真剣で魔王に怯えなさい!! (5/26より、更新停止) 作:volcano
それをふまえた上でお読みください。
「王手だ。」 パチッ
「うぐっ、…参りました。」
「すげぇ、」
「もう二十連勝だぞ。」
「さすが『信長様』だ。」
昼休み
織田信長は『将棋』を指していた。
『入学式』の件以来、信長に逆らう者は一人もいなかった。
ここ『1-2』は、信長を中心に動いていた。
「つまらんな、張り合いがなさすぎる。」
「そう思うなら手加減してくださいよ。」
「手加減して『これ』なのだぞ。」
「……そうですか。」
さて、ここで『織田信長』がどのような人間か紹介しよう。
織田信長。 彼は『享楽主義者』である。
彼は『楽しい』ことを貪欲に好む。
彼の『愉悦』は、将棋や囲碁といった遊戯や、読書、会話といった一般的なことから、闘争、略奪、侵略といったことまでと幅広い。
そして……
「もう少し『やれる』奴はいないのか?」
「ん~、あ! なら『一城』ならいいかもしれませんよ!」
「『一城』? 誰だ?」
「 隣のクラスのやつなんですけど、『チェス』がスゲェうまいって有名なんですよ。」
「『ちぇす』? 何だそれは?」
「将棋に似たゲームですよ。なんでもソイツ、大会で優勝したことがあるとか。」
「ほぅ、面白い。よし、つれてこい。」
「……へ? 隣のクラスにいますよ、アイツ。」
「だから? 何故わざわざ余(オレ)が出向く必要がある。『つれてこい』。」
「…は、はい。」
Side:ーーーーーーー
「―――つぅわけで、対戦してくれね?」
「……頭がおかしいのかい? 君達。」
昼休み。教室で優雅にお茶していたら、隣のクラスの生徒達がいきなりやって来て、
『うちのボスが暇潰しにチェスがしたいから、相手をしてくれないか?』
と言ってきた。
「ゴメンだね。他をあたってくれ。」
「そういわずたのむよ! おまえつれてこなかったら、俺たちが『ヤベェ』んだよ!」
何故か彼等は僕を必死につれていこうとしている。
そういえば聞いたことがあるな。隣のクラスの『織田信長』という奴は、入学式早々同じクラスの生徒に暴行をくわえて、今じゃクラスを牛耳っているとか。
(その際教室を半壊したとか。まぁ、どうせ噂だろうげどね。)
「僕には関係ないね。それに、普通はソッチがお願いに来るものだろう。その『ボス』とやらに伝えておきたまえ、『対戦してほしいなら、そっちから挨拶してこい。』ってね。」
「……おい、わるいこと言わねぇから来いって! どうなっても知らねぇぞ! 」
「ハッ! どうなるというのだい? いいから伝えたまえ、こちらは何時でも返事を待っているよ。」
そう告げると、彼等は去っていった。
「おい、いいのかよ『雅人』。『織田信長』ってスゲェ強いらしいぞ。」
「フッ、それがどうしたというんだい。しょせんは『庶民』。僕には足元にも及ばないさ。」
そう。どんなに喧嘩が強かろうが、『庶民』が僕と勝てる筈がない。
僕、『一城雅人』は生まれついての『勝者』だ。
家は九代続く貿易会社。
幼い頃から英才教育を習い、学問、スポーツ、何でもトップクラスだ。
なおかつ顔も美形。
まさに『天から全てをもらい受けた』のだ。
そんな僕が、何故『庶民』の相手をしなくてはならない? 馬鹿馬鹿しいにもほどがある。
僕は飲みかけだった紅茶を飲みながら、優越感にひたっていた。
ズドッッカァアアアアンッ!
教室の後ろの壁がいきなり爆発した。いや、『崩壊』した。
突然の出来事すぎて、誰も声をあげない。
何だ、何が起こった!?
壁は見事に砕け散っており、隣の教室まで貫通していた。
「随分とデカイ口をきく奴がいるではないか。」
壁の向こうから声が聞こえた。
「余程、余(オレ)を『楽しませて』くれるのであろうな? 『一城』とやら。」
壁の中から、『ものすご~く偉そうな奴』が『ものすご~く嬉しそうな顔』をして現れた。