インフィニット・ストラトス アグル   作:K.V

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早くも3話です。


第3話

 

 

HRが終わり、休憩時間になっていた。綾人は先程の自己紹介で弱気な人間を演じた。何故そのようにしたのかはわからない。やはり何かしらの考えがあるのだろうか。

 

(それにしても、今更ながら女子ばかりの環境に男が放り込まれるなんて、世の中何が起きるか知れたもんじゃないな。だからって、さすがにこれはきつい。それに、俺がIS学園にいる事自体がおかしいんだ。俺がISに関わるなんて一生ないと思っていたんだけどな。それなのに、IS嫌いの俺がISを動かすなんて、皮肉だな)

 

「湊綾人だよな?」

 

(織斑一夏?何で急に?)

 

織斑一夏が何の脈絡もなく突然綾人に話しかけて来た。

 

「俺、織斑一夏。よろしくな」

 

(あぁ、ただの自己紹介か。他の男子が俺しかいないから話しかけて来たのか。ここは乗ってやるよ)

 

「湊綾人です。よろしく、織斑君」

 

「同い年だろ?初対面だからってそんな改まんなくていいぜ。一夏って呼んでくれ」

 

「すいません、僕は苗字呼びの方が落ち着くんです」

 

「そんな事言うなよ。せっかく男子がいるんだからさ」

 

「まあ、慣れたらそのうち……」

 

こういった感じで織斑一夏と綾人の話が進んでいった。が、そこに

 

「……ちょっといいか」

 

「え?」

 

「ん?」

 

一人の女子が話しかけて来た。その女子は織斑一夏に用事があるみたいだ。

 

「……箒?」

 

「………………」

 

(何だ?この女子は織斑一夏の知り合いなのか?じゃなきゃ話しかけて来ないか)

 

「織斑君に用があるみたいですよ」

 

「あ、ああ……。で、何の用だ?」

 

「廊下でいいか?」

 

「お、おう……」

 

織斑一夏が女子生徒に連れられて行った。それを見た綾人は何故か考えこんでいた。

 

(確か今のは篠ノ之箒だったな。篠ノ之……確かISの開発者の名前は篠ノ之束……まさかあいつも?)

 

綾人は篠ノ之箒の事をISの開発者である篠ノ之束の妹と考えていた。あの織斑千冬の弟がすぐ近くにいることで、その可能性があった。

 

(それにしても、この喋り方疲れるな。大人しく普段通りにしておけば良かったかな?でも、昔はこういう感じだったのに、俺も変わってしまったな。……これも全部、ISの所為だ。……いや、あの政府の奴らだ。奴らが父さんと母さんの死を隠蔽工作した。そのせいで……、そもそもどうして父さんと母さんは死んだ?ミサイルが一斉日本にに発射された。そのせいで……)

 

キーンコーンカーンコーン

 

チャイムが鳴り、休憩時間の終わりを告げた。

 

(もう休憩終わりか。早いな)

 

 

 

 

 

 

「――であるからして、ISの基本的な運用は現時点で国家の認証が必要であり、枠内を逸脱したIS運用をした場合は、刑法によって罰せられ――」

 

授業始まった。綾人は一応真面目に授業を受けているが、内心ではイライラしている。それもペンを握り潰してしまいそうなくらいに。

 

(落ち着け、落ち着くんだ俺。こんな事でイライラしても、何の意味も無いのに……)

 

「では、ここまでで質問がある人はいますか?」

 

(ようやく落ち着けた。早くどうにかしないと……)

 

「織斑君は何かありますか?」

 

「質問があれば遠慮せずに聞いてくださいね。何せ私は先生なんですから‼︎」

 

(質問タイムか?まあ今は大丈夫か)

 

「…山田先生‼︎」

 

「はい、織斑君‼︎」

 

「ほとんど全部わかりません‼︎」

 

「ええぇ⁉︎全部ですか⁉︎」

 

(全部わからないって……え?)

 

「今の段階でわからない人はどれくらいいますか?」

 

真耶が聞いて見るがここで挙手をする人は誰もいなかった。

 

(まあ、当然でしょう)

 

「湊君はどうですか?」

 

(あ、俺にも聞きます?)

 

「ぼ、僕はまだ大丈夫です」

 

「でもわからない所が会ったら遠慮せずに聞いてくださいね」

 

「は、はい。ありがとうございます」

 

(多分聞くことは無い気がするけど。俺がISの事なんて聞きたくないだけだけどね)

 

「織斑、入学前の参考書は読んだか?」

 

「……分厚いやつですか?」

 

「そうだ」

 

「古い電話帳と間違えて捨てました」

 

(……馬鹿か?電話帳と間違えて捨てるなんて。大体、見間違えるようなものじゃないだろうに)

 

「必読と書いてあっただろうが馬鹿者。まあいい、後で再発行してやるから一週間で覚えろ」

 

「えっ、一週間であの分厚さはちょっと…」

 

「やれと言っている」

 

「……はい……」

 

(……これはもうどうしようもないでしょ)

 

綾人はそんな一夏を哀れな目で見ていた。ただし同情はしていないが。

 

「ISはその機動性、攻撃力、制圧力と過去の兵器を遥かに凌ぐ。そういった『兵器』を深く知らずに扱えば必ず事故が起こる。そうしたいための基礎知識と訓練だ。理解が出来なくても答えろ。そして守れ。規則とはそういうものだ」

 

(……さっきの様子だと大半の奴らは理解していないように見えたけど)

 

「織斑、『自分は望んでここにいるわけではない』と思っているな?」

 

(……はい?)

 

「望む望まざるにもかかわらず、人は集団の中で生きてなくてはならない。それすら放棄するなら、まず人であることを辞めることだな」

 

(何だこの人?自分がISの世界王者だからって、何故そういうことを平気で言う?姉弟である以前に、一応教師だろ。問題発言になるんじゃないか?)

 

だがそんな綾人を気にせずに授業が進んでいくのであった。

 

 

 

 

「頼む‼︎俺に教えてくれ‼︎」

 

授業が終わると一夏が綾人に教えてくれと頼み込んでいた。綾人はわざとらしくそんな事を言われても困るというような顔をしている。

 

「無茶言わないでくださいよ。僕だって全部わかるわけじゃないんですから」

 

「そんな事を言わずに頼むよ!」

 

(流石にしつこい)

 

だが、この時綾人は思わなかった。この後いろんな意味で面倒な事が起きると。

 

「ちょっとよろしくて?」

 

「へ?」

 

「ん?」

 

面倒な事が今起きた。

 

「聞いていますの?お返事は?」

 

(何だこいつは?いきなり話しかけて来た癖に、偉そうなやつだ)

 

「あ、ああ。聞いてるけど……どういう用件だ?」

 

「まあ! なんですの、その返事は。わたくしに話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度と言う物があるんではないかしら?」

 

(成る程、女尊男卑思考か。田舎じゃそんな事はあまり無かったから気にしていなかったが、いざ対面すると、ウザいし面倒くさいな)

 

「悪いな。俺、君が誰か知らないし。綾人、お前は知ってるか?」

 

(俺に振るなよ。確かこいつは)

 

「す、すいません。僕もわからないです。(知ってるけど)」

 

「なっ⁉︎知らない⁉︎この私、セシリア・オルコットを⁉︎入試主席でイギリスの代表候補生であるこの私を⁉︎」

 

(流石にそこまでの情報なんか持ち合わせてないって)

 

「あ、質問いいか?」

 

「ふん。下々のものの要求に応えるのも貴族の務めですわ。よろしくてよ」

 

「代表候補生って、何?」

 

がたたっ!

 

一夏がそう言った瞬間に周りの女子がずっこけた。

 

(……うん。馬鹿じゃねーの?)

 

「あれ? どうしたんだ?」 

 

「どうしたじゃないですよ織斑君。流石にそれはないですよ」

 

「え?」

 

「あ、あ、あ……」

 

「『あ』?」

 

「あなたっ、本気でおっしゃってますの!?」

 

「おう。知らん」

 

(何でそんな堂々と言うんだよ……)

 

「信じられない。信じられませんわ。極東の島国というのは、こうまで未開の地なのかしら。常識ですわよ、常識。テレビがないのかしら……」

 

(……こいつの第一印象は決まった。ウザい。これに尽きる)

 

「なあ、代表候補生って?」

 

「国家代表IS操縦者の候補生の事ですよ。単語から想像すれば分かることですよ」

 

「そういわれればそうだ」

 

(ちょっとは頭使えよ)

 

それでも、セシリアの一方的な話は続く。

 

「そう!その候補生として選出されたエリートなのですわ!」

 

(エリートか。実際凄いんだろうけど、ISのエリートが目の前にいようと、俺には関係ない。そもそも、俺の前でISの話はしないで欲しいんだけど)

 

「とにかく!本来ならわたくしのような選ばれた人間とは、クラスを同じくすることだけでも奇跡……幸運ですのよ。その現実をもう少し理解していただける?」

 

「そうか。それはラッキーだ」

 

(全然ラッキーじゃない俺がいるんだけど)

 

「……馬鹿にしていますの?」

 

「あ、貴女が幸運と言ったんじゃないですか」

 

「大体、あなたたち、ISについて何も知らないくせに、よくこの学園に入れましたわね。男でISを操縦できると聞いていましたから、少しくらい知的さを感じさせるかと思っていましたけど、期待はずれですわね」

 

「俺に何かを期待されても困るんだが」

 

「ふん。まあでも? わたくしは優秀ですから、あなたのような人間にも優しくしてあげますわよ」 

 

(……そろそろウザくなって来たな。すでにウザいけど)

 

「ISのことでわからないことがあれば、まあ……泣いて頼まれたら教えて差し上げてもよくってよ。何せわたくし、入試で唯一教官を倒したエリート中のエリートですから」

 

(教官を倒すのは、流石代表候補生と言いたいところだけど、こいつにはあまり凄いとは言いたくないな)

 

「入試って……もしかしてあれか?ISを動かして戦うってやつ?」

 

「それ以外に入試などありませんわ」

 

「あれ? 俺も倒したぞ」

 

「「は?」」

 

(教官を倒した?こいつが?素人のくせに?)

 

「お、織斑君、教官を倒したんですか?」

 

「俺の時は倒したっていうか、いきなり突っ込んできたからサッとかわしたら、向こうが勝手に壁にぶつかってそのまま動けなくなっただけだ」

 

「それ、ただ相手が自滅しただけじゃないですか」

 

「そ、そこの臆病者の貴方!貴方はどうなんですの⁉︎」

 

(俺に振るなよ。どいつもこいつも。それに臆病者って、まあそう見えなくも無いか)

 

「ぼ、僕ですか⁉︎僕は負けましたよ」

 

「わ、わたくしだけと聞きましたが?」

 

「もしかして女子ではってオチじゃないのか?」

 

「つ、つまり、わたくしだけではないと……?」

 

「いや、知らないけど」

 

「あなたも教官を倒したっていうの!?」

 

「うん、まあ。たぶん」

 

「たぶん!?たぶんってどういう意味かしら!?」

 

「おい、少し落ち着けって」

 

「こ、これが落ち着いていられ――」

 

キーンコーンカーンコーン!

 

(やっとチャイムが鳴ったか。ずっとこの女と話ていていたのか)

 

「っ………! またあとで来ますわ!逃げないことね!よくって!?」

 

(いや、もう来ないでくれ。頼むから)

 

 

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