Preghiera di duo~月に祈りを星に願いを~   作:紅 奈々

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ここで、あの方が登場!!




第3楽章 憤り
標的1


それから、昼休みが終わるという事で、弥王と京子は教室に戻っていた。

5時間目はちゃんと受けていたが、6時間目の中程でやはりつまらなくなって、授業をサボって屋上に来ていた。

屋上のコンクリに寝転がって、広がる空に浮かんできた白い雲を眺めて、弥王は「平和だなぁ、ここは」と思いながら、呑気に頭上に広がる蒼い蒼穹(そら)を見上げていた。

昼下がりの秋の気候は良く、眠気を誘う。

弥王は寝てしまわないように歌を口ずさんだ。

今寝ると、どのくらいまで眠ってしまうかの予想が付かない。

起きたら校門が閉まってます、なんて洒落にならないだろう。

 

 

「♪」

 

 

午後の風が吹いて、歌を口ずさんでいる弥王の髪を撫でた。

長閑(のどか)な午後の空気に溶け込むように自然的に瞼が落ちていく。

襲ってくる睡魔に逆らうように、弥王は尚も歌を口ずさんだ。

ここで寝てたまるか!!起きるんだ、頑張れ、オレの瞼!!

 

 

「♪」

 

 

そこまで歌いきると、あまりの睡魔に耐えきれなくなったのか弥王はゆっくりと瞼を閉じた。

やはり、弥王でも睡魔には勝てないものである。

そのまま弥王は、風に運ばれるように意識を閉ざした。

 

 

弥王が目を覚ましたのは、そこまで時間が経っていない時だった。

屋上の扉が開いて、不意に人の気配がしたかと思うと、その気配はこちらに近付いてくる度に殺気を静かに強く忍び寄るように放出していた。

弥王は、何事だと起き上がる。

不意に声が掛かった。

 

 

「今、授業中の筈だけど」

 

 

低い声と共に風を切る音が聞こえた。

弥王はそれを難なく転がって躱すと、起き上がって、自分を攻撃してきた声の主を見た。

黒く短い髪に殺気を孕んで爛々と輝いている黒曜石の様な目。

その顔には、獰猛な笑みを浮かべている。

その懐かしい顔に弥王は頬を緩めた。

 

 

「恭弥」

 

 

弥王はその名を呼んだ。

雲雀恭弥。並盛の不良の頂点に君臨する、通称「ヒバリ」。

不良でありながら、並盛中の風紀委員長で、並盛と学校に対する愛情は異常と言っても良いだろう。

そんな彼は、学校の見回りをしていたのだ。授業をサボっている生徒が居れば、彼の草食動物を喰らい獲る為の牙、トンファーで「草食動物」を「咬み殺す」為に。

名前を呼ばれて尚、獰猛な笑みを崩そうとはせず、チャキ・・・・・・ッという金属音と共に彼は、トンファーを何処からともなく取り出して、弥王を見据えた。

 

 

「まさか、貴方が僕の学校に転入してくるなんてね。

また、僕と手合わせしてよ」

 

 

雲雀の獰猛な視線を受け止めると、弥王は肩を竦めた。

相変わらずだな、コイツは。苦笑しか浮かんでこない。

 

 

「まさか、恭弥がここの学校に居るなんて思わなかったな」

 

 

雲雀の殺意に似た闘志を躱して、苦笑するように言う、弥王。

睨み合いになると共に、午後の授業の終わりを告げるチャイムの音が蒼穹に響いて、消える。

それを合図に、雲雀がコンクリを蹴って、走ってきた。

 

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁああっ!!」

 

 

雲雀のトンファーが弥王の顔面に直撃する直前に弥王がそれを受け止めた時に、女子の甲高い悲鳴が聞こえた。

耳を劈くような悲鳴に、雲雀の動きが止まった。

悲鳴が聞こえたのは、別の棟の屋上からだった。

自然的に雲雀の顔が校舎B棟の方を向く。その顔は、焦っているように見えた。

 

 

「レーナ!!」

 

 

「!?」

 

 

聞き間違いだろうか。雲雀の叫んだ名前に弥王は目を見開く。

弥王が聞き間違えていないなら、雲雀は木吉の名前を叫んだ。

弥王は悲鳴の聞こえた校舎B棟に行こうとする雲雀の腕を掴むと雲雀の腕を引いて、その体をフェンスに押し付けた。

 

 

「お前、木吉とどういう関係だ!?」

 

 

弥王は雲雀の目を睨むように見る。まさかとは思うが、恭弥も木吉側に居るのか?

そんな考えが過ぎった。

まさか。恭弥は賢いヤツだ、木吉の茶番なんか信じていないと信じたいが―――――だが、そんな弥王の思いは、雲雀の回答で崩れ去った。

 

 

「恋人、だけど?」

 

 

弥王は目を見開いた。そんな馬鹿な。

コイツまで、木吉を信じてたのか。色々な思いが交錯する。

感情がざわめいて、それが苛立ちへと変貌した。

 

 

「お前・・・・・・正気かっ!?」

 

 

苛立ちに任せて、弥王はフェンスを蹴った。

ガシャン、と言うステンレスでできたフェンスを揺さぶる音が響いて、蒼穹に消える。

それと共に、弥王は雲雀を睨んだ。

 

 

「何、苛立ってんの」

 

 

学校の備品を蹴られたことに雲雀は不快感を感じたのか、眉を顰める。

弥王は雲雀までもが真実を知らない事に苛立っていた。

真実を見ようともしない学校の人間に不信感が募っていく。

 

 

「きゃあっ!!」

 

 

「笹川さん!!」

 

 

苛立ちの矛先を何処に向けようかと思った時に、さっきの女子とは違う悲鳴が聞こえた。

その悲鳴が誰の物なのか、弥王には直ぐに解った。

弥王は掴んでいた雲雀の腕を乱暴に放すと、京子の悲鳴が聞こえた校舎B棟へ駆け出した。





使用した歌詞


まだ、歌詞ができてないので、できたら載せます。
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