Preghiera di duo~月に祈りを星に願いを~   作:紅 奈々

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今回の回は少し長めです。




標的3

今日あった事を思い返すと、苛立ってしょうがない。

帰り道の道中、弥王はふてぶてしく歩いていた。

今日の出来事で解ったのは、本当に自分が使えるべきは沢田綱吉で良いのか、と言う事だった。

ボンゴレに疑念しか抱けない。

客観的な視点で物事を見て判断することは、マフィアにとって大切なことだ。

でなければ、一つの判断ミスで命が危うくなるのだから。

今日、沢田を見て思ったのは、超直感が開花してないのかどうかは解らないが、どちらにせよ、沢田は仕えるべき人物に値しない、と言う事だった。

 

 

「あ・・・・・・ご主人様、お帰りなさいませ。

丁度今、連絡が・・・・・・、・・・・・・ご主人様?」

 

 

屋敷へ帰ると、エントランスでメタ―オラと会ったが、声を掛けられても無言で弥王はその傍を過ぎ去った。

早歩きで2階に通じる階段を昇ると自室へ入って、弥王は扉を思いっきり閉めた。

バァン!、と大きな音が響いたが、弥王は気にすることもなく、「クソッ!!」と毒づいて弥王は、鞄を床に投げつけた。

怒りが込み上げてくる。

その苛つきに任せて弥王は、部屋にある物を手当たり次第に床にぶちまけて壊していく。

硝子が砕けて割れる音、椅子が床に転がる音等の物を壊す音が部屋を満たす。

あんな弱者共・・・・・・っ!!

 

 

「ボンゴレなんか・・・・・・っ!!

大っっっっっ嫌いだ・・・・・・っ!!」

 

 

侮蔑の念を込めて吐き捨てると、暴れ疲れた体をベッドに投げ出して天井を仰いだ。

あんなに暴れても、まだ怒りは収まらない。

Ⅸ世(ノーノ)の作ってきたボンゴレも嫌いだった。

だけど、沢田がボスになる様なボンゴレはもっと嫌いだ。

軟弱な思考で、綺麗事ばかり言っているようなボンゴレなんか要らない。

真実を見ようとせず、虚偽だけを信じているボンゴレなんて、もっと要らない。

 

 

「っくっ・・・・・・はは・・・・・・っ、はははっ・・・・・・」

 

 

怒りと共に弥王の口からは、乾いた笑い声が漏れた。

嘲笑するかのような笑いは更に大きくなって、部屋を満たす。

 

 

「あ――――――っはっはっはっはっはっは!!

所詮、その程度の奴らだったんだ、ボンゴレも!!

何が最強!何が穢れなき!何が誇り高き!!」

 

 

崇高なるボンゴレの理念など、世代交代すれば消え失せるだろう。

その証拠に、初代が築いたボンゴレなど、何処にもない。

世代が変わると共に解釈も変わってくる。

彼らが作るボンゴレを弥王は崇高だとは思えない。

 

 

「骸・・・・・・犬、千種・・・・・・り・・・・・・お・・・・・・」

 

 

瞼が重くなって、それに任せるように弥王は目を閉じた。

そのまま、意識は闇へ消えていく。

 

 

 

 

 

遠くて近い過去のこと。

実験室の冷たい鉄の寝台の上に縛り付けられて、今日もまた、体を弄くられる。

厳つい顔の白衣の研究者が機械を弄りながら、言った。

 

 

「やはり、これでも駄目か。

あとは嵐の炎だけだというのに」

 

 

苛立たしげなその声は、聞きたくもない声だ。

耳を塞ぐ術もなくて、不快に顔を顰める。

これが夢だと言う事は既に解っていた。

あの悪夢はもう、既に過ぎたことだ。

夢の中の自分はあの頃のまま、無表情にただ、現状を見ている。

 

 

「嵐以外の波動、何ら異常はありません」

 

 

「よし、続けろ」

 

 

一つの声に答える声が聞こえて、また、実験は始まった。

 

 

 

 

ビクッ、と体が震えて、弥王は目が覚めた。

心臓が荒々しく脈打って、冷や汗が頬を伝っている。

肩で呼吸を繰り返せば、呼吸は次第に落ち着いた。

 

 

「何だ、夢か・・・・・・」

 

 

何て夢だ、今更あんな夢を見るなんて。弥王はチェストから浄化水の入ったポッドを取り上げると、置いておいたコップに水を注いで、飲み干した。

今更あんな夢を見て、どうなる。もう、9年くらい前の話だ。

嫌悪感に頭を抱えた時、不意にノックの音が聞こえた。

弥王は「誰だ?」と声を投げかける。

「メリアです」と、直ぐに可愛らしい声が返答した。

弥王が「どうぞ」と入室を促すと、扉が開いてメリアが部屋に入ってきた。

部屋に入るとメリアは驚く・・・・・・と言うよりは、呆れに近い溜息を零す。

 

 

「はぁ、ミオン様・・・・・・まて、こんなに荒らして・・・・・・」

 

 

メリアの言うとおり、部屋は目も当てられないほどに荒れていた。

その言葉に何を返すワケではなく、弥王は短く「用件は?」と訊いた。

 

 

「独立暗殺部隊ヴァリアーのスペルビ・スクアーロ様から連絡が入っていますよ」

 

 

そこまで聞いて、弥王は眠気が一気に吹っ飛んだ。

スクアーロから?何故今頃になって、彼から連絡があるのか、見当が付かない。

「解った、今行く」と返事だけをして、弥王はベッドから起きると、部屋を出た。

 

 

通信室に入ると鍵を閉めて、回線を開く。

電話を寄越してなかったから、通信室からだろう、と弥王は思ったのだ。

案の定、通信室の大きな画面には白銀の長い髪を持つ男性が映し出されていた。

S(スペルビ)・スクアーロ。剣帝と恐れられた前ヴァリアーのボス、テュールを倒して、ボスの座まで漕ぎ着けたと言われている実力者。

今はボスが不在のヴァリアーでボスが帰ってくるのを待ち続けている、弥王曰く忠犬ハチ公。

 

 

≪よぉ、ミオン。

出てくるのが遅かったなぁ!≫

 

 

画面の向こうでスクアーロは待ちくたびれた、とでも言いたげに喋った。

彼は普通の音量でも声が大きい為、弥王は予めボリュームを下げておいて良かった、と思う。

「んー」と気のない返事を返せば、スクアーロは「寝起きかぁ?」と画面の向こうから覗き込むようにこちらを窺ってくる。

それに対しても「んー」と、弥王は気のない生返事を繰り返す。

 

 

≪テメェなぁ・・・・・・久しぶりなんだから、もっと愛想良くしろよぉ!!≫

 

 

「やだ」

 

 

繰り返される生返事にスクアーロは肩を落としたように言った。

弥王はそれに即答する。

すると、何かが切れるような音がしたような気がした。

弥王は、更に音量を下げて、耳を塞ぐ。

何となく、何が切れたのか解った気がしたからだ。

 

 

≪う゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛い、テメェ!!

愛想ねぇのにも程があるぞぉ!!

何枚に下ろして欲しい!!?≫

 

 

画面越しにスクアーロの怒鳴り声が聞こえた。

はい、キレたー、鮫がキレましたよー。怖~い、オタスケ~。

そんな巫山戯(ふざけ)た事を思いながら、弥王はくぁ・・・・・・っと口を大きく開けてその口に手を当て、欠伸をしながら答えた。

 

 

「んー。

0枚と回答されると解っていながら、毎度毎度のリクエスト、ありがとう(Grazie).

あと、モニター越しに斬れるんならやってみな」

 

 

気怠げに言いながら、弥王は音量を少し上げた。

そして、さっきから訊こうと思っていたことを口にする。

 

 

「何の用だよ?

一時期はそっちに居たとは言え、今はお前の待遇で除隊になったオレと連絡・・・・・・しかも、堂々と回線開いてたら、まずいだろ。」

 

 

そう、弥王は元々ヴァリアーに居た。

父親がヴァリアーの幹部だったこともあり、弥王はヴァリアーを支持していたのだ。

母親の方はボンゴレに在籍していたが、ヴァリアーの支持派だった。

だから、ヴァリアーのメンバーとは友好関係にあった。

 

 

≪大丈夫だろ、これくらい。

それによぉ・・・・・・≫

 

 

「なんだよ?」

 

 

弥王の問いにさらっと答えるスクアーロ。

弥王は口籠もりだしたスクアーロに先を促した。

 

 

≪もう、あれから2年は会ってねぇだろ・・・・・・≫

 

 

「女かよ」

 

 

スクアーロが顔を背けて言ったのを弥王は鼻で笑った。

「な・・・・・・っ、悪ぃ(わり)かぁっ!?」と怒鳴ってくるスクアーロに「全然、悪くねぇな」と返して、弥王はふと、思いついたことをスクアーロに問う。

 

 

「なぁ、スクアーロ。

“ボンゴレ”をどう思う?」

 

 

問うた弥王の頭の中には、今日の沢田達の事が浮かんでいた。

真剣な問いだと、雰囲気で解ったらしいスクアーロは、真面目な顔で答えた。

 

 

≪あ゛ぁ?何だ、突然・・・・・・

ボンゴレは“最強”だろぉ≫

 

 

当然だ、とでも言う様にスクアーロが回答すると、弥王は少し考えた。

そして、今までの雰囲気を壊すように笑って、弥王は言った。

 

 

「そっか、じゃあ、XANXUSには、是が非でもボスになって貰わないとな」

 

 

≪どぉしたぁ、突然・・・・・・

んなの、当たり前だろうが!≫

 

 

弥王の言葉にスクアーロは疑問を抱きながらも、当然の回答をした。

「そうだな」と頷いた弥王は何だかモヤモヤが晴れたような気がして、上機嫌で別れの挨拶をすると、部屋に戻った。

そして、その日はよく眠れたのだとか・・・・・・。






BL!?と思った方はBLではないので、悪しからず。
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