東方生還録   作:エゾ末

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8話 拘束…………

ヤッホー皆元気にしているかい?僕は勿論元気じゃないよ。

なんでかって?それはね、…………今から処刑されるからだよ!

 

 

「ここでいいだろう」

 

「ハッ」

 

現在おれは妖怪の山の山頂付近にある広場のど真ん中に座らされていた。

どうやらここで殺されるらしいな。まあ、そんな簡単に殺されはしないけど。なんか手首と足首に縄をして拘束している。でも実際おれにそれは効かないんだよなぁ…………

 

「ほら、首を出せ。一思いに切ってやる」 

 

「はいはい」

 

ふう、今すぐにでも抜け出してもいいんだけど結構な量の天狗がおれを囲ってるからな。

ここは我慢。皆が一番油断するタイミングは切られる瞬間、そこを狙う。

 

 

「愚かなる侵入者よ。お前が鬼どもとの戦の狼煙だ。悪く思うなよ」

 

そう、天魔が言ったあと、刀を持った方の天狗が刀を上にあげ、

 

 

 

降り下ろした。

 

 

 

 

いまだ!!

 

「なっ!?」

 

 ドガガガガガガッッッ

 

「生憎、手を縛ったぐらいで安心されちゃあ困る。おれの脳は見えない手の役割もあるんだからな!」

 

ギリギリのところで六つの霊力剣を生成し、降り下ろされた刀を受けとめ、それと同時に取り敢えず沢山の爆散霊弾を地面に着弾させ、大爆発を起こさせた。

 

 

「ふっ、やっぱり皆いきなり広場が爆発したことに戸惑ってるな」

 

 

勿論爆発したとき、大量の砂埃があがる。それに乗じておれは縄を剣で切り、そのまま飛んで逃げた。

ふふっ、作戦通りだな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、やっとこの山からでられるぞ…………って危な!?」

 

「なっ!?」

 

山の麓まであと少しというところで後ろから急接近してくる何かを感じ、咄嗟に横にそれると、さっきまで飛んでいた場所に剣が通った。

あ、あぶねぇ、もし避けてなかったらおれR18指定されちゃってたぜ。

 

 

「なぜ避けられた?」

 

いま刀を降り下ろした本人であろう天狗が訪ねてきた。

 

「そりぁ、悪寒がしたから………………っていまそんな事言ってる暇はない。ばーい!」

 

「逃がすと思ってるの!」

 

しつこいなぁっと思ってたけどこの女天狗、速いな。結構本気で飛んだのに一瞬にして前に立ち阻まれた。くそぅ、早くいかないと追っ手が来るってのに……

 

「逃げるのは…………無理そうだな」

 

「ふっ、流石に人間でも私の速さがわかるようね。

 

私は射命丸 文。天狗の中で最速の烏天狗よ。」

 

「ふーん、ご丁寧にどうも。おれは熊口 生斗だ。」

 

「別に貴方の名前は聞いてないわ。どうせすぐに消えるのだから!」

 

「それ、よく負けるやつが言う台詞だからあまり使わない方がいいぞ!」

 

さっさと終わらせてここを去らなければ。はあ、くそ、めんどい……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……なかなかやるなぁ」

 

「ふん、人間にしてはよく粘ったわ。ま、これでおしまいよ」

 

ちょっと、不味い状況だな。まさか射命丸が風を操れるとは……

思った以上に速い。

それに爆散霊弾も無駄にでかい音をたててしまうから使うにも使えないし。一体どうすれば…………

 

「ふふっ、焦ってるようね。それじゃあ私に一生かかっても勝てないわよ」

 

「あ、そうか」

 

「え?」

 

さっきから焦りのせいで技が単調になっていたのか。これは致命的なミスをしでかしてたな。

 

そう思うとおれは自然と頭の中が冷静になっていくのがわかった。

 

「敵のアドバイスされるのはなんか変な感じだったが……あんがとよ、射命丸」

 

「ふん、どうせ私には勝てないのだからそれぐらいは許容範囲よ」

 

 

取り敢えず玲瓏・七霊剣を発動。これで何とかして見せてやる。

 

 

「地獄へ落ちなさい!」

 

「来い!」

 

よし、射命丸から来るようだな。滅茶苦茶速いが目でギリギリ追える範囲だ。

今回もタイミングが大事だ。チャンスは一瞬。相手が斬りつけてくるのをおれが止めた瞬間だ。

 

 

「ふっ!」

 

「いまだ!」

 

「えっ?……きゃあ!?!」

 

 

ふん、かわいい声だしおってからに。兎に角成功したようだ。

さて、どんなことをしたのか疑問に思っているだろう。答えは簡単。6本の剣で拘束しました。

 

やり方は単純かつタイミングが重要視される。まず、飛んできた射命丸からくる斬撃を右手に持っている霊力剣で防御。このとき射命丸は剣に風を纏わせているのでかなりの速度があるから受けとめるのも一苦労だ。でも、それがあってかいつも射命丸は一度剣を降り下ろした後、少し隙がでる。それが今回の狙い目。そこに6本の霊力剣を首、腕、胴体、脚、に配置し、身動きを取ろうとすると自然に切れる感じになっている。

そしてさっき射命丸がかわいい悲鳴をあげたのは、…………これはまあ、ミスです、はい。一瞬の隙を逃すまいとちょっと焦ってしまって霊力剣の一本が予定の位置より大幅にずれてしまい、射命丸の股下付近に言ってしまい、スカートを貫いてしまったんだ。

不幸中の幸いなのは丁度股下を通ったから肌を傷つけて無いところか。

 

あ、それと別に故意にやった訳じゃないから。そこ、勘違いしないで。

 

「くっ、この変態!なぜ斬らない!!こんな辱しめられるぐらいならいっそ斬られた方がマシよ!」

 

「いや、やめてください。変態じゃないです。あと、別に殺し合いをしに来た訳じゃないから斬る必要なんてないだろ」

 

「くっ……」

 

汚物を見るような目で見られちゃったよ。……でもまあ、これは翠で慣れてるからもう大丈夫だ。うん。

取り敢えずグラサンを目の方にもっていって泣いてるのをばれないようにしよう。

 

「それじゃあおれは先に行く。射命丸はいっときそうしてもらう。またこられたら厄介だからな」

 

「こんなもの!私の風で吹き飛ばして……」

 

「やめとけ、その剣には結構な霊力を込めてある。そう簡単に壊せはしないし、下手するとお前にまで被害がくるぞ。股とか」

 

「くそっ、こんな変態に何もできないなんて!」

 

「いい加減爆散霊弾ぶつけんぞこのやろー」

 

よし、念のために霊力剣をもう10本ほど追加して更には爆散霊弾も追加してやろう。これでもし風で吹き飛ばそうとしたときに射命丸自身も吹き飛ぶことになるからな!我ながら鬼畜だな!!

 

 

「んじゃ!」

 

「えっ!?ちょっまってよ?!これは流石に酷いんじゃない!?」

 

「大丈夫、おれは男女平等だから。男だろうが女だろうがそれぐらいする」

 

「それ全然大丈夫じゃない!」

 

ふん、知ったことか。どうせあの速さだ。さっきおれを気絶させたのも射命丸だろう。あのときの仕返しだ。

もし違ってたらごめんなさい。

 

そうおもいつつおれは妖怪の山を離れていった。

結構暴れていたのによく他の天狗にバレなかったな……

 

 

 

 

 

 

 

「ん、そういえばなんで天狗なのに鼻長くなかったんだろう?何人かはいたけど……」

 

 

鬼の里へ帰る途中、そんな疑問が浮かんだ。おれ、これまで天狗の鼻は長いってイメージがあったんだけど……

 

「まあ、今度鬼が侵略した後に射命丸にでも聞くかな」

 

まともに口を聞いてくれないと思うけどな!

 

 

 


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