Preghiera di duo~月に祈りを星に願いを~   作:紅 奈々

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標的5

「まぁ、それは後でも良いよ。

話なら早くしてくれない?

まったく、教師が泣きながら応接室に来たから鬱陶しかったんだけど。

次からこんな事はやめてよ」

 

 

雲雀はトンファーを仕舞うと、腕を組んで壁に凭り掛かった。

どうやら、雲雀も話を聞きに来た様だった。

そう、実を言うと10分前に応接室にミオンのクラスの担任が泣きながら来たのだ。

追い払いおうとした雲雀に担任は「俺の生徒達が集団ボイコットし始めたんだー、うわぁぁぁぁぁん、俺の生徒達が非行に走った―――!!雲雀君、どうにかして―!!ヒバえもん―――――!!」と泣きついてきたので、仕方なく担任を咬み殺して視聴覚室に来た、と言うわけだった。

それを聞いたミオンは「おいおい、そんな担任で大丈夫か?」と呆れる。

 

 

「はいはい、まぁ、次はないと思うけど」

 

 

「まぁ、話がそれたが・・・・・・」とミオンは話を戻そうとする。

その言葉に生徒達は聞く体勢に入った。

 

 

「まぁ、取り敢えずオレは女だ。

信じられないっつーなら、着替えてきてやっても良いけど?

隣は丁度、保健室だしな?」

 

 

ミオンの言葉を信じられないと言いたげな面持ちで見ている生徒達に、ミオンは提案した。

別にミオンにとっては、正体を隠すのは争奪戦の間までで良かった為、今生徒達に種明かしをしても問題はない。

沢田も獄寺も山本も雲雀にも種は明かされているのだから。

生徒の半数がミオンの提案に頷いた。

確かに、男の格好で「私、女です」何て言われて、素直に「へぇ、そうですか」なんて信じられるわけがない。

それはミオンも承知していた。その為、ミオンは特に嫌な表情も浮かべずに二つ返事で「30秒待ってろ」と言って、視聴覚室から出て行った。

生徒達はその間にミオンの話の討論をする。

その内容は、「神南が女だったとして、女である木吉レーナに告白して、振られたからって襲おうとするモノなのか?」と言うモノだった。

この討論は色んな意見が交わされる。例えば、ミオンが同性愛者の場合はあり得る話だ、とか。

そもそも、その話は嘘なんじゃないのか、とか。ミオンが女だった場合、木吉が知らずに告白して、振られたなら話が解る、等。色んな考察が飛び交った。

30秒後、視聴覚室の扉に着替え終わったミオンが現れた。

右目だけを隠しているアメジストの髪はウェーブが掛かっており、一体こんな短時間でどうやってウェーブを掛けたのか、と言う事はこの際、誰も突っ込まない。

元々、ミオンの地毛はウェーブが掛かっている。それを幻術で誤魔化していたので、ミオンはただ、幻術を解いただけであった。

現れたミオンは本当に中学生かと思えるくらいの風貌の女子で、男子の半分が思わず見とれてしまったほどだ。

身長も高く、すらりと伸びた手足は白く華奢で、この姿で「女です」と言われれば、納得がいった。

 

 

「さて、これで信じて貰えたかな?

まぁ、何で性別詐欺してたかはこの際、どうでもいい話だ。

オレにとって、性別はさほど重要なモノでもないしな」

 

 

昔、親戚が言っていた言葉を口走って、妖艶に微笑むミオンの顔は正に「女性」で、これがあの神南弥王だとは誰も思えなかった。

だが、口調と仕草はミオンもモノなので、嫌でもミオンが女である事を認めなければならない。

「さて・・・・・・」と、ミオンは言葉を繋いだ。

 

 

「女のオレが木吉に告白して?そんで襲った?なんか、おかしいと思わないか?

ちなみにオレは、同性愛者じゃないからな」

 

 

ミオンの一言で、生徒達の目は木吉に向けられた。

その目は半信半疑、事実を述べろ、と言った疑惑の目だ。木吉は向けられた視線に狼狽える。

狼狽えながら、木吉は頭を下げた。

 

 

「だから、私はみんなを騙してた。

笹川さんの事も本当は、私が彼女を嵌めて・・・・・・ごめんなさい!!」

 

 

木吉は切実に語るが、クラスメイトはそれとこれとは別の問題だ、と今度は京子の話題に切り替わる。

京子の方の誤解はまだ、解けないでいた。

 

 

「レーナちゃん、神南の事は解ったけど・・・・・・笹川の方は違うんだろ?」

 

 

男子が木吉を見ながら、言った。

ミオンの件でみんなを騙してしまったのに、京子の件ではまだ、木吉を信じようとするクラスメイトに、木吉は罪悪感を覚えた。

こんなにみんなが信じてくれているのに、騙していた自分が恥ずかしく思える。

こんな事もミオンには予想済みで、ミオンはここぞとばかりに一つのディスクを何処からともなく、取り出した。

 

 

「木吉の言っている事は本当なんだけどな?

と言うわけで、証拠品でも視聴してみようか」

 

 

ディスクを投影機にセットして、照明を消す。

暫くすると、スクリーンに屋上が映し出された。

京子に暴言を吐きまくる木吉の姿と、それを聞いて固まっている京子の姿。

そして、自分で腕を切り付け、叫ぶ木吉の姿。

その後の生徒達の対応・・・・・・全てを見終わる頃には、生徒達は愕然としていた。

では、自分たちは今まで、何も悪くない京子を罵り、京子を陥れていた木吉を庇っていたのか・・・・・・?

その事実が重く、生徒達にのし掛かる。

何て事を、自分たちはしてしまったのだろうか。

そう思う反面、生徒達の中に新たな憎悪が生まれる。

そして、それは吐き出された。

 

 

「お前、良くも俺達を騙したな!!」

 

 

抱えきれない罪悪感は全て、木吉へと向いた。

生徒達は木吉を今度は非難する。

沢田、獄寺、山本は何も言わない。その真実は昨日知ったからだ。

ミオンとリオンの予想通り、木吉へのブーイングが起こり、ミオンは思わず黒板を殴りつけた。

バァン!という大きな音が響いて、生徒達は黙る。

ミオンは生徒達を睨み付けた。

 

 

「あのな、そう言うのは要らねぇんだよ。

木吉を非難する前に、お前らはまず、言う事があるんじゃねぇのか?

今更、味方面してんじゃねぇよ」

 

 

騒ぎ立てる生徒に苛立たしげにミオンは言った。

その目は冷たく、生徒達の背筋を凍てつかせる。

顔を蒼くした生徒達は、京子に顔を向けた。

その中で一人、京子に歩み寄ってきたのは、沢田だった。

 

 

「ごめん、京子ちゃん!

今まで、何も知らなくて・・・・・・」

 

 

沢田は京子に頭を下げた。

顔を上げずにその体勢で沢田は言葉を続ける。

 

 

「俺、本当に何も疑って無くて・・・・・・昨日、神南さんが女だって知るまではレーナちゃんが正しいのかなって・・・・・・どうかしてたよ。

何で、京子ちゃんの事信じてあげられなかったのだろう、ってずっと・・・・・・」

 

 

「沢田君」

 

 

弁明しようとする沢田の言葉を遮る、京子。

京子は「顔を上げて」と笑顔で言った。

京子の言葉に沢田は恐る恐る顔を上げる。

すると、沢田の眼前には、京子の拳が迫っていた。

 

 

「へぶっ!!」

 

 

「十代目!!」

 

 

沢田の声と獄寺の悲痛な声が重なった。

沢田は京子から拳を食らったのだ。しかも、顔面に。

状況を読めない沢田は目を白黒させて、京子を見た。

その京子の顔はやる事を終えてスッキリした様な清々しい笑顔を湛えていて、沢田は「前の京子ちゃんって、こんな性格だっけ・・・・・・?」と混乱していた。

京子は笑顔で言う。

 

 

「ご託は聞きたくないんだよ、このサイア人が。何善人ぶってんだ?反吐が出るんだよ。今までの弁明の言葉なんざ意味ねぇんだよ。

それよりも大切な事があんだろうが。ご託なんて口じゃ何とでも言えるんだよ。聞きたいのはさ、私の視界から消えるか、初めからやり直すかのどっちかなんだけど。

まぁ、私としては?そのまま視界から消えてくれた方が助かるよね。沢田が今後、同じ状態になった時また同じ事をしない保証はないし。

で、どうなの?私の視界から消えるか、それとも全部リセットして始めるか。

私はどっちでも良いよ?」

 

 

笑顔で毒を吐きつつ、京子は沢田に選択肢を提示する。

以前の京子は何処へ行ったのか、毒舌な京子に沢田は内心、叫ぶ。

これは、俺達が原因――――!?

そんな沢田の心など知らずに、京子は「早く選べや」と真っ黒い笑顔で沢田に選択を迫った。

沢田に選択をさせると言う事は、少なからず京子の中に沢田と和解しようという気があるわけだ。

言葉が気になるが、それはこの際、気にしないでおくとしよう。

 

 

「えっと・・・・・・じゃあ、やり直したいな・・・・・・できれば、だけど。

元の関係に、って訳にはいかないだろうけど、少しずつやり直したい」

 

 

沢田の言葉に京子は頷いた。

 

 

「じゃあ、さっきので手打ち。

よろしくね、ツナ君」

 

 

「う、うん・・・・・・よろしく」

 

 

京子はツナに手を差し出して微笑んだ。

また、ここから始める。

獄寺と山本も、ツナにつられる様に、京子に謝り、関係を始めた。

他の生徒に関しては、京子は「関わりたくないから」と関係を断ち切る様に断った。

一度壊れた関係は修復不可能。だが、零からやり直す事はできる。

四人はここから始まり、絶対的な絆を将来、固く結びつけるのであった。

 





@その後(台本小説なので、苦手な人は飛ばしても構いません)


勿論、ミオンにも生徒達から謝罪があった。


ミオン「は?何でお前らがオレに謝るんだ?」

生徒「いや、だって俺達、お前に悪いことしたし・・・・・・」

ミオン「お前らさ、自分が傷付けた敵国の兵士に頭下げて謝るのか?」

生徒「へ?いや、それは・・・・・・」

ミオン「敵に謝るなんて可笑しいだろ。
オレは元から、お前らを味方カウントしてねぇよ。
だから、謝罪もクソもねぇだろうが」

生徒「いや、でも・・・・・・」

ミオン「オレとしては、お前らがこれ以上干渉してこなけりゃそれで良いんだよ、解ったか」


と、言う事でミオンは誰とも和解していなかった・・・・・・。
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