Preghiera di duo~月に祈りを星に願いを~ 作:紅 奈々
テュールはヴァリアーのボスではなく、ボス候補、と言う設定に変更しました。
話を書いていて、段々、辻褄が合わなくなってきたんですね;;
それに今気付いた、本物の馬鹿←
【さよなら さよなら何度だって】
「俺に唯一、トドメを刺せたチャンスだったのになぁ、みすみすそのチャンスを逃すとは、馬鹿め」
スクアーロは、山本を嘲笑うかの様に言った。
嘲笑う、と言うのは山本からしたら、そう聞こえていた、と言う事で、ミオンは別の意味で取っていた。
スクアーロは強がっている。ミオンの目にはそう見えた。
今のスクアーロは、予期せぬ技が出てきて、少し動揺しているに違いない。
そして、山本はまだ、違う型を隠している可能性がある。
それは、スクアーロにとっては多少、脅威になっているであろう。
【自分に無上に言い聞かせて】
「さっきの篠突く雨は見切ったからなぁ!!
もう、同じ技は通用しねぇぞぉ!!」
「だろうな、そう来なきゃ。
んじゃあ、行くか。
時雨蒼燕流九の型」
スクアーロの言葉に山本は満足げに頷くと、野球でもするかの様にバッティングポーズをして構えた。
山本の言葉にスクアーロの顔が引き攣る。
ミオンは嫌な予感がした。
さっきから漠然としている胸騒ぎが形を現してきているかの様に、鼓動が速く鳴っている。
冷や汗が背中を伝う感覚が気持ち悪い。
【手を振るのは優しさだよね?
今応えが欲しい】
「
山本に先手を打たれる前に、スクアーロは自身の最終奥義を披露した。
まるで、アイスを抉り取るかの様に、水が抉られる。
その様を見た沢田は驚愕した。
「時雨蒼燕流攻式、九の型――――」
山本はスクアーロの奥義を避けた。
避けられたスクアーロは、想定済みだと言いたげに、山本に迫る。
それは、獲物を逃がさないとする、獰猛な鮫の様であった。
山本の刀とスクアーロの剣が打ちあう、金属の甲高い音が校舎内に響いた。
力の差で山本は飛ばされる。
「とどめだぁ!!」
【貴方に出逢いSTAR輝いて あたしが生まれて・・・・・・】
スクアーロが山本に切り掛かる。
水飛沫の所為で、山本の姿は見えないが、沢田は戦慄した。
山本が―――――!!
そう思った時、スクアーロの背後に人影が見えた。
スクアーロも背後に気配を感じた。
後ろ―――!?
やるじゃねぇか、だが・・・・・・。
「俺の剣に隙はない!!」
【愛すればこそ iあればこそ
希望のない奇跡を待って どうなるの?】
スクアーロは前向きの体勢から少し体を捻る。
カチッ、という金属と金属を合わせる音が聞こえると、スクアーロの左の甲が腕に密着する。
手首からはメタル製の関節の様なモノが延びて、手の断面に着いていた。
そう、スクアーロの左手は義手なのだ。それを知らなかった沢田は驚いている。
スクアーロは振り返る反動で、山本の体を剣で貫く。
山本――――!!
誰もが山本の死を悟った。
スクアーロも、やった、と獰猛な笑みを浮かべる。
【涙に滲む 星の瞬きはgone......】
―――だが。
山本はそこに居なかった。
スクアーロに水が襲いかかってくるかの様に雪崩れる。
そう、スクアーロが斬ったのは、水に映った影だった。
「スクアーロ!!」
ミオンは思わず声を上げた。
直ぐ様感じた気配に前を向けば、山本の刀の峰が眼前に迫っていた。
スクアーロの頭には、“敗北”の二文字がちらつく。
避ける事もできず、スクアーロは山本の峰打ちを項に食らった。
「―――うつし雨」
【忘れないよ貴方の温もりも その優しさも全て包んでくれた両手も
It’s long long good-bye......】
水が落ちる音だけの空間に、山本の静かな声が虚しく消える。
項に峰を食らったスクアーロは、初めての敗北をその身にひしひしと感じた。
山本は、スクアーロの首に掛かっているリングの鎖を刀で器用に切ると、そのリングを自分のリングと合わせる。
その様子を見ていた沢田は、まずは安堵した。
そして、了平と共に歓喜する。
山本が勝った。ただ、単純にその事実が嬉しかった。
生きていた事もそうだが、勝ってくれて安心したのだ。
これで、命は繋がった。
反対に、ミオンはあまりいい顔をしていなかった。
それもそうだろう。スクアーロが負けたと言う事は、XANXUSはスクアーロを消すだろう。
そんな事は、あっては貰いたくはないが、XANXUSならやりかねない。
弱者は消す、それがヴァリアーの暗黙のルールだから。
【さよなら さよなら愛しい人
貴方が居たから 歩いて来れた】
「スクアーロ・・・・・・」
XANXUSの呟きが聞こえた。ミオンに緊張が走る。
XANXUSの脳裏には、かつてスクアーロが自分に言った言葉が蘇ってきていた。
元ヴァリアーのボス候補で剣帝であった、テュールとの決闘の際に使い物にならなくなった腕を切り落としてまで自分に使えようとしていたスクアーロ。
彼は今まで、確かに無敗だった。スクアーロの働きは知っている。
その血の滲む様な努力と重ねてきた結果、そして、覚悟は誰よりも理解している。
それが、経験もない様な高が中学生に負けるとは。
XANXUSの口からは、笑い声が零れていた。
「ざまぁねぇ、負けやがった!!ドカスが!!」
笑い事ではないのだが、笑っているXANXUS。
スクアーロが負けた事をただ、嘲笑っているわけではない。
それは、ミオンには理解できている。頭では。
頭では理解しているのに、感情が理解できていない。
XANXUSの笑い声が癇に障って仕方がない。
ミオンは、今すぐにXANXUSを殴りたくなる衝動に駆られた。
それに追い打ちを掛ける様にチェルベッロが告げる。
「規定水域に達したので最初にお話ししたとおり、獰猛な海洋生物が放たれました。」
【“
今、応えが欲しい・・・・・・】
温度の感じられない言葉に、山本はチェルベッロの最初の説明を思い出した。
この時点で勝敗は決まっている。負けたスクアーロの命の保証はされない。
山本は、スクアーロを担ぎ上げた。
「山本!?」
沢田が驚いた様に声を上げる。
驚いたのは沢田だけではなく、ヴァリアーも同じであった。
ミオンも目を見開いて、現状を見ている。
何故、敵である筈のスクアーロを山本が助けようとしているのか。それがミオンには解らなかった。
獄寺が、「まさか、助けるつもりかよ!?」と声を荒げる。
「普通、助けるだろ?
それに、神南の婚約者とか言ってたし、悪い奴じゃなさそうじゃねぇか。
そんな奴を放っておけねーだろ」
「そんな事を言ってんじゃねぇよ!!」
「その体でスクアーロを担ぐのは無理ですよ!!」
山本は笑って言った。
その言葉に獄寺と茶髪の少年―――バジルが声を上げた。
山本は、スクアーロがミオンの婚約者だから助ける、と言っているのだ。
ミオンは複雑な気持ちになった。
スクアーロに死なれるのは嫌だ。だが、山本にスクアーロが助けられる理由も、山本がスクアーロを助ける理由もない筈だ。
それなのに、何故―――――?
ミオンがそんな事を考えていたら、血の臭いに鮫が反応して、山本とスクアーロに近付いてきていた。
「山本、スクアーロ!!」
ミオンは思わず、二人の名前を叫ぶ。
その声にスクアーロの腕がピクリ、と動いた。
「・・・・・・おろせ」
【燃える様な流星捕まえて 火を灯して】
山本の耳元にスクアーロの掠れた声が届いた。
山本は、スクアーロの言葉に戸惑う。
スクアーロを下ろせば、死ぬのは目に見えている。
「でも・・・・・・よ・・・・・・」と山本が何かを言おうとした事をスクアーロは、うぜぇぞぉ!!と怒鳴った。
スクアーロとしては、山本が助かろうが死のうがどうでも良い。だが、負かされた相手に助けられたとあっては、それは、「剣帝」を名乗るスクアーロにとってはその誇りを穢される事を意味している。
敵に情けを掛けられるくらいなら、死んだ方がマシだ。
スクアーロは入らない力を振り絞って、山本を蹴り飛ばした。
蹴飛ばされた山本は、向かいのコンクリートの床に体を叩き付けられる。
【愛していたい 愛されてたい】
「ガキ・・・・・・剣の筋は悪くねぇ。
後はその甘さと臆病を捨てる事だな・・・・・・」
スクアーロは目を閉じた。
閉じた瞼の裏に、今までの記憶が蘇ってくる。
あぁ、これが走馬燈というヤツか・・・・・・と、スクアーロは記憶の中を堕ちていった。
沢田綱吉(14)
木吉レーナの策謀にまんまと騙されて京子を虐めていた、ボンゴレ10代目。
ミオンからは、「10代目失格」のレッテルを貼られている。
ミオンのお陰で、京子と関係をやり直す事が出来る様になったが、ミオンと仲良くなるのは無理そうな気がする・・・・・・。
今日も今日とて、修行三昧・・・・・・。
仲間を守る為だ、頑張れ10代目(仮)!!