Preghiera di duo~月に祈りを星に願いを~ 作:紅 奈々
何だかんだ言って、弥王はちゃんと雲雀のことも考えている。
標的1
翌日の朝。
弥王は京子と登校していた。
クロームと犬、千種は反対方向なので一緒に登校していない。
弥王から京子を迎えに行くことはあったが、こうして初めから2人で歩いているのは何か変な感じだ。
嫌ではないけれど。
京子は無言な弥王の顔をチラッと見る。朝に弱いのか、弥王は眠そうな目を何度も擦っている。
きっと、いつもは京子にそう言う顔を見せないようにしていたのか、それとも歩いていたら目が覚めるのか・・・・・・どちらにせよ、弥王の眠そうな顔は初めて見た。
こんな顔もするのか、と京子は弥王の一面を知ったようで嬉しくなる。朝から良い事があった、と密かに喜ぶ京子だった。
「ん、どうした?」
あまりにチラチラ見られているので、弥王は苦笑混じりに京子に問うた。
まさか、チラ見を繰り返していたことが気付かれていたなんて思いもしなかった京子は言葉を探して、目をきょろきょろさせる。
「神南君、あの・・・・・・」
「笹川さん」
京子が名前を呼ぶと、ふと弥王は思いついたように京子の言葉を遮った。
それに安堵しながらも京子は「はい?」と小首を傾げる。
いや、話のネタが解らなかったから遮って貰えて良かったのは良かったのだが、名前を呼ばれるとは思わなかったので、小首を傾げたのだ。
キョトン、とした顔で見上げてくる京子を可愛いと思いながら、弥王は言葉を紡ぐ。
「オレ達はもう、そこまで浅い関係でもないんだし、苗字呼びは他人行儀じゃないか?
家族みたいなモンなんだし、堅苦しいのも他人行儀もなしにしようぜ」
「え・・・・・・?じゃあ、何て呼べばいいの?」
弥王の言葉に更にキョトン、と小首を傾げる、京子。
自分的にはそこまで他人行儀のつもりはないが、弥王から取ってみれば、他人行儀に思えたのだろうか。
「ふ・・・・・・っ、弥 王。
それが一番無難だろ」
初々しい京子に弥王は思わず軽く笑うと、京子の額を人差し指で小突いた。
軽く笑った弥王の顔が綺麗で、京子は白い頬を紅潮させて、小さな声で頷いて「弥王君・・・・・・」と呟いた。
その声ははっきりと弥王に届いていて、それで良し、と言わんばかりに微笑んで京子の頭を撫でた。
その後も色々と他愛ない話をしながら、束の間の登校時間を楽しんだ。
え、何、このリア充?羨まし((殴
「弥王君、あのね?」
弥王は思った。
何なんだ、この情況。さっきまでの天国は何処に行った。誰か、この情況を三文以内で説明してくれ・・・・・・と。
弥王は教室に着いて、自分の席の机の中を見ると一通の手紙を見つけた。
その手紙には、「屋上で待ってるから、必ず来て!」と書かれていて、宛名を見ると、木吉からの手紙だったのだ。
どうしようかと考え倦ねていたが、この際、弥王が京子側に着いていることをはっきりさせて、京子を陥れるのを辞めるよう説得しようと思い、弥王は保健室に京子を預けて屋上に来ていた。
ちなみに、保険医であるDr.シャマルは京子が嵌められて虐められている事を知ると、快く京子を迎えてくれた。
そんなシャマルに弥王が放った一言は「おい、ロリコン。京子に手を出したら先祖とお茶会、じゃあ済まないような事をするからな」だ。
釘を打つことを忘れずに弥王はシャマルに京子を預けて、屋上に来ていたのだ。
弥王が言葉を放つ前に木吉が口火を切った。
それから、俯いて手をもじもじと弄んでいる。
そんな木吉に弥王は「早くしろよ」と苛立たしげに先を急かした。
「あの・・・・・・っ、あのねぇ・・・・・・あたし、弥王君の事が好きみたい。
だから、付き」
「却下だ」
意を決して顔を上げて木吉が言葉を紡いだ時、弥王は木吉が言い終わる前に即答した。
まさか、即答で振られるなんて夢にも思わなかったのだろう、木吉はぽかん、と間抜け面を浮かべて小首を傾げた。
自分では可愛い仕草と思っているのだろうか。同じ様な仕草でも、京子やクロームがしたら可愛く感じる仕草も、木吉がした所で何とも思わない。
弥王は天然を装っているような木吉に頭を抱え込みたくなる。
「何で?」と問う木吉に弥王は冷たく言い放った。
「お前、恭弥と付き合ってんだろうが。
これでも、オレと彼奴は顔見知りでな。
恭弥が居るのに二股とか、どういう神経してんだ?
そんな事で恭弥を悲しませるなら、お前は人間のクズだ。
そんな人間と付き合いたいと、誰が思う?」
例え、雲雀が木吉の味方に加わっていようが、弥王は雲雀を見限ることはない。
それは、2年の絆があるからだ。たった2年、されど2年。
2年間でも二人は昔から知っているかのように打ち解けていた。
弥王からしたら、家族のような存在だった。そんな彼を悲しませることをしようとは思わない。
勿論、そんな存在も許したくはない。
今は擦れ違っていようが、いつかはまた、元通りになるだろう。
まぁ、弥王もある意味では二股・・・・・・いや、三股くらいはしているのだろうが、弥王はそれは心の中で「可愛い」や「結婚しよ」等を繰り返しているだけで、木吉のように告白しているわけではないから次元が違う。
冷たく切られて、木吉は俯いた。
傷付いたようだが、嘘を言って期待させるよりは優しいだろう。それに、弥王としては雲雀と付き合っているのだから、雲雀とちゃんと向き合って貰いたいと考えた。
じゃないと、雲雀に対して不誠実だし木吉の行動は雲雀に対しての冒涜でもある。
傷付いたのは可哀相だが、関係をはっきりさせておかないと、彼女の為にもならない。
弥王はそう思っていたから、まさか木吉があんな行動に出るなんて予想もしていなかった。
「・・・・・・さない・・・・・・」
俯いて肩を震わせながら、木吉は呟いた。
声が小さくて、よく聞き取れない。
聞き返そうとした弥王の声を遮るように木吉は顔を上げると共に、弥王を睨み付けながら怒鳴った。
「あたしを振るなんて、許さないんだからぁぁあっ!!」
木吉の行動に弥王は豆鉄砲を食らった鳩の様にその光景に目を見開いた。
変更した元ネタ
「弥王君、あのね?」
……はい。
今の状況…誰か説明して下さい…三文以内で。
今の状況…何故かオレは、木吉レーナに呼ばれ、屋上に居ます。(一文目)
オレの顔は、例の異臭のせいで蒼くなっています。(二文目)
木吉の方は、紅くなっていて、モジモジしている、と。(三文目)
んでもって、一向に話を切り出してこない。
オレは苛立ち始めた。(あ、三文過ぎた←
ま、いっか←)
変更した理由
完全に弥王視点のネタだったから。
結構、自分でも気に入っていたので、ここで曝す←