東方生還録   作:エゾ末

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12話 ただでは転ばないってか、射命丸よ

 

「ほら、これをこうやって……はっ!…………とこんな感じだ。ほれ、やってみろ」

 

 ドサァァ…………

 

「「「無理です!」」」

 

「なんだよ、折角やってやったのに」

 

 

今日はおれの部下(4馬鹿&射命丸)におれの剣術を披露している。

 

なぜそんなめんどくさいことをしているのかというと、実はこの前4馬鹿がおれに一瞬でやられたことが原因だ。

おれに瞬殺されたことにより4馬鹿はおれをなぜか尊敬するようになり、よくつっかかってくるようになった。

それで今回、4馬鹿がおれにどんな剣捌きかみたいと鼻息荒くしてつめよってきたので仕方なく見せている。因みに射命丸は呆れたように4馬鹿をみている。

あとさっき部下達に見せたのはただ単に玲瓏七霊剣をだして木を切り刻んだだけだ。まあ、それで木は無惨に倒れたが……でもさっきあいつら無理っていってたけど天狗ならこれくらいできるとおもうんだが

 

「妖怪だろ、こんぐらいやってみせろ」

 

「いやいや、木を倒すだけなら兎も角剣を作り出すなんてこと到底できないっすよ」

 

「もう能力の域ですよ!」

 

「ふん、こんなの使わなくても支給の剣でどうとでもなるわ」

 

「射命丸、この霊力剣をなめちゃいけないぞ。いちいち腰にかけたりして持ち運ぶ必要もないし霊力が尽きない限りいくらでも生成できるからかなり便利なんだぞ」

 

 

それに霊力を込めれば込めるほど強度も増すしな。

 

 

「っていっても私あまり剣とか使わないしねぇ」

 

「なにいってんだ。おれと戦ったときバリバリ使ってきただろうが」

 

「あ、あのときは手っ取り早く済ませようとして使ってただけよ」

 

「それで負けるとか……ぷっ、お笑い様だな!」

 

「くっ……!この!ここであんたの息の根を止めてやる!」

 

ほう、こいつ。そんなにおれを下に見てたというのか?これはちょっと心外だな

 

「お、やるか?別に戦ってもいいけど次おれにまけたらため口厳禁だからな?」

 

「別にいいわ、どうせ私が勝つんだから!でも私だけかけるのもなんだしもし私が勝ったらあんた一生私の下僕ね!」

 

「はあ?!なんだよそれ、ずるいぞ!それじゃあ追加でおれが勝ったらもうおれん家の掃除を毎日しろよ」

 

「なっ!あんただけズルい!それなら私は…………」

 

 

 

 

 

それからなんか色々出しあって結局こんなにかけるものが増えてしまった。

 

 おれ・下僕になる

   ・妖怪の山を裸で10周

   ・天魔の前で下ネタをいう

   ・天狗たちの前で『僕は変態です!』と暴露

 

 

 射命丸・敬語を使う

    ・おれん家を毎日掃除

    ・4馬鹿分の哨戒任務をする

    ・萃香に挑発する

 

 

 

なんかおれのかける方がハードルが高いような気がするがまあいい、勝てばいいのだ。部下に負ける上司は上司じゃない。

 

 

 

「それじゃあ始めます!」

 

と、4馬鹿の一人が合図を送る。場所は前おれの処刑場にされた広場。戦うのならもってこいだ。

 

『ずっと黙って見てたんですがなんで戦う羽目になってるんですか……』

 

翠よ、そんなの決まってるだろう。天狗の鼻っ柱を折るためだよ!勿論物理的にな!!

 

 

「始め!」

 

「ふん!」 

 

と、4馬鹿の合図とともに射命丸が扇子のようなものを取り出して横に振った。

するとそこから風の弾、風弾が5、6個出てきた。

 

 

「これかぁ」

 

あれは結構めんどくさい。風弾の周りには風が纏ってあるのでギリギリで避けたら皮膚や服が切れてダメージを食らうし普通の霊弾で対処するとそこから鎌鼬が起こったりと色々付属効果がついてる厄介な弾だ。

 

これを対処は大まかに避けるか鎌鼬がおこる範囲よりも大きい技を出すかだ。

 

 

「ほいっと」

 

爆散霊弾も出すまでもないし、これが罠だとわかっているので『わざと』上に飛行して風弾を避ける。

すると____

 

「これで終わりよ!」

 

「だろうと思ったよ」

 

「なっ!?……ぐふっ!」

 

 

案の定罠だった。おれが上に飛行するとともにそれの何十倍の速さでおれの後ろにまわってきて扇子を降り下ろそうとしてきた。

それを予測していたおれは少々射命丸の速さに焦りながらも振り向かずに後ろへ爆散霊弾を2発放った。

……今の音からして見事命中したようだ。

 

 

「な、なんで今のが分かった……の?」

 

おお、流石は実力だけなら天狗の中でも五本の指に入るらしい射命丸だ。足がおぼつきながらも立っていられるとはな

 

「んなの簡単だ。お前の風弾が左右に避けられないれないような配置になってたからだよ。少しの傷を躊躇わないで突っ込むのもよかったんだけど面倒だからお前の罠にわざと乗ってやったわけ」

 

「く…………それじゃあ、なん……で私が後ろに来るとわかって……たの?」

 

「それも簡単。速さに自信がある奴は大抵相手の背後を取りたがるもんだ」

 

良い例が小野塚と道義だな

 

 

「それじゃあ続きを始めるか!」

 

「え、ちょっとまって!?まだ完全に治ってな……」

 

「そんなの知るか!」

 

「こ…………のろくでなし!!」

 

『ろくでなし!!』

 

 

翠、お前はだまってろ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すげぇ、文がなす術なくやられたぞ……」

 

「さすが熊口様だ!」

 

「私達とは格が違う!」

 

「すんげーなぁ」

 

「いやぁ~誉められてもなにもでないぞ~、いや、でも仕方がないか!だっておれ強いらしいからな!!」

 

「「「…………」」」

 

おっと、いつもの悪い癖が出てしまった。

 

取り敢えず今回も射命丸との勝負はおれの勝ちになった。まあ、当然の結果かな?

 

 

『射命丸さんの体が埋まってる!?どう戦えば顔だけ残して土に埋まらせることができるんですか!?』

 

「ん、てきとうにいたぶったらこうなった」

 

「この…………絶対、に殺して……やる」

 

『殺害予告されちゃってますよ』

 

「いやぁ、よかったねぇ。こんなことするなら私も誘ってよ」

 

「「「伊吹様!!?」」」

 

と、萃香が広場の奥の方から歩いてきた。またいつもの覗きか?

 

 

「おお、萃香か。丁度良かった。射命丸、約束だ、しろ」

 

「え…………ちょっと今は……」

 

「かけただろ?」

 

「ん、約束ってなんだい?」

 

「うっ…………覚えてなさい、あんた!!」

 

「敬語使え敬語を」

 

それもかけたでしょうが

 

「やーい、萃香!幼女!酒ばっか呑んでるから身長も胸も伸びないんだよ!」

 

おお、言いおったよこいつ。しかも言っちゃあかんやつも言いおった

 

「………………ほおぉう?埋まった状態でよくそんな事が言えるねぇ。見直したよ」ゴキッゴキッ

 

「え、あのぉ、今のは……はい、言葉の綾というもので……」

 

「覚悟はいいかい?」

 

「…………生斗さん、助けて……」

 

「……すまん」

 

おれなんかじゃあこの状態の萃香を止められる気がしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

この日女天狗の叫び声と女鬼の怒鳴り声が

妖怪の山に鳴り響いたそうだ。

 

 

 

 

 

 

『いやぁ、あんな状態で射命丸さんにあんなこと言わせるなんて、ほんと熊口さん最低ですね。軽蔑します』

 

「いや、おれもあそこまで射命丸が萃香に言うとは思わなかった。せめて″ほら、かかってこいよ”ぐらいかと思ってた」

 

「へぇ、あんたがこの天狗にあんなこと言わせたんだぁ」

 

「へ?」

 

と、後ろからボロボロの射命丸の首根っこ掴んだままの萃香がいた。

……やべーな

 

 

 

「流石は天狗の上司だ」ニコッ

 

「……だろ」ニコッ

 

「んじゃ、部下の失態は上司である生斗が責任をとらないとね」

 

「…………」

 

「んじゃ、殺ろうか」

 

「…………」ダッ

 

「あ、逃げるな!!」

 

 

ここは逃げるに限るぜ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 このあと呆気なく捕まり萃香に酷い目にあわされた。いや、ほんと酷い目にあった。……とんだとばっちりをくらったよ……

 

『ほんとザマァないですね』

 

翠、今日の夕飯抜きな

 

『えぇぇ!?』


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