Preghiera di duo~月に祈りを星に願いを~   作:紅 奈々

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最近、更新率駄々下がりじゃね?;;





ミオンSIDE→スクアーロSIDE。



第20楽章 PIOJIA―雨―
標的1


それから、ミオンは学校を早退していた。

理由はとても単純なモノで、唯単に授業を受けるのが面倒くさいからであった。

京子とリオンはまだ、学校に居た。

京子はそろそろ授業をまともに受けなくてはテストに支障が出かねない、という理由、リオンは京子のフォローの為にミオンによって残らされたのだ。

早退したのは良いが、暇過ぎる。

ハルでも誘って、遊びに――――とも思ったが、ハルは学校だ。

しかも、あれから着替えたままの姿なので、例えハルに会っても誰か解らないだろう。

これからどうしようか、とミオンは考え倦ねていたが、妙案が浮かんだらしく、ミオンはケータイを鞄から取り出した。

電話帳から目当ての名前を見つけると、電話を掛ける。

 

 

<何だぁ、ミオンか。

お前、学校に居るんじゃないのかぁ?>

 

 

呼び出し音の後に電話に出たのは、スクアーロだった。

争奪戦の前にスクアーロでもからかって遊んでやろう、何て名案。

そんな事を考えながら、ミオンはスクアーロの言葉を無視して、言った。

 

 

「今すぐに、並盛公園の噴水の前に来なきゃ死刑な」

 

 

<う゛ぉ゛ぉ゛い、そんないきな・・・・・・>

 

 

言いたい事だけ言って、スクアーロの返事を待たずにミオンはケータイの電源を切った。

どうやら、スクアーロの意思はミオンには反映されないらしい。それは昔からだ。

ミオンは取り敢えず、学生服は頂けないな、と目に入った服屋に入った。

適当な服を見繕って、ミオンは服を買って店のトイレで着替えると、店を出た。

ミオンが選んだ服は、淡い紫の肩出しのゆったりした服に濃紺の短パン。

短パンの左側にスカートの様に青い生地に白いラインの入った布が膝に届くか届かないかの長さに着いている。

膝の下までの長さの編み上げブーツは白に紫のリボンが付いている。

まぁ、即席で選んだ服にしては良い線は行っているだろう。

ミオンは待ち合わせ場所である並盛公園に向かった。

 

 

ミオンが並盛公園に着いた時には既にスクアーロが来ていた。

つまりは、呼び出した本人が遅れてきてしまったと言うわけだが・・・・・・。

ミオンは特に悪びれる様子も無く、普通にスクアーロに呼びかけた。

 

 

「ス~クっ!」

 

 

「う゛おっ!?」

 

 

丁度、スクアーロが背中を向けていた為、ミオンはそのままスクアーロの首に腕を回して、飛び付いた。

身長差で首を絞められ、スクアーロは苦しい声を上げる。

いや、ミオンの事だから普通に呼びかけるだけじゃないと思っていたが、まさか首を絞められるなんて。

スクアーロは右手でミオンの腕を叩いた。

スクアーロの顔色はだんだん、赤黒くなっていく。もう少しで息の根が止まりそうだ。

ミオンは腕を叩かれて居る事に気が付くと、スクアーロから離れた。

解放されたスクアーロはずっと呼吸を断たれていた為、暫く肩で息をして、落ち着いた頃に振り向いた。

その顔はまだほんのり赤く、どれだけの力で絞めていたのか、ミオンも自覚した。

 

 

「や、やぁ、スク!」

 

 

「「やぁ」じゃねぇ!絞め殺す気かぁっ!!」

 

 

失態を誤魔化す様にぎこちない動きでミオンはスクアーロに声を掛けた。

その言葉を聞いたスクアーロは顔を真っ赤にして怒鳴る。余程、苦しかったらしい。

ミオンは「あははー・・・・・・」と苦笑する。

 

 

「少し、力加減間違えちゃった、ごめんごめん」

 

 

苦笑を浮かべながら軽いノリで謝るモンだから、スクアーロは怒る気も失せて細く息を吐く。

昔も確か、同じ様な事があって殺され掛けた記憶があるんだが・・・・・・と思ったが、この際、もうどうでも良くなった。

何を言っても無駄なのは、昔からなのでもう何も言わない事にする。

 

 

「つーか、呼び出した本人が遅れるってどういう事だ」

 

 

スクアーロに痛い所を突かれ、ミオンはうっ、と言葉に詰まった。

 

 

「ま、まぁまぁ、細かい事は気にしない方が良いよ!禿げる元だからな!」

 

 

早く行こうぜ、とミオンは取り繕う様にスクアーロの腕を引く。

いきなり腕を引かれたスクアーロは躓きながら、ミオンの後を追う様に歩き出す。

 

 

 

 

スクアーロは、「並盛観光」という体でミオンにそれから、連れ回された。勿論、スクアーロの奢りで。

争奪戦前に何を悠長に・・・・・・とも思ったが、楽しそうに色んな施設で遊んだりするミオンにそんな気持ちも吹っ飛ぶ。

きっと、今まで“普通に遊ぶ”と言う事が出来なかった為に起こした行動なのだろう。

思えば、ミオンは小さい時から子供らしい遊びを何一つしていなかった。

周りが大人や年上しかいない環境だった所為もあるだろうが、些細な悪戯はあっても、“子供らしく”遊ぶと言う事は一度もなかったのだ。

特に襲撃以来のミオンにはそんな余裕がなかったのかも知れない。

それが、普通に学校に通って、一般人と馴れ合う内に年相応の遊びを覚えて、それを望んだのかも知れない。

不意にスクアーロはそんな事を考えた。

一般的に見れば、ミオンはまだまだ遊びたい盛りなのだろう。それが、特殊な家系、と言う事でそれもままならなかった。

争奪戦が終わればまた、元の殺し屋として戻るのか、ヴァリアーに復帰するのか・・・・・・それとも、沢田綱吉のボンゴレに付くのか。

殺し屋として戻るにせよ、ヴァリアーに復帰するにせよ、そうした場合はもう、こんな風に遊べなくなるだろう。

もしかしたら、ミオンは思いで作りでもしたいのかも知れない。

そう思えば、スクアーロはそれも仕方ない事だな、と思えた。

今、こうして見る分には、ごく普通の女子中学生、だ。まぁ、外見から判断するなら、女子高生か大学生くらいだろうか。

別に遊ぶ相手が誰でも良かったのだろうが、ここはミオンに会わせて楽しんでやるか、とスクアーロは思い始める。

商店街、バッティングセンター、アミューズメントパーク、ボウリング場・・・・・・と連れ回されて、並中の裏の公園に着いた時には、紫の空に赤い雲が浮いていた。

高台から街を見下ろすと、明かりがポツポツと見えて、闇に包まれる準備を始める。

 

 

「あ~~~、楽しかった!」

 

 

ミオンは柵に凭り掛かると、空を見上げながら満足げに言った。

その横顔は年相応で、ミオンが子供だと、認識させられてしまう。

静かに風が流れて、心地よい沈黙が降りる。

今日は散々だった、と思う反面で、楽しかった事も否めない。途中、スクアーロも一緒に楽しんでいた。

もしも、マフィアと関係のない世界で普通に出会って、普通に過ごしていたなら?

日常はこんな風に過ぎていくのだろうか。ふと、スクアーロはそんな事を考えてしまった。

 

 

「止まっていく心が 懐かしい思い出を奪って」

 

 

「ミオン?」

 

 

突然、沈黙を裂く様にミオンが歌い出して、スクアーロはミオンに視線を向けると、目を白黒させた。

隣でいきなり歌われたら、誰だって驚くだろう。

それに構わず、ミオンは歌い続けた。

 

 

「震える指先から 伝わる大空(そら)に色はないけど

遠くへ聞こえる」

 

 

スクアーロに向き直ると、ミオンはスクアーロの手を握る。

革の手袋越しだが、ミオンの暖かい温度を感じた気がした。

スクアーロを見上げるミオンの目に慈愛が込められているのを感じ取ると、スクアーロはミオンが呼び出した理由を何となく察する。

ミオンはスクアーロに余計な緊張を解させる為に呼び出したのだ。

 

 

「柔らかに声掛けて

霞んだ両手を 逃さない様に叫んだ

「このまま、連れ出して・・・・・・」さぁ・・・・・

 

蘇る真紅の薔薇 君の世界に咲き誇る

蒼く流れる星に 記憶と重なるリズム

舞い上がる銀色の羽根 君の躯に降り注ぐ

遥か 夢幻の月へ 永遠に響く旋律・・・・・・」

 

 

ミオンの歌声には特殊な声質が混ざっている。

それは、スクアーロを含むヴァリアーの全員が知っている事だ。

そして、その効果も勿論、知っている。

生と死、表裏一体の歌声は、正に風の使命を表していた。

スクアーロの中で沸々と暖かいモノが沸き上がってくる。

何だかんだ言って、ルッスーリアが負けたのには焦りとプレッシャーを感じていた。

幾ら、自分が強いと豪語していたって、いつでも不安は着いてくる。人間なのだから、それも当然の感情で。

それを自分を奮い立たせる事で恐怖や不安を抑え込んでいるに過ぎない。

ミオンには、それを見抜かれていたのだろうか?

意味の無い様な行動をしている様に見えて、ミオンの行動には必ず何かしらの目的がある。それは、スクアーロが1番良く知っていた。

スクアーロを見上げてくる緑の目と目が合う。

ミオンの目には不安げな感情が垣間見えた。

 

 

「スクアーロの事だから、大丈夫だとは思いたいけど・・・・・・どうか、死なないで」

 

 

ミオンは、ルッスーリアが撃たれた所を思い出したのか、スクアーロにそんな事を言った。

聞いた話だと、ベルフェゴールも瀕死に近い状態になったとか。

それを聞いたミオンは、この戦いで死者が出ない保証はない、と思った。

勝たなくても良いから死なないでくれ、ミオンの目がそう呟いていた。

それはちゃんと、スクアーロにも届いた。

 

 

「大丈夫だぁ、俺が死ぬわきゃあねぇ」

 

 

不安を隠しきれないミオンの目には、夕日の色の所為か透明な涙の膜が張って見えた。

そんなミオンを安心させるかの様にスクアーロは微笑む。

時々、ミオンは予知レベルに勘が良い事がある。

ミオンの勘はスクアーロの死でも感知したのだろうか?ならば、尚のこと負ける訳にはいかない。

スクアーロはそう固く決意した。

スクアーロを見上げると、ミオンは右耳からイヤリングを外す。

それは、昔にミオンが持て余していた水晶を加工して、ミオンにあげたモノだった。

ミオンはそのイヤリングをスクアーロの左耳朶に付ける。

紫の水晶が夕日を反射して、燦めいた。

 

 

「ティア・クォーツは、歴代のルーン家当主を守ってきた加護がある。

・・・・・・無くしたら、殺すからな」

 

 

ミオンなりの激励の言葉だろう。

「生きて還って、イヤリングを返せ」と言う様にスクアーロには聞き取れた。

素直じゃない奴、なんて思うが口には出さない。

それを言うと、同じように返されるのが目に見えているからだ。

だから、スクアーロは微笑んで頷いた。

 

 

「あぁ、必ず、勝ってやらぁ。

じゃないと、お前がヴァリアーに来れなくなるモンなぁ?」

 

 

「そう言う事」

 

 

苦笑に似た微笑でスクアーロが言うと、ミオンは「解っているじゃないか」と言いたげに頷いた。

それから暫く、スクアーロとミオンは沈んで赤く燃える夕日を見ていた。

押し寄せる夕闇がその時を刻一刻と刻んでいく。






メリア・クライ(17)


ミオンの専属メイド。
ミオンの両親の友人の娘で、幼い頃からリオンと共にミオンの成長を見守ってきた。
キレるとかなり怖い。
リオンの影響でお菓子作りが趣味になった。
知らず知らずのうちにリオンの影響を受けまくって、今ではミオンの嫁にしたい女子にランクインしている。
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