Preghiera di duo~月に祈りを星に願いを~   作:紅 奈々

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この話は弥王SIDE→雲雀SIDE→弥王SIDEとなっています。
SIDE切り替えは大幅改行しているので、恐らく解らなくはないだろうと思います。



標的3

周りの空気が凍り付く中、弥王は構わずに続けた。

 

 

「こーんな()っせぇ島国で一番とか言われても、「へぇ、そうですか。だから?」としか言えねぇな。

あんまり言いたくねぇが・・・・・・オレは王立天文台大学の研究生、兄は天文台の指導者、姉は世界有数の科学者で、父親は世界トップクラスを誇る企業の社長、母親はイタリアの女王だ。

そして、オレはその跡継ぎな。

この意味が解るか?」

 

 

弥王の素性を知ると、全員が目を見開いた。

つまり、木吉は一番手を出したらいけない人間に手を出したことになる。

ちなみに弥王は飛び級をしていて、本来なら大学生だったのだ。

 

 

「京子は勿論、オレに手を出したら・・・・・・お前ら、社会的にも生物学的にも抹殺するからな。

しかも、御布施に目が眩んで真実を揉み消したり、真実を見ないで虚像だけを信じているとなると、教師もどうなる事やら。

まぁ、お前ら・・・・・・精々、木吉とゆーじょーごっこでもしてろよ。

それを捻り潰して、お前らに後悔させてやっからさ」

 

 

言いたいことだけを言うと弥王は京子の肩を抱いたまま、屋上から出ていった。

 

 

 

 

「委員長!」

 

 

見回りから帰ってくると、応接室に自分を呼びながらモヒカンのガタイが良い男が入ってきた。

彼は、草壁哲也。ここ、応接室の主である風紀委員長、雲雀恭弥の片腕だ。

草壁は恭弥がソファに座る前に用件をさっと伝える。

 

 

「今朝、委員長が出て行った後、少々問題が起きまして・・・・・・」

 

 

どうせ、いつもの笹川京子がレーナを虐めたとかそう言う事だろう、と恭弥は半分聞き流す体でコーヒーを淹れると、ソファに座ってそれを啜る。

すると、草壁の口から予想外の名前と報告が出てきて、耳をすり抜けた。

恭弥は「何だって?」ともう一度、草壁に確認するように問う。

それは、予想もしていなかった報告だった。

 

 

「木吉レーナが神南弥王に屋上に呼び出されて、襲われそうになったそうで・・・・・・

どうやら、木吉レーナに振られて逆上したとか何とか・・・・・・」

 

 

草壁の報告を聞いて、恭弥は血が騒ぐのを感じた。今すぐに弥王を咬み殺しに行かなければ。

恭弥は立ち上がって、トンファーを握り締めた。

まさか、彼が・・・・・・?そこまで思った時、ふと、弥王の顔が脳裏を過ぎって、恭弥は冷静に考えた。

2年間、寝食を共にしたことがある彼にとって、弥王は兄弟のようなモノだ。

そして、彼がそう直ぐに逆上するわけがない。しかも、振られた程度で。

感情任せに弥王が女を襲おうとするだろうか。彼の性格からして、有り得ないような気がする。

それに、彼は――――――。

恭弥は草壁に退室するように促すと、ポケットから生徒手帳を取り出して、表紙を捲った。

そこには、一枚の古い写真が入っていて、感傷に浸るように恭弥は目を細める。

 

 

「そうだね、弥王。

僕は、何をしているのだろうか―――――――」

 

 

生徒手帳を閉じると、雲雀は蒼く澄んだ空を窓越しに見つめた。

確かめないと。彼が本当にレーナを襲ったのか。

それと、笹川京子についてのことも。

恭弥は応接室を出て、2年の教室へ向かった。弥王に真相を問い質す為に。

 

 

 

弥王と京子はあの後、学校を早退して屋敷へ戻っていた。

今は食堂で夕食を食べている。

弥王の右にはクロームが座っていて、左には京子が座っている。両手に花とは、正にこの事だ、と弥王は幸せに頬を緩めていた。

京子もだが、クロームも可愛いよな、特に声とか。骸の媒体だとか言っていた気がするが・・・・・・。そこまで考えて、弥王はふと、クロームがソテーにあまり手を付けていないことに気が付いた。

そして、弥王はまさか・・・・・・!!と思った。

 

 

「クローム、どうした?

調子悪いのか?」

 

 

弥王はクロームの顔を覗き込むように訊く。

すると、クロームは首を振った。

食欲がないわけでもなさそうだ。ソテー以外はちゃんと食べているから。

弥王は口角を上げた。

 

 

「それとも・・・・・・オレと同類か?」

 

 

弥王の言葉にクロームはキョトン、と弥王を見上げる。

そう、この顔だよ!本当のキョトン顔はこれだよ!!と弥王は今日の木吉のキョトン顔を思い出して、舞い上がった。

そう思いながらも、弥王は「肉類・・・・・・脂っこいモノとかダメだろ?」と問うた。

クロームは自分の苦手なモノを当てた弥王を凄い・・・・・・と思いながらも、悪びれたように「はい」と頷いた。

そんなクロームの頭を弥王は撫でる。

 

 

「オレも、肉類は食べられないんだよな。

脂っこくて。」

 

 

弥王が苦笑して言うと、「ここに仲間がいる・・・・・・!!」と言いたげにクロームは顔をパァァアと輝かせて、弥王を見た。

そんなクロームを可愛いなぁ・・・・・・と思いながら、弥王は撫でる。

大体、何であんなモン食えるかな・・・・・・?オレには信じられん。

弥王は野菜と穀類と菓子類以外は食べ物と認識していない、極度の菜食主義者(ベジタリアーノ)だ。

それ以外は人間の食い物じゃねぇ、とまで豪語している。

ふと、目の前でソテーを貪るようにガツガツと食べている犬に目が行く。

犬にしろ、XANXUSにしろ、何故肉なんか食えるだろうか。弥王は理解に苦しむ。

 

 

「あれ?

弥王君もクロームちゃんも、ソテーに手を付けてないけど・・・・・・どうしたの?」

 

 

肉食に対する見解が理解できないと思っていたら、京子が声を掛けてきた。

それに倣って犬が弥王とクロームの皿を見て、「ホントら!!」と声を上げる。

千種はメガネのブリッジを上げて、溜息を吐くと言った。

 

 

「まだ、直ってなかったんだ・・・・・・究極の肉嫌い」

 

 

千種の言葉に弥王は押し黙った。事実なので、何も言えない。

すると、京子が意外そうな声を上げた。

 

 

「え・・・・・・、弥王君って、お肉嫌いだったの!?」

 

 

「肉とか脂っこいモノは全般ダメらったな、そーいえば!

ブス女の方は知らねーけろ!」

 

 

京子の言葉に思い出したような口調で犬は言った。

犬の言葉に聞き捨てならない言葉があった為、弥王はそれを聞き流さずに「お前の目は節穴か、この獣野郎がっ!」と犬を殴り飛ばした。

 

 

「野菜と穀類とお菓子以外は食べ物と認識してないんだ」

 

 

そんな二人を余所に、千種は興味津々、と言う様に見てくる京子とクロームに説明する。

二人は千種の言葉を何処からか取り出したメモ帳にメモしていた。







雲雀、動く!!
*だが、雲雀の出番はまだまだ先だお☆←
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