東方生還録   作:エゾ末

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第十話 うるさい、寝れない

人の平均的な睡眠時間は大体6~9時間と言われている。

 

なんとなく調べてみたときは7時間23分くらいだったか?そのくらいで働き盛りの人ほど睡眠時間は少ないと書いてあった。

 

さて、ここでおれはこの国に来てからのことについて考えてみようと思う。

3日前までおれはこの家にいる幽霊、東風谷翠の騒音のせいで初日以外度々真夜中に起こされていた。そしてその日はついに我慢の限界に達し、こらしめてやった。

 

 

2日目。3日前の時翠のせいで1時間くらいしか寝れなかった。

そして幽香と会い、ボコボコにやられた後、気絶した。これで睡眠時間を稼げたと思ったが全然疲れと痛みがとれてなかったし、眠気もとれてはいなかった。それで家に帰って寝ようとしたが、それを翠に邪魔をされ、5時間も寝れなかった。

ちょっと翠を恨んだ。

 

 

昨日。眠気が凄かったがそれよりも早恵ちゃんに文句を言いたかったのでいつも通りに起きた。たぶん早恵ちゃんが怯えるほどのオーラを出してた半分は寝れないことに対してのストレスが占めていたと思う。つまり翠のせい。

そして昼になって少し眠気が無くなったときに諏訪子と追いかけっこをした。

程よい汗とは程遠いほどの汗をかいた。かなり寒むかったのにな。

そして家に帰ってちょっと早い就寝としようとおもっていたが、ここで問題発生。

家に早恵ちゃんと翠がいた。そして姉妹だった。

驚いたおかげで眠気が少し吹っ飛んだ。なので早恵ちゃんに説教を日が暮れるまで垂れてしまった。

そして諏訪子が迎えに来て、そして諏訪子も翠がいたことに驚いていた。

これまではよかった。これまでは。

なぜか諏訪子と早恵ちゃんが泊まることになった。おいおい、神が神社離れていいのかよ……

場所も広いから泊まるスペースはあったのだが布団が3つしかなかった。

そのせいでおれは地べたで寝る羽目になったのだが、もう眠いしいいかと思った。しかしここでまさかのガールズトークが大音量でおれの部屋まで届いてきた。ここでおれは選択肢が出てきた。

1 部屋に乗り込んで怒鳴る。

2 黙ってみんなが寝るのを待つ。

 

このときおれは考えた。もし1を選んだ場合、確実にあの姉妹から変態扱いされるだろう。もしかしたらおれが女子の部屋に乗り込む変態ということが噂になり、おれのここ10日間積み上げてきた村の皆の信用が水の泡になる可能性がある。

それは嫌だった。なのでおれは2を選んでしまった。

何故このときおれはもう一つ、他の選択でおれの部屋から怒鳴るというのがあった。それをあのときに思い付いていればあんな頭に響く女子共の声を我慢しなくてすんだのかもしれない。

たぶんあのとき眠気があるのに寝れないという生き地獄を味わっていたおれは単純な事しか考えられなくなっていたんだな……

ガールズトークは真夜中の2時近くに終わった。

 

 

そして現在。

諏訪子と早恵ちゃんが寝たと同時に翠がおれの部屋に来た。

おれの顔を見るなり

 

「起きてたんですか?うわぁ……私達の会話を盗み聞きするなんて最低ですね」

 

と罵って来やがった。誰のせいで寝れなかったと思うんだ!しかも今の状態じゃ向かい側の部屋の声を聞き取ろうなんて無理がある。あのとき雑音にしか聞こえなかったんだから。

 

 

そしておれが言い返さないことを良いことにずっとおれの隣で罵ってきた。

……なんでこいつなんかに人望が集まったんだ?人の睡眠を妨げる害にしか思えないんだけど……

 

もう怒鳴る気力もないおれはただ頭に透き通る翠の声をBGM にして寝てやろうと奮闘したが結局寝れなかった。

翠はおれが応答しなかったお陰か、一時間程したら部屋を出ていった。

 

「(はあ、やっと眠れる……睡魔よ。待たせたな、さあ行こう!)」

 

そう思った瞬間障子が開かれる音がした。……ああ、睡魔がおれを突き放してきた……

 

誰だ!っと言わんばかりに顔だけを障子が空いた方に顔を向ける。今おれの目は寝れていないせいで充血している。たぶん今俺の顔を見た人は少しビビるだろうな。

 

そして空いた障子の先にいたのは……諏訪子だった。

 

「あれぇ?生斗の部屋だったのぉ。ごめんね、起こしちゃって」

 

そう言って諏訪子は障子を閉めた。

 

「間違えただけかい……!」

 

眠くてツッコむ気にならなかったのになぜかツッコんでしまった。本能?

 

そしてツッコまなければよかったと後悔した。

おれの声を聞き取ったのか翠が勢いよくおれの部屋に入ってきた。

 

「やっぱり起きてたんですね!さあ!お話しましょう!!」

 

「で…………でてけぇえぇぇ……」

 

最後に振り絞った声とともにおれは意識が飛んだ。

たぶん睡眠不足によるものだろうな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん……まだ夜か」

 

起きたら辺りがまだ暗かった。昼過ぎまでは寝ているだろうと思っていたがほんの2時間程度しか寝てなかったのか……

 

「やぁーと起きた!もう早恵ちゃんと諏訪子様帰っちゃいましたよ!」

 

と、起きたのを察知したのか翠が部屋に入ってきた。……なんだこいつ!おれが起きたと同時に入ってくるなんて……

 

「あ?まだ夜じゃないか」

 

「はあ……もう貴方が気を失ってから丸一日経ってますよ。」

 

「え?」

 

「つまり今は次の日の夜中ってことです。」

 

「まじかよ……」

 

そんなに疲れが溜まってたのか!……やべーな

 

「まったく、体調管理も自分でできないなんて、とんだ駄目人間ですね!」

 

「なぁ……一ついっていいか?」

 

「なんです?」

 

「殆どお前のせいだからなぁ!!」

 

 

 


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