東方生還録   作:エゾ末

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やっと2章のタイトル通りに進みますね。
あと2~3話ぐらいで2章完結です。


十七話 結婚かぁ……

「師匠!!どうにかしてください!!」

 

「うお?!どうした、道義?」

 

おれん家の縁側で寝転びながら日向ぼっこをしていたら急に道義が庭に入ってきた。

 

「何故かここの巫女と諏訪子様から睨まれるんですよ!?巫女の方は兎も角、諏訪子様からは祟りの念をおくられてくるんです!」

 

「睨まれるくらいならまだマシだろ。おれなんてミシャグジから追いかけ回されるんだぞ。……でもまあ、あの二人がそんなに敵意を向けてくるなんて……なにかしたんじゃないのか?尻を鷲掴みしたとか」

 

「な、早恵ちゃんになんて事をするんですか……ってきゃあぁ!!太陽眩しいぃぃ!!!」

 

急に部屋からでてきたのは勿論元ここの家主の翠。たぶんおれの言った冗談を真に受けた様子。そして苦手な太陽の光を直で受けて悶絶している。

 

「な、なんだこいつは?!しかも私はそんな破廉恥な事などしはしません!!!」

 

「ああ、冗談でいったからな。あとそこで転げ回っているのは、幽霊だ。」

 

「は?」

 

「まあ、太陽が苦手で睡眠妨害が趣味の悪質な幽霊とでも思っておけばいい。」

 

「な!悪質とな!そんなものこの世に留まらせる訳にはいきません!即刻成仏させてくれる!!」

 

そういって道義は刀を抜刀して翠の方に向けた。

 

「ああもう!いいから!取り敢えず諏訪子達の事を考えよ「目があぁぁ!目があぁぁぁ!!?」うるさい!!」

 

「そうですね……」カチャッ

 

 

もう、折角さっきまでまったりゆったりと過ごしていたのに……やっぱり弟子なんて取るもんじゃなかった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 神社周辺にて(諏訪子がいつも遊んでいる湖付近)

 

「ということで、神奈子さんに相談に来ましたぁ」

 

「急になんだい?私をここに呼んで」

 

「いやあ、ちょっと道義が諏訪子と早恵ちゃんに敵意を向けられていて、なんかあったんじゃないかなぁと思って」

 

「ああ、道義が諏訪子と早恵から睨まれるわけかい?恐らく私のせいだろうね」

 

「え、なにゆえですか!?神奈子様!!」

 

「いやぁ、熊口が死んだと嘘の情報を流したときに、道義が決闘の時に殺したっていっちゃったんだよね。おそらくその時に出来た嫌悪感が未だに張り付いているのかもしれない」 

 

「神奈子様ぁぁ……何てことを……実際は師匠に傷をつけることすら出来ず惨敗したと言うのに……」

 

「まあ、つまりはどうすればいいんだ?」

 

「もう染み付いちまったもんだからねぇ。交流を深めるしかないんじゃない?」 

 

「そ、そんなぁ……近づこうとした瞬間逃げられるのにぃ……」

 

「ふぅむ…………ま、なんとかなるだろう。じゃあなぁ」

 

「ちょっ、まってください!師匠!助けてくださいよ!」

 

「師匠なら一肌脱ぐぐらいしないと駄目じゃないかい?」

 

「元々は神奈子さんのせいなんですからあなたが助けてあげてくださいよ」

 

「ぐっ、それを言われると何も言えない……」

 

「ということでじゃあ!」

 

そういっておれは湖から出ようとした。……出ようとしたんだ。でも真横に御柱が通りすぎた。

 

「……何もしないんじゃないんですか?」

 

「なに、何も言えないとは言ったがなにもしないとは言ってないよ」

 

「師匠!神奈子様!どっちも頑張ってください!」

 

「なにいつものように戦う感じになってるんだよ!やらんぞ!絶対にやらんぞ!だって面倒だから!」

 

「熊口はいつも断る理由はそれだね!ま、いつも私が勝って結局する羽目になってるしいい加減諦めたら?」

 

「だから今日はそんな気分じゃないんだってば!昼寝したいんだよ!!明日にしろよ明日。そしたら手伝う可能性はあるから!」

 

「男に二言はないね。……じゃあ道義。今日は我慢してくれ。」

 

「……わかりました。(またあの雰囲気の中で過ごさなければならないのか)」

 

「ということで!じゃあな!」

 

そういっておれは今度こそ森をでた。……取り敢えず明日の言い訳を考えておかないとな

 

  ドガッ

 

「ギャッ!?」

 

そんなこと考えてたら頭に御柱がクリーンヒットした。

まさか神奈子さん、おれの思っていることがわかるのか?!

 

「御免御免、なんとなく投げたら当たっちゃったみたいだね。」

 

「……気を付けてくださいよ」

 

な訳ないか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  次の日

 

 

おれん家に道義は来なかった。

 

「来ると思って言い訳考えてたんだけどな」

 

「言い訳なんて小物臭い事昨日ずっと考えてたんですか?とんだカス野郎ですね!」

 

「翠うるさい」

 

 

 

 

 

 また次の日

 

 

おれは少し不安になったので神社へ足を運んだ。

そしたら思ってた光景とは違うのがおれの前に写った。

 

「道義さん、あーん」

 

「あ、有り難う」

 

「なんだ、道義。全然大丈夫そうじゃないか。早恵ちゃんに食べ物をあーんしてもらえるなんて」

 

「し、師匠?!」

 

「熊口さん?!」

 

思ってた光景とは全然違うな。もう早恵ちゃんベタベタじゃないか。

でも早恵ちゃんからあーんはされたくないな。確かに美少女の部類に入る早恵ちゃんだが、そのあーんする食べ物がもう未知の物体だからされたくない。……まあ、おれがされるはずがないが。

 

「んじゃ。おれは帰るわ。無駄な心配だったようだし、二人の邪魔なんて無粋なことはしないよ」

 

「あ、有り難うございます。師匠」

 

 

 

 

 

 

そしておれは神社をでた。その降りる階段の途中、諏訪子に捕まった。

 

「ねえ、生斗。あの二人どう思う?」

 

「まあ、取り敢えずあいつらが仲良くなった経緯を教えてくれ」

 

「それもそうだね」

 

そしておれは仲良くなった経緯を聞いた。

まずおれと別れたあと、神奈子さん経由で二人を集め、道義が二人に面と向かっては話し、無事仲良くなったらしい。

そして昨日、仲直りの印として作った早恵ちゃんの未知の料理を文句も言わず完食して美味いとまでいい、いっきに好感度が上昇。食べたあとの散歩に出かけた二人は帰った頃には早恵ちゃんは落ちてたらしい。

 

「まあ、道義は、『顔だけ』は格好いいからな」

 

「生斗は皮肉を言う時点で性格不細工だね」

 

「な、なにをぉ?!おれは顔は普通、内面超絶イケメンをモットーとしているんだぞ!」

 

「いや、知らないよそんなこと」

 

「……まあ、最初の諏訪子の質問にたいしてだけど……お似合いじゃないか?美男美女だし」

 

「そっかー、やっぱりそう思うよね……はあ、ついに早恵も嫁入りかぁ……」

 

「嫁入りて……まだ早いんじゃないか?」

 

「そんなことないよ、ここでは普通14歳くらいで結婚してるしね。早恵ももう19歳だから遅いくらいだよ」

 

「14歳とか……はやくないか?!」

 

「まあ、そういうのもあって早恵ももういい歳だし結婚を考えているんだよ」

 

 

 

その諏訪子の言葉は2年後に叶う事になり

道義と早恵ちゃんは結婚した。

 

ふむ、そういえばおれそんなこと全然考えていなかったな。

相手は……………………いないな、なんか悲しくなる。

 


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