Preghiera di duo~月に祈りを星に願いを~ 作:紅 奈々
引越まで日数がもう無いよ~、助けてドラ●もん~←
そんな修羅場の標的2です。
ミオン、リオン、京子、レオナが体育館に来た時には既に沢田達が来ていた。
沢田達は霧の守護者が誰なのか解っていないらしく、不安げな表情を浮かべている。
「何だ、リボーン。
霧の守護者の事、まだ沢田達に話してなかったのか?」
リボーンに近付きながら、ミオンは訊ねた。
ボルサリーノの下で笑みを湛えて、「カオス」とリボーンは挨拶すると、ミオンに頷く。
「あぁ、まぁな。
霧の守護者の話をすると、内乱が起きかねないだろ?」
「そうか、そうだな」
リボーンの言葉にミオンは頷いてみせた。
丁度、“彼ら”が沢田達と戦ったのは、一月程前だった気がする。
それを考えれば、今まで敵だった人間が味方として戦うのだから慎重にならないと、内乱が起きかねないだろう。
リボーンはそれを見越していた。
「で、奴はもう来てるのか?」
リボーンが問い掛けると、いきなり沢田が頭を抱えて震えだした。
どうやら、沢田は霧の守護者が誰なのか直感したのだろう。
それを横目に見ながら、ミオンは「あぁ」と頷いた。
「もしかして、霧の守護者って・・・・・・六道骸!?」
沢田の言葉にミオン、リオン、京子、レオナ以外の人間が目を見開く。
それもそうだろう。六道骸、と言えば、一月前に倒した敵の名前なのだから。
沢田がその名を口にした時、「入ってこいよ」とミオンが合図する。
すると、犬と千種が体育館に入ってきた。
「あ・・・・・・あれ、こいつらって・・・・・・」
「こいつらが連れてくるって、やっぱり・・・・・・!!」
山本と獄寺がそれぞれに反応する。
すると、2人の後ろから、「クフフ」と高い笑い声が聞こえてきた。
「Lo negare(否)」
笑い声の後に、少女の静かな声が体育館に響いた。
その声に体育館は水を打ったかの様に静まり返る。
沢田達が振り返ると、まず目に入ったのは、そのシルエットだった。
手に持っている得物は見覚えのあるモノだが、六道骸にしては小さく、着ている服は女物の制服だ。
少女は淀みのないイタリア語で自己紹介をする。
「Mi chiamo Chrome.
――――クローム髑髏」
妖艶に微笑むクロームに沢田達は呆気に取られているように、目を見開いている。
ミオンは、沢田達の間抜け面に笑いを堪えていた。
裏話になるが、この日の為に、「骸様とイタリア語で話をしたい」と言ったクロームに言語と仕草を教え込んだのだ。
ミオンの予想以上の反応を見せてくれた沢田達に内心爆笑しながら、ミオンは様子を窺っていた。
「この子・・・・・・六道骸じゃ・・・・・・ない・・・・・・?」
沢田が呟いた時、「騙されないで下さい、10代目!!」と鋭い声が割って入ってきた。
言うまでもなく、割って入ったのは獄寺だ。
彼は、鋭い緑の目でクロームを睨むと、クロームに掴み掛からんばかりの勢いで言った。
「コイツは六道骸です!
その三叉槍に怪しい右目!骸が憑依してやがるんです!」
「・・・・・・信じて貰えないのね」
獄寺の言葉にクロームは小首をコテン、と傾げて、声を落として呟いた。
呟きを拾った獄寺は「ったりめーだ!」と吐き捨てる。
ここでミオンは、助け船を出してやるか、と獄寺とクロームの間に割って入ろうとした。だが、そこに一つの呟きが落ちた。
「この子・・・・・・六道骸じゃないよ・・・・・・?」
「なっ、そっ、そうなんすか・・・・・・?」
沢田の呟きに獄寺は勢いを落として、沢田を振り返る。
ミオンは、沢田がクロームを擁護した事に驚く。
「何となくだけど」と言った沢田に、やっと、超直感がまともに働き出したのか、とミオンは納得した。
「庇ってくれるんだ?ありがと」
クロームは呟く様に言って、沢田の頬に口付けた。
その一部始終を見ていた沢田側の面々は勿論だが、犬は顔を青ざめさせ、驚いた。一番驚いたのは沢田の様で、「えぇ―――――っ!?」と声を上げている。
ミオンと京子に至っては、沢田にドス黒い笑みを向けていた。
「沢田、調子に乗るなよ?
クロームちゃんに手を出したらお前・・・・・・殺すからな?」
京子の笑みが怖い。沢田は、己の命の最期を悟った。
この言葉を聞いて、本当に京子なのかを疑いたくなるが、この声はまさしく京子のモノだ。
一体、ミオンは京子に何を吹き込んだのだろうか。気になるが、そんな事を聞ける筈もない。
「ミオンには、どんな純粋な天使でも悪魔にしてしまうカリスマ性があるからな。
しかも、純粋な程に素で黒くなっちまうから、質が悪い」
沢田の心を読んだらしい、リボーンがそんな事を言い出した。
リボーンの言葉を聞いて沢田は「そんな馬鹿な!?」と突っ込むが、京子を見ると、信じざるを得ない。
「ははは~、そんなまさか。
どっかの宗教団体のマインドコントロールじゃあるまいし」
「コイツ、無自覚――――――!?」
ミオンの言葉に沢田は声を上げた。
無自覚で相手に影響を及ぼすなんて、実は自分よりも10代目の素質があるのでは・・・・・・と、沢田は思った。
その心をまた、リボーンが読み取る。
「あぁ、一時期、ボンゴレのボス候補の話にミオンが持ち上がった事もあったな、そう言えば。
まぁ、ボスの血縁じゃねぇから、冗談程度の話だったんだがな」
「何それ、もう、オレじゃなくて神南で良いんじゃないの、ボス!?」
「黙れ」
リボーンの言葉に沢田が突っ込むも、そのツッコミはミオンによって叩かれた。
「オレが就きたいのは、最強のボンゴレボスの守護者だ。ボスじゃない。
甘ったれた事言うなら、さっさとXANXUSにボスの座を譲れよ」
「てめぇ、言わせておけば!!」
「獄寺君!!」
ミオンの言葉に沢田よりも先に獄寺が掴み掛かろうとした。
そこを沢田が宥める。確かにミオンの言う事には反論できない。
でも、XANXUSにボスの座を渡してしまえば、仲間は全員殺される事になるだろう。それだけは避けなければならない。
「確かに神南の言うとおりだよ・・・・・・でも、この戦いで負ける訳にはいかないから。
負ければ皆が消されるなら、俺は引かないよ」
沢田は真摯にミオンを見つめて、言った。
その目が九代目と重なって見えて、ミオンは顔を歪めて、目を背けた。
「履き違えた正義感の様なモノなら、さっさと死んでくれ」
ミオンは吐き捨てると、沢田達から離れた。
その後をリオン、レオナ、京子が付いていく。
「私は、ミオン様に付いていくから」
クロームは短く言うと、「さっきはありがと」ともう一度、沢田に礼をした。
沢田達は居たたまれない表情で、フィールドへと入っていくクロームを見つめていた。
クローム髑髏(13)
霧の守護者。
弥王に恋心を抱いていたが、あっけなく破れ去った。
恋心が破れた後は、ただただ純粋な憧れをミオンに抱いている模様。
「私のミオン様」。
クロームが黒く染まっていくのは、最早時間の問題であろうか。