綾人達は第二グラウンドに集合した。綾人と一夏、シャルルが更衣室に向かおうとした時には噂を聞き付けた女子達に囲まれたがどうにか逃げ切り無事に更衣室に辿り着き着替えを済ませた。だが、着替えの時のシャルルの言動が所々おかしかった。何がおかしかったのかと言うと、一言で言えば女々しい。女子力が高いとそれまでだが、それがあからさますぎていて綾人は違和感を感じた。更にはシャルルが着替えようとした時は綾人と一夏を自分の視界から外させた。綾人は別に人の着替えを見る趣味はないが、あそこまで念を押されるとは思わなかった。綾人は、そんなシャルルに疑念を抱きながら授業に出た。
(シャルル・デュノアか。男子とは言え、警戒しておいた方がいいな)
「では、本日から格闘及び射撃を含む実戦訓練を開始する」
(ISを使うのは今に始まったことじゃない。俺がISを動かしてしまった以上、ISを使わなければならない事はこれから多くあるはずだ。ISが憎いのは今も変わらない。だが、それを面に出さないようにするには、大人しくこうやって授業を受けるしかない。母さんに迷惑をかけないためにも……)
綾人はそんな事を思いながら授業に臨んだ。
「今日は戦闘を実演してもらおう。ちょうど活力が溢れんばかりの十代女子もいることだしな。凰!オルコット!」
千冬はセシリアと鈴音を指名した。
「何であたしが!?」
「な、なぜわたくしまで!?」
「専用機持ちはすぐにはじめられるからだ。いいから前に出ろ」
(オルコットと凰か。どちらも代表候補生で専用機持ち。手本を見せるなら、妥当だな)
セシリアと鈴音は最初は乗り気では無かったが何故かいきなりやる気を出した。
「それで、相手はどちらに?わたくしは鈴さんとの勝負でも構いませんが」
「ふふん。こっちの台詞。返り討ちよ」
「慌てるなバカども。対戦相手は……」
(この2人で戦うわけじゃないのか。じゃあ誰が?)
千冬が対戦相手を言おうとした、その時だった。
キィィィィン……
(……何だこの音は?何かが近づいてきてるようだけど?)
何かが近づいている音がした。そしてそれが近づくにつれて、正体がわかった。
「ああああーっ!!ど、どいてください~っ!!」
その正体はISに乗っている真耶だった。
(えっ?山田先生?……え?)
綾人はISに乗っているにも関わらず落下してくる真耶を見てただただ呆然としていた。まさに開いた口がふさがらない状態になっていた。
(どうして山田先生が……落ちた)
綾人がそう考えている間にも真耶は落下してしまった。……一夏の所に。
(え、え〜?)
綾人は既に頭が目の前の状況についていけてなかった。
「あ、あのう、織斑君……ひゃんっ!」
(……何やってんだあいつ?)
一夏は真耶が落下してきた時の衝撃もあり、真耶の胸を鷲掴みにしていた。
「その、ですね。困ります……こんな場所で……。いえ!場所だけじゃなくてですね!私と織斑君は仮にも教師と生徒でですね!……ああでも、このまま行けば織斑先生が義姉ねえさんってことで、それはとても魅力的な」
(……何言ってんだこの人?)
遂に綾人は目の前の状況から目を逸らし現実逃避をしてしまった、
そして綾人が現実逃避をしてる間に話は進んでいた。
「さて小娘どもいつまで惚けている。さっさとはじめるぞ」
(山田先生が2人の相手か。いくらオルコットと凰が専用機持ちとは言え、どうなるか)
「え?あの、二対一で……?」
「いや、さすがにそれは……」
「安心しろ、今のお前たちならすぐ負ける」
千冬はセシリアと凰に負けると言い放った。それは誰がどう見ても挑発にしか見えなかった。
(ほう。随分と言うようだ。山田先生はそれ程の実力なのか)
「では、はじめ!」
(始まった。先生対生徒とは言え、専用機持ち2人を同時に相手にするなら、山田先生はハンデなしか)
「さて、今の間に……そうだな。ちょうどいい。デュノア、山田先生が使っているISの解説をしてみせろ」
「あっ、はい。山田先生の使用されているISは」
シャルルが説明をするも、綾人はシャルルの説明をほとんど聞かずに勝負を見ていた。そして、説明をしている間に決着がつきそうだった。
「ああデュノア、いったんそこまででいい」
決着がついた。結果は真耶の勝利となった。
「くっ、うう……。まさかこのわたくしが……」
「あ、アンタねえ……何面白いように回避先読まれてんのよ……」
「り、鈴さんこそ!無駄にばかすかと衝撃砲を撃つからいけないのですわ!」
「こっちの台詞よ!なんですぐにビットを出すのよ!しかもエネルギー切れるの早いし!」
(まさか本当に山田先生が勝つなんて思わなかったな)
「これで諸君にもIS学園教員の実力は理解できただろう。以後は敬意を持って接するように」
(まさかそれを伝えるためだけの勝負だったんじゃあるまいな?まあ、そんな事はどうでもいいか)
「専用機持ちは織斑、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ、凰だな。では九人グループになって実習を行う。各グループリーダーは専用機持ちがやること。いいな? では分かれろ」
千冬の指示に従い生徒達は分かれた。途中イザコザがあったがグループ分けは出来た。結果、綾人はセシリアのグループに入る事になった。
(オルコットか。オルコットなら、大丈夫か)
「オルコットさん、よろしくお願いします」
「湊さん、先ほどは無様な姿を見せてしまいましたわ」
「仕方ありませんよ。先生が相手でしたから。それでも戦えたんですから、オルコットさんはやっぱり凄いですよ」
「ふふっ、ありがとうございます。では始めましょう」
セシリアによる指導が始まった。セシリアの説明は論理的だったが綾人はそれを理解したのか、言う通りしたら出来た。
「湊さん、上手ですわね」
「そんな、オルコットさんの教え方が上手いんですよ。でも、ありがとうございます」
(オルコットの指導なら、俺は付いていける。他の奴らは知らないけど。俺が人並みにISを使えるようになるには、まだ時間がかかる。一応使えるようにしないと、俺が怪しまれる。そのためには、こいつが必要だ。なら)
「あの、オルコットさん」
「?湊さん、どうされました?」
「時間がある時でいいので、良かったら僕にISの事教えてくれませんか?」
「わ、わたくしがですか?」
「はい。どうですか?」
セシリアが少し考え、すぐに結論を出した。
「わたくしで良ければ、ご指導いたしますわ」
(よし)
「ありがとうございます!よろしくお願いします!」
綾人のこの思いは本心か?それとも……