Preghiera di duo~月に祈りを星に願いを~   作:紅 奈々

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第13楽章 呼び出し
標的1


轟音を立てて、避雷針が崩れ落ちた。

その様子に獄寺とチェルベッロは驚愕する。

弥王は驚いている人間を余所に原因推測をしていた。

ふと、サーキットの外に目をやれば、オレンジの炎を額に灯した沢田がサーキットの導体をグローブで焼き切ったらしく、その残骸を持っていた。

 

 

「目の前で大事な仲間を失ったら・・・・・・死んでも死にきれねぇ」

 

 

沢田が呟いたのが聞こえた。

沢田側は状況が読めてないのか、騒いでいる。

弥王は何故、自分のボスの能力も知らないんだよ、と獄寺達に呆れる。

そして、「あれは10代目だ!!」と獄寺は得意げに声を上げた。

 

 

「幾ら大事だって言われても・・・・・・ボンゴレリングだとか・・・・・・次期ボスの座だとか・・・・・・そんなモノの為に俺は戦えない」

 

 

沢田は誰に言うでもなく言葉を吐きだした。

弥王はそんな沢田の戯れ言に拳を握る。

そんな生半可な気持ちでこんな場所に居るのかと思うと、沢田に怒りが沸き起こってくる。

なら、お前は何の為に戦う?今一度、弥王は自分が沢田側で戦ってのメリットを考え直したいと思った。

 

 

「でも・・・・・・友達が、仲間が傷付くのは嫌なんだ!!」

 

 

沢田の額から炎が消える。

それでも尚、沢田は強い意志を孕んだ目で語る。

弥王は今の沢田の言葉にキレ掛けて、幻覚領域から出ようとした。

今の貴様にそんな事が言える資格などない、と沢田を殴りに行かなければ気が済まない。

だが、それは低い声に阻まれた。

 

 

「ほざくな」

 

 

声が聞こえた方から何かが飛んできて、沢田が吹き飛ばされる。

そのまま、沢田は床にダイブした。

声が聞こえた方を見上げれば、貯水タンクの上に黒いジャケットを靡かせ、沢田を睨む黒髪に赤い目の男がひとり、佇んでいる。

そう、彼こそがXANXUS。九代目の実子にして、ヴァリアー側の次期ボンゴレボス候補だ。

 

 

「XANXUS!!」

 

 

沢田が声を上げると、獲物を睨み付けていたぶる野獣のような獰猛な目で沢田を睨む、XANXUS。

沢田も、XANXUSを精一杯の眼力で睨み返す。

野生のライオンの前にチワワが立ちはだかるような構図を弥王は無情に見ていた。

 

 

「なんだ、その目は。

まさかお前・・・・・・本気で俺を倒して、後継者になれると思ってんのか?」

 

 

酷くドスの効いた声で般若の様な顔で殺気を込めて言えば、沢田は見下ろしてくるXANXUSに恐怖を覚える。

XANXUSのその顔に弥王はゾクリと背筋が凍っていくのを感じた。

爪先から脳天へじわりじわりと伝う戦慄は、確かにXANXUSの殺気。

ゾクゾクと凍り付きそうな感覚に僅かな興奮を覚える。

押しつぶしてくるような威圧感や戦慄に弥王は目の前にXANXUSが本当に居る事を実感した。

 

 

「そんな事は思ってない・・・・・・オレは唯、この戦いで仲間を誰ひとり失いたくないんだ!!」

 

 

沢田は負けじと、XANXUSに言い募る。

XANXUSにそんな言葉を投げるのは自殺行為だと知らないで。

弥王はそんな沢田の言葉にお前が今更、何を言う、と思う。

そう、沢田は既に二人の仲間を自分の手で失くしている。

“笹川京子”と“三浦ハル”という、大切だった筈の“仲間”を。

それに気付けない沢田にそんな綺麗事を垂れる資格はない、と弥王は思った。

XANXUSに視線を向ければ、XANXUSは眉間に皺を寄せ、構えていた。

 

 

「そうか・・・・・・てめぇ!!」

 

 

ドスの効いた声と共にXANXUSの手が光り出す。

「いけません、XANXUS様!!」とチェルベッロが止めに入ろうとした。

―――まずい!!

弥王は今度こそ幻覚領域から出て、チェルベッロの腕を引き寄せると、XANXUSの手首を掴んだ。

 

 

「やめろ、XANXUS」

 

 

XANXUSは弥王のフードの下の面を見ると、驚愕の表情を浮かべた。

その面は・・・・・・!?

面を見た瞬間、介入者の正体が解った。

 

 

「あ・・・・・・あの人は昨日の・・・・・・!?」

 

 

沢田の声が聞こえたが、弥王はそれに反応する事もなく、続けた。

 

 

「XANXUS、そこの雑魚に手を出してみろ、お前・・・・・・面目丸潰れだぞ。

そいつら殺るのは、争奪戦でそいつらが負けてからでもいいと思うが?」

 

 

XANXUSは弥王を睨んだ。

面越しに睨まれても、怖い、と弥王は感じた。

あぁ、これだ・・・・・・。これこそが、オレが求めている、“真のボス”。

何処までも闇に融け込み、全てを支配する暗黒の大空――――。

弥王はやはり、ボスはXANXUSでなければならない、と実感する。

XANXUSは舌打ちすると、弥王の手を振り解いた。

 

 

「俺はキレちゃいねぇ。

むしろ、楽しくなってきたぜ」

 

 

弥王の言葉に返すと、XANXUSは口角を上げ、獰猛な笑みを浮かべた。

沢田を見ると、その笑みに恐怖を感じたのか、目を見開いて身を竦めている。

やはり、沢田では役不足だ、と弥王は思う。

 

 

「やっと解ったぜ。

一時とは言え、9代目(オヤジ)が貴様を選んだワケが・・・・・・

その腐った戯れ言と言い、軟弱な炎と言い、お前と老いぼれは、よく似ている」

 

 

「違う」

 

 

XANXUSの言葉に弥王は思わず、それを即否定する。

XANXUSは「どういう事だ」と言いたげに、沢田は「え」と言う様に弥王に視線を向ける。

弥王は構わずに言った。

 

 

「今の沢田(ヤツ)には、Ⅸ世(ノーノ)の言う様な戯れ言も綺麗事も言う権利など、大気中の塵ほどもない。

チェルベッロ、続きを」

 

 

後者の言葉はチェルベッロに向けられたモノだ。

XANXUSと沢田から逃げるように幻覚で消えた弥王に先を促され、チェルベッロは少し動揺すると、勝負の結果を発表する。

 

 

「で、では、勝負の結果を発表します。

今回の守護者対決は、沢田氏の妨害によりレヴィ・ア・タンの勝利とし、雷のリング並びに大空のリングはヴァリアー側の物となります」

 

 

チェルベッロの言葉に沢田は声を上げて、リングを握り締める。

茶髪の少年、バジルが抗議するが、チェルベッロは沢田のリングを首から取り上げ、XANXUSに大空のリングを渡す。

まぁ、当然の処置だろう、と弥王は思った。

フィールドに手を出すと言う事は、それ自体が違反になる。

沢田は納得いかない様子で必死にチェルベッロに抗議するが受け入れて貰えず、獄寺が犬のように吠えるが、意に介されず、必死の抵抗も虚しく、リングはヴァリアーの物となった。

XANXUSはチェルベッロから大空のリングを受け取ると、リングを合わせて指に嵌めた。

 

 

「これが此処に在るのは当然の事だ。

俺以外にボンゴレのボスが考えられるか」

 

 

XANXUSの言葉に獄寺が毒づく。

確かに、ボスに相応しいのはXANXUSだ。

弥王も、XANXUSがボンゴレを継ぐのなら、XANXUSに付いていきたいと、幼い頃から思っていた。

何者にも追随を許さない、その誇り高き矜恃。何人(なんぴと)をも圧倒する強大な力。

これほどまでに格好良い、と思わされたのはXANXUSが初めてだった。

だけど・・・・・・と、弥王はXANXUSがリングを嵌めたその時、その胸に違和感を感じた。

胸騒ぎがする。

直感が、XANXUSの負け―――しかも、最悪な状況での―――を感じて、弥王は首を振った。

違って欲しい、これだけは、と。

 

 

「夜空と風以外の他のリングなど、どーでも良い。

これで、俺の命でボンゴレの名のもと、お前らをいつでも殺せる」

 

 

XANXUSの言葉に沢田達は戦慄する。

XANXUSが後継者になった、と言う事はXANXUSが「後継者である者に刃向かい、反逆した」という名目でいつでも沢田達を殺せるのだ。

沢田達の命は風前の灯火となった、と言う事だ。

 

 

「だが、老い耄れが後継者に選んだお前を、ただ殺したのではつまらなくなった。

お前を殺るのはリング争奪戦で本当の地獄を味わわせてからだ・・・・・・あの老い耄れのようにな」

 

 

XANXUSの言葉に今度は、リボーンと家光の間で戦慄が走った。

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