Preghiera di duo~月に祈りを星に願いを~   作:紅 奈々

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雲雀がこんなだったら、萌えるなぁ、とww
今回は少し長めです!!


標的2

全ての始まりは、4年前だった。

雲雀はまだ、小学5年で並盛小学に転入したばかりだった。

 

元々、親の都合で転校が多かった雲雀は、その虚弱な体質もあり、学校を休みがちでそれが原因で何処の学校に転校しても、虐めは呪いのように付いて回っていた。

今の雲雀からは到底予想も付きにくいが、彼は絵に描いたような病弱で優しい少年だった。

彼が笑うと、周りの女子はそれに感化されるかのようにつられて笑顔になる。

成績はそこそこだが、性格でそれをカバーしている様な少年だった。

女子からも人気で、彼が登校すれば、女子は彼に気を遣うように接していた。

教師も彼にはあまりきつい事は言わず、出来なかった事の殆どを許容していた。

それも相俟って、男子は雲雀に陰湿な虐めをしていたのだ。

それに対しても雲雀は特に気にした様子も無く困った顔をするくらいで、自己主張の少ない少年だった。

そんな雲雀を守っていたのが、幼馴染みの女子だった。

彼女の名は、塚下(つかしも)ラクス。

日本人とイギリス人のハーフの顔立ちの整った女の子だった。

その子は親の都合で雲雀と一緒に暮らしていた子で、女子とは思えない位に気が強く、傲慢な女の子で転校先ではいつもその学校の頂点に立っているような性格をしていた。

ちょうど、今の雲雀のような性格だ。

その子が雲雀にとっての唯一の理解者であり、唯一、親友と呼べる存在だった。

その子と過ごしていた日々は本当に幸せだった、と弥王と出会った雲雀は弥王に語った事がある。

 

転入から少しが経った時、突然、その子が海外へ行く事になったのだ。

理由は、両親の転勤が海外に決まって、今までは日本のあちこちを行き来していたから、雲雀の家に預けている事はできたが、海外になると流石にいつ自分たちが日本に帰ってこられるかが解らない為、彼女も一緒に暮らす事になった、と言う事だ。

そして、彼女は海外へ行ってしまった。

その少し後で彼女と入れ替わるように1人の女子が転入してきた。

小さくて、ふんわりした雰囲気の可愛らしい女の子で、その子は転入してきてから、男女ともに人気者になっていた。

外見だけではなく、気配りが上手く、勉強もできて教師からの評価も高かった。

雲雀もその女子に少なくとも好感を抱いていた。

その子は雲雀にも優しい子だった。

ただ、欠点と言えば、少しドジな所があり、何も無い所で躓いて転んだりたまにボーッとしていたり、とまるで少女漫画の主人公みたいな性格だったが、それさえも愛嬌として受け入れられていた。

 

その子が転入してきて、2ヶ月が過ぎた頃だった。

その時に全てが崩れ去ったのだ。

その女子は雲雀を屋上に呼び出して、雲雀に告白したのだ。

雲雀はその女子に好感は持っていたが、それは人間性の話であって、恋愛感情ではなかったので、その旨を話した上でその女子を振った。

それがいけなかったのだ。

その女子はヒステリックに言った。

 

 

「私はあんなにあんたに尽くしたって言うのに、あんたは私を突き放すの!!」

 

 

突然の豹変に雲雀は付いていけずに、呆然とただ、その女子の様子を見ていた。

すると、「これは罰よ、あんたが悪いんだからね!!」と女子は自分の手首をカッターで切り付けて、雲雀の足許にカッターを投げた。

その後で女子は何処からそんな声を出しているんだ、と言いたくなるような大声を出して、叫んだ。

すると、クラスメイトが来て、その女子を介抱する。

雲雀に告白されて、振ったらカッターでいきなり斬りかかられた、とその女子は語った。

その話を聞いたクラスメイトは雲雀を罵り、雲雀に対する虐めが表面化した。

今までの陰湿な虐めから一転、雲雀はその日から体に傷を作って帰るようになったのだ。

この時ばかりは雲雀も泣いて、怒って、もう感情がグチャグチャに混ざってどうしようもなかった。

 

虐められて1ヶ月が経った時だった。その出逢いは唐突に訪れたのだ。

元々、体の弱かった雲雀は1ヶ月の虐めで既に疲弊して、憔悴しきっていた。

今日も今日で雲雀は学校を早退して、神社に向かっていたのだ。

痛みで軋む体を動かして、神社に辿り着いた時だった。

雲雀は遂に力尽きた。

その場に膝を着いて、ご神木に凭れ掛かった時、声が聞こえた。

 

 

「大丈夫か?」

 

 

男性のような低い声が聞こえて、顔を上げれば、そこには紫の肩くらいの長さの髪の人物が雲雀の目の前に居た。

その姿が幼馴染みのように見えて、雲雀は1ヶ月ぶりの笑顔を浮かべると、「ラクス・・・・・・」と微笑んでそのまま、その人物に凭り掛かるように倒れた。

 

 

目が覚めると、知らない天井が見えた。

起き上がれば、雲雀はぶかぶかのシャツ一枚で体には包帯が巻かれていた。

倒れたまでは覚えているが、その後の記憶がない。

確か、幼馴染みの姿が見えたような気がしたが、気のせいだったのだろうか。

暫く呆然と部屋を見渡してみると、不意に扉が開く音が聞こえた。

扉に目をやれば、ひとりの少年が果物が沢山入っているバスケットを持って入ってきた。

少年は雲雀が起きている事に気付くと、笑顔を雲雀に向けると、声を掛けた。

 

 

「よっ、起きたか」

 

 

バスケットをチェストに置いて、近くにあった椅子に座る、少年。

雲雀は少年にこれまでの事を聞く。

少年曰く、倒れた雲雀を介抱してくれたのは少年らしい。

それから、少年の家に連れてこられて、手当までしてくれたのだという。

雲雀が礼を言うと、少年は笑ってあっさりと返した。

これが、雲雀と少年――――神南弥王の出逢いだった。

 

 

それから、雲雀と少年は仲良くなった。

体の弱い雲雀に気を遣って、弥王は並盛神社まで少年を迎えに行って、弥王の家に行く。

そしてそこで弥王と雲雀は沢山色んな話をして、下校時間になると家の近くまで雲雀を送る、という日々を送っていた。

雲雀は新しくできた友達に嬉しさが増して、学校の事など最早どうでも良くなっていた。

弥王は雲雀が出来る様になった事に対して、喜んでくれる。そんな彼が雲雀は好きだった。

まるで、彼は雲雀の兄の様な存在になっていた。

そんなあるとき、ふと気になったらしく、弥王は雲雀に学校の事を聞いた。

すると、雲雀は弥王に全てを話した。

学校で虐められている事、1人の女子を振った事でその女子に陥れられて、その虐めが表面化した事。今までの陰湿な虐めの原因。

全てを話した時、弥王は言った。

 

 

「恭弥は恐らく、体の免疫力が弱いだけで、自分が思っている以上の力を出せると思う。

ちゃんとした特訓をすればね。

体が弱い事に甘んじるのではなく、自分が教師から大目に見て貰えているのは、当然だと言う事を示せば、陰湿な虐めをする人間は居なくなるよ。

人間は強い人間に対しては平伏す事しかできないからね。

自分が草食動物を狩る肉食動物になってしまえば良いんだ。

で、その女子の一件は、ボイスレコーダーに音声を録音しておいて、それを流す。

何なら、オレも手伝ってやっても良いけど?

小学なら、どんな理由でも付けていけるからね」

 

 

雲雀にとって、その時の弥王が救世主にでも思えた。

 

その日から、雲雀は弥王に稽古を付けて貰い、弥王は急成長する雲雀の戦闘力に笑みを浮かべる。

生来から、雲雀には戦闘センスが潜在的にあったのだ。

ただ、それが環境の所為で発揮されず、雲雀の性格を優しい少年にしていた。

それを弥王は見透かしていたのだ。

優しい少年で在る事は悪い事ではない。ただ、優しさの中にも強さがなければそれは、ただ甘いだけのモノになってしまう。

それは雲雀にとって良くない事であった。その甘さが虐められる原因を作ってしまった事は事実であるのだから。

 

 

「お前はだんだん強くなってきている。

だから、言っておく事がある」

 

 

弥王は雲雀と庭でティータイムをしていた。

弥王の作ったアップルパイを食べながら、雲雀は突然切り出された言葉を聞く。

弥王の話はこうだった。

弱かった人間が強い力を持つと、その力に酔い痴れ、力の使い方を間違えてしまう時がある。

だから、雲雀がこの力を振るう時は自分や誰かを守る時だけに留めておいてもらいたい。

でなければ、それは今まで雲雀にしてきた人間と同じ事を他人にすると言う事になってしまう。

弥王が雲雀に力を与えたのは、むやみに他人を傷付ける為ではなく、自分や大切な人間を守る為の防衛手段として使える様に、との事だった。

話を聞いた雲雀は、それを肝に銘じるように頷く。

それなら、もう大丈夫そうだな、と弥王は雲雀の頭を撫でた。

 

 

それから、雲雀は自分を陥れた女子の悪事を暴き、それをクラスメイトに晒すと、自分の傍に誰ひとりとして近付かないように、その女子を見せしめで咬み殺した。

それを見たクラスメイトは誰ひとりとして、雲雀に近付かなくなったし、陰湿な虐めもなくなった。

それは、卒業間近の3月の事だった。

その話を聞いた弥王は「やり過ぎだ」と少し雲雀を咎めたが、「まぁ、虐められなくなって良かったじゃないか」と笑っていた。

それからの雲雀は自分が強くなれば、弥王が褒めてくれる、と常に鍛錬を欠かさなかった。

そして、「戦う事が楽しい」と好戦的な性格が出始めて、弥王は何処で雲雀の教育を間違えたのだろう、と悩み出す。

こんなに好戦的になるとは予想もしていなかったのだ。

顔を合わせれば、「僕と戦ってよ」と言う雲雀に弥王は頭を抱える事しかできなかった。

ここまで好戦的になるとは。

何故、こうなった?・・・・・・解らない。

弥王はまぁ、良いか。と軽く考えていた。

 

それから、雲雀が卒業して、並中に入学した7月。

弥王はイタリアへ帰っていった。

それが、弥王との二年間の生活で、雲雀が“並盛最強”と言われるまでの軌跡だった。






雲雀と弥王の話、ちょっと書きたいと思ってしまった。
笑顔毒舌ヒットマン京子と併せて、外伝と言う事で、書こうかな。
まぁ、希望者が居たら書こうと思います。

詳しくは活動報告にて報告させて頂きますので、お暇があれば、ご覧下さい。
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