超次元ゲイムネプテューヌ 銀陽の女神 Re;Birth   作:ミオン

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Game10:さらなる高みを目指して

セレナとユニからラステイションの現状を知った舞達はシアンから依頼されたクエストの目的地である交易路に到着。この場所は西風の吹く渓谷と呼ばれ、舞達が元いたゲイムギョウ界のラステイションにも同じ場所が存在している。今回のクエストの目的は交易路で目撃された大型モンスターの討伐だ。

 

「目的地にとうちゃーっく! どのモンスターを倒せばいいのかな? 色々なモンスターがいるみたいだけど」

 

「シアンから受けた依頼のターゲットはフレースヴェルグ。鳥型の大型モンスターだよ。討伐指定数は二体。徘徊している小型モンスターは他の人達から受けているクエストのターゲットに指定されているから、討伐しながら先に進む形になるね」

 

「ギルドからの情報だとターゲットのモンスターはお互いに連携を取るかのような行動を見せるらしいわ。実際に戦ったことは無いから本当かどうかは知らないけど…」

 

「私がプレイしていたネトゲに通常の個体とは異なる行動を取るモンスターがいたけど、それと似たような感じなのかな?」

 

「個体数はかなり少ないけど、私達のように考えて行動できるモンスターは確かにいるわよ。昔の話にはなるけど、戦ったことがあるわ。動きを観察して行動の合間に生じる隙を決して見逃さないこと。これを意識することが戦局を有利に進める鍵よ」

 

最近になって現れ始めたモンスターの中には戦闘の際に連携を取るなどの手段を用いる特殊な個体がいるらしい。高い実力を持つ冒険者でも苦戦を強いられると言う。さらに性質の悪いことに見た目の変化が無いため区別がつかない。わかっている情報としてはそれらの特徴は危険種に見られることが多いとのこと。この事態を受けたラステイションのギルドは危険種が討伐対象のクエストの受注の際に制限を設けるようになった。

 

「わたし達のパーティにかかれば、古今東西ありとあらゆるモンスターを返り討ちにできちゃうよね? 悪いモンスターなんかさっさと倒してシアンに報告しに行こうよ!」

 

「油断は禁物よ。足元を掬われて大怪我でもしたら洒落にならないわ」

 

「怪我した時はわたしが治療するですよ。難しいことだとは思いますけど、できるなら怪我はしないでほしいです。重傷になるとわたし一人の力では治療ができないです…」

 

「回復魔法なら痛みを和らげることはできますけど、外傷の治療となるとコンパさん頼みになってしまいますからね。怪我をしないように気を付けていきましょうか」

 

舞達は各々の得物を持つと、奥の方を目指して歩き出した。舞は戦いを重ねながら周囲の風景と生息しているモンスターを観察する。無事に街まで帰ったら今回得た情報を元のゲイムギョウ界のアイエフから貰った黒い表紙のノートに纏めることで自身の特技である完全記憶能力を発動させて絶対に忘れないようにしているのだ。

 

西風の吹く渓谷は東側と西側の二つのエリアに分かれ、生息しているモンスターは東側と西側で異なるとのこと。舞達がいる東側エリアには箱型の体を持った鳥族モンスターのひこどり。向日葵の花の姿をした植物族モンスターのひまわりん。貝殻のような形状の体に離れた手と隙間から見える黄色の目が特徴的なパルシェルと言ったモンスターが生息している。モンスターディスクがこの場所にも仕掛けられているのか、徘徊するモンスターの数は多いが、舞達のパーティは八人いる上に各々の実力もそれなりにあるので、数の多さは特に問題にならない。問題となるのは危険種の存在。この西風の吹く渓谷に生息している危険種はある意味で懐かしいモンスターだった。

 

「この世界だとラステイションに生息しているんだね。強さはどうなのかな?」

 

舞達の視界に映るのはドラゴン。巨大な体と翼に加えて発達した腕と足が特徴。エンシェントドラゴンと呼ばれる危険種の一体。元のゲイムギョウ界の旅の時にはとある素材を求めてアイエフとコンパとネプギアと共に倒した初めての危険種だ。あの頃の舞は人間以上女神未満の状態だったが、今の舞は完全なる守護女神。力はこれまでに経験した戦いの分だけ上がっている。

 

「あれの相手は私がするよ。みんなは離れていてほしい」

 

「あんなに大きなモンスターさんと一人で戦うつもりですか?」

 

「あんたの実力は相当な物だと思うけど、危険種と一人で戦うなんて無茶にも程があるわよ?」

 

「それでも戦わないといけない理由があるの。私はまだまだ強くならないといけないから」

 

危険種以上のモンスターはこちらから手を出さない限りは襲って来ないという他のモンスターとは異なる習性を持っているので無視して進むことができるが、現在の舞の実力を考慮すると実力をさらに上げるためには危険種の相手が望ましい。この先の未来に現れることが予測されている世界の脅威に立ち向かうためには危険種程度で躓いているわけにはいかないのだ。ネプテューヌ達を下がらせると意識を集中させて特殊女神化状態に移行。エンシェントドラゴンの前に立つ。

 

『貴様は…』

 

「言葉を話せるの…?」

 

『左様。知性を持ち、言葉を話せるのが自分達だけだと思っているようならば認識を改めることだ。我はお前達が危険種と呼称する者達の末端に過ぎぬが、この程度は造作のないこと』

 

「なるほど。確かに認識を改める必要があるね。それに言葉が交わせるのなら話は早い。私と戦ってほしい」

 

『貴様の瞳…。守護女神だな。何故我に戦いを挑む?』

 

「更なる高みに登り詰めたいから。これだけだと不十分?」

 

『面白い。単純明快な解答だがそれでよい。共に戦う仲間達もいるようだが、敢えて単独で戦いを挑んで来たことは称賛に値する。来るがよい。いざ、尋常に勝負!』

 

「望むところっ!」

 

戦いが始まる。最初に動いたのは舞。左手を前に出して補助魔法を発動。右手に集中した銀色の魔力光が舞の体を包み込むとその体に黄色いオーラが纏わりついた。黄色は防御力。赤色は攻撃力。緑は反応速度の上昇を表している。舞が使ったのはネプテューヌが会得している補助技の一つ。物理的な攻撃に対する防御力を上昇させる効果があるが、これは万が一に被弾した際の保険。可能な限り攻撃は防御か回避をしなければならない。

 

エンシェントドラゴンは爪に赤黒い龍属性のエナジーを纏わせて舞に襲い掛かる。ドラゴン族モンスターが危険種に分類されることが多い理由がこの龍属性の力。それはドラゴンが生まれながらにして持っている力。この力を纏わせた一撃は並の防具など紙のように貫いてしまう。

 

舞は銀の大剣の刀身を盾に防ぎ切る。大剣を使用する際は回避行動か刀身を用いての防御の二通り。刀身を用いた場合は武器の耐久値にダメージが入るため、一度の戦闘で何度も防いでいると刃が破損してしまい、使い物にならない状態になってしまうので注意が必要。舞が攻撃を回避せずに受け止めた理由はここから繋げる反撃技にある。龍属性のエナジーを纏わせた一撃を受け止めたことで一時的ではあるが、刀身に赤黒い電撃が走った。

 

「撃龍刃っ!」

 

戦友の結晶の女神の剣技の初級技。エンシェントドラゴンの体に連続で斬撃を叩き込む。ダメージを与えていることを示している蒼い光が放出されると怯む。強力な龍属性だが、実はドラゴン族モンスターの弱点は龍属性。全てのドラゴンが龍属性が弱点かと言うとそれは間違い。例外は当然あるのだが、エンシェントドラゴンには通用する。

 

『我が力を己が力とするとは…。面白い。貴様はこれまで我が見て来た者共とは違うようだな』

 

「利用できる物は最大限に活用しないとね」

 

戦闘の際に利用できる代表的な物を挙げるならば戦場の環境と相手の属性。戦局を左右するのは個人の力だけではない。様々な要素が絡み合うことで自分が有利になることがあれば、逆に不利な状況になることがある。

 

『やられてばかりは性に合わぬな。反撃させてもらうとしよう』

 

エンシェントドラゴンは跳躍と同時に背の翼を羽ばたかせる。前方に小規模ではあるが竜巻が発生した。

 

「…っ!」

 

竜巻の直撃は避けたが、風圧を受けたことで舞は怯む。エンシェントドラゴンの場合だとまだ軽い方で、遥か高みにいる超接触禁止種クラスのドラゴンになると受けただけで吹き飛ばされるほどの強力な風圧を発生させると言われている。舞が怯んだ僅かな隙を見逃さない。

 

『受けてみよっ!』

 

繰り出したのは背の翼を用いた滑空による体当たり。風圧による怯みから回復したが時は既に遅し。重い一撃が舞の体に直撃。鈍い音が響き、舞は吹き飛ばされたが、即座に態勢を立て直した。

 

『我が一撃を受けた割には随分と平然とした表情をしているな…。これ以上の痛みを味わった経験があると見受ける。一つ聞かせてほしい。貴様の敵は何なのだ?』

 

「この素晴らしい世界を破壊しようとする奴らだよ。私はみんなと平和な日常を守りたい。女神の力はみんなが幸せになれる最高の結末(ハッピーエンド)を迎えるためにあるの」

 

『高き理想を掲げるか。ならば、示してみるがいい。貴様の意志を!』

 

エンシェントドラゴンの咆哮が渓谷に響き渡る。舞は銀の大剣に銀炎を纏わせると突撃。エンシェントドラゴンの爪が振るわれたが、舞はそれを回避。背後に回り込むと尻尾に跳躍からの強烈な一撃を叩き込む。

 

『ぬおおっ…』

 

エンシェントドラゴンの尻尾の先が切断された。切断面からは蒼い光の粒子が漏れ出し、地面に落ちた尻尾の先は光となって消滅した。怯んだ隙は見逃さない。続いて翼に攻撃を連続で叩き込み、翼の膜を破る。舞が披露したのは部位破壊(パーツブレイク)と呼称される技術。危険種以上の大型のモンスターに多いのだが、特定の部位に集中して攻撃を加えることで破壊できることがある。部位破壊(パーツブレイク)に成功すると特定の部位を用いた強力な技の使用を封じることができるのだ。

 

『このままで終わるものかッ! ぬおおおおっ!』

 

「はああああっ!」

 

エンシェントドラゴンの突進を大剣の刀身で受け止める。体全体に凄まじい力がかかるが、踏みとどまると同時に反撃として大剣による斬り上げを叩き込み、怯ませる。続けて武器を銀の短剣(シルバーネイル)に換装。跳躍から勢いを乗せて胸を一突き。蒼い光が一気に放出されたのを確認した舞は短剣を引き抜いた。

 

『見事…! よき…戦いだった…!』

 

エンシェントドラゴンは光となって消滅。同時に飛散した光の粒子が収束。眩い光を放つ玉となった。

 

「まさか、本当に危険種を単独で討伐するなんて…。これが守護女神の力なの…?」

 

「一緒に旅した仲間とこの世界に生きるみんなの思いが守護女神の力の原点だよ。私達の力と言ったほうが正しいかな」

 

「舞さん、怪我はしていないですか…? 見せてほしいです」

 

「私の体は本当に頑丈にだから大丈夫だよ。痛みは当然感じるけど、目立つ傷になることは殆ど無いからね」

 

胸に埋め込まれた特異点を守護する器である舞の体は普通の守護女神の体と異なる。仮に傷を付けられると蒼い光の筋が走る銀色の素肌が露になってしまう。

 

「お疲れ様。無事にコア化に成功したみたいだね」

 

「失敗したらどうしようかと思ってたけど、無事にできたからよかったよ」

 

舞がエンシェントドラゴンのコアを胸に近づけるとコアが舞の体の中に取り込まれる。一つの戦いが収束したところで本来の目的であるフレースヴェルグを討伐するために西側エリアに足を踏み入れる。空を見上げると大きな鳥型のモンスターの存在を確認した。情報通り二体いるが、体は既に禍々しい紫色に染まっている。それはバーチャフォレストで戦った時の門番蟲と同じ汚染化現象だった。

 

「また汚染されてますね…。マジェコンヌの仕業なんでしょうか?」

 

「わからない…。汚染されている以上は周囲に被害が出る前に討伐するしかないね。パーティを四人一組に分けて討伐しようか」

 

分断することで各個撃破を狙う作戦を展開する。舞・ネプテューヌ・リリム・セレナのパーティとネプギア・ユニ・アイエフ・コンパのパーティに分けたら準備は完了だ。

 

「ユニ、狙撃できる?」

 

「この距離なら問題ないわ。ネプギア、戦いが始まったらアタシが前衛に出てもいい?」

 

「いいよ。あの剣を使うつもりだよね? それなら、わたしはサポートに回るから」

 

「ありがと。託されたのに使わないとアイツに顔向けできないからね」

 

ユニが持つ銀の銃(シルバーブレット)は狙撃・連射・威力に特化した三つの形態がある。相手と状況に合わせて使い分けることで戦い方の幅は広がる。狙撃特化形態(スナイパーモード)を展開するとスコープを覗き、上空にいる汚染フレースヴェルグに狙いを定める。

 

「アクセル・ショット!」

 

ユニが放った銃弾は汚染フレースヴェルグに直撃。直撃を受けた方の汚染フレースヴェルグは高度を落として接近してきたのだが、もう片方は高度を保った状態でこちらに向けて風のブレスを飛ばしてきた。それを回避すると武器を構えて戦闘態勢に入る。舞達は女神化を行使すると上空にいる汚染フレースヴェルグの元に飛び立った。

 

「お願い、ブレイブ。アタシに力を貸して…!」

 

現れたのは舞とユニに受け継がれた正義の意志の具現の大剣。その名は勇気の剣(ブレイブソード)。西風の吹く渓谷の空と大地を舞台に二体の汚染フレースヴェルグとの戦いが始まる。

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