超次元ゲイムネプテューヌ 銀陽の女神 Re;Birth   作:ミオン

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Game12:機械姫

シアンからの依頼を受けて向かった西風の吹く渓谷にて汚染化及び超越化した二体のフレースヴェルグを討伐した舞達の前にラステイションを守護する女神ブラックハートが姿を現した。

 

マジェコンヌに仕組まれた守護女神(ハード)戦争に呑まれ、ネプテューヌを狙う彼女を前に舞とユニはハード・ユニゾン・リバースを行使。焔の黒騎士(ナイトブレイザー)となった二人はブラックハートに立ち向かう。

 

「何者か知らないけど、私の邪魔をするのなら、誰だって切り捨てるのみよ!」

 

ブラックハートは自らの得物である大剣を構えると背中のプロセッサユニットの出力を上げて凄まじい速度でこちらとの間合いを詰めて来た。

 

「ナイトフェンサー」

 

右手に顕現したのは透明な細めの刀身を持った刀。振るわれた大剣の一撃を受け止めると鍔迫り合い状態になる。凄まじい力と衝撃が剣を握る両手にかかるが、耐えられない物ではない。受け止めながら冷静に次の一手を行使する。

 

「今のあなたは本来の力を出し切れていない。このまま押し切らせてもらうわ」

 

守護女神の力の源は国民からの信仰心であるシェアの力。守護女神の力はシェアに連動する形で変化する。現在のラステイションの状況は良い状態とは言えない。ブラックハートに供給される力が低下している現状ならば勝機は十分にある。

 

「ニア・カノープス!」

 

ブラックハートの大剣を押し返して隙を作ると即座に反撃を叩き込む。繰り出したのは元のゲイムギョウ界のブラックハートから教わった剣技の一つ。力を込めて上方向に斬り上げる威力重視の剣技(パワーコンボ)。 直撃を受けたことで蒼い光が体から出る。

 

「…っ! 全然効かないわ!」

 

「強がりは見苦しいわよ。今のあなたには私達やネプテューヌさんに戦いを挑む前にやらなければならないことがあるとは思うけど、それでも戦いを止める気はないの?」

 

「当たり前でしょ。私達がこの世界の覇権を賭けてどれだけ長い時間を戦って来たのかわかる? 今更降りると言う選択肢は無いわ」

 

「なら、私達が止めてみせるわ。今のあなたは間違っている。仕組まれた戦争に呑まれた今のあなたに負ける気は私達にも無い」

 

「調子に乗らないで。あなたを倒したら次はネプテューヌの番よ。邪魔をするなら何者であろうと斬り伏せるわ」

 

「これ以上は平行線みたいね」

 

両者は再び激突。お互いの剣がぶつかり合い甲高い音が辺りに響き渡る。お互いに一歩も譲らない攻防が続く。先程の会話で慢心が消えたのか、激しい剣舞の応酬がナイトブレイザーに襲いかかる。それを受け止めながら反撃の機会を伺う。

 

「パラライズフェンサー!」

 

放たれたのは麻痺属性を纏わせた大剣による三連続の突き。剣先から滲み出る麻痺毒には注意が必要だ。今回は体を守護するナイトブレイザーの黒鎧が麻痺毒を遮断してくれているので、対抗策を講じる必要は特に無いが、威力は高いので油断はできない。

 

「負けないわ…! インパルスエッジ!」

 

ユニの記憶に焼き付いたブラックハートの剣技で応戦する。これは大剣で受け止められるが、まだ終わりではない。

 

「続けて、インパクトロー!」

 

ナイトフェンサーを勢いよく叩き付ける。それを受けたブラックハートは後退。手数重視(ラッシュ)から防御破壊(ブレイク)に繋げる剣技だ。

 

「私が押されてる? 女神である私と対等どころかそれ以上に渡り合うなんて…。これだけの力、一体どこで手に入れたのよ?」

 

「女神の力は自分一人だけの力じゃないわ。私達を支えてくれる国民の皆と一緒に戦う仲間達の思い、それが私達の力の原点だと私は教わった。思い出して。あなたが本当に成さなければならないことを。私達やネプテューヌさんと戦うことは本当に今成さなければならないことなの?」

 

「っ…! それでも私は戦いを止めることはできないわ…。私に供給されるシェアの力が弱まったのを感じ取って下界に降りてきたところまではよかったけど、教会には私のことを信仰してくれる人は残っていなかった。もう今の私には戦うしか道は残されていないのよ」

 

「私達としては降参してくれたらありがたいわ。ラステイションの現状を何とかしたいのは私達も同じ。この場で私達がぶつかり合っても得られる物は何も無い。降参するのが嫌なら最後まで付き合うけど。どうする?」

 

「…」

 

ブラックハートは大剣の剣先をゆっくりと向ける。まだ彼女の闘志は生きているのだ。

 

「まぁ、そうなるわよね。なら私達もそれに応えるわ」

 

ナイトフェンサーを粒子に変換して仕舞う。続けて取り出したのは銀の二挺拳銃(シルバーブレッド)。銃口から伸びるのはシェアの力で生成した銀色の光刃。これで接近戦にも対応することができる。

 

「トリコロールオーダー!」

 

ブラックハートが繰り出したのは力を込めた斬撃を三回叩き込む威力重視の剣技(パワーコンボ)。光刃を交差させて防御体勢を取ることで防ぎ切る。本来の力を発揮した彼女を相手だとこうは行かない。鋭さと速度に特化した剣技。それがブラックハートが剣技の極意だ。

 

「プリティスプライト!」

 

銃口から銀色の炎が吹き出した。至近距離で発砲しないと直撃は取れない上に反動が大きい技ではあるが、威力は高い。直撃を受けたブラックハートは怯む。彼女との戦いの終幕の時。その流れに乗せて締めの技に繋げる。

 

「ソニックビジョン! 一気に決めるわ!」

 

集中力を高めることで締めの技の発動準備に入る。実際のゲームでは次に繰り出す攻撃を確定で会心の一撃(クリティカルヒット)に変える効果を持つ。

 

出始めに銀の二挺拳銃(シルバーブレッド)からシェアの光弾を乱射。続けて銀炎を操作してブラックハートを炎の檻に閉じ込めると最後にナイトフェンサーで一閃。

 

「ファイネストアーツ。これで終幕よ」

 

ブラックハートは膝を付いた。女神化が解除され、元の姿に戻る。今回の戦いはこれで終幕となった。ナイトブレイザーの体が光に包まれ、光の中から舞とユニが現れる。

 

「私達は本当の意味であなたに勝ったとは思っていない。次はお互いに最高の状態で戦おう。その時は敵同士じゃない。お互いに高みを目指す友達同士で」

 

「友…逹…? 本当に…私と友達になってくれる…の?」

 

「アタシ達二人だけじゃない。ネプテューヌさん逹も一緒よ。みんなで力を合わせればこのラステイションの暗雲を晴らすこともきっとできるわ」

 

舞とユニは手を差し出す。ノワールは何とか立ち上がって二人の手を取ったが、直後にノワールは気を失ってしまった。ノワールの影から現れた一人の少女が倒れる前にその体を受け止める。

 

「お姉ちゃんっ!」

 

「大丈夫…。気を失っているだけ…。シェアの力が弱まっている状態で戦闘を繰り返した結果…。ここで止めてくれて助かった…。銀の女神に黒の女神候補生…」

 

ノワールの体を支えているのは長い黒髪を赤色のリボンでツインテールにした少女。瞳の色はアメジストのような紫色。鎧のような意匠の黒服を纏っている。

 

「六魔将の機械姫、ヒナだね? 元の世界のノワールから話は聞いているよ」

 

「新たな主である銀の女神とノワールが出会ったことでこうして顕現することができた…。私もこれからあなた達に協力する…」

 

気を失ったノワールをヒナに抱えてもらい、離れた場所にいるネプギア達と合流する。

 

「終わったんですね…。舞さん、ユニちゃん、お疲れ様でした」

 

「舞とユニちゃんが代わりに出てくれたから、本当に助かったよ。わたしを狙ってきたみたいだけど、起きたらまた襲いかかってきたりしないよね?」

 

「それについては心配ないよ。そうならないように私が間を取り持つから」

 

「それならいいけど、二人ともあんた達の知り合いなの?」

 

「気を失っているのがブラックハートことノワールで、ノワールを抱えている子…ヒナとは今日が初対面だよ。この子も私達に協力してくれるから仲良くしてあげてね?」

 

「はいです。よろしくお願いしますです」

 

「よろしく…。戦闘と機械のことなら役に立てる自信がある…」

 

六魔将の機械姫、ヒナを仲間に加えた舞達はラステイションの街に帰還する。時刻は夕方を回り、太陽が沈み初めていた。

 

「ラステイションよ、わたしは帰ってきたっ!」

 

「その台詞はプラネテューヌに帰った時に言ったほうがいいんじゃないかしら?」

 

「リリムの言う通りよ。それと街中でいきなり叫ぶのは止めなさい。子供じゃないんだから。一緒にいるわたし達まで恥ずかしい気分になるじゃない」

 

「いいじゃん。それくらい大目に見てよー。ちょっと出かけただけなのに、帰って来ると何か久しぶりに感じることがあるでしょ? わたしはこの気持ちを全身を使って表現しているんだよ!」

 

「紫の女神は元気一杯ね…。羨ましいわ…。どこか休める場所はある…? ノワールを休ませないといけない…」

 

「それならこの街で私達が拠点にさせてもらってる場所があるから、そこに向かおうか。今回の報告もしないと行けないし」

 

今回の報告と気を失ったノワールを休ませるためにシアンの元に向かう。

 

「指定されたモンスターは討伐してきたよ。これで交易路の安全は確保できたかな」

 

「助かるよ。これで遠方の取引先とやり取りができるようになるから部品不足の心配に悩まされる心配は無くなるってもんだ。さっき部屋に運んだ女の子だけどお前らの知り合いか? 気を失ってたみたいだけど…」

 

気を失ったノワールはシアンに空いている部屋を提供してもらい寝かせている。舞が自分のシェアエナジーを分け与えたので、また目を覚ますと思われる。

 

「友達かな。黒の女神ブラックハートことノワールだよ」

 

「マジかよ…。どこかで見たような感じがあったからまさかとは思ってたんだが…。何があったのか話を聞かせてもらってもいいか?」

 

シアンに事情を説明する。元の世界の事情とかを話すと長くなる上に混乱を招いてしまうだけなので省略する形となった。

 

「お前らも色々と大変なんだな…。それなのに私達の頼みを聞いてもらって何だか申し訳ない気分だよ」

 

「気にしないで。私達がやりたくてやってるだけだから。困ってる人達が目の前にいるのに見過ごすわけにはいかないからね。何か他に手伝うことはあるかな?」

 

「そうだな…。個人的な頼みにはなるけど、引き受けてほしい案件がある。まずはこいつを見てくれ」

 

シアンが見せたのは灰色の刀身を持った機械の刀。刀身の付け根に取り付けられている弾倉が特徴的だ。

 

「カートリッジシステム…。これを作れる人に出会えるとは思わなかった…」

 

それは武器の内部で特殊な効果を持つ弾丸を炸裂させることで様々な効果を武器に付加させる機構。元の世界のノワールがヒナから受け取った機械剣にも同様の物が備え付けられている。古き時代から存在している機構だが、この機構を一から作ることができる者はラステイションの中でも非常に少ないと言われている。

 

「博識だな。私は父さんからこれを教わったけど、ここまで辿り着くのに数年かかったよ。それでここからが本題なんだが、今年は総合技術博覧会が開催される年なんだ」

 

「この剣を出展するのね?」

 

「ああ。だけど、こいつは未完成だ。カートリッジシステム自体が問題を抱えた機構だからな。博覧会の開催までに何とか問題を解消させて一つの完成型まで持っていきたい。頼みたい仕事と言うのはこいつのモニタリングなんだが、当然のことながら相応の実力を持った奴でないと駄目だ。完全に個人的なお願いの上に危険も伴う仕事だけど、お前らの実力ならこいつを使いこなすことができると思うんだ」

 

カートリッジシステムの問題点はカートリッジロードを行った際に武器と所持者の体にかかる負担。最悪の場合、武器の破損だけには収まらず、所持者の体が壊れる危険も孕んでいるので、使用回数に制限を設ける必要がある。強大な力は一種の麻薬のような物。力に飲まれない心の強さも同時に要求される。

 

「私が引き受けるよ。次の戦いで試してみる」

 

「本当か!? 助かる! 使った感想とか些細なことでもいいから聞かせてほしいんだ。こいつが専用のカートリッジ。無くなった時は私に言ってくれ。使用制限は二発で使い方はこれに書いてある通りだ」

 

シアンからアルマッスと説明書を受け取る。今回のクエストの報酬としてシアンが夕飯をご馳走してくれると言ってくれたのでそのお言葉に甘えることに。

 

食事の後は今後の方針についての話し合いを行った。ラステイションの暗雲を晴らすためにはブラックハートの協力が必要不可欠なのだが、残念ながら彼女はまだ目覚めない。彼女が目覚めてくれることを願い、舞達は眠りに就いたのだった。

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