アグルはセシリアを無理矢理手に乗せて病院を後にし、今はどこかの海の上を飛んでいた。セシリアは当然、アグルが何故こんな事をしたのかわかっていない。だが、案外満更でもなかった。
(綺麗な海ですわ……)
セシリアは空から直接見る海に感動していた。ISで空を飛ぶ事はあるが、ゆっくり海を眺めている余裕などない。だが今はウルトラマン、綾人と同じ目線で海を見ているのだ。
だがその時、アグルのライフゲージの点滅が早まった。
『ウアッ……』
「綾人さん!?」
アグルは徐々に透明になっていき、姿を消した。当然、セシリアが乗っていた手も消え、落下してしまった。
「キャアアッ!?」
だがセシリアはすぐにISを展開し、体勢を立て直した。セシリアは落下を免れ、綾人を探した。
「綾人さん!!」
綾人は比較的早く見つかった。セシリアはすぐに綾人の元へ行き、何とか海に落ちる前に捕まえた。だが綾人は無理をしすぎていたためかすでに気を失っていた。
「本当に、無茶ばかりするんですから」
今度はセシリアが綾人を抱え飛び出した。早く綾人を休ませようと飛び続けていると、浜辺が見つかりすぐにそこへ向かい、地上に降りた。休める場所がないか探しているセシリアは、あることに気づいた。
「ここは確か……」
セシリアと綾人が降りた場所、そこは偶然にも、以前臨海学校で訪れた場所だった。そうとわかったセシリアはすぐに花月荘へと向かった。
「失礼します……」
「はーい……あら?貴女は確か……?」
「IS学園のセシリア・オルコットでございます。実は……」
セシリアが旅館に入ると、すぐに女将の清洲景子が出迎えてくれた。セシリアは事情を説明し、女将は快く聞き入れ、綾人を部屋まで案内させてもらった。
「病院付近に現れた怪獣はウルトラマンが倒しました」
「ああ……」
IS学園では、千冬と真耶、専用機持ち達がアグルがギールⅡを倒したところを見ていた。その後の映像はなく、ラファール部隊が一度攻撃したことまでは知らない。セシリアが一緒にいたことも気づいていなかった。そして千冬は、アグルが病院とそこにる人々を守ったことに安堵していた。
(安心しているのか、私は……?)
千冬は内心ではウルトラマンを一方的に憎んでいた。だが、今までの戦いで自分の生徒達、弟の一夏がウルトラマンに助けられたというのは事実だ。
(いい加減、私も大人にならないとな)
千冬はウルトラマンに対しての敵対感情を今だけは捨てる事にした。だが憎しみは完全に消えた訳ではない。あくまで今現在の状況を鑑みてのことだ。それでも、これは大きな一歩といえるだろう。
「ウルトラマンの奴、病院守って罪滅ぼしのつもりかよ」
対して、今度は一夏がウルトラマンへの憎しみが生まれてしまった。草薙が死んでしまったことが余程こたえている。
「やめろ。今はそんな事を言っている場合じゃない」
「千冬姉……でも、千冬姉だってウルトラマンを!!」
「状況が状況だ。今の私たちは、ウルトラマンに頼らざるを得ない。悔しいことにな。だから今は余計な考えは捨てろ」
「千冬姉……」
一夏は千冬の言う事は理解はできているが納得はできなかった。草薙のことを忘れろと言われているようだった。そしてセシリアを除く専用機持ち達が集められ、今後の対策が話し合われた。
地球からそう遠くない宇宙空間。その空間は今、歪んでいる。宇宙空間の歪み、それを意味するのは、脅威。かつてない脅威が、地球に迫ろうとしていた。
一夏と千冬の立場が逆転しました。千冬さんを早く完全に味方にしたいです。そして、あれの用意もできました。次回もいつになるかわかりませんがお願いします。