インフィニット・ストラトス アグル   作:K.V

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第21話

臨海学校2日目、この日より本格的な装備試験が行われる。故に、全員真剣な表情になっている。

 

「さて、それでは各班ごとに振り分けられたISの装備試験を行うように。専用機持ちは専用パーツのテストだ。全員、迅速に行え」

 

「じゃあ綾人、俺はこっちだから」

 

「はい、また後で」

 

そう言われて専用機持ちとそうでない者達で分かれた。だが、何故か箒が専用機持ち側に呼ばれた。

 

「ああ、篠ノ之。お前はちょっとコッチに来い」

 

「はい」

 

(何だ?何故篠ノ之があっちに?あいつは専用機持ってないだろう)

 

そんな綾人の疑問はすぐに解消される事になった。

 

「ちーちゃ~~~~~~~~~~ん!!」

 

突如、謎の奇声が鳴り響いた。

 

(な、何だこの声は?)

 

その奇声と共に、1人の女が現れた。

 

「………束」

 

千冬はその女を『束』と呼んだ。

 

(束?いや、まさか……)

 

「やあやあ!会いたかったよ、ちーちゃん!さあ、今すぐにハグハグしよう!そして愛を確かめ――ぶへっ」

 

すると、束と呼ばれた女は千冬に近づこうとしたところ、千冬にアイアンクローをかまされた。

 

(何だあれ……)

 

「うるさいぞ、束」

 

「ぐぬぬぬ……相変わらず容赦ないアイアンクローだねっ」

 

束は、今度は箒の所に向かった。

 

「やあ!」

 

「……どうも」

 

(あの女、まさか本当に……)

 

「えへへ、久しぶりだね。こうして会うのは何年ぶりかなぁ。おっきくなったね、箒ちゃん。特におっぱいが」

 

ゴンッ!

 

「殴りますよ」

 

「殴ってから言ったぁ!しかも日本刀の鞘で叩いた!ひどいよ!箒ちゃんひど~い!」

 

(……何を見せられているんだ俺たちは?)

 

「おい束。自己紹介くらいしろ。うちの生徒たちが困っている」

 

「えー、めんどくさいなぁ。私が天才の束さんだよ、終わり」

 

束は超簡単に自己紹介をやった。

 

(本当にあんなのが篠ノ之束なのか?でも妹に話しかけたから本物なのか……?だとしたら、バカと天才は紙一重と言うが、こういうこと……なのか?)

 

すると、束は綾人が視界に入ると、綾人の所に近づいてきた。

 

(あいつ、俺の所に来るのか?)

 

「……な、何ですか……?」

 

「君がいっくん以外にISを動かせる男なんだ」

 

(いっくん?織斑のことか?)

 

「そ、そうみたいですね」

 

束は、綾人の身体を満遍なく観察し始めた。

 

(何なんだこいつは?他人の身体をジロジロと)

 

「ねえねえ!君の身体解剖して調べても良いかな!?」

 

「……は?」

 

束の顔は、好奇心と狂気でが重なっていた。

 

(正気かこいつ!?身体を解剖だと、ふざけんな!!)

 

「やめろ束」

 

すると千冬が束の頭をグーで殴った。

 

「痛い!酷いよちーちゃん!」

 

「お前が湊を解剖すると言うからだ」

 

「や、やだな〜ちーちゃん。冗談に決まってるじゃん」

 

「お前の冗談は冗談に聞こえん。いいからさっさと用事を済ませろ」

 

「はーい」

 

束は綾人から離れ、箒のいる所に戻った。

 

(何だったんだ、解剖するとか言いやがって)

 

「先生、何なんですかあの人?」

 

「気にするな。ただの馬鹿だ」

 

(やっぱりバカと天才は紙一重……か)

 

「そ、それで姉さん、頼んでおいたものは……?」

 

頼んでいたもの?妹のあいつが姉の篠ノ之束に頼む者とすれば…….まさか

 

「うっふっふっ。それはすでに準備済みだよ箒ちゃん。さあ、大空をご覧あれ!」

 

束がそう言うと生徒全員が空を見上げた。すると

 

ズドォーン‼︎

 

(な、何だ一体……)

 

空から轟音と共に落下したもの、それは

 

「じゃじゃーん!これぞ箒ちゃん専用機こと『紅椿』だよ!全スペックが現行ISを上回る束さんお手製のISだよ!」

 

篠ノ之の専用機?まさか、姉に自分の専用機を作らせたというのか?それに、現行を上回るISだと……

 

「さあ箒ちゃん、今からフィッティングとパーソナライズをはじめようか!私が補佐するからすぐに終わるよん」

 

「……それでは、頼みます」

 

そして束は作業を始めた。だがそれをよく思わない者たちがいた。

 

「あの専用機って篠ノ之さんがもらえるの……?身内ってだけで」

 

「それってズルくない?」

 

(それ以前にいいのか?そんな理由で専用機を手に入れるのは)

 

「おやおや、歴史の勉強をしたことがないのかな?有史以来、世界が平等であったことななんか一度もないよ」

 

(こいつ……)

 

すると今度はセシリアが束の所に行った。

 

「あ、あのっ!篠ノ之博士のご高名はかねがね承っておりますっ。もしよろしければ私のISを見ていただけないでしょうか!?」

 

セシリアは束に自分のISを見てくれないかと頼んだ。だが

 

「はあ?だれだよ君。金髪は私の知り合いにはいないんだよ。そもそも今は箒ちゃんとちーちゃんといっくんと数年ぶりの再開なんだよ。そう言うシーンなんだよ。どういう了見で君はしゃしゃり出てくんの?理解不能だよ。って言うか誰だよ君は」

 

束は侮蔑するかのような目でセシリアを拒絶した。

 

「え、あの……」

 

「うるさいなあ。あっちいきなよ」

 

「う……」

 

徹底的に拒絶されたセシリアは涙目になりながら引き下がった。

 

(なんだあいつ?さっきまでと態度が違いすぎる)

 

綾人は束に不審感を抱き、束に詰め寄ろうとした。だが

 

「よせ」

 

「先生……?」

 

千冬が綾人の肩を持ち、綾人を止めた。

 

「あれがあいつなんだ。言っても無駄だ」

 

(なんだそれは?ただのコミュ症じゃないか)

 

そしてそんなやり取りをしているうちにフィッティングを終わらせた。そしてそのまま試運転を開始させた。すると紅椿は凄まじいスピードで飛んでいった。

 

(速い!?何だあのスピードは!?)

 

紅椿のスピードに、綾人だけでなく他の全員をも驚かせた。そして今度は刀を装備した。すると、十六連装ポッドからミサイルが発射された。

 

「箒!」

 

一夏は箒を心配して叫んだが、その心配を他所に箒はミサイルが来るのを身構えた。

 

「やれる……この紅椿なら」

 

そして箒は刀を振るうと帯状となったレーザーが、十六発のミサイルを全て撃墜した。

 

(……あれが現行を上回るISだと言うのか……)

 

「.........すごい性能だな、束」

 

「そうでしょ~、何たってこの紅椿は『第4世代機』なんだから!!」

 

(第4世代!?バカな!?第4世代なんて前例は聞いたことがない。あいつら、自分達が何をしようとしてるのかわかってるのか……?)

 

「織斑先生、本当に篠ノ之さんにあのISを与えるんですか?」

 

「そう言うことになる。それがどうした?」

 

「やめた方が良いと思いますよ」

 

「何?」

 

「そもそも篠ノ之さんは候補生じゃありません。織斑君は例外として、今ここで専用機を持っているのは代表候補生のみです。それに、学園にいる候補生の中には、まだ専用機を持ってない人もいるでしょう。それなのに候補生でもない篠ノ之さんがいきなり専用機を持つのはおかしな話です。さっき他の人が言ったように、篠ノ之博士の妹だから専用機を貰えると言うのは理由になりません。はっきり言って、ただの身内に対する贔屓です。それが知れ渡ったら、さっきみたいに他の人に目の敵にされるだけです。篠ノ之博士の妹というアドバンテージは、もはや関係なくなります。それに、今の篠ノ之さんは、専用機を手に入れたことで、慢心しています」

 

「湊、お前の言いたい事はわかる。だが、これは決定事項なんだ。覆す事は出来ない」

 

「他にもまだあります。あれが第4世代と言うことです」

 

「……ああ」

 

「第4世代なんて聞いたことがありません。それがいきなり出てくるなど、大問題です。それを候補生でもない篠ノ之さんが持つことになるなんて。最悪、第4世代を狙ってくるかもしれないんですよ」

 

「だがISの軍事利用は禁止されている。そう簡単には動けない」

 

「……ISの為なら手段を選ばない。それが現実でしょ……」

 

その時綾人は、ISの実用性を広めるために、両親の死が無かった事にされたことを思い浮かべた。

 

「湊、お前……」

 

千冬は綾人がここまで発言する事に驚いた。普段の綾人は少し弱気な感じがしているのだが、今は自分の意見を言った事で、普段とは違う様子だと気付いた。

 

「ねえ君、束さんの作った紅椿に文句があるの?」

 

「お前は自分が専用機を持てないから嫉妬しているだけだろう」

 

(嫉妬か。それだったらまだマシだったかもな)

 

「やめろお前達」

 

千冬は2人を静めるが、それでも綾人を睨みつけた。

 

「織斑先生、大変です!!」

 

すると突然、真耶が大慌てでやってきた。千冬は話を聞いた瞬間、険しい顔つきに、なった。

 

「現時刻よりIS学園教員は特殊任務行動へと写る。今日のテスト稼動は中止。各班、ISを片付けて旅館に戻れ。連絡があるまで各自室内待機する事。以上だ!」 

 

千冬の言葉に生徒達はザワつき始めた。

 

『え……?』

 

『ちゅ、中止? なんで、特殊任務行動って……』

 

『状況が全然分かんないんだけど……』

 

(特殊任務だと?どういう事だ?)

 

「専用機持ちは全員集合しろ!織斑、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ、凰!それと、篠ノ之も来い。湊、お前も早く戻れ」

 

「は、はい」

 

(一体、何が起きようとしているんだ……?)

 

 

 

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