Preghiera di duo~月に祈りを星に願いを~   作:紅 奈々

17 / 84


弥王が最早、手遅れな件;;


標的2

「あたしを振るなんて、許さないんだからぁぁあっ!!」

 

 

木吉はヒステリックに怒鳴ると、自分の制服の襟を掴んで力任せにシャツを引き裂いた。

まさか、木吉がここまでするとは思わなかった弥王は、予想外の行動に目を見開く。

弥王の中で、木吉は女子だけに嫉妬して陥れている人間だと認識していた為、木吉のこの行動は本当に予想外だった。

シャツを引き裂くと、木吉はフェンスに凭れ掛かって、髪をかき乱して叫ぶ。

 

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁあああっ!!

弥王君、やめてぇぇぇぇぇぇぇえええっ!!」

 

 

弥王は木吉の甲高い叫び声に耳を塞ぐ。

一体、何処からそんな声を出しているのか。

思わず、弥王はそんな事を考えてしまった。

木吉が叫んで間もなく、クラスメイト達が駆けつけてきた。

お前ら、打ち合わせでもしてんのかよ、と弥王は生徒達の駆けつけてくる速さにそんな事を思った。

そうしている内に生徒達は木吉を囲む。

木吉にベストを羽織らせている女子や、口々に心配する男子に木吉が説明する。

 

 

「うぇ・・・・・・っ、み、弥王君がぁ・・・・・・っ!!

あたし、弥王君に呼ばれて、ここに来たの・・・・・・っ、ひっく、そしたら、告白されて・・・・・・っ!!

「あたしには恭弥が居るから無理」って言ったら・・・・・・っ!!

そしたら逆上して・・・・・・っ!!無理矢理襲おうとしてきたのぉ・・・・・・っ!!グズッ・・・・・・」

 

 

なんとまぁ、物凄い思考回路で。これでは、一発で悪人だな、オレは。

弥王は一瞬にして罪を擦り付けられて、困るどころか木吉の話力に感服する。

一瞬の内にそんな事を考えられるなんて感心するが、真似たいとは思わない。

しかも、リアリティの為に泣き真似で嗚咽まで表現するとは。その辺の女優のようだ。

女優の子会社程度なら、オーディションを受けたら合格するんじゃないのか、と弥王はそんなどうでも良いようなことを考えていたら、事情を間違った方向に把握した生徒達が冷たい目で弥王を見ていた。

 

 

「弥王君、サイテー!!」

 

 

「幾ら、振られたからって・・・・・・」

 

 

口々に生徒が弥王を罵っていく。

罵られている本人は特に何も思うこともなく・・・・・・いや、何も思っていないわけではないが、「オレが木吉を襲う?襲うなら、京((略」等とどうでも良いことを思っている為、何も思っていない。

弥王がそんな事を思っているなんて夢にも思わない生徒達は弥王に罵声を浴びせているが、それは弥王の耳には喧噪にしか聞こえていない。

 

 

「みんな、やめてよ!!」

 

 

その喧噪の中で一際大きな声が聞こえた。

その声に生徒達の声が静まる。

生徒達の視線を辿っていけば、保健室に居る筈の京子がそこに居た。

京子は弥王に歩み寄りながら、弥王を庇うように生徒と弥王の間に立って、強く言う。

 

 

「弥王君がこんな事をする訳がないじゃない!!

弥王君はとても優しくて、良い人だよ!?

それなの」

 

 

「京子」

 

 

言い募る内にヒートアップしていく京子の前に出て、弥王は京子を制止した。

この場合、感情的になってヒートアップすると逆に野次馬を煽るだけだ。

 

 

「証拠」

 

 

「え・・・・・・?」

 

 

一言だけ弥王が言うと、その意味が解らないのかぽかんと口を開けて問い返す、生徒。

弥王はそんな彼らにもう一度はっきりと、そして冷静に言った。

 

 

「オレがそこの面食い女に手を出そうとしたという証拠は?」

 

 

「レーナちゃんに何て事・・・・・・!!」

 

 

「レーナちゃんに謝れ!!」

 

 

弥王の言葉が癇に障ったのか、遠藤と沢田が弥王に食って掛かってきた。

弥王はそれでも冷静に溜息を吐くと、「だから・・・・・・早く証拠を見せろ」と殴りかかってくる遠藤と沢田の足を同時に引っ掛けて、転ばせる。

引っ掛かった二人は弥王の足に躓いて、同じタイミングで転ぶ。ざまぁねぇな、と弥王は嘲笑うように口元を歪めた。無様だな、バカめ。

 

 

「証拠はっ!!

木吉の破れている服と晒されてた肌だろうが!!」

 

 

獄寺が殴りかかりながら怒鳴ってくる。

獄寺の言葉に「お前はシャマルかよ」と内心、突っ込む、弥王。もっと他に言い方あるんじゃないのか?つーか、獄寺が言うと、シャマルと似ている所為か卑猥にしか聞こえない。

その獄寺は、弥王が獄寺の攻撃をあっさりと躱した所為か、「な・・・・・・っ、躱した・・・・・・!?」と驚いている。

常に戦場で育った弥王にとっては、獄寺の動きなど一般性とのそれと何ら変わらない。

 

 

「そんなもの、証拠にならない。

自作自演だろ」

 

 

「なら、神南君だって証拠がないじゃない!」

 

 

弥王の言葉に女子が反論する。

確かに、弥王も証拠になる様なモノはない。

 

 

「確かに、証拠になるようなモノは無いな。

まさか、ビデオとかに撮ってあるわけでもねぇし。

だがお前ら、よく考えてみろ?

オレがそいつに手を出そうとするなら、こんな誰が見ているとも知れない屋上なんかに呼び出して、そうするか?

それに、オレとしてはそいつにお近づきにもなりたくねぇな。夜会とかで絶対に避けるタイプだわ。

香水の匂いが甘ったるい上に化粧とか最悪。

化粧っ気の少ない京子の方が好きだね、可愛いし」

 

 

弥王は良いながら、京子の肩を抱き寄せた。

いつもよりも距離のない情況に京子は頬を赤らめて、弥王を見上げる。

 

 

「それに、日本一の木吉グループ・・・・・・だっけ?

はっ、それがどうした」

 

 

弥王の言葉で、その場の空気が凍り付いた。

木吉グループと言えば、日本一の工業系企業だ。

木吉レーナはその社長令嬢。それだから、基本的にやりたい放題している。

そんな人を鼻で笑ったのだ。

全員は弥王の事を世間知らずだとでも言いたげな目で見た。







木吉の初期設定に、「香水着けまくりの白粉異臭女」というのがありましたが、やめました(笑)
あまりにも木吉の立ち位置が可哀相過ぎるので・・・・・・;;
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。