二組に中国の代表候補生、凰 鈴音が転校して来たその日の放課後、綾人は図書室にいた。本当は一夏にISの訓練をしないかと誘われていたが、それを断ってまで図書室で本を読んでいた。綾人は一夏にはちゃんとした理由で断ったが、本心はあの輪の中に入りたくなかったからだ。綾人はあの中にいると精神が辛いらしい。
(もうこんな時間か。そろそろ部屋に戻るか)
綾人は長い時間図書室にこもっていたみたいだ。
綾人が自分の部屋に戻る時はいる一夏の部屋の前を通るのだが、一人の場合は素通りするのだが、今日は一人のはずなのに素通りしなかった。否できなかった。なぜなら綾人が一夏の部屋の手前にいる時に、鈴音が一夏の部屋から飛び出して来たのだ。
(!?何で凰が織斑の部屋から出てきた!?それに泣いてるし、何があった?)
「ファ、凰さん……?ど、どうしたんですか?」
「何よ!あんたには関係ないわよ!」
(確かに凰が何で泣いてるのかは俺には関係ないが、何故だ?放っておこうとすると凄まじい罪悪感に見舞われてしまう)
「あ、あの……僕で良かったら話を聞きますけど……」
「……聞いてくれる?」
「は、はい。じゃあ場所を変えましょう」
綾人は廊下から場所を変え、鈴音の部屋で聞くことになった。そして綾人は鈴音から事の顛末を聞いた。なんでも、一夏に料理が上手くなったら毎日酢豚を作ってあげると約束したらしいが、一夏はそれを奢ってくれると勘違いしたらしい。鈴音はそれで一夏が約束を覚えてないと思い泣いて出てきたそうだ。それを聞いた綾人は……
(うんまあ、なんて言うか……馬鹿なんじゃないかな?)
綾人は呆れ返っていた。
「あ、あの凰さん、それって要するにプロポーズですよね?」
「……そうよ」
「今日の様子を見て思ったんですけど、織斑君にそういう遠回しに言うのは無謀だと思うんですけど」
「……一夏がああ言う性格だってわかってたわよ。でも、気付いてくれると思って……」
(織斑って、意外に女に好かれるんだな)
「凰さん、僕からは大したことは言えませんが……もう率直に言った方が良いと思いますよ」
(じゃないと見てるこっちが辛いからな)
「それができないからこうしてるんでしょ!」
(……ダメだ。もう付き合いきれない)
「じゃ、じゃあ、頑張ってください。いろいろと」
「ねえ!話聞いてくれるんじゃないの!?」
(これ以上は無理だ)
「す、すいません、僕はこれで失礼します。じゃあクラス対抗戦、頑張ってください」
そして綾人は鈴音の部屋から出て行った。
そしてクラス対抗戦当日。最初の対戦カードは1組VS2組。つまり一夏VS鈴音だ。最初からこの組み合わせは、皮肉なものである。
(いきなあいつらか。ついこの間因縁ができたばかりだぞ)
綾人がそう言っても、決まっているものは仕方が無い。そして綾人は一人でアリーナのギャラリーにいた。
(まあ、今回は純粋に楽しませてもらいますか)
そして試合が始まった。
(流石、代表候補生だけあって凰は強いな。だが、それに負けてない織斑も中々だ)
一夏と鈴音の勝負は互角になっている。鈴音は専用機『甲龍』をまとっている。その時、甲龍の肩が開き、球体が光だした瞬間に一夏が吹っ飛ばされた。あれは甲龍による『衝撃砲』というものだった。
(今回は凰に軍配が上がるか?それとも……)
そして一夏は鈴の隙を突いて 『瞬時加速』を使い、接近したところを雪片で鈴に攻撃をする瞬間……悲劇が起こった。
ズドオオオオオンッ!!!
「ッ!?」
突然大きな衝撃がアリーナ全体に走った。
(なんだ今のは!??明らかにあいつらから出た衝撃じゃない!)
今の衝撃でアリーナは砂煙が充満していたがすぐにその煙は晴れた。そこには、全身装甲の謎のISがいた。
(なんだあれは!?あれもISなのか?)
綾人が思考している間に避難指示が出されたが、綾人は避難せずにアリーナを見ていた。アリーナは、突如現れた謎のISが一夏と鈴音に襲いかかっていた。
(何なんだよあれは……)
綾人は突如現れたISを見て若干だが怒りの感情が湧いていた。
(あんなもののために父さんと母さんは……)
綾人の両親の死はISを世界に広めるために隠蔽された。そしてそのISが今、目の前で襲撃しているのだ。しかもそのISは一夏と鈴音を倒そうとしていた。
(……ふざけんなよ……)
そして綾人の怒りは頂点に達した。
「ふざけんなああああ!!!」
綾人の右手首にはブレスレット『アグレイター』が装着されていた。アグレイターのブレード部分が左右に展開すると中央の発光体が点滅しながら青く発光した。綾人はアグレイターを腕の前に持ってくるとアグレイターが回転し、ブレードの上部から青い光が開放され、綾人を包み込んだ。その光は、綾人を包み込むと綾人ごとそこから消えた。
アリーナでは一夏と鈴音が襲撃者と戦っていたが、状況はあまり良くなかった。それでも一夏達は襲撃者に立ち向かって行ったが、その時
「一夏ぁっ!」
「箒……?」
「ちょ、ちょっと! あの子何考えてるのよ!?」
突然箒が大声を上げ一夏を見ていた。
「男なら……男なら、そのくらいの敵に勝てなくてなんとする!」
箒の声に襲撃者が反応した。襲撃者は狙いを箒に変えた。
「箒、逃げろ!!」
だが遅かった。箒に向けてISのビームが発射された。
「箒ぃぃぃぃぃぃ!!」
ISの攻撃が箒に迫る。だがその時、空から光が落下しISの攻撃を弾いた。そのため箒に攻撃が当たることはなかった。
「な、何だ?」
「まさか、新手!?」
二人はまた別の敵が来たのではないかと思った。だが、そこから現れたのはISではなく、青い光の戦士、『アグル』だった。
アグル降臨(人間サイズ)