Preghiera di duo~月に祈りを星に願いを~   作:紅 奈々

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雲雀が木吉と付き合っていたワケとは――――?


そして、この雲雀は作者の願望がかなり入っている事に気が付いた、今日この頃。←


標的3

「解った。ずっと、苦しかったんだよな?」

 

 

弥王の言葉に雲雀は頷いた。

本当は木吉と付き合っていたのも、昔のトラウマがあって断ったら何されるか解らないから、付き合っていたという。

今の自分には何が起ころうと関係はないが、並中の名前に傷が付くのが嫌だった、と雲雀は語る。

弥王はそうか、と頷いた。

雲雀はただ、純粋に学校が好きだったのだ。だから、学校を守る為には仕方がなかった。

何とも雲雀らしい回答だ。

それに安堵する。

自分を犠牲にしても、好きなモノを守る。雲雀がまだ、純粋だった事が何より嬉しかった。

 

 

「お前は昔から、1人で突っ走りすぎだ。

少しは周りを見ろ。周りの話を聞け。

じゃないと、真実すら見えなくなるぞ」

 

 

初めて会った時のように、弥王は泣きじゃくる雲雀の背中を擦る。

強くなっても、最強だと言われても、心底にある本質。それが変わっていない事に弥王は安堵した。

表社会で力を持つと言う事は、誰かから敬遠されたり、嫉妬されたりで、自らを孤独にする。

雲雀は進んで孤独を選んだが、それは強くなった結果、敬遠される事になったのだ。

弱さを見せれば、それにつけ込まれる事を雲雀は知っている。

弱さを見せるのは、雲雀のプライドが許さなかい。だから、敢えて孤独で在ろうとする。

それは、雲雀の本来の優しさからであった。大切なモノが傷付くなら、自分が傷付きに行こう。

自分の選択で大切なモノが傷付くなら、自分を犠牲にしても守ろう。

その本質は変わらなかった。

 

軈て、泣き疲れた子供のように雲雀は弥王に凭り掛かって、寝息を立てて寝ていた。

弥王は「こう見るとやっぱコイツ、子供みたいだ」と苦笑して、雲雀を抱き上げた。

弥王の身長の頭半分くらいしかない雲雀は割と重くて、運べても校門までが限度だと思った弥王は京子に話し掛ける。

 

 

「京子、悪い。

メテーオラに連絡入れて、迎えに来てもらってくれないか?

流石にコイツをここに置いていくわけにはいかないし、かと言って、起こしたら起こしたで面倒なんだよ。

家の場所は知らないし」

 

 

改めて、弥王は2年も一緒に居たのに雲雀の家の位置も知らなかった、と思った。

並盛神社の近く、とは聞いていたが、それ以上は聞いてなかったのだ。

京子は弥王の言葉にその意図を理解すると、頷いてケータイを取り出した。

並中では、リング争奪戦をする。運悪く雲雀がその最中に起きれば、大変な事になるのだと、京子も解ったのだ。

 

 

それから、メテーオラが並中まで迎えに来て、雲雀を拉致・・・・・・ではなく連れて帰る。

離れの和室に雲雀を運んで、布団に寝かせた弥王は雲雀から離れようとして、困った様な表情を浮かべた。

理由は、雲雀が弥王の服の肩口を握っていて、しかもその力が強い。

まるで、子供のように袖を掴んで、離してくれそうではない。

弥王としては、体制的に誰かが入ってきた時に誤解されたくないので、早く離れたいのだが、下手に動けば雲雀を起こしてしまう。

悶々と考えている時にいつも、彼奴は来るんだから。

 

 

「弥王、そろそろ・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・悪ぃ、邪魔したな」

 

 

弥王が掴まれた服をどうしようか考え倦ねていたら、襖が開いて、声が掛けられた。

声を掛けたのは、璃王。

彼は、襖を開けて声を投げかけたかと思えば、襖を閉めようとした。

弥王は直ぐさま、璃王の言葉に反応する。

 

 

「あぁ、おい、待てよ!

何だよ、「邪魔したな」って」

 

 

弥王が璃王を呼び止めると、璃王は雲雀を指して言った。

 

 

「お楽しみ中だったみたいだし、邪魔したと思ったからだ」

 

 

「何故、何処を見てそう思った!?

その前に、弥王ヒバとか、絶対に読者が見てもつまらないCPになるだろ」

 

 

「キャラと世界観壊すな。

つーか、こっちから見てると、お前がそいつ襲ってるようにしか見えねぇんだよ」

 

 

弥王の言葉に、璃王が呆れて返す。

まぁ、璃王の方から見れば、弥王が雲雀に覆い被さる体勢になっているから、誤解するのも仕方がない。弥王としては不本意だが。

 

 

「恭弥に服掴まれてて、動けないんだよ。

まぁ、恭弥が目が覚めるのがいつか解らないし、オレは今日欠席な。

どうせ、あの忠犬だし」

 

 

苦笑混じりに弥王が言うと、璃王は「そうか」とだけ返して、踵を返した。

ふと、璃王は思い出したように足を止めると、振り返って一言、言った。

 

 

「そいつ、襲うなよ」

 

 

「誰が襲うかっ!!」

 

 

璃王の冷やかしを一蹴すると、璃王はそれを鼻で笑い、部屋を出て行った。

彼奴、あんなに性格曲がってたか?と弥王は思った。

全く、誰に似たんだか。弥王はあどけない雲雀の寝顔を見ながらそんな事を考える。

雲雀は時折唸って、少しすると静かな寝息を立てて、眠っている。

どんな夢を見ているのか、雲雀が心なしか笑っているように見えた。

 

 

「んん・・・・・・」

 

 

あどけない寝顔を微笑ましく見ていると、雲雀が顔を顰めて薄く目を開けた。

 

 

「おはよう」

 

 

弥王は寝起きの雲雀に微笑んで言った。

ちょっと待って。

何で、弥王の顔がこんなに近くにあるの。と言うか、ここは何処?

雲雀は弥王の顔が近くにあった事に驚いて、直ぐさま頭が覚醒した。

ここが並中の応接室ではない事は容易に解った。

弥王に声を掛けられて、雲雀は弥王を睨む。

ちょ、怖いって、恭弥君。あなた、折角のべっぴんが台無しです事よ。と睨まれている弥王本人はそんなどうでも良いような茶番を頭の中で繰り広げていた。

 

 

「・・・・・・ここは?

それと、何で弥王が僕に覆い被さってんの?」

 

 

「僕に同性愛の気はないんだけど」と雲雀は軽蔑したような、汚物でも見る様な目を弥王に向けて、続ける。

ちょ、そんな顔でオレを見るな、オレは無実だぁぁぁぁぁぁぁあああ!!と弥王は心の中で絶叫した。

とんだ濡れ衣だ。

 

 

「お前、自分の手が今、何処にあるのか解ってて言ってんのか、それ?」

 

 

「手・・・・・・?」

 

 

弥王が苦笑しながら言えば、雲雀は頭に疑問符を浮かべながら、自分の左手が何かを掴んでいる事を今になって理解して、何を掴んでいるのかを確認しようと、そこに視線を移す。

雲雀が掴んでいたのは、弥王のブラウスの肩口辺りの生地で、弥王がこの手の所為で動けなかったのだと、今、理解した。

そして、子供のように泣いてしまった後、寝てしまった時の動作だと思うと、恥ずかしさが占めて雲雀は手を離す。

これではまるで、子供みたいじゃないか。幾ら、弥王が年上にしか見えないからって、下級生に対する態度ではない。

今、ここが地面なら、穴を深く掘って入り込んで、埋めてもらいたい。そんな気持ちだった。

そんな雲雀とは対照的に特に気にした様子も無く、弥王は立ち上がった。

お茶でも淹れてこようと思ってベッドから離れた時、雲雀が弥王のズボンの裾を掴んで、部屋から出て行こうとする弥王を咄嗟に引き留めた。

弥王が顔だけを振り向かせると、雲雀は弥王を見上げていた。

 

 

「どうした?」

 

 

咄嗟の行動にどうしたのか聞いてくる弥王に雲雀は混乱して、何も言えなくなった。

特に何を言おうとしたのではない。ただ、勝手に手が弥王を引き留めていた。

何も言わない雲雀に弥王は首を傾げる。

微妙な間が空いて、雲雀はこの際、何でも良いから言葉を探した。

そして、漸く出てきた一言がこれだ。

 

 

「アップルパイ・・・・・・」

 

 

何だ、アップルパイって。雲雀は、思わず呟いた言葉に自分で突っ込んだ。

他にもっと言う事はあったんじゃないのか?

怪訝そうな顔で雲雀を見下ろす弥王に取り繕うように雲雀は言葉を続ける。

 

 

「久しぶりに食べたいから、作ってよ」

 

 

見上げてそんな事を言ってくる雲雀がおねだりする子犬のように見えて、弥王は雲雀が可愛いと感じた。

確かに、師弟の贔屓目なしに雲雀は可愛いのだが、と弥王は考える。

 

 

「解ったよ、大人しく待ってるんだぞ?」

 

 

弥王が微笑んで、雲雀の頭をくしゃっと撫でると、雲雀は頷いた。

 

 

「うん、待ってるよ。

弥王には聞かないといけない事と確かめないといけない事があるからね」

 

 

雲雀は目を細めて、妖しく笑って見せた。

そんな雲雀が何を企んでいるのかは解らなかったが、弥王は特に気にした様子も無く、部屋を出て行った。





次回、雲雀が弥王に急接近――――!?
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