Preghiera di duo~月に祈りを星に願いを~ 作:紅 奈々
ここから、弥王SIDEに切り替わります。
ヴァリアー登場します・・・・・・?
標的1
京子を連れ去った後、弥王と京子は弥王の屋敷へ向かっていた。
京子はまだ、怯えたように俯いている。
余程怖かったのだろう、と弥王は思った。
「弥王君・・・・・・」
不意に京子が沈黙を破った。
その声は少し震えていて、まだ怯えている事が窺えた。
弥王が京子の顔を覗き込むと、京子は涙を目に溜めて、弥王の顔を見上げた。
「怖かった・・・・・・怖かったよ・・・・・・
弥王君が来てくれなかったら・・・・・・私・・・・・・っ!!」
涙を堪えている泣き出しそうな声でそう言った京子を幼子をあやすようにぎゅうと抱き締める、弥王。
弥王の温もりが服越しに感じて、京子は構わずに弥王の首に手を回して、ぎゅうと抱きついた。
「大丈夫、どんな所にいても京子はオレが守るから」
弥王が微笑んで言うと、京子の嗚咽が耳元で聞こえた。
何か、俺が泣かせたみたいなんだが、と弥王は思わず思った。
京子を泣かせたいわけじゃないんだけどな、と弥王は京子の背中をトントンと叩く。
その時だった。
肌に殺気が刺さった気がした。
ぞくり、と血管を直に撫でられたかのような悪寒が背筋を撫でる。
弥王は京子を下ろして、京子の涙を人差し指で掬う。
「京子はこのまま、真っ直ぐ走って屋敷まで行け」
「弥王君・・・・・・」
京子の頭を撫で、微笑んで言う弥王に何かを感じ取ったのか、弥王の手を握って弥王を見上げると、京子は眉をハの字に下げて懇願するように言う。
その顔は今にも泣きそうだった。
「行かないで・・・・・・嫌な予感がするの・・・・・・!!」
京子は弥王を何処にも行かせまいと、その背中に腕を回した。
突然の事に弥王は言葉をなくす。
回された京子の腕が震えているのが解る。
「・・・・・・頼む、離してくれないか・・・・・・?」
やっと出てきた言葉はそんな言葉だった。
少し冷たかっただろうかとか、今の弥王にはそんな事を考えている余裕はなかった。
突き放されたように感じた京子は涙が溜まった目で弥王を見上げた。
弥王はそんな京子の頬に触れ、微笑んだ。
「大丈夫、少し確かめたい事があるだけだから、さ・・・・・・な?」
弥王は京子の肩を掴むと、京子を押して走り出した。
弥王に押された事によって、京子は躓きながらも、転ばずにその場に止まる。
弥王は走りながら振り返ると、「早く屋敷に戻れ、良いな!?」と告げ、前を向いて走り出す。
京子はその時、何かを決意したような顔をしていたが、焦っていた弥王はその京子の表情に気付かなかった。
その瞬間の京子の顔をよく見ておくべきだったのかも知れない。
この時の弥王は、京子の運命を180度変えてしまうなんて、予想もしていなかったのだ。
京子もまさか、自分の行動で自分の運命を自ら変えてしまうなんて、予想すらしていなかった――――
殺気のした方へ行くと、沢田と山本、獄寺と笹川了平、ボルサリーノを被った男と子供三人が黒服の連中と対峙していて、そこには、沢田家光と茶髪の少年、それとスーツの男も居た。
弥王は気配を消すと、黒服の連中が立っている場所の後ろの木陰に息を殺して沢田家光の話を聞いていた。
「九代目と俺は別の後継者を選び、各々にリングを渡した。
九代目の後継者の変更に不服を感じる者も居る。
そこで九代目はボンゴレ公認の決闘―――つまり、同じ種類のリングを持つ者同士の
丁度、家光が話していた所らしく、家光の声が聞こえた。
その言葉に弥王は拳を握った。
正気なのだろうか、家光は?
相手は
弥王は黒服の男達に目を向ける。
彼らこそが、ボスのXANXUS率いる殺しの天才集団、ボンゴレファミリー独立暗殺部隊ヴァリアー。
彼らの強さは、弥王が一番身に染みて知っている。
勝敗は明らかだ。家光は自分の息子に死にに行け、と言っているのだろうか。
そんな事を考えていたら、不意に女の声が聞こえた。
「お待たせ致しました。
我々は九代目直属のチェルベッロ機関の者です。
今回のリング争奪戦の
木陰から出てきたピンクの髪の2人の美女は、出てくるなりそんな事を言い出した。
うわぁ、あの2人美人だなー・・・・・・いや、京子やクローム、メリアの方が可愛いと言う事だけは心に仕舞っておこう。
思わず弥王はそんな関係のない事まで思ってしまった。
そんな考えを振り払うと、それにしても―――と弥王は思う。
チェルベッロ機関など、聞いた事がない。奴らは何者だ?と弥王は思考に耽った。
それは家光も同じ様で、チェルベッロの説明の後に異議を唱えた。
「待て、異議ありだ。
チェルベッロ機関など聞いた事もない。
そんな連中に
尤もな事を家光が言ったが、チェルベッロは「我々は九代目直属であって、貴方には関係在りません」的な事を言って、家光の異議を認めなかった。
それに「まぁ、残念ねぇ~!」とオネェ口調の緑色のモヒカンに黄色の坊主頭のオカマが声高々に言った。
「本来、七種類のハーフボンゴレリングはボスの持つ一組と門外顧問の持つ一組、そして、ルーン家の管理する風と夜空のハーフボンゴレリングが存在し、跡継ぎの式典の際に九代目と門外顧問の2人が認めた7人、ルーン家の当主が認めた1人に二組のリングを完成させた完全なるボンゴレリングの状態で継承されるモノなのです」
チェルベッロの説明に弥王は何故、自分が受け取るリングが半分しか手元に来なかったのか、納得した。
そして、納得するのと同時に疑問が過ぎる。
ならば、あと1人の後継者は?
弥王の知る限り、自分を除いて本家の中でルーン家の当主になろうなんて言っていた人間は居ない。
むしろ、双子の兄や姉はルーンを継ぐ資格のない人間だ。
それもあり、兄は物凄く自分を当主にと押していた。
ルーンの一族は9年前に襲撃事件で散り散りになって、消息不明になっている者もいる。
ならば、誰が・・・・・・?
弥王の思考は、次のチェルベッロの言葉に停止を余儀なくされた。
「ですが今回、異例の事態となってしまいました。
2人が相応しいと考える七名とルーン家の相応しいと考える一名が食い違い、各々が違う人物に一方だけを配ったのです」
「すなわち、九代目が後継者と認めたXANXUS様率いる七名と、家光氏が後継者と認める綱吉氏率いる七名、そして、ルーン家当主が後継者と認めた本家の一名とヴァルフォア家当主が後継者と認めた御三家の一名です」
弥王はチェルベッロの説明に我が耳を疑った。
何故だ!?
分家を差し置いて、御三家の人間が当主を狙っていると?
それは、分家が全滅している事を示唆していた。
そして、弥王の知るヴァルフォアの当主がこんな血迷った事をするとは考えられなかった。
呆然としている弥王の耳にチェルベッロの言葉が流れる。
チェルベッロが何かを説明して、それが終わり消えると、ヴァリアーも帰って行って、弥王も覚束ない足取りで帰って行った。
自分がどうやって帰ったかも覚えて無く、ただ、弥王はその後、京子からあんな事を訊かれるなんて思っても居なかった。
今回はね、旦那が夜勤だから大型更新する予定です←