超次元ゲイムネプテューヌ 銀陽の女神 Re;Birth   作:ミオン

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Game11:焔の黒騎士

西風の吹く渓谷の空と大地を舞台に二体の汚染フレースヴェルグとの戦いが開幕した。四人一組のパーティに分かれて攻撃を仕掛けることで二体を合流させないように戦闘を進める。空中戦を担当するのは舞とセレナ。ネプテューヌとリリム。地上戦を担当するのはネプギアとユニ。コンパとアイエフ。

 

地上戦はユニとアイエフが前衛。ネプギアとコンパが後衛となっている。普段はネプギアとユニの立ち位置は逆なのだが、今回はユニが使う武器の関係で二人の立ち位置が逆転している。ユニの武器は右手の勇気の剣(ブレイブソード)と左手の銀の銃(シルバーブレッド)

 

汚染フレースヴェルグは翼を羽ばたかせて風の刃を飛ばして来たが、それは薄紫色のレーザーに相殺される。レーザーを放ったのは後衛のネプギアが操作する小型ビット。操作にはかなりの集中力が要求されるので前衛で接近戦を織り交ぜながら操作するのは難しいが、今回のように後衛ならば話は別。ユニとアイエフが接近し易い状況を作り出すのが自分の役目なのだ。

 

「トリコロールオーダーッ!」

 

勇気の剣(ブレイブソード)による三連撃。続けて銀の銃(シルバーブレット)から銃撃を放ち追撃を加える。彼女の本職はガンナーだが、これまでに見てきた姉の剣技は全て頭の中に入っている。その中から今の自分に使える技を選別するのだ。

 

「負けてられないわね。ソウルズコンビネーション!」

 

アイエフは両手のカタールによる五連撃を叩き込む。汚染化による耐久値の強化の影響なのか怯みはまだ取れない。汚染フレースヴェルグは口元に炎を纏わせると強烈なついばみをお見舞いしてきた。直撃は回避したが火属性の魔力の波動が広がると肌が焼けるような痛みが走る。

 

「痛いのは飛んでいけーですっ!」

 

コンパの注射器から放たれた光球が上空で割れると光の雨が降り注いだ。体の痛みが引いたと同時に汚染フレースヴェルグが苦しみ出した。味方には癒しを敵には苦痛を与える効果を持っている。

 

「M.P.B.L! ターゲット・ロック!」

 

ネプギアは翼に狙いを定めるとマルチプルビームランチャーからビームを放つ。放たれたビームは汚染フレースヴェルグの翼に直撃したがまだ終わらない。体から超広範囲に及ぶ電撃を放ってきた。逃げ場がないのでこれは防御で耐える。ネプギアがコンパの前に、ユニがアイエフの前に立ち、シェアの力で障壁を張ったことでそれを防いだ。

 

「コンパ、あれをやってみるわよ!」

 

「は、はいです! できるかわかりませんけど、やってみるです!」

 

アイエフとコンパは汚染フレースヴェルグを挟む形で立つと、内に秘められた魔力を解き放つ。アイエフからは闇属性の魔力が、コンパからは光属性の魔力が解き放たれるとそれは魔力の奔流となって二方向から同時に襲い掛かる。

 

「「ハート・フォース!」」

 

光と闇の魔力の奔流は汚染フレースヴェルグに直撃。これが相手を挟み込む位置取りから放つ連携技(フォーメーションスキル)。今回は二人の連携だが、相手と人数に応じて様々な技に派生させることができる。

 

「ネプギア、援護お願いっ!」

 

「任せて! 動きを止めるよ!」

 

ネプギアが操作するビットが汚染フレースヴェルグの周囲を回ると薄紫色のリング状のエネルギーが体に巻き付き、動きを封じる。モンスターが抵抗すればするほど、それを維持するネプギアに負担がかかるので時間はかけられない。ユニはシェアエナジーを一気に開放する。

 

「冥土への片道切符よ! 特別に安くしといてあげるわ!」

 

シェアの運用技術の一つの変換を使い、自分のシェアエナジーを火属性の魔力に変換。それを銀の銃(シルバーブレット)に込めて連続で放つ。最後に跳躍から勢いをつけると炎を纏わせた勇気の剣(ブレイブソード)で汚染フレースヴェルグの体を貫いた。

 

「エクスペンタブルプライドッ!」

 

それは舞の記憶から習得した秘奥義と呼称される技の一つ。汚染フレースヴェルグは地面に倒れ伏すと光となって消滅。目の前の敵を倒したところで舞達が戦っている上空に視線を移した。

 

地上戦の終了から時を少し遡る。空中戦に参加できるのは基本的に飛行能力を持つ守護女神と女神候補生に限定されてしまう。ちなみに六魔将の中では悪魔の翼を持つリリムの他に空中戦に参加できる人物が後二人いる。今回の戦いは前衛が舞とネプテューヌ。後衛がセレナとリリムの構図だ。

 

『舞、今回は私に出番を譲ってもらっていい?』

 

「構わないよ。久しぶりに暴れたいのかな?」

 

『そうだよ。いつまでも引きこもってたら体が鈍るからね』

 

舞のトレードマークの銀の太陽の髪飾りが二個になった。姿自体は変わらないが、体を動かしている意識は舞の物ではない。今の舞の体を動かしているのはアリア。小さい体ではできないことが多すぎるので本格的に活動する際には舞と意識を入れ替えるという方法を用いる。アリアの意識が表に出ている時の目印が太陽の髪飾りの数。一個の時は舞。二個の時はアリア。目が濁った金色になっている時はデルフィナスといった形で体を操る意識が変わると変化が起きる形だ。

 

「銀の女神シルバーハート・アリア。相手をさせてもらうよ。ネプテューヌ、私が隙を作る。後は自分の思うままに動いて」

 

「了解よ。これほどまでに頼りになる仲間達がいることに感謝しなければならないわね」

 

今回の武器は貫通に特化した銀の槍(シルバーホーン)。槍の先端に銀の炎を纏わせると翼のプロセッサユニットの出力を上げて一気に汚染フレースヴェルグとの距離を詰める。

 

『僅かな隙を見逃してはならないわ。これを使いなさい。別の世界のあなたが持つ力の一端よ』

 

全身を駆け巡るのは強力な雷属性の魔力。それは元の世界の紫の女神(ネプテューヌ)の固有能力『紫電』の一端。現状は身体能力の強化を主軸とした第一段階まで。ネプテューヌは記憶喪失だが、記憶を取り戻してさらに経験を積み重ねれば最終段階の覚醒は遠い物ではない。

 

アリアが銀の炎を纏わせた槍の刺突を防御が比較的脆い翼に叩き込み、ネプテューヌは雷属性の初級魔法を放つ。一筋の紫の雷が汚染フレースヴェルグの頭部に直撃した。紫電の第一段階の効果は反応速度の上昇と雷属性初級魔法の無詠唱。

 

「私達も二人の背中はしっかりと支えないといけないね。リンク・サポート発動!」

 

後衛にいるセレナとリリムの体から金色の光が現れると前衛にいるアリアとネプテューヌと繋がる。ハード・リンクの仕組みを元にセレナが独自に開発した魔法。繋がった相手の力を増幅させる効果がある。

 

「ネプテューヌ、これを受け取りなさい」

 

リリムはリンク・サポートを通して自身の力の一部をネプテューヌに譲渡。ネプテューヌの体の周囲に赤いオーラが現れると、紫の太刀に黒色の粒子が纏わりついた。

 

「この黒いのは…?」

 

「攻撃してみればわかるわ。但しこの効果は一度の攻撃のみよ。外さないように注意して」

 

リリムの言葉に従い、ネプテューヌは汚染フレースヴェルグに突撃。アリアの攻撃の後に続ける形で胴体を一閃。体に一筋の傷が刻まれると黒色の粒子は消滅したが、直後に汚染フレースヴェルグが苦しみ出した。見ると自分が付けた傷が徐々にではあるが広がり始め、合わせる形で漏れる蒼の光の粒子の量が増大している。

 

「まさに悪魔の如き能力だよね。過去にあなたと戦った時の思い出が蘇るよ」

 

「褒め言葉として受け取らせてもらうわ。悪魔と言うのは間違いようの無い事実だから。これに耐えることができたのはあなたと元の世界のネプテューヌだけよ」

 

リリムが持つ特殊能力は『魔の刻印』。それは相手に付けた傷を時間と共に広げる力。時間の経過に合わせて相手は苦痛に身を捩る。セレナの固有能力の『月の祝福』と同様に効果はリリムが戦闘不能にならない限り継続される。緋色の女神が直属の部下の六魔将は各々が特殊能力を持ち守護女神と互角に渡り合うほどの戦闘力を持っているのだ。

 

「このまま一気に終わらせたいけど、相手はまだ終わらせる気は無いみたいだね」

 

十分に体力を削ることはできたのだが、汚染フレースヴェルグの様子がおかしいことに気付いた。体から立ち上った黒の瘴気が体を包み込み、体色を漆黒色に変化させる。フレースヴェルグの姿をした黒い何かとしか呼称できない。ソレは体から負の力を放っていた。狂ったような咆哮と同時に負の力が吹き荒れる。

 

「何が起きているの…?」

 

「汚染化を超越した状態になったみたいだね…。この現象を見たのは数百年以来だよ。この状態になると並みの攻撃は通用しない。あれを一気に消し飛ばす程の超火力を叩き込む以外に討伐する方法は無い」

 

「最後の抵抗ってことかしら? 悪あがきは大概にしてほしいわね」

 

「アリア、どうするつもり?」

 

「簡単なこと。私達四人の力を収束させて叩き込むだけ。連携技(フォーメーションスキル)だよ」

 

アリアの指示に従い、超越フレースヴェルグを囲むように立って四角形を作る。後はタイミングを合わせて四人の力を一点に収束させて叩き込む。収束した力は超越フレースヴェルグの体を飲み込み、大爆発を引き起こした。大爆発の後には超越フレースヴェルグの姿は無い。

 

汚染化の上位に当たる超越化モンスターは並みの攻撃を完全に無効化するという能力を獲得してしまうため、アリアが言ったように一気に消し飛ばす程の超火力を叩き込む以外に討伐する方法が無い。敵の強さによるが、万全を期すならば最低でも四人一組のパーティを組むのが理想である。

 

「まあ、何にせよ無事に終わって何よりかな。ユニちゃん達と合流しようか」

 

アリアは体を操作する意識を舞に譲渡。地上に降りたら女神化を解除する。

 

「ぷはぁ…。疲れたよぉ…」

 

「幸いモンスターは周りにいないみたいですし…少し休憩してから帰りますか?」

 

「そうね…。これでこの交易路が使えるようになるといいのだけれど…」

 

「みんなの力で悪いモンスターさんを倒したからきっと大丈夫だと思うです」

 

シアンからの依頼はこれで達成したが、モンスターの被害は依然として拡大を続けている。帰ったら次のクエストに挑みたいと考えていた舞は先ほどから何者かの気配を感じ取っていた。

 

「舞、どうしたの?」

 

「ん…。このまま帰るわけにはいかないなと思っただけ。そこにいるんでしょ?」

 

舞の言葉の後に物陰から一人の人物が姿を現した。

 

「気付いていたのね。ラステイションの平和を脅かすモンスターの討伐、感謝するわ。この国を守護する女神としてお礼を言わせてもらうわ」

 

物陰から現れたのはストレートの白髪に黒のレオタードのような鎧を纏った少女。青緑色の瞳には女神の印が浮かぶ。彼女の名は黒の女神(ブラックハート)。この重厚なる黒の大地ラステイションを守護する女神。

 

「会えて嬉しいよ。天界から戻って来てモンスター討伐をしているという噂は聞いていたから」

 

「おお、なになに? ここに来て新キャラ? 舞の知り合い?」

 

「まさか、あの場所から落とされて生きているとは思わなかったわ。ネプテューヌ…」

 

「ネプ子と似たような姿…。アンタがこの国の守護女神のブラックハートね?」

 

「ご名答。まさかモンスター退治に来た場所でネプテューヌに会うことになるとは思わなかったわ。早速で悪いけどネプテューヌ、私と戦いなさい。私達の戦争はまだ終わってはいないわ」

 

「ね、ねぷっ? 戦争…? どういうこと?」

 

「いつものようなボケは通用しないわよ。モンスターの討伐には素直に感謝しているけど、それと私達の戦いは話が別。さあ、女神化をしなさい。しないならこっちから行かせてもらうわよ?」

 

「ちょっ…。この流れからのボス戦は無理だよ!? せめて戦闘前の完全回復をプリーズ!」

 

「なら代わりにアタシが相手になるわ。ネプテューヌさんには手を出させないッ!」

 

「あなたに私の相手が務まるのかしら? さっきの戦い、剣を使ってたみたいだけど、正直に言わせてもらうとまだまだね」

 

「わかってるわ。そんなこと…。それでもアタシはどかない。ネプテューヌさんと戦いたいなら先にアタシを倒してみなさい!」

 

「どこからそれだけの自信が湧いて来るのかしら? 不思議でならないわね。いいわ。邪魔をするならネプテューヌの前に先にあなたを倒してあげる。大本命の前のウォーミングアップにさせてもらうわ」

 

「アリア・デルフィナス。あれを使うから一端私の体から出てきて」

 

舞の体の中から小さなアリアが現れた。アリアの手には濁った金色の小さな炎がある。この炎がデルフィナスの本体。心の世界以外ではアリアのように顕現することができない状態なのだ。

 

「ネプギア、みんなを連れて離れた場所に」

 

「わかりました。舞さん、ユニちゃん。負けないで…!」

 

「ハード・ユニゾン・リバース発動! ユニ、一緒に飛ぶよ!」

 

舞の体が銀色の光の粒子になってユニの体の中に溶け込むと髪と瞳の色が銀色に変化。

 

「はああああっ! アクセスッ!」

 

続けて女神化を行使。ユニの体が光に包まれる。光が弾け飛ぶと現れたのは黒の女神の妹(ブラックシスター)…ではない別の存在だった。全身が漆黒と赤を基調とした鎧に包まれ、通常の女神化のように素肌の露出は一切無い。

 

「この力は! あなた達は一体何者なの?」

 

(アタシ)に勝つことができたら教えてあげるわ」

 

「上等じゃない! 泣いて謝ったって許してあげないわよ!」

 

舞の記憶からこのゲイムギョウ界に顕現した黒騎士。名は焔の黒騎士(ナイトブレイザー)。力は到底本物には及ばないが目の前の相手と対等に渡り合うには十分な力だ。両者が動いたのは同時。銀の女神と黒の女神候補生は仕組まれた戦争に呑まれた黒の女神に立ち向かう。

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