Preghiera di duo~月に祈りを星に願いを~ 作:紅 奈々
「さぁて、何を歌おうか。
混沌系の歌で傷付いて治って・・・・・・を繰り返させて、最後に精神崩壊、で良いね?
あぁ、拒否権はないから」
バイオリンの弓の先を顎に当て、不気味なくらいに綺麗で妖艶な表情で笑うと、ミオンはバイオリンを弾き始めた。
これから何が起こるのか、と沢田達は息を飲んで状況を見守る。
璃王とリボーンはやっと本気になったか、とモニターをじっと見つめていた。
流れているメロディーは可愛らしく陽気なメロディーで、聴いていて、和んでくる。
逆に璃王とリボーンはこれから来る惨状を想像して、和んではいなかった。
「♪淡い空に滲んでく 黒く濁った影が
絵の具を落としたように広がれば 悪魔の囁きが聞こえて来る
緑の森に咲き乱れる 真紅の赤い花たち
見つめればそれはまやかし」
メロディーに反してブラックな歌詞にリボーンは相変わらず悪趣味なセンスしてるな、と誰に言うでもなく、呟いた。
璃王もそれに賛同する。
突然歌い始めたミオンに沢田は困惑した。
それは沢田だけでなく、山本や了平も同じだ。
彼らがモニターの異変に気付くのは、その数分後だった。
「求めるように手を伸ばしても 空ばかり掴んで
出口のない 幻なのか現実なのかもう解らない」
歌っている今がチャンス、と言いたげにレオナはミオンに近付いて、ナイフを振り上げる。
避けないミオンに沢田は「危ないっ!」と聞こえもしないのに叫ぶ。その時だった。
一瞬、何が起こったのか解らない。沢田達は目を見開いた。
ミオンは無傷で、レオナは口から血を吐き出している。
その状況にただひたすら、困惑した。
何が起こったというのだろうか。
ミオンはレオナにナイフで刺されそうになっていた。それは間違いない。
更に、ナイフはミオンの体を捉えていた。ミオンはと言うと、避けもせずに歌っていただけだ。
それなのに、レオナは突如、口から血を吐き出し、倒れたのだ。
ミオンはまだ、歌い続けている。
「出口のない楽園を彷徨って 何処に辿り着くの?
きっといつか抜け出せると 淡い希望を胸に
何でも望めば手に入る現実 彷徨い歩いて
甘い夢を見続けてもう 戻れなくなる」
ミオンが歌うと、それに合わせてレオナは吐血した。
それに構わずにミオンは歌い続ける。
次は、さっきとは打って変わってゆったりとしたメロディーの曲を弾いた。
「そして夜は終わりを知らず 眠らずの歌に奏でられるモノ
貴方の
願いは遠く 泡沫の光に包まれ消える」
さっきの歌とは違う歌のようで、何の脈絡もない歌詞が続いた。
どうやら、何かのメドレーの様なモノであると、沢田は理解する。
その曲を聴いた時、レオナは吐血が治まり、肩で荒く息をしていた。
「♪消えない様に貴方が抱き締めて・・・・・・
それは悲しみと 混ざり合う旋律
消えた記憶に 蘇る
凍える夜に 冷たい月に
揺らぐ存在は 消せない証」
呼吸が整わない内から、また妙な事をされては溜まらない、とレオナはミオンに切り掛かった。
それをミオンはあっさりと躱す。
また、曲調を変えてミオンは歌い出した。
「♪優しい幻に縋り 真実も見えないままで
閉じ込められたCock Robin
現実と幻想が入り乱れてく
死への
縺れる指先から 氷の様に凍えて
感覚が無くなれば そこはFrozen hell」
ブラックな曲調に合った歌が聞こえたかと思うと、また、レオナは吐血しだした。
何が何だかさっぱり解らない現状に沢田は「何が起こっているんだ・・・・・・?」と呟く。
その呟きを拾ったのは、意外にも璃王だった。
「「
「カント・ディ・・・・・・何・・・・・・?」
淡々と説明する璃王の言葉が理解できず、沢田は聞き返した。
璃王はこんな奴に本当にミオンを任せて良いのか、と頭を抱える。
「生と死の歌声の事です、十代目!
何も言わない璃王の代わりに獄寺が興奮気味に解説した。
憧れの
まさか、ここで
モニターを見れば、先程から無傷で歌っているミオンと内蔵が破壊される痛みと治される拷問のような苦しみに倒れているレオナが映っていた。
余程苦しいのか、拷問を受けている容疑者のような顔でミオンを見上げて、「いっその事、殺して」と懇願する。
その顔は、血に塗れていた。
ミオンはそれを非情に見下ろして、「何も聞こえないよ」と言いたげに歌い続ける。
俺・・・・・・こんなヤバイ人を敵に・・・・・・?
そう思っただけで、沢田は背筋が凍り付いた。
今まで、何もされなかったのが不思議なくらいだ。いや、もしかしたら――――。
そこまで思って、沢田は頭を振る。
それは考えないようにしよう。取り敢えず、この人がヴァリアーじゃなくて良かった。
そしたら今頃は、全滅していただろう。
「だが、彼奴はヴァリアーに寝返りたがっているぞ」
「え・・・・・・?」
沢田の心を読んだリボーンが呟いた。
その呟きを拾うと、沢田はリボーンを見る。
意味が解らない。
何故、あんな非道の集団に寝返りたいと思っているのか、沢田には到底理解できなかった。
その答えを求めるように、沢田はリボーンを見る。が、リボーンはそれっきり、何も語ろうとしなかった。
リボーンの目には、モニターの向こう側しか映っていない。
ある程度歌い終わって、ミオンはバイオリンを弾くのをやめた。
ミオンの視線の先には、生きているとも死んでいるとも取れるレオナが居る。
ミオンはレオナに歩み寄ると、ドライアイスよりも冷ややかな目で血で汚れているレオナを見下ろす。
沢田達はその様子を固唾を呑んで見守った。
「ほら・・・・・・
なら、立ってみろよ・・・・・・」
しゃがみ込んでレオナの前髪を掴むと、酷く冷たく、低い声でミオンは言った。
血で汚れたレオナの顔は、見るも無惨なくらいに虚ろになっている。
「おい、どうしたんだよ?
オレの相棒はこの程度・・・・・・骨が幾つ折れようが、死ぬまで立ち上がるぞ?」
苦痛に歪んでいくレオナの顔を見て、つまらない、と言いたげにミオンはレオナの前髪から手を離す。
ドシャッ、と血溜まりにレオナの顔が落ちて、不快な音が響いた。
その様子を冷ややかに見下ろすミオンの目は、氷よりも冷たい殺意と、闇よりも深く、暗い怒りと感情が鬩ぎ合っていた。
「オレがヴァリアーを離れて、璃王に夜の守護者を任せた後、いきなり雑魚隊士から夜空の守護者として引き上げられたそうじゃねぇか」
いつものミオンらしからぬ殺意の籠もった冷たい言葉が聞こえた。
@使用した歌詞(自作)
†飽食の楽園
「飽食の館」をイメージして書いた歌詞。
まだ、未完成。
†infinito・sera
マーモン夢小説「endless・night―私は壊れかけたマリオネット―」の続編「infinito・sera―私は堕ちた天使―」で使用した歌詞。
あぁ、ここにもendless・night―私は壊れかけたマリオネット―をうpしようかな・・・・・・←