『お父さあああん!!お母さあああん!!』
それは、突然の出来事だった。突如2000発以上のミサイルが日本に迫って来た。何ともない日常に突然の脅威が目の前にあった。そしてそのミサイルはビルに直撃し、破壊されたビルの瓦礫は無情にも近くにいた3人の人間を巻き込み落下した。だが、3人のうちの1人である子供は2人の人間に助けられ1人生き延びた。
『うわあああああああ!!』
「ッ!?」
綾人はハッとなったように目を覚ました。
「ハァ、ハァ、ハァ……ゆ……夢……?」
綾人は夢を見ていた。あの時の、綾人の家族が死んだ出来事である白騎士事件の夢を。
(何で……今更……)
綾人はわからなかった。何故今になって白騎士事件の夢を見たのか。白騎士事件の直後はその時の夢を頻繁に見ていたが時が経つにつれてその夢は見なくなっていた。だが、たった今、綾人は白騎士事件の夢を見たのだ。
「湊さん、起きられましたか?」
「え?」
綾人は声がした方を向くと、セシリアがいた。
「オ、オルコットさん?」
(何でオルコットが……?ここは、医務室か?)
「だいぶ魘されていましたけど、大丈夫ですか?」
「魘されていた?」
「全く、五月蝿くて寝れたもんじゃないわよ」
「凰さん。す、すいません」
(そうか、俺はあの時……)
綾人は思い出した。ラウラを止める為に立ち向かったが逆にやられてしまった事を。そしてその時に気を失った事を。
(ボーデヴィッヒにやられている2人を見て、俺は感情のままに奴に向かっていった。そして俺は奴に負けた。それにしても……)
すると綾人はセシリアと鈴音の方を見つめた。
「?どうされました?」
「あっいえ、何でもないです……」
(俺があそこまで感情的になるなんて……そうか、俺は2人を父さんと母さんに重ねていたのか。だからあんな真似を……。だが、まずいな。あそこで俺は素の俺を出してしまった。確実に見られている。いや、上手く誤魔化せればどうにかなるか……?)
綾人はラウラと対峙した時に本来の自分を出してしまった。綾人にとってそれはかなり致命的なことだった。普段と全く違う自分を見たことにより、自分に対して疑念を抱かれるのではないかとおもったからだ。その結果として、自分がウルトラマンだと勘付かれるとではないかとも思った。
「それで、あの後どうなったんですか?」
「織斑先生が来てその場はおさまりましたわ」
「そうですか……」
(来るのが遅いんだよ。でも、騒ぎを聞きつけてから来るんだから無理ないか)
綾人はそう思い無理矢理納得した。
「それと、山田先生からですが、私達は今度のトーナメントには出られないということになりました」
(まあ、そうなるだろうな)
「仕方ないですね。僕等がこんな状態なんですから」
綾人達は、トーナメントに出られなくなった。確かに、綾人達の身体の事を考えれば妥当な判断だろう。
「残念ですわね。私と湊さんとの初めての共同作業でしたのに」
(……何を言ってるんだこいつは?)
「何ですか共同作業って?」
「ふふっ、冗談ですわ」
(……冗談に聞こえなかったんだが……)
「……ねえ、そういう話は他所でしなさいよ」
今迄口を出さなかった鈴音が遂に口を開いた。
「あら?別に深い意味はございませんが?」
「だったらそんな言い方するんじゃないわよ!」
「あの〜、僕から聞きますけど逆にどんな意味があるんですか?」
「自分で考えなさいよ!」
(何だその理不尽?)
「鈴さん、そんな声をあげると傷に響きますわよ」
「あんた達のせいでしょ!」
(だから何だその理不尽は。それに俺まで一緒かよ)
「全く、あんたも一夏と同じね」
すると鈴音は綾人は一夏と同類と言い出した。
(あいつと一緒にするなよ。だが、何だこの感情は?)
綾人にはある感情が芽生えていたが本人はそれが何なのかわかっていなかった。
「……綾人さん」
「はい?ッ!?」
綾人はセシリアが自分を名前で呼んだ事に気付いた。
(こいつ、今俺を名前で!?いや、これこそ深い意味はないだろ!ただ名前で呼んだだけだ、そうに違いない!)
綾人は自分にそう言い聞かせているが自分もある事を思い出した。
『セシリアッ!?』
ラウラに立ち向かった時に無意識にセシリアを名前で呼んでいたのだ。
(俺もあの時、あいつを……)
「かっこよかったですわ。」
「あ、ありがとうございます……?」
(かっこよかった?冗談言うなよ。俺は無様に負けたんだぞ。それなのに……)
「だからそういうのは他所でやれって言ってるでしょうが!!」
(だから何だその理不尽は)
最後に鈴音の怒号が響いた。
ウルトラマン要素が無いですが、基本的には非常事態でない限りアグルにはなりませんのでご容赦ください。当たり前ですが。
そしていずれ「懺悔の用意は出来ているか」的な台詞を言わせたいと考えちゃったりしています。機会があればの話ですが。