(何!?何が起きたの!?)
綾人は自分の身に何が起きたのか全く把握できなかった。波に飲み込まれたと思ったらあの青い巨人と同じ姿になっているのだから。ただ決定的に違うとわかるのは、今は巨人ではないという事だけだ。直感的に今は普通の人間と同じサイズだという事は理解していた。そして目の前には、何発ものミサイルが迫って来ているという事を。
(ど、どうすれば!?)
綾人は突然の事態にどうすればいいのかわからなくなった。だがその時、綾人の頭の中にとあるビジョンが映った。
(これは?)
それは、青い巨人=アグルが頭から光線を放つ光景だった。
(もしかしたら!)
綾人は、ビジョンで見た通りに、右腕を上に挙げた。すると、アグルの頭部から光が出現した。そしてアグルは右腕を振り下ろすとその光は光線となり、ミサイルに向かって放たれた。必殺光線『フォトンクラッシャー』が、ミサイルを一気に破壊した。
(凄い、これなら!)
綾人は子どもながらに凄いと思った。ミサイルを破壊していると。そしてアグルは、フォトンクラッシャーで次々とミサイルを破壊していった。だが、また次々とミサイルが迫って来る。すると今度はフォトンクラッシャーとは別のビジョンを見た。それは、アグルが両腕で光弾を作り、それを放つ光景だった。綾人はすぐにそれを実行に移った。アグルは両手の間にエネルギーを作り、それを青い光弾に変え、ミサイルに向けて発射した。『リキデイター』でミサイルを破壊した。アグルはリキデイターを連射し、次々とミサイルを破壊した。そして遂に、日本に迫っていたミサイルを一掃した。
(やった!)
綾人は心の中で喜んだが、それも束の間だった。
「貴様、何者だ!?答えろ!!」
(えっ!?何つ!?)
綾人は突然白い騎士に敵意を向けられた。武器が既に自分に向けられている。
「答えないなら、こちらから行く!!」
(っ!?)
白い騎士が自分を攻撃してくることを悟ったアグルは、咄嗟に右手に光の剣『アグルブレード』を作り、白い騎士の攻撃を防いだ。そしてアグルはそのままアグルブレードで白い騎士を斬りつけた。
「うあああ!!」
白い騎士を斬りつけたアグルは光り出し、白い騎士の前から消えた。
「あいつは、一体……」
綾人の両親が埋もれた場所に、光が降り立った。その光が晴れると、そこから綾人が現れた。
「はあ、はあ……。!?お父さん!?お母さん!?」
自分がいる場所が両親が埋もれている場所と気付いたのか、再び両親の所に行くが、既に跡形も無かった。
「……お父さん……お母さん……ウワアアアア!!!!」
綾人は泣き続けた。6歳の子どもにとって、両親が目の前で死ぬのはあまりにも辛すぎる現実だった。
そしてこの事件は、『白騎士事件』と名付けられた。
白騎士事件から数日後、綾人の両親の葬儀が行われた。綾人の祖父母、叔父叔母も、当然参列していた。
葬儀が終わり、綾人をどうするかの話になったが、田舎の母方の祖父母が引き取る事に決まった。そこには、叔母もいるので簡単に話は纏まった。
「どういう事ですか!?」
(叔母さん、どうしたんだろう?)
綾人は叔母が誰かと話している所を見たが、只事では無いようだ。
「今お話しした通りです。湊ご夫妻の死因は交通事故という形で世間に公表します。異論は認めません」
「そんな!?絶対おかしいです!!」
(交通事故?なんで?お父さんとお母さんが死んだのはあのミサイルのせいなのに、何で!?)
叔母が言い争いをしていたのは政府の人だった。政府は白騎士事件の事実を隠蔽しようとしていた。そして綾人は、叔母が泣いているのを目にした。
政府が綾人の両親の死因を隠蔽したのには理由があった。ミサイルを破壊した白騎士の有用性を示すためだった。白騎士はインフィニット・ストラトス、通称ISと呼ばれるものである。宇宙進出を目的としたマルチフォームスーツであるが、白騎士がミサイルを破壊したため、兵器として見るようになった。それから世界はISが中心となった。だが、ISにはとある欠陥があった。それは、女にしか使えないという事だ。それでも世界はISを受け入れた。その結果、弊害が生まれた。それは、『女尊男卑』だ。政府は女性優遇制度を導入した。その結果、男の立場は完全に無くなったと言って良いだろう。
そして、数年の時が過ぎた。まさかさらに世界を震撼させるとは、この時誰も思わなかった。
察しているとは思いますが、このアグルはV1です。