インフィニット・ストラトス アグル   作:K.V

20 / 58
第17話

あれからしばらくして、綾人は自由に動けるようになった。元々大した怪我ではなかったのだが、安静にしていろとのことで部屋で待機していた。しかし、身体の方が大分回復してきたのでそれが解除された。それでも、今度の学年別トーナメントに出られないことには変わりはないが。

 

「部屋に籠もりっぱなしも、案外悪くなかったな。そうか、一日中1人だったこと自体が久しぶりか」

 

そう言いながら綾人は歩いていた。何気に綾人は休日でも誰かといることがが結構あったのだ。そんな事を思いながら歩いていた、その時だった。

 

(……あれは、ボーデヴィッヒか?)

 

歩いている時に綾人はラウラと遭遇した。だがラウラは綾人の事はスルーして通り過ぎようとしていたが、綾人が自分を見ていた為立ち止まった。

 

「何だ?」

 

「いえ、別に」

 

「ならばどけ」

 

ラウラは今度こそ通り過ぎようとした。

 

「……謝ったんですか?」

 

「……何?」

 

なんと綾人が自分からラウラを呼び止めた。

 

「オルコットさんと凰さんに謝ったんですか?」

 

綾人はラウラにセシリアと鈴音に謝ったのか問い詰めた。

 

「ふん、そんな事か。何故私があいつらに謝らなければならない?」

 

(こいつ……)

 

ラウラは逆に何故自分が謝るのかと質問を質問で返した。

 

「あれはやり過ぎです。あそこまでする必要は無かった筈です」

 

「ふん、弱い奴が悪いのだ。あの2人が同時に掛かって来たのにもかかわらず負けた。それだけだ」

 

「ッ!?」

 

ラウラの言っていることは間違っていない。確かに、あの時は2対1だった。それでも結果はラウラの圧勝である。二人掛かりなのにもかかわらずラウラが勝ったのは、かなりの実力差があると言えるだろう。

 

(弱い奴が悪い……確かに、そうかもな……)

 

綾人はラウラの言葉に不本意ながら納得してしまっていた。綾人自身もラウラに負けた。それは、自分自身も弱いからだという事だ。そして綾人は2人がやられている所を両親が死んだ瞬間とダブって見えた。その時も何も出来ずにただ黙って見ているしか無かった。もっとも、当時6歳だった子どもに、何ができるのか。だが、綾人はそこでアグルの光を掴み、今こうして生きている。

 

「……それでも、限度ってものがあるでしょ……」

 

「言っただろ、弱い奴が悪い」

 

それを聞いた綾人は、無意識に拳を握りしめていた。

 

「話は終わりか?なら私は行かせてもらう」

 

そう言うとラウラは去って行った。綾人は、去って行くラウラをただ黙って見ていた。

 

(そういえば……)

 

綾人は、ラウラがある会話をしていたのを思い出した。

 

 

 

『なぜこんなところで教師など!』

 

『やれやれ……』

 

『何度も言わせるな。私には私の役目がある。それだけだ』

 

『このような極東の地で何の役目があるというのですか!お願いです、教官。我がドイツで再びご指導を。ここではあなたの能力は半分も生かされません』

 

『ほう』

 

『大体、この学園の生徒など教官が教えるにたる人間ではありません』

 

『なぜだ?』

 

『意識が甘く、危機感に疎く、ISをファッションかなにかと勘違いしている』

 

『そのような程度の低いものたちに教官が時間をさかれるなど』

 

『そこまでにしておけよ、小娘』

 

『っ……!』

 

『少し見ない間に偉くなったな。十五歳でもう選ばれた人間気取りとは恐れ入る』

 

『わ、私は……』

 

 

(そうか、あいつ軍人か。だからあそこまでの実力を。そして、その時の教官が織斑千冬。……面倒だな)

 

そして、綾人も歩き出した。

 

 

 

学年別トーナメント当日

 

会場となるアリーナの観客席は大勢の人々で溢れかえっていた。その中には、各国政府や企業の代表もいる。

 

(全く、わざわざこんなものを見に来るなんて、ご苦労なこった)

 

そんな事を思ってる綾人も客席の中に紛れていた。今回、トーナメントに出ない綾人は、大人しく客席に回ることにしたのだ。

 

(まあ、今日は黙って見物でもさせてもらうか)

 

トーナメントに出られない綾人だが、実は本人にとっては都合が良かったりする。何故なら、今回のトーナメントに来ている来賓の中に、白騎士事件を隠蔽した政府の連中がいる可能性があると思ったからだ。仮にその連中がいたとして、トーナメントに出た場合に目をつけられたくは無かった。もし目をつけられた場合、何か仕掛けてくるだろうとも考えていた。それはやはり、『白騎士事件の被害者』と、『ISを動かした2人目の男』というレッテルが大きいだろう。前者は、政府にとっては邪魔な存在でしかない。既に白騎士事件での死者は0だと全世界が認識している。それが実際は、死者がいたと知られる事になれば、政府にとっては大惨事である。そして後者は、あくまで2人目だということだ。最初に動かした織斑一夏には、織斑千冬という後ろ盾がいる。だが、一般人の綾人にはそんなものはない。男でもISに乗れるようにするための、モルモットにされかねない。そして、男がISを動かした事を良く思わない奴がいた場合には、真っ先に自分が狙われるだろうと思った。

 

(オルコットには悪いが、これで良かったのかもな)

 

と、思っていた時だった。

 

「湊さん?」

 

「オルコットさん?」

 

なんとセシリアが話しかけてきた。

 

(何でオルコットがここに?)

 

「あれ?確か凰さんと一緒だったんじゃ?」

 

「そうだったのですが……」

 

 

 

『セシリア、あんた綾人の所に行きなさいよ」

 

『?どうしてでしょうか?』

 

『あんたね〜。いいからさっさと行きなさい!』

 

『わ、わかりましたわ』

 

 

 

「と、いうわけですの」

 

「は、はあ……?」

 

(まるで意味がわからない)

 

ちなみに呼び方はいつも通りに戻った。

 

「それにしても、これだけ人がいて、あの時みたいなことが起きないといいんですけどね」

 

「あの時ですか?」

 

「はい、クラス対抗戦の時です。あの時は、人が多く無かったので僕も含めてみんな避難出来ましたけど、しかし今日は、これだけの人がいるんです。もし何かあった時の事を考えると……」

 

「……何も起きない事を、祈るしかないですわね」

 

 

 

対戦カードが発表された。最初の対戦カードは、

 

『織斑一夏&シャルル・デュノア』VS『ラウラ・ボーデヴィッヒ&篠ノ之箒』

 

 

 




スティーラー禁止は他のシンクロを使う人にダメージがでかすぎます。(私です。レベル5シンクロのウォリアーどうやって出せばいいんですか!?)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。