Preghiera di duo~月に祈りを星に願いを~ 作:紅 奈々
「同情するんじゃねぇぞ。
ミオンはともかく、骸は絶対に許しちゃいけねぇ奴だからな」
沢田が幻覚汚染の副作用により骸やミオンの記憶とリンクしていると、不意にリボーンが口を開いた。
その言葉で、自分が骸やミオンに対して同情する気持ちを持っていた事に気が付く。
沢田は力なく「解ってる」と呟くものの、やはり、同情してしまう所はある。
そこが甘いと言われるのは解っている事だが、どうしても捨てきれないのだ。
沢田とリボーンがそんな話をしている間にも、幻術と幻術の応酬は続いていた。
骸の蓮の蔦がマーモンの首に絡め付いて、マーモンの首が絞められる。
幻覚だと解っていても、それを振り解けない。
マーモンは骸の力を認めざるを得ないと思った。
強い――――!!
「これほどに強い力・・・・・・一体、何処で・・・・・・!!」
「前世の地獄界にて」
「巫山戯るな・・・・・・っ!!」
呻きながら問うマーモンに骸は余裕な笑みすら浮かべて、答えた。
その回答にマーモンは幻覚を打ち消す様に蔦を振り解くと、幻術を作り上げた。
マントを広げて、それが骸に覆い被さる。
骸を呑み込むと、その上から、脱出マジックの様に剣を何本も同時に刺した。
ブシャッ、と嫌な音が響いて、戦慄が走る。
だが、マーモンはその手に手応えを感じなかった。
「馬鹿な!」と叫ぶマーモンを余所に、マントは破裂して、マントの中から蓮の花と蔦を纏った骸が現れる。
「堕ちろ―――――そして巡れ」
呟いて骸が三叉槍をマーモンに向けると、蓮の蔦がマーモンの首に絡まり、その細い首を締め上げていく。
苦痛に呻きながら、マーモンは蔦を振り解こうとした。
そんなマーモンの抵抗を骸は嘲笑う。
「無駄ですよ、アルコバレーノ。
君の知覚のコントロール権は既に僕が掌握しました。
君はここで、終わりです」
絡め付いている蓮の花がマーモンの口に入っていき、マーモンは水を入れた風船みたいに膨らんでいく。
「んむむ」と苦しげな声を上げるも、骸は全く動じず、マーモンが限界まで膨らむと、三叉槍を床に突いた。
トン、と乾いた音が響いて、次の瞬間にマーモンは破裂する。
その光景を見た沢田は目を見開いた。
骸の手には、二つのハーフボンゴレリングが乗っており、骸はそれを一つに合わせる。
「この勝負の勝者はクローム髑髏とし、リングはクローム髑髏のモノとします」
チェルベッロの言葉が終わるのを待たず、骸は観覧スペースに歩み寄った。
そんな骸に沢田は言う。
「戦ってくれたのは有り難いけど、あそこまでする必要は無かったんじゃ・・・・・・」
「何処まで敵に甘いんですか。まったく、呆れて物も言えませんね。
ですが、安心しなさい。
彼は予め逃走用に力を残していたようです。
小賢しいアルコバレーノだ」
吐き捨てる様に言うと、骸はミオンに歩み寄った。
ミオンは嬉しげな顔で「骸」と呟く。
骸も頬を綻ばせた。
「お久しぶりですね、ミオン。
あれから、随分経ちましたが・・・・・・元気そうで何よりだ」
ミオンの頭を撫でながら、骸は言った。
本当に久しぶりの再会である。
「骸も思ったより元気そうだな」とミオンが言えば、低いまま元に戻っていないミオンの声を聞いて、骸は悲しげに顔を歪めた。
「そうですね。
積もる話も沢山あって、本当はまだ話していたいのですが、もう限界です。
クロームの事、お願いしますね・・・・・・」
骸は、ミオンに凭り掛かる様に力なく項垂れた。
骸が力をなくしたと同時にその姿は再びクロームへと変わり、ミオンはその小さな体を抱き上げる。
「クロームちゃん!」
「クロームさん!」
京子とレオナがクロームの顔を心配そうに覗き込んでくる、
ミオンは「大丈夫、眠っているだけだ」と、クロームの体が元に戻って、寝息を立てている事を確認した。
それに京子とレオナは安堵する。
「さぁ、帰ろうか」
「あの・・・・・・」
ミオンが京子とレオナに声を掛けると、沢田がミオンに声を掛けてきた。
その間にリオンが割って入ってきて、ミオンに先に帰る様に伝えた。
ミオンと京子、レオナは体育館を先に出ていく。
「あの話だったら、ミオンにはしない方が良い。
同情もせずに、何も知らない振りを通してろ」
リオンは沢田に幻覚汚染の時に見た光景を忘れろ、と忠告した。
沢田は何故、自分に起きた現象なのにリオンが知っているのかと、疑問に思う。
「テレパシーでお前の見えていた物が俺にも見えたからな。
勿論、お前の深層心理もだ」
それだけを言うと、リオンは体育館から出て行った。
沢田は、リオンの出ていった後を呆然と見送った。
翌日。
ミオンが目が覚めると、ベッドサイドのチェストに手紙が置かれていた。
切手が貼られていないので、屋敷の誰かが送ってきた物だろう、とミオンは手紙を裏返す。
封筒の隅の方に差出人の名前があった。
「ちぇる・・・・・・べろ・・・・・・?」
眠気眼の頭では、その文字を見ても何とも思わなかったミオンだが、暫くその文字を見つめて復唱していると、今度は驚愕した。
チェルベッロから!?何で!?
そう、ミオンに宛てられた手紙は、チェルベッロからだった。
疑問に思いつつ、ミオンは手紙を開封する。
チェルベッロが何故、手紙を宛てて来たのか、全く見当が付かない。
そして、その手紙の内容にミオンは驚愕するのだった。
「彼奴ら、実はキャラ作ってる?」
手紙を読んで一言、ミオンは言った。手紙にはこう書いてあった。
「ミオン・ルーン様
めんごめんごー、明日のつーか、今日の守護者戦の対戦カードの発表忘れてたわー。
今日は雲の守護者なんで、雲の守護者引っ張ってきて下さいねー。
あと、沢田達にも伝えといて下さい。
どうせミオン様、中学校行ってるんでしょ?日本じゃ義務教育ですもんね!
じゃあ、必ず沢田達に伝えといて下さいー。
じゃないと、対戦カードの発表を忘れてたなんて上司に知られたら、私クビになっちゃう(・ω・`)
というわけで、ほんっっっっっっとうによろしくお願いします、私のクビの為にも!!
ケイ&カイより」
その文を読んだ後、ミオンの腹が立ったのは言うまでもない。と言うか、チェルベッロよ。お前達には一応、名前があったのか。
ミオンはそんな事を思った。
チェルベッロには名前の概念がないのだと思っていたのだ。
取り敢えずミオンは、着替えて部屋を出ると、朝食を食べる為に食堂へ降りた。
食堂に行くと、全員が揃っていたので、チェルベッロから手紙が来て、今日の対戦カードの話をした後で、チェルベッロネタで談笑しながら学校へ向かった。
カイ&ケイ(??)
チェルベッロでハーフパンツを着用している方がカイ。
原作でXANXUSに大怪我をさせられた方がケイ。
作者が混乱するので、急遽名前を付けたは良いが、忘れ去られていた。
読者も「おい、チェルベッロ」「何だよチェルベッロ」なんて会話なんか聞きたくもないだろうし、と言う事で、急遽付けたはずだったんだが、この小説のチェルベッロはあまりギャグ要素がなかったので、出番すらなかった←
恐らく、これからも無いだろう。