Preghiera di duo~月に祈りを星に願いを~ 作:紅 奈々
懐かしい・・・・・・この頃の弥王はまだ、普通に格好良かったのに・・・・・・Orz←
何処で間違って、あんなキャラになってしまったのだろうか・・・・・・Orz
2018/4/21
追記・手直し完了。
暫く歩いていると、弥王が今日から通うことになっている学校が見えてきた。
塀の上を歩いていたララァは、そのまま塀を伝って曲がった。
弥王はそれを気にすることもなく、そのまま学校の校門の前に歩く。
学校の敷地であるというように続く塀の終わりに近付いていくと、白いシャツに女子は赤いリボン、男子は赤いネクタイを着けてベストを着ている集団が見えた。
その中で違和感のあるリーゼントに学ランの生徒もちらほら居たが、特に気にせずに弥王は校門を抜ける。
校門の塀の端っこには、銅製の板が埋め込まれていて、その板には、“市立並盛中学校”と書かれていた。
―― ――
校門を通り抜けた後は、職員室へ向かって歩く。
予め、校内の見取り図を貰っていた弥王はその記憶通りに廊下を歩いて、職員室を目指す。
階段を上って、2階の階段の手前に校長室が見えて、その左隣に職員室はあった。
“職員室”と書かれたプレートの下の扉をノックして開けると、「失礼します」と言って、職員室に入る、弥王。
職員室に入れば、それ特有のコーヒーの匂いが鼻を掠め、他にも、キーボードを叩く音やコピー機の駆動音などが耳に流れ込んでくる。
「あぁ、君が神南弥王君だね?」
弥王の姿を認めた担任であろう薄幸そうな男性教師が、声を掛けてきた。
それに頷くと、教師は「付いてきて」と出席簿を抱えて職員室から出てくる。
弥王は教師に続いて職員室を出た。
―― ――
教室の前まで来ると、扉の前で待たされた。
何故、待たせるのか不審に思っていると、弥王が訊くよりも早く教師は言った。 「サプライズだからね」と。
――いや、そんなサプライズ要らねぇだろ。
そんな事を思った弥王だが、何も言わなかった。
少し待っていると、教室が騒がしいのが解る。
それを教師が宥めて、やっと呼ばれた。
弥王は扉を思いっきり開けて、教室に入り込む。
すると、女子が息を呑んで弥王に視線が集中しているのが解った。
ひそひそと抑えた声が聞こえる。
そんな教室のざわめきよりも、弥王は何とも言えないこの教室の空気に嫌悪感を感じた。
「静かにしろー!
イタリアからの留学生、神南弥王君だ」
その空気をまるで気にしていないかの様に、教師は再びざわつき始めた生徒を宥めて、弥王を紹介する。
「神南君の席は窓際の一番後ろだ。
それと、1時間目は担当の先生がインフルで休みだから、今日はLHRな!
丁度、留学生も来たし、自習と言う名の休み時間と言うことで、俺は消える、じゃあなっ!!」
――教師が集団でのサボりを認めて良いのかよ・・・・・・と、言うか、この時期にインフルって、絶対仮病だろ。
そんな事を弥王が思っていた時には既に、あの薄幸そうな担任はエスケープしていた。
弥王は思う。
――「こんな学級で大丈夫か?」と。
放置された弥王は取り敢えず、指定された空いている席に座る。
「ねぇ、神南君!
何で右目隠してるの?」
「身長、どのくらい?」
「誕生日教えて!!」
「彼女居る?」
「好きなタイプ教えてよ!」
「目尻の模様、ペイント?」
弥王が席に着いたと同時に、女子は速攻に我先にと弥王の周りに集まって、口々に質問し始める。
――オレは聖徳太子じゃないんだが……。
そう苦笑しつつも、弥王は丁寧に答えていった。
そう、弥王は外面だけは非常にいいのだ。
「右目を隠しているのは、オッドアイだから。
身長は確か……175センチくらいだったと思うぞ?
目の下のは生まれ付き。
で、彼女は居ない、好きなタイプは、大切な人間の為に体を張れるような強い人」
日本人は奥ゆかしいというイメージを持っていた弥王は、あっさりとイメージが崩れたと苦笑する。
――何処でもやはり、人間は変わらないなぁ……。
それをしみじみ思った午前の授業中の出来事だ。
ちなみに、右目も見せてよ!!という声にはやんわりと断りを入れていた。
過去に右目を晒して気味悪がられた事もあり、それが軽いトラウマになっていたりもするが、何より、他人にほいほい見せられるようなものでもない。
「え~、彼女居ないんだぁ?
じゃあ私、立候補しようかなぁ?」
一人の女子が弥王にすり寄ってきて、そんな事を言い出した。
すると、「あ、ずるーい、私も!」と他の女子が寄ってくる。
弥王の外見だ、これもよくある事だった。
「君がオレの為に命張れるなら、ウェルカムだけど。
軽いお付き合いを望んでるなら、やめといた方が良いよ。
オレは結構重い方だからね」
「あはは~、弥王君、冗談きつすぎ~!」
弥王の言葉は、女子に笑い飛ばされた。
割かし弥王の言っていることは、本当だったりするが、それをこの場で知っている人間は居ない。
「あと、年上で誠実ならもっと良し」
「年上って、どのくらい上?」
「そうだなぁ、8つ上くらいが理想」
「何それ、もうここの女子全滅じゃない!」
弥王の言葉に、女子が絶望したような声を上げる。
――初めからお前らはお呼びでねぇんだよ。
それは、弥王の中で仕舞われた言葉だった。
「じゃあ、好みの外見は!?」
女子の質問に弥王は虚空を見つめ、「んー」と考え込む。
――こいつ、どれだけミーハーなんだよ。
「そうだなぁ、星を浴びたかのような煌く銀灰色の長髪に、キツめの冷たそうなアイスブルーの瞳がクールな人が好みかな。
それで、剣の腕が立つならもう最高だね」
「何、そんな人居るの!?
神南君の好みが奇抜過ぎてー!」
弥王の好みを聞いてきた女子が絶望したとでも言いたげに頭を抱えた。
すると、弥王は笑みを浮かべる。
それは、とても優し気な笑みだった。
「居るよ。
オレがずっと昔から焦がれて仕方のない、大空の下にね――」
憂い気な目で窓の外を見る弥王に、女子はそれ以上は騒がなかった。
意味深な弥王の言葉が何を指すのか。
その時はまだ、このクラスの誰も――あの三人組でさえ、知る由はなかった。