超次元ゲイムネプテューヌ 銀陽の女神 Re;Birth 作:ミオン
アヴニールの社長補佐、ガナッシュの策略によって廃棄された倉庫に閉じ込められてしまった舞達。奥から現れたモンスター達を手分けして討伐するが、何故か数が減る気配が無い。
「はうぅ…。モンスターさんが多すぎますぅ…。やっつけても別のモンスターさんが奥から出て来るですよ…。どうなってるですか…?」
「これだけのモンスターを倒せばわたしのレベルが一気に上がるかもしれないけど…。さすがに疲れてきたよ…。無限リポップはんたーい!」
戦闘が開始されてから既に三十分以上は経過していた。舞達の女神化は解除されている。女神化は絶大なる戦闘力を発揮することができるが、維持できる時間には当然限界がある上に体に負担がかかるので、このような消耗戦の中での運用は厳しいところがある。
「モンスターの巣窟と言ってもこの数は尋常じゃないわよ。あのモンスターが出て来るディスクが奥にある線が強いわね?」
「可能性は高いね。セレナ、あれをお願い」
「わかった。エリア・サーチ!」
セレナの体から金色の波動が放たれた。周囲に隠された物を見つける初級探索魔法。上級魔法だと一つのダンジョン内を丸ごとサーチすることができる。
「見つけた。舞、あの部屋の中だよ!」
部屋の中に舞が突入する。部屋の壁に設置されていたモンスターディスクを発見した。
「パワーシール!」
舞の体から放たれた赤い光がモンスターディスクの中に入るとモンスターの増殖が止まる。対象が持つ特殊能力を封印する補助魔法。完全に封印したので何の変哲の無い普通のディスクになった。
「そのディスクがモンスターの出所だったのね…。プラネテューヌのギルドから情報が回ってきていたみたいだけど、もしかして舞達が見つけてくれたの?」
「ネプテューヌの記憶の手がかりを探して訪れたダンジョンで偶然見つけたの。ギルドに情報提供して、他の国にいる仲間にも伝えているよ。この世界にどれだけばら撒かれてるのかは想像できないけどね。このディスクを作り出したあの人を止めるためには各国に散った私達の仲間とこの世界の四女神の力を一つにしないといけない」
このディスクを作り出したのは四女神達の運命を裏で操る
封印したモンスターディスクは舞が破壊。周囲のモンスターを全滅させてさらに奥に進むが出口はまだ見つからない。さらに入口付近のエリアと同じように異常な数のモンスターの群れが再び道を阻む。
「このモンスターの数…。まだディスクがあるのかな?」
「ええ!? リポップの仕掛けは普通は一つじゃないの!? プラネテューヌの時は一枚だけだったのに!」
「気持ちはわかるけどそれがある以上は全て破壊するしかないね」
再びセレナが探索魔法を行使。モンスターディスクの位置を特定する。道を阻むモンスターを蹴散らしてディスクがある場所に辿り着いたが、まるで舞達が来るのを待っていたと言わぬばかりに壁に設置されたディスクが光を放つ。現れたのは四本脚に二門の砲台を持った機械のモンスター。R4i-SDHCという個体名を持つそれは危険種の一体。
「まさか危険種を生み出すディスクまであるなんてね…」
舞は右手に
「プロセッサユニット・ウィザードフォルム」
女神化した舞の体を守護するプロセッサユニットの形状が変化する。あるゲームに登場する聖母と呼称されるモンスターが纏う不可思議な衣を元に組み上げたプロセッサユニット。内側に見える青空と後頭部に浮かぶ銀色の太陽の形をした光球が特徴。舞のプロセッサユニットにはスタンダード・セイバー・ガンナー・ウィザードの四つの
「こいつの相手は私とネプテューヌとセレナで引き受ける。ノワールとアイエフとコンパは奥に出口が無いか見に行って」
舞はプロセッサユニットの出力を上げて空中に浮かび上がると詠唱を開始。元々は魔法の行使が苦手な体質ではあったが、元のゲイムギョウ界のアイエフとの特訓から始まり、日々の魔法の訓練を積み上げてきた。今では魔法の行使に関しては
「初手はこれで行かせてもらうよ! サンダーストーム!」
舞が放ったのは雷属性の中級魔法。雷の渦がR4i-SDHCを巻き込み怯ませる。機械族モンスターは雷属性に弱いことが多い。装甲は物理攻撃に対して高い耐性があるため、初手は弱点属性の魔法で攻める。
「正面から斬りこむわ! サンダーエッジ!」
続けてネプテューヌが太刀による連撃を叩き込む。固有能力『紫電』を有する元のゲイムギョウ界のパープルハートが宿る太刀には強力な雷属性が付加されているため効果は抜群だ。態勢を立て直したR4i-SDHCは反撃として二門の砲塔から強力な砲撃を放つ。回避には成功したが着弾した壁には大きな穴が空いていた。
「いい連携だね。このまま押し切らせてもらおうか」
セレナは舞とネプテューヌの攻撃で戦場に拡散した雷属性の魔力を取り込む。さらに自らのシェアエナジーを光属性の魔力に変換。二つの属性の魔力を融合させ、上級魔法の詠唱に入る。危険を察知したのかR4i-SDHCはセレナに狙いを定めて砲撃を放とうとするが、前衛の舞とネプテューヌがそれを阻む。
「聖なる意志よ。我らに仇なす敵を討て…!」
R4i-SDHCの真上に光と雷の魔力が収束する。月の魔術書の頁が捲れる速度はそれに合わせる形で加速。セレナの詠唱速度は並みの魔法使いとは物が違う。上級魔法でも相当な速度で詠唱を完了させてしまうのだ。
「ディバインセイバー!」
R4i-SDHCの体に強烈な雷が降り注いだ。R4i-SDHCは活動停止状態に陥ったことを確認すると黒曜の魔導書を使い蒐集を行使。その躯体が蒼い光の粒子となって黒曜の魔導書に取り込まれる。魔導書の頁に文字が書き込まれた。今回の戦闘で埋まったのは二頁。
黒曜の魔導書の頁を埋めるためには基本的に危険種を対象に蒐集行使をする必要がある。通常の危険種だと二頁から三頁埋まる。より強大な敵であれば埋まる頁は増える仕組みだ。全ての頁が埋まり魔導書が完成した際には何が起きるのかはわからない。
「三人だけでも超余裕だったねー」
「全員で弱点属性で攻めればこうなるのは必然かな…。ノワール達の方を見に行こうか?」
舞達は先行したノワール達の元に向かう。
「あっ。ねぷねぷ達が追いついてきたです。出口、見つかったですよー」
倉庫を脱出した舞達はラステイションの下町に向かった。
「流石に被害ゼロとまではいかないか…」
戦闘の影響で何か所か黒煙が噴き上がっている場所が確認できた。まだ戦闘音が響いている。
「被害はかなり抑えられているほうだと思うよ。それにしても随分と派手な真似をするようになったね。これがアヴニールの本性か」
「私の国でこんなこと…。絶対に許さないんだから…!」
「舞! 無事だったか!」
「大丈夫だよ。被害状況はどう?」
「ネプギア達のおかげでかなり抑えられた。下町の奴らの避難は既に終わってる。まさかアヴニールの奴らが直接攻め込んで来るとは思わなかったよ。後は奴らが差し向けて来た大型機が二体いるが、流石にネプギア達だけだと手が足りないみたいだ…!」
「わかった。後は私達で何とかする。シアンは安全な場所に」
シアンと別れた舞達はネプギア達の元に走る。
「随分と粘りますねぇ…。まさかここまで抵抗されるとは思いませんでしたよ。ならばさらに出力を上げていきましょうか。我が社の障害となり得るものは全て壊せ!」
「そこまでよ! これ以上はあなたの好きにはさせないわ!」
「どうやら抜け出してきたようですね。目的の足止めは十分に達成できたので良しとしましょう。我が社の新兵器の力。身を持って味わっていただきましょうかね」
「絶対に許さない…! アクセスッ!」
ノワールの体が光に包まれる。
「やはりご一緒でしたか。私の知っているあなたの姿とは随分と違った印象でしたので確証は得てはいませんでしたが。権威を我が社に奪われ、信仰の力を殆ど失った今のあなたになにができると言うのです? ゲイムギョウ界の覇権と言う物に現を抜かして国をこれまで放置してきたあなたを信仰する物好きがいるとは思えませんが」
「あなたの言う通りよ。返す言葉もないわ。でも私は教えてもらったの。生きている限りは過去の失敗を取り返す機会はあるって。私はね。あなた達に対する仕返しのためにここに立っているわけじゃないの。こんな私のことを信じて支えてくれてるみんなのためにここに立っているの! 私は戦うわ。この命がある限り! それが今の私にできることよ!」
「ねえ。この状況でわたしはどうすればいいのかな? メガ身化すればいい? どうもこういう真面目な雰囲気の中でただ黙っているのは体が受け付けないみたいなんだよね…」
「お姉ちゃん。もう少しだけ待ったほうがいいんじゃないかな…?」
「えーっ…。ネプギアまであいちゃんみたいなこと言うの? でも限界だよー。知ってるとは思うけどわたしって喋ってないと死んじゃうタイプだよ?」
「はあ…。ここまで喋らずに黙ってただけで十分だと思うわ。舞、もういいんじゃないの?」
「ねぷねぷ頑張ったです。後でプリンを作るです!」
「そうだね。ノワールが女神化してることだし、いいかな。ネプテューヌ、女神化だよ」
「よーし! 括目せよー!」
ネプテューヌの体が光に包まれる。
「なっ!? その姿は…! 何故ここに!」
「わたしの存在までは予測できていなかったようね?」
「あなたと言う人はなぜ敵であるはずのあなたと一緒にいるのですか?」
「確かに敵同士だったわ。でも今は大切な友達よ。お喋りはここまで。そのオモチャはここでスクラップにさせてもらうわ」
「ネプギアとユニ、アイエフとコンパはネプテューヌ達と一緒にキラーマシンを。こっちは私とセレナ、リリムとヒナで片づける」
二体いる大型機の内、片方は舞が元のゲイムギョウ界で見たキラーマシンなのだが、もう片方は同型機で色が違う。黒と蒼の装甲を持つそれはキラーマシンを上回る強力な力を放っていた。
「舞、気を付けて。そいつはデウス・エクス・マキナ。上位危険種だよ」
「それなりに強力なオモチャを持っているみたいだね。まあ、スクラップにすることには変わりないけど」
舞とセレナは女神化を行使。
「これは…! 随分と頼もしい味方が来てくれたみたいだね」
ラステイションの空を覆う分厚い黒雲を突き破り戦場に二人の少女が舞い降りた。
『やっとこの世界に来ることができたわ。あなたのおかげよ。楓』
現れたのは何と業火の力を発動させた元の世界の
「あなたの努力の賜物よ。私はそれを少し手助けしただけに過ぎないわ」
元の世界の
「あなたは…」
「
『うむ。その形は?』
「大太刀で」