。

 

 

「……アハハ、バレっちゃったか。」

 

 

暫くして、入り口のドアの近くから一人の女生徒が顔を出した。その生徒を信長はよく知っていた。妻の帰蝶とよく会話している生徒、『松永燕』であった。

 

 

「どうして分かったの? 気配は完全に消せてた筈なんだけど。」

「ハッ…尻尾を木々の間からはみ出しておいてよく言う。余(オレ)に何の用だ?」

「いやいや~、別に用なんてないよん♪ たまたま屋上に君がいて、ビックリさせようかな~って思って隠れてたんだよん♪ 」

 

 

信長の質問に松永燕は笑顔であっけらかんと答えた。

 

 

「惚けるな。最近余(オレ)のまわりを嗅ぎまわっているのは貴様だろう? 気付かれていないとでも思っていたか?」

 

「 ……ぜ~んぶお見通しって訳か……なら隠す必要もないね…」

 

 

松永燕の顔から笑みが消えていた。

 

ここ最近信長の事を調べまわっている人物がいた。信長はその人物が目の前にいる松永燕であると突き止めていた。

 

松永燕が信長に近づいていく。信長と松永燕は正面に向き合い、二人の間の空気はピリピリとはりつめていた。

 

そして暫く無言が続いた後、松永燕は信長に向かい手を合わし……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お願い! 君の可愛い奥さん、私に貸してくれないかな!?」

 

「………ハ?……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2008年 6月6日 福岡市内-録音スタジオ

 

休日

織田信長と帰蝶は福岡市内にある音楽スタジオに訪れていた。

 

 

「と、いうわけで…帰蝶ちゃんには私と一緒にこの『納豆ソング』を歌ってほしいんだ!」

「は、はぁ……」

 

 

スタジオのロビーで二人は松永燕から詳しい話を聞いていた。

 

何でも松永燕は父が作った借金返済の為に、『松永納豆』なる商品を開発し売っているらしい。そして彼女は『松永納豆』がより広く世間に知れわたる為に『納豆アイドル』になり宣伝しているそうなのだ。

そして今日このスタジオで『松永納豆』を広める為の宣伝曲『I LOVE ねばねば~らいふ』という曲を録るらしいのだが、その曲を帰蝶と一緒に歌いたいと願ってきたのだ。

 

 

「一応旦那さんから許可とってあるけど…帰蝶ちゃん、引き受けてくれるかな?」

「あ、はい。構いませんけど……(何でこの人承けたんだろう……)」

 

 

帰蝶は隣でカフェオレを飲みながら座っている信長を見て疑問に思っていた。この人は他人のお願いを聞くような人じゃないのに……帰蝶は不思議に思った。

 

 

「じゃあ早速録音に入ろっか♪ これ楽譜なんだけど、どうかな? 」

「(こ、これを歌うの!?)は、はい……すごく、個性的な歌ですね…… 」

 

 

渡された楽譜を見て帰蝶は内心その歌詞に驚いていた。

その後、帰蝶は燕と一緒に録音室に入った。初めてみる本格的な録音機器を帰蝶は好奇の目で見ていた。

 

 

「それじゃあ、出だしから録っていくんだげど…帰蝶ちゃんはこことここね♪ 」

「わ、分かりました。」

 

 

機器のスイッチが入り耳につけたヘッドフォンから曲が流れる。

 

 

「ねばねばパワーで、今日も張り切っていきましょう♪ らぶねば~らいふ♪ 」

「い、一日一食 家族の健康を約束…」

 

「はい! スト~ップ! 帰蝶ちゃん、もっとノリノリに歌わないと。」

「ご、ごめんなさい! 私、こういうの初めてで……」

 

「いいよいいよ、最初は皆そういうもの♪ じゃあ、もう一回いこ~♪ 」

 

 

緊張する帰蝶を励ましながら、二人の録音は進んでいった。

 

 

 

 

 

「いや~! ほんとありがとね! こっちは大助かりだよ~!」

「別に慈善事業で引き受けた訳ではないがな。帰蝶(あいつ)にも息抜きが必要だろうと思っただけだ。」

 

 

 

録音室の後ろの控え室で、信長と松永燕の父『松永久信』はガラス越しに録音室で歌っている二人を見ていた。今回のこの話をもちかけたのは何を隠そう松永久信であった。

 

 

「それにしても君の奥さん美人だね! 燕ちゃんもかなり美少女だと思うけど、君の奥さんはまさに大和撫子って感じだよね。テレビに出てる女優顔負けだよ。」

「当たり前だ、あいつは余(オレ)の女だぞ。」

 

 

松永久信の世辞を信長は余裕な笑みで返す。娘から話は聞いていたが、想像以上に織田帰蝶が美人だった事に松永久信は興奮していた。

 

 

「ねぇねぇ!僕考えたんだけどさ……この曲のCDのパッケージ、君の奥さんと燕ちゃんのツーショットにしようよ! 最初は有名なイラストレーターにキャラクターでも描いてもらおうと考えてたんだけどさ、そっちの方が売れると思わない!? 『二人組納豆アイドル』って売りで、どうかな!?」

 

 

松永久信は頭の中でコスチュームを着て納豆ソングを歌う帰蝶と燕を想像していた。二人共かなりビジュアルが良いので、これは売れると新たなビジネスに松永久信は計画をねっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………そうして織田信長(オレ)と関係を築き、裏社会の連中とつながろうという魂胆か。」

 

「!……な、何の事かな。僕はただ……」

 

 

「裏の連中とつながって借金を帳消しにしようとでも企んだのか? それとも……貴様が開発している『平蜘蛛』とかいう機巧(からくり)の資金の調達でもするつもりだったのか?」

 

「!」

 

 

松永久信は驚愕した。借金の事は娘から聞いたのだろうが、自分が今開発している武器『平蜘蛛』については娘にも詳しく教えていないのに、目の前の青年がその事を知っていることに。

 

 

「裏社会をあまり舐めないほうがいいぞ。貴様等が考えている以上に、裏はあらゆる場所に根を生やしている。……貴様等のくだらん企みを、この余(オレ)が気付いていないとでも思ったか?」

 

 

信長の鋭い視線が松永久信を固まらせる。控え室が静寂に包まれる。

 

 

「一つ教えてやろう……貴様等が何をしようが余(オレ)には関係のない事だ。帰蝶を納豆アイドルとやらにするのも、機巧(からくり)資金を稼ぐのも好きにするがいい。…………だが……」

 

 

 

 

 

「『第六天魔王(オレ)』をダシに使おうとするからには、骨一つとてこの世に残らんと思え。」

 

 

尋常でない程のプレッシャーが松永久信に押しかかる。松永久信はこの時初めて織田信長が何者なのかを理解した。

 

今回の話をもちかけようとした時、娘の松永燕は止めたほうがいいと止めてきた。織田信長をあまく見ない方がいいと。彼はその時まだ知らなかったのだ。織田信長がどういう人間かを。

そして、彼は今織田信長という人間の性質を身をもって知ったのだ。

 

自分が利用しようと考えていた相手が何者なのかを。

 

 

 

「…ハ、ハハ。君、本当に燕ちゃんと同い年なの? 僕より年上に見えるんだけど……」

「同い年だ……『一応』はな。」

 

 

とても娘と同い年に見えない青年を見て、松永久信は恐怖していた。目の前の青年から、今まで会ってきた人間にはなかった圧倒的な何かを感じていた。

 

 

ふと気がつくと録音室に移すと、既に二人の録音は終了していた。

 

帰り…織田信長を見送った後、松永久信は全身から汗を吹き出して腰をぬかした。

 

 

 

 

 

「やっぱり駄目だったみたいだね~。だから無理だって言ったじゃない、おとん。」

「いくら何でも怖すぎるよ彼! 僕、殺されるかとおもったよ!」

 

「そんなくよくよしない。ここで終わりってわけじゃないんだから。」

「分かってるよ。……でも本当怖かったぁあああ! チビりそうになったもん!」

 

情けなく泣く父を見て松永燕は呆れていた。

 

松永久信が今回の事を実行しようとしたきっかけは、松永燕にあった。松永燕は織田信長が一体何者なのか調べていく内に、ある噂に行きついた。

 

 

『日本の裏を牛耳る暴力団組織達をまとめ、その頂点に君臨している』。

 

 

最初は信じなかったが、織田信長と石田三郎の決闘を見て彼女はその噂が真実だと確信した。決闘中に見せた織田信長の不気味な笑みがその噂を真実だと確信させた。

 

織田信長が裏とつながりがある。その事を久信に話したのが今回のきっかけだった。

 

 

 

 

 

「(……こっちも、駄目だったな。)」

 

 

手に持つCDを見て、松永燕は気落ちしていた。先程帰蝶と二人で録った曲が入ったCDであった。

 

 

「一緒にやりたかったな~、納豆アイドル。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

録音スタジオの帰り道、信長と帰蝶は市内の大通りを歩いていた。

 

 

「よかったのか? 女狐(やつ)の話を断って。」

「えぇ、私にアイドルなんて似合いませんから。」

 

 

帰蝶の返事に信長は内心そうだろうと納得した。録音後、帰蝶は松永燕に『断りの返事』を告げていた。松永燕は最初はしぶったが、帰蝶の意思を尊重し「気が変わったらいつでも言いに来てね」と約束していた。

 

 

「燕さんみたいに明るい性格じゃありませんから……もっと、それに相応しい人とやった方が燕さんの為にもなると思いますから。」

「……そうだな、『こんな歌』ではアイドルとやらは無理だな。」

 

 

信長はポケットから携帯電話を取り出した。すると……

 

 

『い~ち、に~ち一食! な~とぉ、とぉ~!』

 

携帯電話から歌声が聞こえてきた。それは帰蝶のよく知る、というより先程自分が歌っていた歌声だった。

 

 

「! な、何で……え、何でそれ持っているんですか!?」

「あぁ、貰ったのだ。しかし、これは酷いな。帰蝶…お前音痴だったのか?」

 

 

携帯電話から流れる歌声はお世辞にも上手いとは言えないものであった。

 

 

「ちち、違います! それは一番最初に録ったものだから、慣れてなかったからそうなったんです! というより、それ消してください! 何でよりにもよって一番駄目なのを貰ってくるんですか!?」

「上手いのを貰ったところで面白くなかろう? しかし、予想以上の収穫だったな。こんなものが手に入るとは。」

 

 

その言葉を聞いて、帰蝶は謎が解けた。何故信長が今回の話を引き受けたのかが。

 

 

「まさか……『この為』に引き受けたのですか!? 」

「あぁ、そうだ。お前の慌てふためく姿が見たいと思ってな。正直これは予想外の収穫だった……て、何をする?」

「貸してください! その携帯電話! 削除しますから!」

 

 

帰蝶は信長の持つ携帯電話を奪おうと手を伸ばす。が、信長は手を高く上げ帰蝶の手が届かないようにする。

 

 

「暴れるな。……ほれ、お前が暴れたせいだ。間違って『送信』を押してしまった。」

 

 

ニヤニヤと面白そうに信長は笑う。

 

 

「そ、送信って誰にですか!? まさか……」

「無論、母にだ。あぁ、何て事だ(棒) 間違って名古屋の馬鹿共にも送信してしまった(棒)」

 

「! ……な、何してくれるんですか~!!」

 

 

 

その後、帰蝶の恥ずかしい歌声は名古屋中の知り合いに広まったという。

 

 





次回、一気に時間が飛びます。次回はあいつがメインです。
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