Preghiera di duo~月に祈りを星に願いを~   作:紅 奈々

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第7楽章 真実
標的1


翌日、弥王と京子は並盛商店街に買い物に来ていた。

遅くはなったが、京子の家に挨拶に行く為、その手土産を買いに来ていたのだ。

弥王と京子はラ・ナミモリーヌでロールケーキを一つ買うと、店から出て京子の家に向かおうとしていた。

 

 

「京子・・・・・・?」

 

 

商店街から出た時のことだった。

後ろから女性の声がして、弥王と京子は振り返った。

振り返った先には、京子と似ている女の人が立っていて、弥王は一目でその女性が京子の母親だと察した。

 

 

「お母さん・・・・・・!!」

 

 

京子は目を見開いて、女の人を凝視した。

その顔は、驚愕よりも怯えている方が近い。

白い肌を青白くさせて、京子は立ち竦む。

成る程、彼女が京子の母親か。

弥王は取り敢えず、黙っていることにした。

京子の母親の形相がみるみる内に怒りの形相へと変わっていく。

 

 

「京子っ!

この4日間、何処をほっつき歩いてたの!?」

 

 

母親は顔を真っ赤にして、激昂した。

京子は怒鳴られたことにより固まって、何も言わない。

恐らく、怒鳴られたら固まる様に体が反応してしまったんだろう。

怒鳴り続けられると、人は誰でもその恐怖から固まってしまう。

 

 

「あんたって子は!

そんな子に育てた覚えはないわ!

あんたは少し、お兄ちゃんを見倣っ」

 

 

「すみません」

 

 

弥王は助け船を出そうとして、京子と母親の前に立つと、母親を遮った。

いきなりの乱入者に呆気にとられたのか、京子の母親はさっきの威勢は何処に行ったのか、ぽかんとしている。

 

 

「彼女は何も悪くはありません、あまり、叱らないであげて下さい」

 

 

苦笑しながら弥王は母親を宥めた。

そんな弥王に視線を移すと、京子の母親は「な・・・・・・何なの、あなた・・・・・・」とたじろぐ。

そんな京子の母親の戸惑いを気にせず、弥王は微笑んだ。

 

 

「ご挨拶が遅れました。

僕は貴女の娘さんのクラスに留学してきた、神南弥王です、初めまして。

京子さんとは仲良くさせてもらっています。

どうぞ、お見知りおきを」

 

 

今の笑顔はきっと、あのクソ馬鹿執事(メテーオラ)並のニッコニッコ笑顔だったんじゃないだろうか、と弥王は思った。

更に弥王は頬の筋肉を吊り上げる。最近まで使われていなかった頬の筋肉は悲鳴を上げながらも、口角を上げる。

突然の乱入者に呆然としていたらしい京子の母親は我に返ると、「貴方には関係無い事よ!」と弥王を睨んで、怒鳴った。

威勢の良い奥さんだ、と弥王は思った。

そのまま、弥王は穏やかに言う。

 

 

「関係無い事はありませんよ。

何故ならこの4日間、ずっと僕の屋敷で寝食を共にしていましたから」

 

 

京子の母親の剣幕に臆する事もなく、弥王はさらっと言った。

その言葉で、場の空気が張り詰めた。

 

 

「ど・・・・・・どういう事・・・・・・!?」

 

 

張り詰めた空気を壊すように、金切り声で叫ぶ京子の母親。

その顔は何を想像したのか、真っ青だった。恐らく、良くないことでも想像したのだろう。

 

 

「どういう事・・・・・・とは?

そのままの意味ですよ。

立ち話もなんです、この近くに僕の屋敷がありますから、午後の紅茶(アフタヌーンティー)でも飲みながら少々話しませんか?」

 

 

 

 

「どうぞ、ごゆっくり」

 

 

そのあと、京子と京子の母親は弥王の提案で弥王の屋敷に行った。

屋敷の応接室に通されると、京子と京子の母親は弥王と向き合う形でソファーに座った。

メリアはロールケーキと紅茶を配ると、応接室を出て行く。

 

 

「・・・・・・それでは、話の続きをしましょうか」

 

 

メリアが出て行ったタイミングで、弥王は話を切り出した。

 

 

「京子さんはこの4日間、この屋敷に泊まっていました。

それは先に言ったとおりです」

 

 

「でも、何の為に京子を・・・・・・?」

 

 

弥王の言葉に京子の母親は口を開いた。

紅茶を一口飲んで、机の端にあるボタンを押すと、弥王は京子と京子の母親を見据えた。

 

 

「単刀直入に言います。

京子さんは、木吉レーナの策謀によりクラス内で虐めを受けています」

 

 

弥王の衝撃的な言葉に京子の母親は驚愕して、京子と弥王を交互に見る。

京子は目を伏せた。

 

 

「嘘よ・・・・・・だって私、京子が木吉さんを虐めているって先生に言われて・・・・・・」

 

 

京子の母親は信じられない、と言いたげに弥王を見た。

弥王は「でしょうね」と頷くと、紅茶を口に含む。

そして、続けた。

 

 

「京子さんからは少しばかり、貴女達家族のことを聞いています。

聞いた話では、貴女達家族は皆、京子さんが悪いと頭から決め付けているようですね?

お兄さんも木吉レーナを信じ切っているだとか・・・・・・」

 

 

言うと、弥王はロールケーキを一口、口に運んだ。

ロールケーキの甘さに癒やされるとそのタイミングでノックが聞こえ、「ご主人様、例の物をお持ちしました」とメテーオラの声が聞こえた。

やっと来たか、と弥王は肩を竦めて、「入れ」と扉の外のメテーオラに入室を促す。

「失礼します」とメテーオラは言って部屋に入ると、弥王に歩み寄り、割と分厚いファイルを弥王に渡した。

それを弥王が受け取ったことを確認すると、メテーオラは「では」と会釈をして、部屋を出て行った。 

 

 

「僕はイタリアでは天文台大学の研究生をしているのと同時に、“セイバー”というまぁ、簡単に言えば、虐められている人を虐めから解放して、日常生活が出来る様に促す事をしている組織のリーダーでしてね」

 

 

弥王は先程受け取ったファイルを漁りながら言った。

弥王がこの“セイバー”という組織を立ち上げたのは、つい最近のことだった。だから、知る人ぞ知る組織みたいな感じになっている。

弥王の漁っているファイルの中には、過去に虐められた人のデータや現在進行形で虐めを受けている人のデータや資料がぎっしり入っている。

その中から京子関係の資料を見つけると、それを引っ張り出した。

 

 

「通常、依頼がない時には動かないのですが・・・・・・僕が今回、並盛中に留学した時に虐められている京子さんを偶然見つけまして。

人道的立場から、京子さんを保護させて頂いています。

話を聞けば、京子さんが受けている虐めはとても悪質な物で、木吉レーナは嫉妬から京子さんを陥れ、学校中の生徒を味方に付けた」






人虐救済組織“セイバー”
後の「ボンゴレファミリー特殊任務部隊フェイト」の前身。
虐めの問題を放置している教育機関を調べて、対象の生徒を虐めから解放する為に弥王の姉、キオが立ち上げた組織。
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