学年別トーナメント1回戦、最初の対戦カードは
『織斑一夏&シャルル・デュノア』VS『ラウラ・ボーデヴィッヒ&篠ノ之箒』
となった。
(初戦からこいつらか。まさか専用機持ち同士が最初に当たるとはな。1年の専用機持ちは確かあいつらを含めて5人。その内の2人の枠が消えた。故に3人だけ。そして専用機持ち同士がペアか。これはこの後の試合の調整も兼ねてるのか?)
綾人はそう考えた。そう考えた方が、この組み合わせにも納得できるのだろう。
(まあ、試合結果どうなろうが知ったこっちゃないけどな)
「湊さんは、どちらが勝つと思いますか?」
セシリアは綾人にどちらが勝つか聞いた。
「そうですね……やはり、ボーデヴィッヒさん達ですかね?」
「理由を聞いてもよろしいですか?」
「理由は単純ですよ。あの中ではおそらくボーデヴィッヒさんが1番実力が高い。場数も相当踏んでると思います。例え2対1になったとしても、ボーデヴィッヒさんならどうにかなるでしょう」
綾人はそう答えた。
(じゃないと、あの時の事に説明がつかないからな)
「湊さんは、よく考えていらっしゃるのですね」
「……まあ、それが取り柄みたいなものですから……」
綾人は半笑いしながらそう答えた。
試合が始まった。試合が始まると、一夏とラウラ、シャルルと箒という組み合わせで1対1となった。
(まずは互いに1対1に持ち込んだか。最初は普通にこうなるか)
しばらくして動きがあった。箒がシャルルにやられたのだ。
(こればっかりは運が悪かったとしか言いようがないな。どちらも専用機持ちとなると、勝つ事自体が難しい)
綾人はそう結論付けた。実際、訓練機が専用機2体を相手にするには、武が悪すぎる。
(これで2対1か。ボーデヴィッヒはどう出る?)
2対1になった事により、一夏とシャルルが有利となった。数だけ見れば一夏達が有利だが、ラウラなら2対1でもどうにかなるだろうと、綾人は予想している。だが、綾人の予想は外れた。一夏がラウラを少しずつ追い詰め始めたのだ。
(ほう、意外だな。織斑がボーデヴィッヒを追い詰めるなんて。あいつ、強くなってるのか?)
綾人がそう思っているうちに、段々ラウラが追い詰められていた。あと少しすれば一夏が勝てるところまで来ていた。そして
異変が起きた。
「うあああああああああああ!!!!」
なんとラウラのISが溶け始めたのだ。
(何だ、何が起きた!?ISが溶けているだと!?いや、あれはISがボーデヴィッヒを取り込んでいるのか?)
ISはラウラを取り込み、別の姿へと変わった。
(あれは……ISが別のISに変わったのか?だが、あれは何なんだ?)
「あれは……暮桜?」
綾人がそんな疑問を抱いている時に、セシリアは変形したISを暮桜と言った。
「暮桜?」
「はい、織斑先生が現役時代に使用していたISですわ」
(あれが織斑千冬が使っていたISだと?)
「でも、何でボーデヴィッヒさんのISが織斑先生のISになったんですか?」
「……まさか、VTシステム!?」
「VTシステム……?」
(何だそれは?聞いた事がないぞ)
「ヴァルキリー・トレース・システムですわ。過去のモンド・グロッソの部門受賞者の動きをトレースするシステムだと聞いております」
(そのまんまの名前のシステムだなおい)
「それがあれ……ですか」
「しかし、VTシステムの使用は、条約で禁止されているはずなのですが……」
「じゃあ違法じゃないですか」
(何をやってるんだ、ドイツの連中は……)
『非常事態発令!トーナメントの全試合は中止!状況をレベルDと認定、鎮圧のため教師部隊を送り込む!来賓、生徒はすぐに避難する事!繰り返す!』
避難警報が鳴り響き、アリーナにいた人々は一斉に避難を始めた。
(これ、相当ヤバイって事だよな)
綾人は最悪の事態を考えた。アリーナのギャラリーは埋め尽くされている状態で一斉に避難をしたら逆に危険ではないかと。だとしても、安全に避難をしようとしたら避難に間に合わない人々も出る。さらに、VTシステムにシールドが破壊されたらタダでは済まないと。結果、綾人がとる行動は1つだった。
(……やるしかないよな)
綾人は立ち上がり、人混みを掻き分けて行くのだった。
「みっ、湊さん!?何処へ!?」
セシリアは綾人を追いかけようとしたがすぐに見失ってしまった。
綾人は人気の無い所に来ていた。そして、右手首にはアグレイターが装着されていた。
「さあて、あの時の借りを返させてもらうぜ」
どうやら綾人は、ラウラにやられた事を根に持っていたらしい。
綾人は、アグレイターのブレードを展開させた。そして、アグレイターから青い光が放たれ綾人を包み込み綾人ごと消えた。
その頃、アリーナでは
「あの野郎おおおお‼︎」
一夏はVTシステムに対して怒りを露わにしていた。
「一夏、いったいどうしたのさ⁉︎」
そんな一夏をシャルルは落ち着かせようとしていたが、一夏の怒りは治らない。
「あれは千冬姉のデータだ。千冬姉の動きだ。あれは千冬姉だけの物なんだよ!だから俺がやらなくちゃならないんだ!!」
一夏は自分がVTシステムを倒さなければならないと言った。その時
ドゴオオン!!
突如、青い光弾が上空にいたVTシステムに直撃した。光弾を食らったVTシステムは地上に落下したが、それでも光弾は止むこと無く、何発も降り注いだ。
「なっ、何!?」
シャルルは何が起きたのかわからなかった。すでに周りは砂煙に覆われており何も見えない状況だった。
「まさかっ!?」
一夏ら上空を見上げた。それに釣られてシャルルも上空を見上げた。
「湊さあああん!!」
セシリアは綾人を探していた。急に立ち上がったと思ったら何も言わずに何処かへ行ってしまったのだ。それも避難する方向では無く、全く別の所へと走って行ったのだから。それでもセシリアは綾人を探し続けた。しかし、綾人を探している最中、避難している人々の足が止まっていることに気付いた。人々は皆、同じ方を向いていた。それは、上空だった。セシリアも足を止め、上空を見た。
「あれは……?」
セシリアと人々の視線の先には、青い発光体があった。
「織斑先生、あれはもしかして……?」
「……ああ、ウルトラマンだ」
光が晴れると、そこには両手を突き出した状態のアグルがいた。アグルはリキデイターを連射していたのだった。
「一夏、あれってまさか!?」
「ウルトラマンだ。でも、何でまた!?」
避難していた人々もアグルの出現に驚愕していた。IS関係者は特に驚いていた。
(結構撃ったが、この程度じゃ効いてないだろう)
煙が晴れるとVTシステムの視線がアグルを捉えていた。
(まあ、そうなるだろうな。いいぜ、来いよ)
アグルはVTシステムを挑発した。アグルを敵と認識したVTシステムは空中にいるアグルに向かって飛び上がった。アグルはVTシステムが来た事を確認すると、さらに上に飛んだ。VTシステムは暮桜の武器である『雪片』を装備しアグルを追い掛けるが、アグルはひたすら逃げ続けていた。
管制室ではアグルの戦いを見ていた真耶がアグルの戦い方に疑問を持っていた。
「どうしたんでしょうか?最初はあんなに光弾を放っていたのに、今は逃げているだけなんて?」
「……まさか、時間稼ぎか?」
「時間稼ぎですか?」
「まだアリーナの避難は終わっていない。あのまま戦うのは危険だと判断したんだろう」
千冬の言う通り、アリーナの避難はまだ終わっていなかった。アグルは避難が終わるまで自分に注意を向けて人々を安全に避難させようとしていた。
(そろそろいいか)
アグルは避難が終わったと確認すると、逃げるのをやめ、VTシステムに振り向いた。そしてアグルは、光の剣『アグルブレード』を装備した。
(来い)
VTシステムは雪片でアグルに斬りかかって来たが、アグルもアグルブレードで攻撃を始めた。アグルブレードと雪片がぶつかり合い始めた。そして互いに距離を取った。今度はアグルから攻撃を仕掛けた。VTシステムも咄嗟に反撃に出た。再びアグルブレードと雪片がぶつかり合う。そして、何度もぶつかり合い、互いを弾いていた。
(こいつ、織斑千冬のデータだけあって手強い。隙が全然ない)
アグルは左手から『アグルスラッシュ』を放つが全て弾かれてしまう。するとVTシステムは猛スピードでアグルに接近してきた。
(ぐっ!?)
アグルは咄嗟にアグルブレードでVTシステムの攻撃を防いだ。すると、アグルの胸ランプ『ライフゲージ』が赤く点滅を始めた。
(くそっ、エネルギーが……)
アグルは、ゼロ距離で左手からアグルスラッシュを連射した。するとVTシステムはアグルから距離を取らざるを得なくなった。
(攻撃を当てるなら、あのタイミングしかない)
アグルはアグルブレードを懐に収め、ある構えを取った。アグルが何かするだろうと悟ったVTシステムは、アグルが何かする前に倒そうと思ったのか、VTシステムは零落白夜を発動し、アグルに向かって行った。アグルはVTシステムが攻撃をして来たとわかった。
(ここだ!!)
アグルはVTシステムが雪片を振りかざした瞬間、アグルがVTシステムに接近し、アグルブレードで斬りつけた。そしてアグルはさらにアグルブレードから衝撃波を放ち、VTシステムの背中に直撃させた。すると、背中からラウラが少し見えて出した。アグルはすかさず『フォトンクラッシャー』を放った。
(どうだ……?)
フォトンクラッシャーを食らったVTシステムは、強制的に解除されラウラが剥き出し状態になった。
(しまった!?)
ISが解除されたラウラはそのまま地上に落下し始めた。
「ラウラーー‼︎」
ラウラが地上に激突しようとした瞬間に、一夏がラウラを助けた。ラウラが助かったとわかったアグルは、光となって消えた。
「一夏!」
「シャルル」
ラウラを助けた一夏の所にシャルルが駆け寄った。
「あれが、ウルトラマンなんだね……」
「ああ……」
「また助けられましたね……」
「……そうだな」
そう言う千冬は拳を握りしめていた。
人気の無い所に光が降り立ち、光が収束すると綾人が現れた。
「はあ、キツかったな……」
綾人はすぐに戻ろうしたが……
「湊さん!」
そこにセシリアがやってきた。
(何でオルコットが!?まさか、見られたか!?)
綾人はセシリアに自分が急に出てきた所を見られたのかと思った。だが、そうでは無かった。セシリアは綾人の所に駆け寄ると綾人の前に立ち止まった。
「何処へ行ってたんですか!?心配したんですから!!」
「す、すいません……」
(流石にマズかったか。いきなり何処かに行くのは……)
綾人は今更に後悔した。何も言わずに消えたのだから。
その日、男子の大浴場が解禁され、綾人は風呂に浸かっていた。一夏も一緒にいた。
「なあ綾人」
「……はい?」
「ウルトラマンって、何なんだろうな」
「えっ?」
(何を言いだすんだこいつは?)
「俺、ラウラが変わった時、許せなかったんだ。千冬姉の紛い物を使っていて。だから俺があいつをぶっ倒そうって思ってた。でも、ウルトラマンが来て、あいつを倒した。そのお陰であいつは助かった。ウルトラマンは、味方なのか?」
「……さあ、僕には何とも言えないです。もう上がります」
そう言うと綾人は大浴場から出た。
綾人が大浴場から出ると、今度はシャルルが来た。
「あ、綾人君。一夏ってまだいる?」
「ええ、デュノア君は今からですか?」
「う、うん」
「時間決まっているので急いだ方がいいですよ」
「うん、ありがとう」
そしてシャルルは、大浴場へと向かって行った。その時綾人は、シャルルに対して違和感を感じた。
(あいつ、やはり……)
「……今日はみなさんに転校生を紹介します。けど紹介は既に済んでいるといいますか……」
真耶が再び転校生を紹介すると言ったが、言い方が淀んでいた。そして綾人は気付いた。シャルルがいない事を。
(なるほど、そう言う事か。ん?じゃあまさかあの時?)
綾人は察した。
「シャルロット・デュノアです。皆さん、改めてよろしくお願いします」
教室に入って来たのはシャルロット・デュノアと名乗った女子だった。
「ええと、デュノア君はデュノアさんでした。……はぁぁ……また寮の部屋割りを組み立て直す作業がはじまります」
山田先生、うんまあ、お疲れ様です。
「え?デュノア君って女の子……?」
「美少年じゃなくて美少女だったのね」
「って、織斑君、同じ部屋だったから知らないってことは」
「ちょっと待って!昨日って確か、男子が大浴場使ったわよね!?」
(あいつ、終わったな)
綾人が心の中で笑ったその時、自分に向けられている殺気に気付いた。綾人はそれがセシリアから来ていることがわかった。
(……まさか?)
綾人は恐る恐るセシリアの方を見た。
「湊さん?」
セシリアは嫌に笑顔だった。
(……やべえ……)
「あの、確かに昨日僕は大浴場に行きました。でもデュノア君、じゃなかった、デュノアさんとは入れ違いです。『僕は』決して一緒になったって事はありません。決して」
綾人は僕を強調して必死に弁明した。
「本当ですの?」
「本当です」
「……そうですか。確かに湊さんはそう言う事をする人では無いのはわかってますわ」
「ありがとうございます」
(もし出るのが遅かったら、俺も一緒になっていたのか)
その場合は、完全に不可抗力だが。
こうして、その他諸々の事態は収束した。
遅くなつたので色々詰め込んだので無理矢理になったのと駆け足気味になってしまいました。話を進めたかったのもありますが。