Preghiera di duo~月に祈りを星に願いを~ 作:紅 奈々
何か最近、シリアスな話ばっか(・ω・`)
2016年4月12日
誤字と少しの設定変更。
「え・・・・・・?恭弥・・・・・・?」
目の前に雲雀の顔があって、その後ろに天井が見える。
次第に弥王は、自分が雲雀に押し倒されている事を把握した。
突然に雲雀に押し倒され、弥王はただ、呆然と雲雀の黒曜石の目を見つめ返すしかない。
何故、雲雀に押し倒されたのか考える隙もなく、雲雀は「弥王」と呼びかけると、その続きであろう言葉を発した。
「僕は、弥王が好きなんだ」
雲雀の言葉が弥王の耳を通り抜けていく。
頭の中で警鐘が鳴り響いて、緊急停止装置が作動する。何も考えるな、と言うかのように。
それでも、雲雀は言葉を紡いだ。
「ずっと・・・・・・4年前から・・・・・・」
絞り出すような声と、掴まれている手首から、雲雀が震えているのが解った。
こいつ、これは本気で言っていそうだな。
弥王は敢えて、空気を読まない言葉を選んで言った。
「恭弥、オレは男だぞ?」
弥王の言葉に雲雀は何かを見透かしたような目で、弥王を見下ろす。
雲雀の目は、璃王やメリア、メテーオラやクローム以外の黒曜メンバーしか知らない事を既に知っているかの様に動じず、じっと弥王を見ていた。
軈て、雲雀の口からでた言葉に弥王は驚かされる事になる。
「嘘吐いてどうするの?
知ってたよ・・・・・・弥王が女だって事くらい」
雲雀の言葉に弥王は僅かに動揺した。
それは正に、璃王とメリアとメテーオラ、それとクローム以外の黒曜メンバーとヴァリアーしか知らない事だった。
動揺して、間が空いた。弥王は取り繕うように言う。
「オレが・・・・・・女?
ははっ、何言ってんだよ、恭弥。
何処の世界に長身で声が低い女が居るんだよ?
確かに、面白い冗談だけどさ」
空笑いしながら、自分でも苦しい言い訳を並べる。
その時だった。
「弥王君、ちょっといい?」と声が聞こえて、襖が開けられた。
ちょっと待って貰いたい気持ちと、この現状を壊してくれ、と言う気持ちが混ざり合って、弥王が焦っていると、京子が愕然と立ち尽くしているのが見えた。
京子なら、この現状を思いっきりぶち壊してくれる。
今までの京子の言動から、それを期待していた弥王だったが、この時ばかりはその期待を裏切られた。
京子は二歩、三歩、と後ずさると、そのまま、本館の方へ脱兎の如く走って行ってしまったのだ。
待ってくれぇぇぇぇぇええ、オレの救世主ぅぅぅぅぅぅぅぅううう!!と弥王は叫びたくなった。
「き・・・・・・京子っ!!」
弥王は雲雀を押しのけて立ち上がると、京子を追い掛けるべく襖に向かおうとした。
だが、雲雀はその行く手を阻むように壁に手をついて、弥王の足を止める。
「行かせないよ」
雲雀は少し背伸びをして、詰め寄ってくる。
雲雀の“話したい事”というのは、このことだったのか、と弥王は今更ながらに思った。
恭弥はいつから気付いていたのだろうか、オレの事に?
そんな疑問が出てくるが、それは打ち消す。
雲雀を投げ飛ばして、この場を脱しても良いと考えたが、そう言えば雲雀は雲の守護者だったな、と弥王は守護者戦の前に怪我を負わせるのは良くない、と思い、その他の手段を考える。その時だった。
「弥王」
弥王と雲雀の間を切り裂くように、その間を黒いモノが過ぎった。
雲雀は咄嗟にそれを避ける。
黒いそれは、畳の上にパタン、と落ちた。畳に落ちたそれは、黒猫の面だった。
面が飛んできた方を見れば、ものっそい殺気を放出して、璃王が雲雀を睨んでいた。
「弥王から離れろ」
つかつかと弥王に歩み寄ると、璃王は弥王を背に庇うように弥王と雲雀の間に立って、クナイを雲雀に向ける。
突然の乱入者に雲雀は不快を表情に出し、「君、誰」と低く問う。
「貴様に名乗る義理などない」
冷たく低い声で璃王は雲雀を威嚇するように言った。
璃王と雲雀の間に、緊張が走る。
「弥王、後でこってり絞ってやるから、覚悟しとけよ。
そして、お前はさっさとここから出て行け。
さもなくば、その喉笛をカッ切るぞ」
弥王に軽く言った後、雲雀に目を向け、璃王は縄張りを荒らされた獣みたいに獰猛な目を光らせた。
その鋭い視線は、合わせただけで対象のモノを射殺してしまいそうな程の鋭さと冷たさを孕んでいる。
雲雀は、戦う事よりも弥王の真実が知りたかっただけなので、ここで戦う気にはならなかった。
「弥王。今日は邪魔が入ったけど、次は君を暴く」
捨て台詞を吐くと、雲雀は部屋を出て行った。
それを確認して、辺りに自分と弥王以外の気配がない事を確認すると、璃王は弥王に向き直った。
こちらを向いた璃王の顔は眉間に皺を寄せていて、怒りを露わにしている。
「弥王さー・・・・・・お前、自分の立場、解ってんのかよ?」
弥王がこれから来る説教に身構える前に、璃王は話を切り出した。
その声は低く、怒っている事は明らかだ。
「何だよ、別に問題無いだろ?
要するに、素性さえバレなければ、どうだっ・・・・・・っつっ!!」
璃王の説教を流そうとする弥王の言葉を遮るように、璃王は弥王の胸倉を掴んで弥王を壁に押し付けた。
さほど身長に差がないとは言え、元々仏頂面の璃王に睨まれると、かなり怖い。その背後には、般若が棲み憑いていた。
璃王はそのまま、ぶっきらぼうに続ける。
「お前、さっきみたいに・・・・・・いや、さっきの奴よりも
お前・・・・・・自分がどうなるか、想像も付かないのか?
しかも、紫の髪にオッドアイの目尻の刺青がある女とか、見る奴が見たら、直ぐに
そうなりゃ、ここがスラムなら、お前は
弥王は脅しとも取れる璃王の説教を半分以上、聞き流す。
璃王の話は時に精神的に悪い話とかも混ざっている為、話半分で聞き流す方が良いのだ。
今も、由緒ある家柄出身の台詞とは思えないような表現も何気なくあったし。
勿論、これは弥王の為に警告している事だが、弥王はそれを知る由もない。
「璃王は心配しすぎなんだよ。
あんまり心配しすぎると、胃を壊すぞ」
弥王の楽観的な言葉に璃王は頭を抱えたくなった。
何の為にこっちが少し手荒な事までして、弥王に注意を促したのか解らなくなる。
この弥王の性格ももう少し直って、自分が重要人物である事を自覚して貰いたいモノだ。
「お前が脳天気すぎるからだろうが。
お前は・・・・・・まぁ、良い。
とにかく、お前は危なっかしい。
オレがずっと付いている」
溜息の後で璃王は、少し口角を上げて何かを企んでいるような笑みを浮かべて言った。
その時の璃王の言葉の意味が解らず、弥王はただ、璃王ってやっぱ怖ぇ・・・・・・と思いながら、璃王を見ていた。
弥王がこの言葉の意味を知るのは、翌日の事だった。
璃王が召使発動すると、頼もしくなる←
次回、並中に留学生が・・・・・・!?