Preghiera di duo~月に祈りを星に願いを~   作:紅 奈々

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土曜日に鎌倉に行って、揚げマッシュを強奪されました、紅奈々です←
畜生、あンの腐れ鳶め・・・・・・この恨みは忘れてないからな・・・・・・←

それはさておき、2章第2話です←


2018/4/21
追記・手直し完了。


標的2

「自己紹介がまだだったな。

オレは神南弥王。

今日、転入してきたんだ」

 

屋上の固いコンクリートに座って、弥王は話を切り出した。

 

今まで散々、お天道様に曝されていたコンクリートの床は熱を吸収していて、夏程ではないが熱を帯びている。

 

天使も彼の隣に座り込み、弥王を見た。

 

「あ……わ、私、笹川京子です……」

 

「へぇ、「京子」かぁ。

良い名前だな」

 

「あ……ありが――」

 

笹川京子、と、弥王の頭はコンマ以下で天使の名前をインプットした。

 

京子の名前を褒めると、京子は顔を赤くさせてお礼を言おうとしたが、それは空腹を告げるお腹の音に掻き消された。

その所為か、更に京子は顔を赤くさせて、俯く。

 

――え……何、この可愛い生き物?

 

弥王は京子を見ながら、そう思った。

 

ふわふわしたブロンドの髪と黄金色の大きな目がとても印象的で、笑うととても可愛いんだろうな。

 

弥王は、「この子の笑顔を見てみたい」と思う。

 

「弁当は?

つか、鞄は教室か」

 

京子が鞄を持っていないのを見て、弥王は何となく想像が付いた。

 

――恐らく、弁当は無事ではないのだろう。

 

弥王がそんな事を考えているのと同時に、京子は首を弱々しく振った。

 

「さっき、捨てられて……」

 

「そっか」と相づちを打って、弥王は「やっぱりか」と思った。

 

平気で卵を投げてきたりするほどだ、捨ててもおかしくはない。

 

弥王は弁当箱を鞄から取り出すと、今朝作った弁当を京子に差し出す。

 

「それ、食べな」

 

「え……でも、神南君は?」

 

 

短く言われた言葉に京子は戸惑ったように弥王を見た。

 

制服を借りて、更に弁当まで貰うなんて悪い、と思った京子は、弁当を弥王に返そうとしたが、それは弥王によって拒絶された。

 

「オレは朝、買い食いしたから平気だ。

それに、笹川さんの為に作ったんだ、だから……食べてくれないか……?」

 

勿論、これは京子に食べさせる為の冗談である。

 

ツボを狙って、努めて困った様に言ってみると、京子はクスクスと笑い出した。

 

――あ、やっと笑った。

 

弥王もつられて微笑んだ。

 

 

「神南君、面白い事言うね。

じゃあ、貰って良いかな?」

 

少しだけ笑った後、弥王が頷いたのを見て、京子は弥王の弁当を食べ始めた。

 

その様子を見て、弥王は「あ、可愛い、小動物みたいだ」と微笑ましく見ていた。

どうやら弥王は一目惚れしたようだ。

 

弁当を食べ終わって、一息吐いた時、弥王は口を開いた。

今、クラスで起こっていることを訊こうと思っていたのだ。

 

「何があったのか、訊いても良いか?

どうもオレは、単純に彼奴らの言葉を信じて良いのか解らない。

笹川さんの話も聞かないといけないと思ってな」

 

弥王の言葉に京子は目を見開いた。

 

まさか、自分の話をちゃんと聞いて貰えるとは思わなかったのだ。

ちゃんと聞いて貰えるなら、京子はありのままのことを全て話そうと思った。

 

京子は徐に口を開くと、ポツリポツリ話し始める。

 

 

「去年の今頃、木吉さんが転入してきたの。

その頃はまだ何も無くて、みんなと仲良くしてたんだ。

ツナ君達も仲良くしてくれてた。

でも、数週間して木吉さんに屋上に呼ばれて……」

 

京子は一旦、口を閉じた。

 

余程、思い出したくもない事なのだろう。それを証明するかのように、京子の目に涙が薄く膜を張っていた。

 

落ち着くように息を吸って吐くと、京子はポツリポツリと話し始める。

 

―― ――

――事は、去年の秋頃に遡る。

 

木吉レーナが転入してきて、そろそろ1ヶ月が過ぎようとしていた時だった。

 

京子は木吉レーナに屋上に呼び出され、それに応じていた。

屋上に行けば、木吉レーナが京子を睨み付けて、今にも襲ってきそうな勢いでフェンスに凭れ掛かっていた。

 

そして、京子が近付いてきたのを確認すると、刺々しい口調で口火を切る。

 

いつも、教室で話している雰囲気とは違う木吉に戸惑う、京子。

 

「笹川さんってさぁ、男子にちやほやされすぎじゃない?

何かぁ、許せないって言うか。

あたしは日本の木吉グループの令嬢よ?

誰よりも偉いワケ。

なのに、何でアンタみたいな雌豚があたしよりも目立ってんの?

立場解ってる?」

 

今までの鬱憤晴らしだというように、木吉は京子を捲し立て、怒鳴る。

勿論、京子に目立っている意識はない。

 

確かに、京子は並中では男子からは人気の的で、友達も多い方だ。

しかし、自分がそんなマドンナの位置付けに居る事は本人は知らない。

言ってしまうなら、周りが勝手に言っている事だ。

 

京子は意味が解らないと言う様に首を振った。

 

「私は別に、そんなつもりじゃ……」

 

混乱する頭で紡がれた言葉は、狂気を滲ませて不気味に笑う木吉に強制的に中断させられた。

顔を歪めて笑っている木吉に嫌な予感がして、京子は一歩一歩、後ずさる。

 

「標的はあんた……あたしの為の踏み台になる事を誇りに思いなさい」

 

狂気の滲む笑顔をした後、スカートのポケットからカッターナイフを取り出して、刃を出す。

午後の太陽の光を反射して、カッターはその銀色の刃に京子の姿を映した。

京子は何をされるか解らない恐怖に戦慄し、その場から動けなくなる。

 

早く逃げろ、と頭が痛くなるほどに警鐘が頭の中で鳴り響くが、体は鋼の様に全く動いてくれない。

まるで、背骨の代わりにドライアイスの塊を突っ込まれたかの様な嫌な汗が額から頬に伝う。

そこから、京子は何が起きたのか、理解できなかった。

 

ただ、いきなり木吉がカッターを思いっきり振り下ろしたかと思うと、自分の肩にカッターを突き刺したのだ。

コンクリートに金属が投げられて落ちる音が聞こえて、カッターは京子の足下に落ちた。木吉が投げたのだ。

 

そのカッターには、木吉のモノであろう、紅い血が太陽に照らされて、てらてらと鈍く、京子を嘲笑うかのように光っている。

 

木吉は肩を押さえて、フェンスに背中を預け、蹲る。

その傷口を押さえている手の隙間からは、赤黒い鮮血が流れて、白い筈のシャツを深紅に染めていた。

 

呆然とする京子の耳に聞こえたのは、木吉の甲高い叫び声と生徒が屋上に辿り着いて、木吉に走り寄っていく音、口々に木吉を心配する声と、木吉が泣きながら心配する生徒達に現状を話している声。そして、生徒達からの罵倒。

 

いきなりの事に頭が混乱して、京子は「違う……」と首を振るしかできない。

 

京子の目に絶望と信じて貰えない悲しみが映り、その目から涙が伝い落ちた。

 

その日はどうやって残りの半日を過ごしたのか解らない。

ただ、現状が夢であるように、とそればかり願っていた。

 

そうだ、自分は悪い夢を見ているんだ。

きっと、明日になれば――。

 

しかし、現実は甘くはなく、それからは毎日の様に生徒達からの理不尽な報復を受ける事になった。





京子が弥王の制服を・・・・・・うはぁ、想像しただけでも、ニヤニヤがとまらな((殴
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