『宇宙球体 スフィア』が出現した事で、綾人とセシリアを始末しようとしていた草薙はその手を止めた。
「出現場所はここの近く……直接ここを狙って来たのね、まあいいわ。さて、貴方達をすぐにでも始末したかったところだけど、まずはこのアルギュロスの力をその目に焼き付けなさい。始末するのはそれからよ」
草薙はそう言い残すと、綾人とセシリアを残して出て行った。
「まっ、待って……綾人さん、綾人さん!!」
セシリアは草薙を追おうとしたが、綾人を放っておく事は出来ないため草薙を追わずにその場に残った。
「うっ……セシリア……」
「綾人さん、大丈夫ですか?」
「あ、ああ……」
セシリアの呼びかけで綾人は目を覚ました。だがそれでも弱っている事には変わりはなかった。
「綾人さん、掴まってください。すぐにここを出ましょう」
セシリアは綾人を連れてそこから出ようとするが、綾人はセシリアの元には行かなかった。
「あっ、綾人さん、何を!?」
綾人はセシリアの制止を聞かずに、草薙に奪われたアグレイターを取りに向かっていた。
コマンドルームに一夏達が集まり、その後草薙も入って来た。
「この近くにワームホールが発生。その中から無数の球形生命体が出現。奴らは間違いなくここを狙って来ている。ここは防衛の要となる拠点。何としても死守するのよ」
『了解!!』
「草薙さん、私は非戦闘員の避難をしてきます」
「お願いします。みんな、行くわよ」
草薙の指示で一夏達は出撃した。
研究所近くでは、スフィアの群れが侵攻していた。このまま行けば間違いなく研究所に辿り着いてしまうだろう。するとそこに、草薙率いる一夏達専用機持ち達が到着した。
「みんな、奴をできるだけ一ヶ所に集めて。一気に片付けるわ」
「はい!!」
一夏達は分散し、スフィアに牽制攻撃を行い、一ヶ所に集まるように誘導した。元々群になっていたこともあり、スフィアはすぐに集まった。
「みんな、離れて!!」
草薙がそう言うと、一夏達はスフィアから離れた。そこに草薙はフォトンクラッシャーを発射した。フォトンクラッシャーは全てのスフィアに直撃し、そこにいたスフィアは全て倒された。
「やったぜ!!」
「意外に呆気なかったわね」
一夏と鈴音が安堵していたその時、再びワームホールが発生した。
「ワームホールが!?」
「また出てくるの!?」
ワームホールが発生した事でラウラとシャルロットが驚愕する。するとスフィアの群れが再び出撃した。
「なら、もう一度倒すまでよ」
草薙ももう一度フォトンクラッシャーを発射した。そこにいたスフィアは倒したが、すぐに別のスフィアが現れた。
「一体何体出てくるんだ!?」
するとスフィアは、草薙に向かってビームを発射した。
「ちっ」
草薙はビームを避けるとすぐに反撃した。だが別のスフィアもまた、草薙に攻撃をしてきた。
「あいつら、草薙さんを狙ってるのか?」
一夏はスフィアは草薙を狙っていると考えた。その通り、スフィアは草薙しか狙っていなかった。
「草薙さんを援護するぞ!!」
ラウラの指示で一夏達は草薙の援護を開始した。手始めにシャルロットがスフィアに攻撃をしたが、攻撃をされた事に気付いたスフィアは分裂を始めた。
「ぶっ、分裂した!?」
分裂したスフィアは大きさは少し小さくなっているが、一夏達からすれば大きい事には変わりはない。
「こんなのどうしろって言うのよ!?」
「こんな時に何でウルトラマンは来ねえんだよ!?」
一夏はウルトラマンが来ない事に文句を言っているが、来ないのではなく来れないと言うことを、一夏達は知る由もなかった。
「くっ!!」
草薙は1人で無数のスフィアを相手していた。次々に攻撃をしてくるスフィアに草薙は避けるのが精一杯だった。隙を見て反撃をするが、その度にスフィアは分裂を繰り返して数を増やしている。まさに、多勢に無勢だった。
「何をしてるの!?ちゃんと援護しなさい!!」
草薙は援護を求めるが焦りからか言葉が荒くなっていた。
「そんな事言われても……!!」
草薙を援護しようとは思っても、他のスフィアが壁となり阻んでくる。スフィアは一夏達など眼中に無かった。
「こうなったら……」
草薙はスフィアから距離を取り、フォトンクラッシャーを撃とうとした。
「これで終わりよ……」
草薙はフォトンクラッシャーを発射しようとしたが、フォトンクラッシャーは発射されなかった。
「し、しまった!!」
最初に2発撃ったせいでもう1発撃つだけのエネルギーが残されていなかった。その隙にスフィアは草薙に攻撃した。
「キャアアア!!」
動揺していた草薙はスフィアの攻撃に反応が遅れ、草薙に直撃し、地上に落下した。
「草薙さん!!」
「っ……こんな……こんな事があってたまるか!!」
草薙は再び飛び上がり、スフィアにできる限りの攻撃をした。
「アルギュロスは最強のISなのよ!!こんな奴らに、負ける筈がないのよ!!」
草薙は完全に冷静さを失っていた。自分の作った最強のISが負けている事を認めたくないからだ。アルギュロスはウルトラマンの力を使っているため、決して弱くわない。実際、怪獣を何体も倒している。だが、今回は相手が悪かった。強力な力を使っているため、その分消費も激しい。スフィアに消耗戦をされたため、この結果になってしまった。そして、無闇に攻撃をしていたアルギュロスだが、遂に全ての武器を使い果たしてしまった。
「そ、そんな……!?」
そしてスフィアは、草薙に近づき始めた。
「来ないで……来ないで!!」
草薙の顔が絶望に染まる。目の前に巨大な不気味な球体が無数にいる。そしてアルギュロスが使い物にならない。もはや成す術がなかった。
「あっ……あっ……」
草薙は目に涙を浮かべながら恐怖で震えている。言葉もまともに発せられなかった。そして
「イヤアアアアアアアアアアアアァッ!!」
スフィアは草薙ごとアルギュロスを取り込み始めた。
「草薙さん!!」
「待て!!」
一夏が草薙を助けようとするがラウラに止められた。
「何で止めるんだよ!?草薙さんが!!」
「お前まで取り込まれるぞ!!それに、このままでが草薙さんも巻き込んでしまう!!」
「じゃあどうすんだよ!?」
その時、草薙を取り込んだスフィアは徐々に形作り始めていた。
「何だ……あれは……?」
非戦闘員を非難させた千冬がコマンドルームに戻り映像を見ると、それに衝撃を受けていた。
「綾人さん、あれを……」
「あれは……?」
綾人とセシリアも、スフィアが草薙を取り込んでいる映像に衝撃を受けた。
草薙を取り込んだスフィアが形を変えた。ウルトラマン程の大きさとなり、アルギュロスと同じ武器を装備し、顔は生々しく変貌した。『スフィア合成獣 ゼルガギュロス』が誕生してしまった。
「草薙……さん……?」
一夏は目の前の存在に頭が追いついていなかった。スフィアが草薙を取り込んだと思っていたら怪物になっているのだから。
「な、何なのよあれ……?」
ゼルガギュロスは一夏達に目を向けるがすぐに別の所に目を向けた。そこには数台の車が走っていた。その車は研究所から非難した研究員が乗っている車だった。それを見つけたゼルガギュロスは銃口を車に向け、光弾を発射した。
ドガアアアン!!
光弾は車に直撃し、声を上げる間も無く研究員達は全滅した。すると今度は研究所に狙いを定めた。
「やめろ!!」
一夏の声は届かずゼルガギュロスは研究所に光弾を放ち、研究所に当たった。
「うああああ!!」
コマンドルームにも衝撃が走り、千冬がバランスを崩すと天井が崩れ始めた。そしてゼルガギュロスはどこかに飛び去った。
「千冬姉が!!千冬姉がまだあそこに!!」
千冬がまだ研究所にいるため一夏は動揺する。
「私とシャルで奴を追う、お前達は教官を!!行くぞ!!」
「うん!!」
ラウラとシャルロットはゼルガギュロスを追い、一夏、箒、鈴音が千冬の救出に向かった。
「千冬姉、無事でいてくれ……」
とある街、そこはいつも通りの平和な風景が広がっていた。だが……
ゴオオオオ……
「何だ?」
人々が変な音に気づくと、空よりゼルガギュロスが降り立った。ゼルガギュロスはビルに銃口を向けた。銃口を向けられたビルの中にいた人々は咄嗟に逃げようとするが、すぐに光弾が撃ち込まれた。中にいた人々は光弾に飲み込まれ、そのまま焼け死んだ。そしてそのビルの近くにいた人々は瓦礫の下敷きになった。
『うあああああああ!!』
突然のゼルガギュロスの出現に街は大混乱した。人々はアルギュロスから逃げようとするが……
『あっ!!ああああああ!!』
走っているうちに転んでしまい、そのままゼルガギュロスに踏み潰された。その人だけでなく、ゼルガギュロスは近くにいる人達全てを踏み潰しながら歩いている。
『イヤアアアアアア!!』
『助けてくれえええええ!!』
ゼルガギュロスはビルに光弾を次々と撃ち込み、中にいる人は逃げれるはずもなく、光弾に飲み込まれた。そしてそのビルの下にいた人たちは瓦礫に押しつぶされた。そしてゼルガギュロスは地上に銃口を向けた。地上にはまだたくさんの人達が逃げていた。ゼルガギュロスはその人々に向かって、フォトンクラッシャーを放った。これにより、地上にいた人たちは爆発に飲み込まれ、焼け死んだ。老若男女問わず、一瞬にして何千、何万人もの人間が死んだ。街はたった数分で地獄と化した。
はい、草薙さんはスフィアに取り込まれました。
ゼルガノイドとアルギュロスを組み合わせてゼルガギュロスです。ネーミングセンスが無くてすみません。これしか思いつかなかったんです。
次回はどうなるでしょう。