Preghiera di duo~月に祈りを星に願いを~   作:紅 奈々

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今回は、弥王SIDE→笹川了平SIDE→弥王SIDEとなっています。
最後、何気にシリアス・・・・・・。


標的2

リボーンの説明にルッスーリアは体をくねらせて、自分たちと笹川達では実力に差がありすぎて、遊びにはなっても戦いにはならないのだと、笹川に現実を突きつける。

現実を突き付けられようとも、笹川は諦めていなかった。

最後までやってみなければ解らん、と言った笹川をルッスーリアは呆れた様子で見下す。

 

 

「よく言ったぜ、了平。

それでこそ、オレの弟子だ、コラ」

 

 

金髪に迷彩柄のバンダナを額に巻いている明らかに軍人フォルムの男―――コロネロが言った。

そう言ったコロネロが、何かを言いたそうな目で笹川を見ている事に弥王は気付く。

“今の了平では勝ち目がない”

コロネロの目はそう呟いていた。

 

 

「越えられない壁というモノを教えて上げるわ」

 

 

ルッスーリアは足掻き続ける笹川に高速フットワークを披露する。

その様は何人もルッスーリアが居るように見える。

その残像を見切ったとでも言う様に笹川は踏み込んで右の拳を放った。

だが、それはルッスーリアの鋼鉄の膝(メタル・ニー)によりカウンターされた挙げ句に、笹川の右の拳は壊され、そこから血が噴き出していた。

懸命な奮闘も虚しく、笹川は一方的にボコボコにされていく。

見ていられなくなったのか、京子は弥王の幻覚領域から出ようとしていた。

それに気付いた弥王は京子の腕を引っ張ると、そのままの勢いで京子を璃王に押し付ける。

璃王はいきなり京子を押し付けられたにも拘わらず、京子を抱き留めると、「おい、弥王!?」と弥王に制止の声を投げかけた。

それに構いもしないで弥王は幻覚領域から出ると、リングに近付いて、笹川に声を投げかけた。

 

 

「立て」

 

 

弥王がいきなり出てきてそんな事を言ったものだから、沢田達は弥王に注目した。

そんな事を気にも留めず、弥王は続ける。

 

 

「貴様がそいつに勝てない理由を教えてやる」

 

 

弥王の言葉に全員が固唾を呑んだ。

弥王は気が付いたのだ。笹川がルッスーリアに勝てない理由に。

師匠が傍にいないからじゃない、笹川がルッスーリアに勝てない本当の理由を。

本当はこのまま、見捨ててルッスーリアに勝たせても良かった。

だが、弥王は敢えて笹川に助言する事を選んだ。それは、京子の行動が影響したからだった。

 

 

 

 

俺はもう、ダメかも知れない・・・・・・。

笹川了平は、リングの上に俯せになって、目を閉じた。

さっきのカウンターで右拳から血が噴き出した時、了平は自分の終わりを見た。

まさか、こんな所でやられるとは。沢田に言える言葉が見つからない。

すまん、沢田、獄寺、山本・・・・・・師匠。

次々に見える残像に了平は謝罪する。

そして、最後に京子の残像を見た。

泣きそうな京子の顔。京子が木吉を虐めた事で虐められる前の、あの暖かい笑顔が何故か浮かんだ。

その時だった。「立て」と低い声が聞こえてきた。

 

 

「貴様がそいつに勝てない理由を教えてやる」

 

 

俺がコイツに勝てない理由・・・・・・?

了平は軋む体で介入者の言葉を聞いた。

 

 

「貴様は自分の中で信じているモノと信念を曲げているんだ。

大切なモノを見失い、大切な事を忘れている。

貴様が大切に思い、心に刻んだモノは何だ?」

 

 

謎の人物はそれだけを言うと、消えていった。

俺が心に刻んだもの・・・・・・と、了平は考える。

ふと、了平は京子の顔が浮かんできた。

それはまだ、京子が幼かった時の姿だった。

その姿が浮かんできた時、昔の記憶がフラッシュバックした。

中学生と喧嘩をして額を割られた時に、京子に言ったあの言葉。

京子との約束を思い出す。

 

――それでも俺も男だ・・・・・・。

どうしても、喧嘩をしなくちゃならない時が来るかも知れない・・・・・・。

しかし、京子がそれ程泣くのなら、もう―――

 

 

「俺は・・・・・・負けん・・・・・・!!」

 

 

軋んで悲鳴を上げる体に鞭を打つように、了平は立ち上がった。

そうだ、自分は負けてはならないのだ。

強くなろうと思ったのは、あの日、京子が泣かない様にと思って、鍛えてきた。

その妹を傷付けて、俺は何をしていたのだろう。

俺はこの戦いに勝って、京子に謝りに行かなければならない。

京子の話を聞かなければならない。

了平は目の前の相手に拳を振るった。

 

 

 

 

「見晒せ、これが本当の極限(マキシマム)!!」

 

 

最後の一撃だ!と言う様に笹川はルッスーリアに拳をぶつける。

ルッスーリアはまた、その腕を今度は使い物にならなくする為にカウンターを繰り出してきた。

 

 

太陽(キャノン)!!」

 

 

笹川の拳とルッスーリアの鋼鉄の膝(メタル・ニー)がぶつかったその一瞬、綺麗に日輪が燦めいて、ルッスーリアの鋼鉄の膝(メタル・ニー)が砕かれた。

砕かれた膝からは紅い血飛沫が噴き出して、ルッスーリアは叫ぶ。

膝を砕かれたルッスーリアを見て、弥王はルッスーリアの声と重なるように「ルッス姐ぇ!」と悲痛に叫んだ。

ルッスーリアは顔面からリングの床に叩き付けられる。

 

 

「お・・・・・・お兄さんのパンチが・・・・・・決まった!!」

 

 

ルッスーリアの叫びと共に沢田の声が被さる。

弥王は愕然と膝を地に付けた。

信じられない、ルッス姐が負けるなんて・・・・・・。

そんな思いがグルグルと巡る。

ルッスーリアは怯えたようにバトルを続けようとする。

その様子を見て我に返ると、弥王は京子を抱き寄せ、目隠しをして、京子の耳を塞ぐ。

 

 

「弥王く・・・・・・」

 

 

京子の戸惑いの声は、その後の銃声に掻き消された。

銃声の後にルッスーリアは背中と口から鮮血をリングに撒き散らして、倒れる。

弱者は消す。それが、ヴァリアーが最強を誇っている所以だ。

ルッスーリアはガスマスクの様なモノを着用している大男の散弾によって、背中を撃たれたのだ。

沢田側から戦慄が走る。

戦慄したのは、沢田達だけでなく、弥王も戦慄していた。

 

 

「ルッス姐ぇ・・・・・・」

 

 

ギリ・・・・・・ッと奥歯を噛み締めて、弥王は涙が込み上げてくるのを必死に抑えた。

幾ら今は敵対しているとしても、やはり、見ていて辛いモノは無い。

仲間がやられる所を見ているのは。

 

 

「弥王、窒息するぞ、そいつ」

 

 

璃王の言葉に京子が弥王の胸板を叩いている事に気が付き、弥王は京子を解放した。

解放された京子は新鮮な空気を肺に取り込むように大きく息を吐いて、顔を紅くしている。

 

 

「ごめん、京子」

 

 

「ううん、私は大丈夫・・・・・・、弥王君・・・・・・?」

 

 

弥王の言葉に返事を返すと、京子は弥王を不思議そうな眼で凝視して、弥王の頬に手を伸ばす。

何事かと思って弥王は思わず京子の手を遮って、自分の頬に触れた。

すると、弥王の指に生暖かい液体が触れる。

 

 

「あ・・・・・・れ、何で・・・・・・」

 

 

弥王の頬を一筋の涙が伝った。

訳が解らず、弥王は困惑する。

自分の望みに近付いてきている・・・・・・筈。だから、何とも・・・・・・いいや、むしろ、嬉しい筈なのに・・・・・・。

弥王は何故自分が泣いているのか解らない。

笹川が勝ったから、嬉し泣きか?それとも、ルッスーリアが負けた上に銃弾に撃たれたから、泣いているのか・・・・・・?

真相は、自分でもよく解らない。

 

 

「・・・・・・っ、・・・・・・ごめん・・・・・・」

 

 

弥王はポツリと呟くと、先に並中を出て行った。






あまり、オリジナリティないですね、すみません;;
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