東方生還録   作:エゾ末

51 / 110
今回から3章突入です!


3章 【鬼達と妖怪の山の奴らとの交流】
1話 やり過ぎたZE ☆


 

旅を始めて五時間が経った。現在森の中。そしておれはここに来て漸く重大なことを思い出した。

 

「……なあ」

 

『はい、なんですか?』

 

「思いきって飛び出したのはいいけどさ。

 

 _______おれら、何処へむかってるんだっけ?」

 

『ええぇぇぇ!?!決めてなかったんですか!?!!』

 

そう、何故か神と夢の中で話してから急に旅に出たくなって洩矢の国をでたけど、まったく行き先を考えていなかった事に今頃気づいた。

因みに現在翠はおれの中に入っているため心の中で話している。でもおれの方は口に出さないと分からないらしく声に出して会話している。つまり他からみれば独り言を言ってる変な人にみえるんだ。だからおれから出ろと言ってるんだけど『太陽があるから嫌です!!』と言われたためそのままでいる。まあ、今のところすれ違う人なんてこれっぽちもいないからいいんだけど。

 

 

「まあ、取り敢えず行き先を決めるついでに少し休憩しようかね」

 

『朝から歩きっぱなしですもんね。まあ、私とすれば久しぶりの外を馬車に揺られながら観光している気分なんですけどね』

 

「おい、だれが馬車だ」

 

 

取り敢えず行き先を決めよう。…………んーとここら辺の地形についての地図は…………

 

「地図忘れたぁ!?!」

 

『……何やってんですか』

 

くそっ!荷物管理を怠ってしまった!つーかなんだよ荷物の中身、食糧ばっかじゃねーか!しかも玄米が7割を占めてるし!!

 

 

「はあ、どうしようか……」

 

『一度戻ればいいじゃないですか』

 

「いや、あんなに凄い演出された後に忘れ物しましたーって戻れるか?」

 

『いや、大丈夫だと思いますよ?どうせやっぱ生斗だなぁ、て皆思うだけだと思います。』

 

「おい、お前らの中でのおれの評価が今無性に気になりだしたぞ」

 

『知りたいですか?』

 

「いや、お前のはいい。どうせ変態屑野郎だろ」

 

『正解です!』

 

「……分かっていても実際に言われると結構傷つくな…………」

 

『取り敢えず!一先ず帰りましょうよ!』

 

「んーー、まあ、そうだな」

 

と、夜明け前からずっと歩いてきた道をUターンして帰ろうとした瞬間……

 

 

「んんんー?今人の声がしたんだが……」

 

 

草むらから角を生やした妖怪が出てきた。

 

「(やべっ!?)」

 

 

あれは一度感じたことのある妖力に似ていた。たぶん角もあるからしてあの種類で間違いないだろう……

 

  ____鬼。

 

一番最初に戦い、破れた相手と同種であり、おれの知っている中で2番目に驚異と感じている妖怪だ。ん? 一番はなんだって? そんなの幽香にきまってるだろ。

 

取り敢えず鬼が出てきたと同時におれはすぐ近くにあった木の裏側に行き、鬼の死角になるように隠れた。

 

「あれぇ? 気のせいだったか……」

 

『熊口さん、あれって……』

 

「あれは鬼だ。あと逃げ切るまで翠、お前は黙っておいてくれ」

 

『はい……あ!?熊口さん後ろ!』

 

「ん?」

 

「なぁーに独り言いってんだ?」

 

「なっ!?」

 

 

まじかよ。気配は完全に消してたぞ! しかも声なんて真正面からでも聞き取りづらいぐらいの小声で言ってたのに……

 

「まあまあ、人間。そんなに緊張しなくていいぜ。」

 

「はっ?」

 

「今ちょっと暇だったんだよ。だからちょっとした暇潰しをしねーか?」

 

「ほう、どんなの?」

 

「どちらかが死ぬまでの殴り合いだぁ!」

 

「うお!?」

 

 

やべっ、いきなり殴ってきたよ。まあ、避けたけどな。

 

 

「ほう、今のを避けるか。これは当たりを引いたかもなぁ」

 

「ああ、もう。めんどくせぇ!」

 

「俺は楽しいぜぇ!」

 

くそ! なんで妖怪はこうも好戦的なんだ。……ん、でも待てよ。発想を変えてみればいい機会かもしれないな……

 

 

『熊口さん!?大丈夫ですか?』

 

「ん、ああ大丈夫だ。ちょっと試したいことがあったんだけど……丁度いい。鬼に通用するか試してみるか」

 

「ふん! また独り言か! 正直気持ち悪いぜ!」

 

「まあ、そうだけど……さ!」

 

「んぐ!…………なかなかやるなぁ」

 

 

一先ず距離を取るために霊力剣を5本ほど生成して鬼の方へ飛ばした。

3つは壊されたが残り2つは見事鬼の足と顔に切り傷をつけることに成功した。

 

 

「それじゃあ、長引かせるつもりはないんでさっさと試しますか!」

 

「はん! 今ので勝ったつもりか?」

 

 

取り敢えず鬼の言葉は無視して能力を発動した。

まあ、寿命10年ほど使ってみるか。

これは神から改良してもらったものだ。年単位で寿命を使うことができる。器の小さいおれにとってはありがたい改良だ。

そしておれは10年分の命を使うように念じてみる。すると____

 

 

「ぐっ!心臓いてぇ……」

 

 

心臓が鷲掴みされたような感覚に陥った。

くそ、10年分でこの痛みかよ……

 

「独り言の次はなんだ?」

 

「あ、ああ、お前を倒す準備だ。」

 

「はん? なにいってんだおま…………え?」

 

 

鬼が驚くのも無理はない。出した本人であるおれですら驚いているんだから。

まず威力を試そうと爆散霊弾を10個ほど生成したつもりが、なぜか数えきれないほど生成してしまっていたのだ。たぶん100個以上はできてるだろう。

 

「神、こりゃあ改良しすぎや……」

 

 

これ、以前の劣化をチャラにするほど改良されてるような気がするんだけど……

 

 

「ふ、ふん! たかが人間が作った弾だ! いくらでも来いや!」

 

「ただの霊弾ではないんだけどな…………取り敢えず受けてみな」

 

 

といって3個飛ばした……つもりが30個飛んでいってしまった。

 

 

「ふん!こんな…………ぐは?!!」

 

「どうだ?!」

 

「いや?!……ちょ?!!?まっ……て! つっ強い!?つーか!?……おお……いぃぃ!!?」

 

「あちゃあ、やり過ぎたかなぁ。っとちょっと逃げよう」

 

鬼に向かっていった爆散霊弾が全て着弾したあと、そこにすんごい大爆発が起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おおーい。生きてるかぁ?」

 

 

爆発が収まった後、おれは鬼の生死の確認にきた。…………うわぁ、着弾地点にクレーターができてる……

 

「くふっ…………まさかここまでとはな……。人間をなめすぎてしまった俺の……負けか……」

 

無事か。

ていうか今の鬼って丈夫だなぁ。初めて戦った鬼は爆散霊弾3発程度で致命傷を与えられたってのに。

取り敢えずもう戦う気がないらしいので後ろに待機させてあった残りの爆散霊弾を消した。

 

 

「そ、それにしても……おめえ、つえーな」

 

『私もビックリしました!』

 

「まあ……な!」

 

誉められていい気分になったので決めポーズをしながら返事した。

 

 

「へぇ、あんたがこのクレーターを作ったのかい?」

 

「まあ、そうだけ……ど!」

 

 

鼻が伸びているのを感じずつ、またもや決めポーズをするおれ。

 

「しかも蓮義をここまでボロボロにするなんて……人間って凄いね!」

 

「だろ!…………ん?」

 

誉められて調子に乗って気づいていなかったが、おれは一体誰に誉められているんだ?

そう疑問に思い、倒した鬼の方を見てみる。ん? なんか怯えているな、そんなにおれが怖いか?

 

『熊口さん! 横ですよ横!』

 

翠にそう言われたので右を見てみる。……うん、木が生い茂っているな。

 

『左です!』

 

それを先に言えよ。

ちょっとイラッとしつつ左を見てみると……

 

 

「あれ? だれもいないぞ」

 

 

誰もいなかった。

 

 

「あんた、私を馬鹿にしてない?」

 

「うわ?!」

 

 

と思ったら下に角を生やした幼女が下にいた。なんか瓢箪持ってる。

 

 

「鬼?」

 

「ああそうだよ! それにただの鬼じゃないよ! なんと! 私は伊吹萃香なのさ!」

 

「いや、知らねーよ。」

 

「まあまあそんなことはどうでもいいよ! それよりも____

 

 

________私と戦わない?」

 

 

「____うん。断る☆」

 

どうせ見た目幼女だろうが鬼は鬼。強いに決まっている。絶対にやるもんか

 

 




今回は少し中途半端な終り方をしましたね。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。