食事を終え、片付けを済ませた綾人は再び砂浜に来ていた。綾人は砂の上で仰向けとなり、夜空を見上げる。こんな時でも、空は雲ひとつない夜空で、星がキラキラと輝いてる。こんな綺麗な空が歪んでいるなんて、思いもしない程に。すると
「綾人さん、またここにいらしてたのですか」
セシリアの声が聞こえ、綾人は振り返る。するとセシリアは綾人の隣に行きそのまましゃがみこんだ。
「今度はどうされたんですか?」
「実は、夢の事が気になってたんだ」
「夢、ですか?一体どのような?」
「かつてないほどの、巨大な怪獣が現れる夢だ」
綾人は自分が見た夢をセシリアに話した。ワームホールから超巨大な怪獣が現れ、全てを焼き尽くし、破壊する事を。そしてその怪獣に、ウルトラマンが敗北する事を。
「そ、それは、綾人さんが見たただの夢ですよ。綾人さんが気にする事ではありませんわ」
夢はただの夢。そう思うのが普通だ。だが綾人はそれはただの夢ではない思っている。いや、そう思わざるをえなかった。それはもう確信だった。
「ただの夢なんかじゃない。初めて怪獣が現れた時も、いや、その前から夢を見てたんだ」
コッヴが出現した際、綾人はそういう夢を見ていた。その夢が現実に起きた。だからこそ、あの夢は現実になる。そう確信していた。
「そんな……本当にその怪獣が現れたら、一体どうすればいいのですか……?」
「どうするも何も、戦うしかないだろう。俺が、アグルの力で」
心配するセシリアを余所に、綾人はそう平然と答える。怪獣が現れたら自分が戦えばいい、そう言った。
戦うしかない。それを聞いたセシリアは
「綾人さん、その時は私も一緒に戦います。綾人さんだけに戦わせるわけにはいきませんから」
「セシリア……ん?」
その時、空気が変わった。綾人は空を見上げてみると、空が歪んでいるのがわかった。歪みが視認できるようになっていたのだ。そしてそれが夢に出てきた怪獣を呼び寄せるものだと、直感でわかった。そして、ワームホールが出現した。
「綾人さん、まさかあれが!?」
「……来る!!」
「束、もう出てくるとはどういう事だ!?」
『ごめんちーちゃん。気付くのが遅かったみたい』
千冬は束にもう出てくると言われ焦り出した。流石の束自身もこうなるとは思っていなかった。
「織斑先生、ワームホールが出現しました!!」
「何っ!?」
ワームホールが出現し、空の歪みも広がっていく。そして、遂に現れた。
『ギャアアアア!!』
咆哮が響き渡る。ワームホールから超巨大な頭が、それに続いて長い首が現れる。
『巨獣 ゾーリム』が出現した。
「綾人さん、ひょっとしてあれが……」
「ああ。だがあいつは頭しか出てきていないが」
綾人の言う通り、ゾーリムは頭しか出てきていない。ワームホールから出てきたはいいものの、身体が大きすぎるため全身が出てこれない状態だった。だが頭だけでも、その大きさは計り知れない。ウルトラマン以上の大きさである事は見ればわかる事だが。
「奴は俺が食い止める。セシリアは旅館の人と逃げるんだ」
「ダメです!!綾人さんも傷は完全に癒えていないんです!!だから一緒に!!」
「ここで奴を食い止めないと、辺り一面火の海になる。だから俺は行く」
「なら私が行きます!!綾人さんは皆さんと一緒に……!!」
「セシリア!!」
「ッ!?」
急に綾人は声を張り、その迫力でセシリアは孕む。綾人がこんな風になるなど、今までなかったからだ。
「見てわかるだろ。あれは人間がかなう相手じゃない。奴を止められるのはアグルだけだ。だからお前は逃げろ」
「ですが綾人さんの見た夢が本当なら、ウルトラマンは負けているのですよね!?もし今の状態の綾人さんが戦ったら、本当に……」
セシリアはアグルが負けるのではないかと不安になっている。話を聞いたからのもあるが、ゾーリムは顔だけでもかなりの大きさだ。ウルトラマン以上のサイズであることは間違いない。そして、綾人の体力。綾人は今までの戦いでの体力も回復していない。
「それでも、アグルの力を持っている以上、俺がやらなきゃいけないんだ。俺が戦わなければならないんだ!!」
「仮にあの怪獣に勝ったとしても、綾人さんが無事でいられる保証はないんです!!もし、万が一の事があったら、私は……」
「俺は絶対にあいつを倒す。万が一の事があったら、その時はその時だ。最悪、死んでしまうかもな」
「そんなの絶対にダメです!!綾人さんもちゃんと生きて帰ってくるんです!!死んでしまうかもなんて、簡単に言わないでください!!」
今度はセシリアの感情が大きくなる。セシリアは綾人の無茶を何度も見ている。今までが無事だったとはいえ、今回も無事であるとは限らない。
「セシリア……悪かった。お前は心配性だからな。わかった、絶対に戻ってくる。約束する」
「それだけでは足りませんわ。平和になったら、買い物に付き合っていただきますわ」
「どーせ荷物持ちだろ」
「ふふっ、当然です」
「しょうがないな、約束だ。あいつを倒して、絶対に戻って来てやる」
「はい、約束ですわ」
綾人とセシリアは約束を交わす。綾人が絶対に戻ってくるようにと。そして、荷物持ちをしてもらう事を。
「ああ、じゃあ行くぞ。アグルウウウウウウゥゥゥゥ!!」
綾人はアグルに変身し、ゾーリムに向けて飛び立った。アグルとゾーリムの戦いが、幕を開けた。
遂にゾーリムが登場しました。ここまで長かった。ゾーリムとの戦闘は次回からです。
次回もいつになるかわかりませんがお願いします。