Preghiera di duo~月に祈りを星に願いを~ 作:紅 奈々
今回、XANXUSの目的がチラッと垣間見える――――!?
「僕には“手加減”なんて概念、初めから無いから。
初めから本気で行かせてもらうよ」
ラクスは何処からともなく長刀の様な武器を取り出した。
すると、ラクスの水色の目がハイライトを無くした紫色の目に変わる。
その双方の眼球には、アラビア数字の「5」に鎌を掛けた土星の記号が浮かんでいる。
唯ならぬオーラを纏わせたラクスは、雲雀にその切っ先を向ける。
雲雀は、こんな時になって自分の体が思う様に動かない事に気が付いた。
雲雀の頬から冷や汗が一つ、流れる。
「動けない?
まぁ、当然だね。君の時間は止めさせてもらったよ」
ラクスが鎌を振り回せば、シャン、と鈴の音が鳴った。
それを切っ掛けに、雲雀の体は石の様に動かなくなった。
体を動かそうとしても、金縛りにあった様に動けない。
声帯を震わせて言葉を出そうとするが、それもままならなかった。
雲雀は、目の前の光の宿らない双眼を睨み返すのが精一杯だった。
「悪いけど、僕は戦闘狂じゃなくてね。長々と戦っていたくはないんだ。
リングは貰っていくよ」
雲雀の首からリングを奪い、ラクスは自らのリングと合わせた。
チェルベッロはさして驚きもせず、淡々と告げる。
「この勝負は塚下ラクスの勝利とし、雲のリングは塚下ラクスの物となりました」
無機質なチェルベッロの声が、山本達には重々しく響いた。
まさか、雲雀が負けるなんて。
4対3で負けが確定した山本達は、絶望に打ち拉がれた。
ツナに何て言えば良いんだ――――!!
山本は、その唇を噛み締めた。
獄寺も了平もリボーンもバジルも―――その場にいたミオンやリオン以外の全員が同じ様に思った。
レオナや京子に関しては、特に何も思っていない様子だ。
呆然、その言葉が一番合っているだろう。
ミオンはその中で1人、内心ほくそ笑んでいた。
――――これで、オレはヴァリアーに・・・・・・!!
だが、そんなそれぞれが思っている思いを打ち砕く様な言葉が発せられた。
「チェルベッロ。
ミオン・ルーンの時の争奪戦、今は無効になっているんだっけ?
それは取り消しで、夜空と風のリングはミオン・ルーンの物。
よって、僕はこの勝負で沢田綱吉とヴァリアーが引き分け、と言う結果が妥当だと提案したい」
絶望の空気を変える様な声は、ラクスから発せられた。
一同、ラクスの言葉に目を見開く。
それもそうだ。今はもう、終わってしまった争奪戦の結果を取り消して、引き分けにしろ、と言っているのだから。
「どういう事だ!?」とミオンが声を荒げた。
「そのままの意味だよ。
レオナ・ルーンは正当な守護者候補だった。
そして、氏族ではあったが、当主になる資格はあったんだ。ある人物の推薦でね」
ラクスはミオンの問いに答える。
ラクスの回答にミオンは目を瞠った。
ラクスの言った、「ある人物」に心当たりがあったのだ。
ラクスはその心を読んだかの様に頷く。
「それが、ティモッテオだ。
一部のルーン過激派も、レオナ・ルーンを支持していた。
レオナ・ルーンよりもミオン・ルーンの支持派が多い事は、誰もが認めていた。
そこで、ティモッテオはレオナ・ルーンを守護者として引き入れる為、あらゆる手段を計った。」
ラクスがそこまで言った時、リボーンが「まさか!!」と声を上げた。
ラクスはその声に頷く。
「そう。
9年前のルーン家襲撃事件は、偶然に引き起こされた物じゃない。
確実にミオン・ルーンを亡き者にする為のティモッテオの策略だった」
ラクスの言葉に、リボーンとバジル、ミオン、レオナは目を見開いた。
ラクスの言葉はまだ、続く。
「結果、ミオン・ルーンの抹殺はエストラーネオの裏切りにより失敗に終わった。
ティモッテオから寄越された報酬よりも、ミオン・ルーンの特殊な声質を取ったんだ。
ミオン・ルーンが
だから、ティモッテオはミオン・ルーンの救出・保護を渋ったんだ」
そこまで聞いたミオンは、俯いた。
まさか、全てが
ミオンは、手が出る程に拳を握った。
「僕が知っているのはここまでだよ。
真実を知りたければ、XANXUSの口を割らせる事だね。
その為のチャンスを君たちにあげよう、と僕は言っている。
これを、君たちのボスに伝える事だね」
それだけを言うと、ラクスはフィールドから出て行ってしまった。
ラクスの話に、山本達は呆然とその場に立ち尽くしていた。
「てめぇ、余計な事を・・・・・・」
涼しげな顔で戻ってきたラクスをXANXUSは睨んだ。
獣の様な紅い眼球がラクスの瞳に映る。
それでも尚、ラクスは動じる事もなく、言った。
「良いじゃない、別に。
君の事だから、ああ言わないと切っ掛けが掴めなかったでしょ。」
「ふん、真実はちゃんと言うつもりだった」
ラクスの見透かした様な言葉に目を背けつつ、XANXUSは言った。
XANXUSの言葉にラクスはクスリ、と笑う。
「本当かな。まぁ、良いよ。
この話に僕は関係無いし、興味もない。
君の思う様に事が運べばいいけどね?」
それだけを言うと、ラクスは消えて行ってしまった。
ラクスの消えて行った後を見ながら、XANXUSは呟く。
「あの老い耄れの悪事を露見する事ができるなら、ボスの座なんざ、どうでも良い事なんだよ」
呟いたXANXUSの呟きは誰にも拾われる事はなく、夜空に消えて行った。
XANXUS(24)
ボンゴレファミリー独立暗殺部隊ヴァリアーのボス。
プライドが高く、傲慢だが、ボスとしての素質とカリスマ性を併せ持つ。
ミオンを小さな時から知っている為、ミオンに対しては少々甘い所がある。
今回の話で、実は良い奴かも・・・・・・と思われる。
年下の婚約者が居るらしい。