東方生還録   作:エゾ末

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十二話 初めての遠出ですな

「そうえば初めてこの国以外の所にいく気がするな……」

 

大和の国からの返事として諏訪子が書いた書状をおれが渡しにいくことになった。

書状の内容をざっといってみると降状はしない。戦うなら代表者の一対一の一騎討ちをする。とのことだ。はっきり言ってこんな無茶苦茶な事を言って了承されるはずがない。良ければ追い返されるか、悪ければ見せしめに殺される事だってある。まあ、そんな対応をされればおれもそれ相応の対応をするけどな。

 

「はい、これ。大和までの道のりの地図と行き帰り合わせて4日分の食料ね」

 

「うわ!おもっ!?諏訪子の2倍はあるんじゃないか?」

 

「ま、そんなもんでしょ」

 

「疲れるの嫌なんだけど……」

 

「まあ、こんな面倒な事を頼むのも本当は気が引けるんだけどね……

取り敢えずありがとう。無茶を引き受けてくれて」

 

「気にすんな。おれも全然ここに来てそれらしい事していなかったしな」

 

「まあ確かにねぇ」

 

「それじゃあそろそろ逝くとするかな」

 

「はい、気をつけていってらっしゃい」

 

 

さて、これから2日間ただただ歩く作業がおれを待ち構えているし

まったり行くとしますか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりな、こうなりそうな気がしそうだったもん。おれは驚かないよ。」

 

「逃げるな人間!大人しく捕まれぇ!!」

 

洩矢の国をでてから現在、つまり五時間の間の出来事について話そう。

 

まず1時間目、休憩してたら低級妖怪の群れに襲われた。その時は力が有り余っていたので難なく撃退した。

そしてその30分後、中級妖怪が5体ほど不意打ちで攻撃してきた。ギリギリで避けることに成功したが冷や汗で服がびしょ濡れになり、少しの間不快な気分になった。ついでに不意打ちをしてきた中級妖怪どもは少し怒ったので爆散霊弾で撃退した。今おれの使う爆散霊弾は力を少し強めれば中級妖怪なら一撃で倒せるくらいの威力はあり、今回も5発で全滅させることが出来た。

 

さて、ここまではまだマシだった。まだ、時間に間があったんだから。

どんなことがあったかというと5分おきに妖怪の群れがおれを襲ってきたんだよ、畜生!

 

なので倒すのが面倒になったおれは現在、出てくる妖怪どもを軽くあしらいながら逃げている。

 

「はあ、空まで追いかけてくんなよ……」

 

「ぐへへ、今日の飯は上物だぜ!」

 

「さっさと捕まえようぜぇ!!兄貴!」

 

今おれを追いかけているのは羽がついている少しグロテスクな妖怪。たぶん兄弟だろう。

 

「ぐへへへ!!油断したな!」

 

「ぐっ、あぶね!?」

 

グロテスクと罵ったお陰か不意に妖弾を放ってきた。

もう、この妖怪兄弟ども、めんどくさいことをしやがる。こんな弾幕避けるの面倒くさいんだぞ……

 

「どうしたぁ?人間!!このまま逃げてたら俺と弟の合成兄弟最強無敵★妖力弾の餌食になっちまうぜぇ!」

 

「ん?なんか親近感が湧いたぞ」

 

「何訳のわからんことをいってるン……だぁがはっ!?」

 

「弟ぉ!!?」

 

「ふん!」

 

「ぐほぇっ!?」

 

「あ、アンタは道義か?」

 

もうそろそろ逃げるのが面倒になったので妖怪兄弟を倒そうとしたとき、弟の方から急に道義が現れ、瞬く間に抜刀、それと同時に弟の方の妖怪の体が横に真っ二つになった。

そして兄の方が弟の急な死に、大きな隙を見せた瞬間、道義が物凄い速さで肉薄し、そのまま首を切り取った。

 

「大丈夫か?旅の者……と、貴方は昨日の……」

 

「ああ、まだ名前いってなかったな。……熊口生斗だ。取り敢えず助けてくれてありがとうとでも言っておくか」

 

「まあ、善意でやったことだ。……と、少し疑問があるんだが、何故熊口殿はこんな森の奥地にいるんだ?」

 

「ああ、それは諏訪子からこの書状を渡せって言われたんでね。なんで現在大和の国に向かってるんだ。」

 

「……そうか。だがここは大和の国とは全然違う方向だぞ」

 

「え?!」

 

慌てて諏訪子から貰った地図を見てみる。たぶん今いるおれのいる場所がこの森で、大和の国がここだからて…………うわぁ、かなり正規ルートから離れてるよ。

 

 

「ん?それじゃあなんで道義はこんなところにいるんだ?」

 

「ああ、私はここの薬草に少し用があってな。帰り道に少し寄っておったのだ」

 

「ああね」

 

だから一日おいて出てきたのに追い付けた訳か。

 

「あ、そういえば道義は大和の国なんだよな。ならこの書状渡しといてくれないか?」

 

「それは無理だ。そう言うのはちゃんと国の者が渡すのが礼儀だ。それを他国の、しかも敵に成るやも知れん相手に書状を渡すなんて途中で捨てられたりしても文句は言えんぞ」

 

「そ、それもそうだな」

 

軽めに説教されてしまった。

 

「まあ、道案内はしてやってもいい。ここから大和の国への近道を知っているんだ。ついてくるか?」

 

「あ?そうか。それじゃあついていこうかな。……でももう日も暮れてきたし出歩くのは少し危険な気がするんだけど……」

 

「むっ、それもそうだな。それでは今日はここで野宿をするか」

 

 

はあ、今日は疲れた。さっさと寝よ。道義もおれとは敵になるかもしれない相手だけどさっきのおれが逃げてたのを見て実力はあまりないと判断したらしい。結構遠慮なくおれの向かい側で寝ている。甘く見られたもんだ。まあ、そこで力を見せびらかそうとは思わないけどな。もしかしたら使えるときがあるだろうし。

 

 

 

 

 

…………さっさとこんな旅終わらせて家で寝たいな……

……翠がいるから安眠できるかどうか不安になってきた。


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