Preghiera di duo~月に祈りを星に願いを~   作:紅 奈々

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今回は長め。
それと、見方によっては少しBLっぽい所がありますが、BLではないので、ご了承下さい。


標的2

「XANXUS、貴様!!

9代目に何をした!!」

 

 

今にもXANXUSに掴み掛かりそうな勢いで家光は怒鳴る。

XANXUSはそれを笑い、「それを調べるのがお前らの仕事だろ!」と流す。

XANXUSとベルフェゴール達の意味深な笑みに家光は何かを悟ったらしい、目を見開いた。

 

 

「落ち着け、家光。

何の確証もねーんだ」

 

 

動揺する家光を宥めているリボーンも、今にもXANXUSの脳天をぶち抜きそうな程、怒りをその黒く沈んだ瞳に渦巻かせていた。

片手には銃を持っている事から、家光よりも動揺しているらしい。

「お前こそ、銃をしまえ」と家光に宥められていた。

 

 

「どーゆーこと・・・・・・?

XANXUSは何をしたんだ・・・・・・?」

 

 

自分の家庭教師(カテキョー)と父親のやり取りを見ながら、沢田は状況が飲み込めずに呆然と呟く。

XANXUSは沢田を見下ろしながら、その呟きを拾った。

 

 

「喜べ、もどき共。

お前らにチャンスをやったんだ」

 

 

XANXUSの言葉に何が何だか解らない、と言ったような沢田は次に来るXANXUSの言葉を待った。

 

 

 

「残りの勝負(バトル)も全て行い、万が一お前らが勝ち越すような事があれば、ボンゴレリングもボスの地位もくれてやる。

だが、負ければお前の所の次期ルーン家当主を貰い、そして、お前らの大切なモンは全て・・・・・・消える・・・・・・」

 

 

「た・・・・・・大切なモノ全て・・・・・・!?」

 

 

XANXUSの言葉に沢田は戦慄する。

ルーンの下りは理解していなかったが、確実に言えるのは、皆殺しだと言う事を理解した。

弥王は別にコイツの許可なんか要らない、と内心で思った。

どうせ、自分はヴァリアーに寝返るつもりなのだから。

XANXUSが沢田を挑発すると、チェルベッロに続きを促す。

明日は嵐の争奪戦だと聞いて、弥王は屋敷に帰っていった。

 

 

屋敷に戻ると、弥王は雨で冷え切った体を暖める為、ユニットバスでシャワーを浴びていた。

今日の事を思い出すと、弥王はまた、僅かに昂揚してきた。

XANXUSが居るんだ、と思うと、嬉しさが込み上げて、安堵する。

幼い頃から、XANXUSは身近な存在だった。

兄の様な存在で、父親の様な存在でもあり、弥王はXANXUSによく懐いていたのだ。

弥王は掴んだXANXUSの手首の感触が未だ残っているてを見つめる。

昔はあんなに大きく感じた手だったが、今ではあまり大きく感じなかった。

それは、7年間も氷漬けにされていた事が関係しているのだろう。

XANXUSの事もだが、ルッスーリアの怪我の事も気になる。

弥王はそこまで思って、首を振った。

今、自分が気にしたって仕方がない。

それよりも、自分の事を考えなきゃ、と弥王は手を握り締めた。

 

 

 

ユニットバスを出た後、ベッドにダイブすると弥王はケータイのサブディスプレイの隣のランプが点滅している事に気付いた。

ケータイを開ければメールが届いているらしく、全身がブルーベリー色で禿げている、目がやたらとでかい全裸のシュールなキャラがディスプレイで手紙を振っていた。

メールを開いてみると、その差出人がスクアーロだった。

件名なしで、本文にたった一言、「並中の裏の公園で待っている」と書かれている。

弥王は思わず、怖っ!?とケータイを投げ出して、後ずさる。

これって、あれか!?嫌われ小説でよくある、悪女からヒロインへの呼び出しメールみたいな!!

そんな事を考えながら受信日時を見ると、日付を跨いだ、10月21日2時00分とあった。

ちなみに現在時刻は2時20分。あ、これ、死亡フラグ立った。

弥王は今日が自分の命日になる、と本能的に察した。

一応、行ってみるかー、と弥王はだるいながらに考える。本当は寝たい、今すぐに。

だが、子犬みたいに待っていたら、可哀相だ、と弥王は思った。

彼奴の事だから、待ってそうなんだよなー、忠犬ハチ公だし。

弥王はそんな事を思いながら、部屋着から私服に着替えた。

動きやすいようにロングTシャツにジーパンとついでに何か買って帰ろう、と思って財布を持って部屋を出た。

これ、メテーオラに見つかったら、絶対に鬱陶しいフラグだよな、と思いながら、極力音を殺して、階段を降りると、屋敷を出て行った。

 

 

それから、上手く屋敷を脱出できた弥王は全力で走って、本当は50分掛かる道のりを30分で行き着いた。

夜の公園は蛍光灯が切れかかってチカチカしている心許ない明かりしかないので、寂れた雰囲気を醸し出している。

雨は既に止んでいて、寒さが少し肌を撫でていた。

弥王は公園の中に入って、辺りを見回す。だが、そこにはスクアーロらしき人物の姿は何処にもない。

 

 

「あちゃー・・・・・・流石にもう、帰ってるよなぁ・・・・・・」

 

 

弥王はがっくりと肩を落とす。

まぁ、帰っていても仕方がない。

現在の時刻は2時50分、流石のスクアーロもこんな肌寒い中、50分も待っているはずがない。

それでも待っていたら、それこそ忠犬ハチ公じゃないか。

弥王はそう考えると、諦めて帰ろうと踵を返す。

その時だった、痴漢が現れたのは。

 

 

「ギャッ、痴漢!?」

 

 

不意に背中から肩と腹に腕を回され、弥王は思わず小さく叫んでしまった。

小さく叫んでも、夜の静寂な公園では弥王の声は案外響く。

なんで、こんな所に痴漢が!?つーか、何、コイツ、ショタコンかゲイなワケ!?ギャーギャー、オレの貞操がピンチ過ぎる、もうお婿にいけないー!と弥王が藻掻いていると、頭上から「誰が痴漢だぁ、しかも俺はショタコンでもなければ、ゲイでもねぇぞぉ!」と言う、もう何回も聞き慣れた声が耳に届いて、弥王は大人しくなった。

 

 

「スクアーロ!

まさか、ずっと待ってたのか?」

 

 

解放された弥王が振り返ってみれば、寒さで頬が紅くなっているスクアーロの顔が目の前にあった。

ずっと待っていたらしい彼は、服も手も頬も、すっかりと冷え切っている。

弥王の問いに「当たり前だろうが、どうせお前の事だ、メールに気付いていないと思っていたからなぁ」と呆れた様子でスクアーロは返す。

その言葉に弥王は当たっているので何も返せない。

言葉に詰まっている弥王にスクアーロは話し出した。

 

 

「大丈夫か、お前?」

 

 

「大丈夫だ、問題無い」

 

 

スクアーロの問いに弥王はエル○ャダイを思い出したらしく、弥王はイーノ○クに似た声でキリッと言った。

そんな弥王の反応に「お前なぁ・・・・・・」と呆れた様な反応が返ってきたが、そんな反応にすら弥王は安堵する。

 

 

「何かを手に入れるなら、何かを犠牲にしなきゃいけない。

あれが欲しい、でもこれは大切じゃあ、何も変えられないし、何も手に入らない。

オレが欲しいのは、ルーン家当主の座だ。その為には、どんな犠牲も厭わない」

 

 

こちらはどうしても勝たなきゃいけない。

弥王はそこまで言った。

きっと、スクアーロが弥王を呼んだ理由は、ルッスーリアが撃たれた場面を見た自分を心配しての事だと思ったから、弥王はそんな事を言ったのだ。

弥王の読みは正しかったようで、弥王の回答を聞いたスクアーロの弥王を抱き締めている腕の力が強くなった。

 

 

「戻ってこいよ・・・・・・あっちにお前が居る理由がねぇだろぉが・・・・・・。

XANXUSだって、お前を待ってんだ。

なぁ、ミオン・ルーン・・・・・・」

 

 

スクアーロにしては珍しく、囁くように言った言葉が弥王に突き刺さる。

スクアーロの言葉は、迷う蜜蜂を誘惑するような甘い花の蜜と同じ様な甘さが滲んでいて、弥王は思わず、頷きたくなった。

だが、弥王は思いとどまる。

弥王には、京子やクローム、ハルと言った守るべき人間がいる。

三人を放置して、ヴァリアーに行く事なんて、弥王にはできなかった。

弥王はスクアーロの腕を解く。

 

 

「オレはそっちには行けない・・・・・・、スク。

そっちにはオレ以外の夜空と風の守護者が居るんだろ?

なら、オレの入る場所はない」

 

 

あの日、チェルベッロが言った言葉が弥王の記憶から蘇る。

ルーンの御三家の人間が居るなら、弥王の居場所はヴァリアーにない。

冷たく突き放すような言葉に尚、スクアーロは食い下がった。

 

 

「何でそんな事を言うんだぁっ!?

俺達が欲しいのは、お前なんだよ!

それに、オレはお前が・・・・・・っ!!」

 

 

「それ以上は言うなっ!!」

 

 

スクアーロを突っぱねようとする弥王に尚も食い下がるように言うから、弥王はその言葉を遮った。

弥王はスクアーロが何を言いたいかを理解していた。だからこそ、そのスクアーロの気持ちは嬉しいし、だが、その言葉を聞けば弥王は迷ってしまう。

弥王は今、迷っている時じゃない。

 

 

「オレは迷っている時間がない。

進むしかないんだ。

頼むから、オレの勝負(バトル)が終わるまで、何も言わないでくれ・・・・・・」

 

 

俯いて絞り出すように、弥王は言うと、走り出した。

走り去っていく弥王の背中にスクアーロの声が投げられたが、弥王は立ち止まらずに屋敷へ向かって走る。

屋敷に着いて自分の部屋に戻ると、弥王はそのままベッドに倒れて、眠った。

 

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