真剣で魔王に怯えなさい!! (5/26より、更新停止)   作:volcano

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Side:------

 

 

椎名京と毛利元親が撃ち合いをしている同時刻、毛利元親率いる天神館側の陣地に近づく影が一つ。

 

 

「あ、あそこだ~。」

 

 

独特の甘ったるい声と間の抜けた口調で喋る一人の少女。川神学園の制服に身を包む彼女『榊原小雪』は友人である直江大和と葵冬馬の指事で単身敵陣に踏み込んでいた。

 

 

『『ユキ』、今入った情報で椎名さん達『弓隊』が苦戦しているそうです。助けに行ってくれますか?』

 

『弓兵は接近戦に弱い。小雪はコッソリ奴等に近づいて、奇襲をかけてくれ。』

 

「『トーマ』と『ヤマト』のお願い……僕ちゃんとやるよ…」

 

 

二人の指事を思い返しながら、榊原小雪は真剣な顔で眼前の丘に向かい走った。彼女は気づかれないよう遠回りしながら敵陣に近づいていく。彼女はその細い体からは想像がつかないが、そうとうな体術の使い手なのだ。直江大和が彼女に奇襲を任せたのは彼女の強さが『本物』だからである。

暫くして、天神館の生徒の姿を彼女はとらえた。歩を進める足に力をいれ、今まさに飛びかかろうとした。

 

 

 

 

 

「おやおやおや………こんな所に何の用だい? 可愛い白猫ちゃん……」

「!」

 

 

不意にかけられた声に榊原小雪は足を止める。声のする方へ視線を向けると…

 

 

「………え~と、たしか……『リューゾージ』だっけ?」

「おや、俺の事を知っているのかい? シニョリーナ。」

 

 

『西方十勇士』の一人、『龍造寺隆正』が薔薇を口にくわえて立っていた。龍造寺隆正の登場に榊原小雪は驚いていた。何故なら仲間から、『龍造寺隆正は東西交流戦に参加しない』と聞いていたからだ。

 

 

「さて、シニョリーナ……君にいくつか質問がしたい。…何、簡単な事だ……『此処』に何しに来たんだい? 俺とデートがしたいってんなら大歓迎なんだが、『この先』に用があるってんなら話が違ってくる…… 」

 

「……どうちがうって言うのさ…」

「決まっているだろ……?」

 

 

龍造寺隆正の顔から笑みが消える。真剣な眼差しが榊原小雪に向けられる。

 

 

「……討たせてもらうぜ……ここから先は、行かせねぇ。」

「……トーマと約束したんだ……だから、通してもらうよ…!」

 

 

龍造寺隆正に向かい、榊原小雪は走る。彼女には勝算があった。直江大和からの情報で、龍造寺隆正は非戦闘員だと聞いていた。何らかの武器を持っているかもしれないが、自分の間合いに入れてしまえばこっちのもの。龍造寺隆正との距離を一瞬で縮め、勢いに合わせて回し蹴りを繰り出す。

 

 

バシッ!

 

「…!」

 

 

だが、彼女の勝算は驚愕によって崩される。急所を狙った蹴りを、龍造寺隆正は『素手』で受け止めていた。

 

 

「ヒュウ~♪ 思ってた以上に良い蹴りだねぇ……それに、『縞パン』とは実に俺好みだ。」

「っ!」

 

 

慌てて龍造寺隆正から距離をおき、スカートを手で押さえる。

 

 

「……きみ、戦えないんじゃないの……?」

「おいおい……何処のどいつからそんなガセネタをつかまされたんだ? 俺は『西方十勇士』の一人……戦えないわけないだろう…?」

 

 

榊原小雪の質問に笑みをもって答え、龍造寺隆正は構えを見せた。その構えを榊原小雪は知っていた。

 

 

「……『八極拳』…?」

「その通り。ま、かじった程度だからそんなに自慢できる腕じゃないがな…」

 

 

そうは言うが榊原小雪は警戒を強める。龍造寺隆正の実力はまだ不明だが、彼が自分の攻撃を軽々と防いだのは事実だからだ。

 

 

「……約束したんだ…ぜったいに通させてもらうよ…!」

 

 

榊原小雪は再び駆ける。大切な友人との約束を守るために。

 

 

「……アツいねぇ。だけど、負けられないのはこっちも同じでね。……天神館(うちら)の大将のため、珍しく頑張るとするかね……!」

 

 

榊原小雪 VS 龍造寺隆正

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:------

 

 

「ハァアアアアアッ!」

 

ズッガァアアアアンッ!

 

 

「く…一人で相手をするな! 十人ぐらいかたまってヤれ!」

 

「「「ウリャアアアアア!!」」」

 

 

川神学園は今、敗北の危機におちいっていた。先頭集団に混じって猛攻し続ける石田三郎に追い詰められていた。

 

 

「……フッ! 『雷光一閃』!」

 

フィン!

 

「「「オァアアアアアアア……!!」」」

 

 

まさに一騎当千。石田三郎の一撃は一度も外れる事なく、確実に敵を倒しふせた。

 

 

「石田さん!」

「右近か……『そっち』はどうだ?」

 

「こちらも何度か攻撃をくらいました。ですが、今のところ負傷者はおりません。」

「そうか……よし、このまま進むぞ! 敵の本拠地も近い! まわしを今一度しめ直しておけぇ!」

 

「「「オオオオオオオオオオオオッ!!」」」

 

 

進攻中、島右近が率いる別隊と合流し、石田三郎率いる先頭集団は雄叫びを上げながら突き進む。道中何人もの川神学園生徒を倒し、ついに…

 

 

「! あれは……!」

 

 

石田三郎は前方に注視する。およそ200m程離れた場所に川神学園のものらしきテントが見えた。そのど真ん中、自らが大将だと言わんばかりに自己主張している者がいた。

 

 

 

 

 

「フハハハハハ! よくぞ此処まで来た! 西の猛者よ! 我こそ此度の戦にて大将に選ばれた者、『九鬼英雄』である!!」

 

「…………何処かで見たような奴だな……」

 

 

眼前の自己主張男と、自分が倒すと心に決めた敵が何故か重なった。だが気をとられたのは一瞬だった。石田三郎はすぐに眼前の自己主張男に狙いをさだめ、剣を降り下ろそうとした。だが…

 

 

「セァアアアアアアアアッ!」

「っ!」

 

ガギィイイイッ!

 

 

突如、上空から襲いかかってきた斬撃に石田三郎の足は止められた。石田三郎はすかさず斬撃を受け流し、刀を前方へ構える。そこには上空より斬撃を放ったと思われる剣士がいた。

 

 

「ここまでよくやった。賞賛に値するぞ天神館。だが、貴様等の猛進は此処までよ!」

 

「……今の剣を容易く防ぐとは、流石は大将に選ばれるだけの者だ。この『義経』、西の猛者と手合わせたいと常々思っていた! さぁ、尋常に立ち会ってもらおうか!」

 

「………アイツ…確か、『源義経』…だったか……?」

 

石田三郎は眼前の女剣士を知っていた。彼の仲間、大村ヨシツグから得た情報で彼女の事を知っていたのだ。

『武士道プラン』、歴史に名を残す偉人のクローン。彼女はその一人であった。

 

 

「……おもしろい! 歴史の英雄と戦えるとは……こんな機会は滅多にどころかまず無いだろう。」

 

「た、大将……」

「お前達は下がっていろ。アイツは……相当強い…!」

 

 

何千、何万ともいえる修行を重ねてきた石田三郎は直感で理解した。眼前の敵の実力を。その腕は間違いなく達人中の達人のもの。もしかすると、自分より強いかもしれない相手に石田三郎は笑いながら刀を構えた。

 

 

「平安より現世に甦った英雄よ……この『西方十勇士』が長、石田三郎が相手をつとめよう!」

「応とも! この源義経、全力で受けてたつ!」

 

 

源義経 VS 石田三郎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:------

 

 

源義経と石田三郎が刀を交えた同時刻。もう一つの戦いがすぐ近くで起こっていた。

 

 

「ヌォリャアアアアアアアア!」

「……そ~ら…!」

 

 

二人の武士が互いに持つ長柄をぶつけ合う。一人は『槍』を、もう一人は『錫杖』を、武器と武器がぶつかる度に火花が散っていた。

 

 

「……たく、私ってこんな頑張るキャラじゃないんだけどな~……」

 

 

気だるそうな口調で喋るのは『錫杖』で戦う川神学園生徒『武蔵坊弁慶』。

 

 

「ウゥム……その細い腕でこれ程の武器さばきをするとは……肝を抜かされた。」

 

 

対して敵に賛辞を送るのは『槍』で戦う天神館生徒『島右近』。

 

二人が武器を交えたきっかけは武蔵坊弁慶が天神館生徒に奇襲をしかけた事から始まった。幸いにもすぐ近くにいた島右近によって奇襲は失敗に終わったが、その後二人は瞬き一つ許されない猛攻を繰り広げた。

 

 

「……そもそも、『教師』が試合に参加ってどうなのよ…?」

「生憎ながら、それがし立派にそなたと『同い年』。『西方十勇士』が一番槍、『島右近』とはそれがしのことなり。覚えておくがいい、『武蔵坊弁慶』。」

 

「っ!……へぇ、私の事知ってんだ…」

「無論。天神館を力のみの集団と思わぬことだ。此方には優秀なサーバーがいるのでな。」

 

 

自分の名を当てられて武蔵坊弁慶は顔を引き締める。いくら天神館(むこう)に優秀なサーバーがいても、まさか九鬼財閥のトップシークレットである武士道プラン(じぶんたち)の事が知られているとは思わなかったのだ。

 

 

「(……確か『松永先輩』が「天神館には情報に異常に強い奴がいる」って言ってたっけ…)」

 

 

武蔵坊弁慶は錫杖を島右近へと構え直す。彼女にとって自分の素性が知られているのはそんなに重要な事ではなかった。彼女が今、もっとも重要と考えているのは…

 

 

「そこどいてもらえる? 『おっさん』……義経の加勢にいきたいからさ。」

「そうはいかん。石田さんの真剣勝負、何人たりとて邪魔はさせん!」

 

 

島右近も槍を武蔵坊弁慶へと構える。「一歩も通さぬ」と言わんばかりの気迫が全身から漂っていた。

 

 

「……はぁ~、『本気』だすのダルいけど、倒させてもらうよ…?」

「この島右近を、そう容易くどかせられると思うなぁ!」

 

 

武蔵坊弁慶 VS 島右近

 

 




感想にも書きましたが、入社三日目で現場入りって……アホか!

朝6時起床、6時半に家を出て会社につき、7時半から仕事が始まり、12時にようやく休憩がはいり一時間疲労を休め、それから18時まで仕事(うち一時間休憩)して、帰ってきて飯食って風呂入って寝る。

いつ執筆しろと……


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