超次元ゲイムネプテューヌ 銀陽の女神 Re;Birth 作:ミオン
アヴニール社長補佐のガナッシュが差し向けた二体の大型機、キラーマシンとデウス・エクス・マキナを無力化してラステイション防衛戦に勝利した舞達。戦いに参戦した楓と元の世界の
「お前達のおかげで被害もかなり抑えられたよ。本当にありがとう。この程度ならわたし達だけで十分復興まで持っていけそうだ。総合技術博覧会も近付いて来ているから大忙しにはなるけど、まあ何とかなるだろ」
「よかった。私達は次の場所に向かうけど、助けが必要な時はいつでも呼んでね」
今回の大型機の無力化はアヴニールには大きな損害となったと思われる。無力化したキラーマシンとデウス・エクス・マキナはネプギアとヒナが解体。機械パーツは残骸を含めて全て回収済みである。残しておけば、次の新兵器の開発に利用されかねない。回収した機械パーツは舞が乗る新型ロボット開発の素材にするとのこと。
「総合技術博覧会に出展するのって今から素材集めをしても間に合うかなぁ…」
「設計はこの間ネプギアと話した時に完成してるけど…」
「それならわたし達の力も存分に使うといい。お前らには世話になってばかりだからな。この際だ。みんなで最高の物を作って奴らを驚かせてやるってのはどうだ? 設計ができてるなら後は作るだけだしな。これはいい意味で忙しい毎日になるぞ」
『それならわたしがここに残りますね。最後の調整の段階になったら舞さんに連絡しますので、その時に来てもらえたら』
パープルシスターがラステイションに残ることになった。
「素材集めなら私が手伝うわ。元々戦いが終わった後はラステイションに残るつもりだったし」
『そうね。あまり大所帯だと動きづらいと思うし。私もできることなら協力させてもらうわ。ユニ、ヒナ。こっちの私のこと、お願いね?』
「任された…。何かあったら連絡して…」
「わかったわ。それにしてもお姉ちゃんもネプギアやネプテューヌさんと同じようなことができるようになったのね…」
『ここにいる楓とみんなのおかげでね。それも含めて今から話すわ。長い話にはなるけど』
元の世界の
ノワール達が気付いた時には何故か自分達が守護する国の首都の外れにいた。急いで教会に戻って状況を確認したところギョウカイ墓場は既に崩壊しており舞達の反応は消失していたのだと言う。
『パープルハートが舞についていたことが幸いだったわ。舞達の状況はそのおかげで把握できていたから』
舞とハード・リンクで繋がったネプテューヌが記憶の共有により、情報をノワール達に伝達したことで混乱を避けることができたと言える。
「あの…お姉ちゃんはどうしていますか?」
『自分にできることを精一杯頑張ってるわ。最初は流石に落ち込んでた時があったけど、舞とネプギアがいないのに自分から進んで仕事をし始めるようになったから逆に私達が驚かされたわよ。ネプテューヌの姿をした別人なのかと思ったわ』
『さりげなくひどいことを言うのね…。わたしだってやればできるのよ?』
「わっ! 誰この美人! 新キャラ?」
「誰って…女神化したネプ子じゃない…。ってあれ? どうなってるの?」
「ねぷねぷが二人になったです!?」
「もう一人の私に加えて、ネプテューヌまでいるなんて…。そこにいる女神化したネプテューヌも舞達が元いたゲイムギョウ界の?」
「理解が速いわね。その通りよ。正確には本体から生まれた特異な存在なんだけどね。それは私から説明するわ。舞姉さんも何気に理解できていないでしょう?」
「まあね…。イストワールもシェアの力がもたらした事象の一つだって言ってただけだし。私達から見れば悪いことでもないからあまり気にしてなかったけど実際のところはどうなの? 理由はあるよね?」
守護女神は二つの姿を持っている。一つは普通の人間の女の子としての姿。もう一つは世界の守護者たる女神化後の姿。本来であればこの二つの姿というのは表裏一体。別れるようなことは本来ならあり得ない。
「守護女神は自国の民からの信仰心、シェアエナジーを自らの体で保有して力としている。だけど、個人で保有できるシェアエナジーの総量には限度があるわ。なら器に入りきらなかった分のシェアエナジーはどうなるのか? その答えが…」
『私達の存在ってこと。私達は言うなれば本体に入りきらなかったシェアエナジーが姿形と意思を持って現実世界に顕現した存在なの。ここまで至ることができれば今みたいに本体を元の世界に残した状態で別の世界に行けるようになるわ。この世界の座標はイストワールが特定してくれたし。ただ、異なる世界を一時的に繋ぐ道を作るだけでもかなりのシェアエナジーを消費するのが難点だけど』
座標の特定と言う条件がクリアできれば、次元間を結ぶゲートはシェアエナジーを消費することで一時的ではあるが作ることができる。幸い舞達が今いるこのゲイムギョウ界は元のゲイムギョウ界と近い座標にあるとのこと。
『今はブランとベールがシェアを積み上げてるところね。そしてそれを手助けしてくれているのがここにいる楓を筆頭とした神奈の一族よ』
「舞とはどういう関係なの? 確か姉とか妹はいないって…」
「別の次元には小さい舞がいるって話だよね? 小さい舞の親族ってことかな? 舞のことを姉さんって呼んでたけど」
「その通りよ。神次元…。小さい舞姉さんがいるゲイムギョウ界のことなんだけど。私は形式上、妹にあたるわ。姉さん、
「大有りだよ。ここで母さんの名前が出るとはね…。まさかとは思うけど、母さんがこの世界に来ているの…?」
「そのまさかよ。始次元ゲイムギョウ界が守護女神、
「母さんには本当に叶わない…。わかった。ありがとう、楓。また一つ目標ができたよ。でも、今はこの世界の問題を解決しないとね。次に向かうのはリーンボックスとルウィー、どっちになるのかな?」
残る大陸は二つ。
まだ合流できていない
「そうね…。確か一週間後にプラネテューヌとリーンボックスが接近するはずよ。渡るには丁度いいタイミングね」
「プラネテューヌに戻るのなら、丁度よかったわ」
楓は制服のポケットから通信端末を取り出すと連絡を取り始める。
『ハロー。楓。何かあった?』
「プラネテューヌには到着しているかしら?」
『着いてるよー。そっちは大きい舞姉と一緒かな?」
「合流できたわ。これから舞姉さんがそっちに向かうみたいだから合流できるようにしておいてもらおうと思って」
『あー。実は今ダンジョンの中にいるんだよね。肩慣らしの討伐クエストで。どこか拠点にしてる場所とかあるのかな? 場所を教えてくれたら僕の方から向かうよ』
「それなら後で舞姉さんに確認してメールで送るわ」
『りょーかい! 大きい舞姉に会えると思うとワクワクしてきたよ。じゃあ、また後でねー!』
「今の電話の相手、もしかして…?」
「舞姉さんが考えている通りよ。神奈の一族は母様と私と神次元の舞姉さんを含めて六人。私が今電話で話をしていた子はプラネテューヌにいて、後の二人は超次元でブランとベールの補佐についている。リーンボックスに向かう前にその子と会ってほしいの。舞姉さんがプラネテューヌで拠点にしている場所を教えてくれれば後で会いに行くって言ってたわ」
楓と小さい舞を含めた神奈の姓を持つ少女達。始次元と呼ばれるゲイムギョウ界にいるという舞の母。彼女達のことが明らかになるのはまだまだ先の話。舞はプラネテューヌで拠点にしているコンパのアパートの場所を楓に伝えておいた。
『ラステイションの守りは私と楓で引き受けるわ。あなた達は今成さなければならないことに集中しなさい。今度はこの世界の私達全員を引き連れて戻って来ることを期待しているわ。妹達を導いて私達を助けてくれたようにね』
旅に出た時より人数が増えているので、窮屈になるかと思われたが、コンパの部屋はアパートの一室にしてはかなり広いので特に問題は無かった。
「はぁ…。やっぱりコンパの部屋は落ち着くなぁ…。ベッドもクッションもフカフカ。ゲームもたくさんあってコンパと舞のお手製プリン付き。わたしにとってこれ以上の環境は無いと言ってもいいね!」
「なーに帰って早々だらけてるのよ。だらしないわね。あんたには教会という家があるじゃない。今は記憶が無いから仕方ないとして、記憶が戻ったら教会に帰らないと流石にダメでしょ」
「わたしはねぷねぷがいてくれてもいいですけど、この部屋もずっと借りていられるわけではないですよ? 全部が終わって看護学校を卒業したら出ていかないといけないです」
「なら、プラネテューヌの教会に住めばいいんじゃないかな? 女神としてのわたしの権力を使えばそんなことは簡単だと思うし。舞も一緒に来ない?」
「ありがたいお誘いだけど、遠慮するよ。全部終わったら元のゲイムギョウ界に帰らないといけないからね。実際そっちでは教会に住まわせてもらってるから。いつかは自分の家を買いたいかな」
舞は元のゲイムギョウ界ではプラネテューヌの教会に住んでいて、ネプテューヌの仕事を手伝っている。教祖であるイストワールからは教会の正職員には及ばないがある程度の給料を貰っており、さらにクエストでお金を稼いでいるので、懐には割と余裕がある。流石に家を買うほどの余裕はないが。
「空いてる部屋があるなら、お金を貯めて借りようかな…。四つの大陸を全て回って帰って来る頃には今よりさらに大所帯になってるのは間違い無いし」
いかに広いコンパの部屋でも限界はある。同じアパートか近いアパートの空き部屋を借りることができれば大所帯になっても安心だ。
「それなら、別世界から来た組で出し合わない? アタシ達四人の持ち合わせなら十分カバーできると思うけど」
「そうだね。足りない時はみんなでクエストを受けて稼ごうか。まだリーンボックスに行けるようになるまでは一週間あるわけだし」
こうして別世界から来た組でお金を出し合い部屋を借りる計画が始動したのであった。
「特に気になる情報は無し…か」
「ノワールさん、それって女神ブログですか?」
「ええ。どの国もモンスターの被害とか私の国で言うアヴニールみたいな問題を抱えているって言うのは聞いていたから、何かないかなと思って見ていたのよ」
「ノワちゃんがブログやってたら恥ずかしい記事を見つけていじるネタにできるかなーと思ったのにー」
「ノワちゃん言うな! 私だってブログはやってるけど、そんなネタにされるような記事なんか書いてないし、書かないわよ」
「えー。そこは何行も改行を挟んだ痛々しいポエムだとか、一行だけのトゥウィッターでやれみたいな内容とかあれば面白くていじりがいがあるのにー」
「大陸を守護する女神様がそんなこと書いてるわけないでしょうが。これを見てみなさいよ」
「あれ? あいちゃんも同じのを見てたの? どれどれ?」
ブログの最新の記事は『最近リーンボックスでもモンスターの被害が広がって来ています。国民の皆様もくれぐれも注意を…』とある。
「グリーンハート様はあんたみたいなちゃらんぽらんな守護女神とは違うのよ。見習いなさい」
「あれ? あいちゃん、ここに何か変なのがあるよ? 隠しリンクかな?」
「本当。何かしらこれ。変なところに繋がってたりしないわよね?」
「見たところ同じブログ内の隠しページに繋がっているみたいですよ? わたしの端末のウイルス検知にも反応はなかったので、見るのは大丈夫だと思います」
「それなら早速見てみようよ! 面白いネタがあるかも!」
隠しリンクの先に飛ぶ。『わたくしのブログの隠しページにようこそ。ここはわたくしのプライベートな日常を書いて行くページですわ』というメッセージが表示された。
「グリーンハート様のプライベート日記ですって…!? 駄目よ、ネプ子! 女神様のプライベートを覗き見るなんて!」
「そんなこと言ってあいちゃんも見たいと思ってるくせにー。せっかく見つけたのに何も見ないで戻るなんて、出されたプリンを残すような物だよ? さーて、何が書いてあるのかな?」
ネプテューヌが記事の内容を読み上げる。
『今週は新作のゲームを六本買いましたわ。あぁ。どんどん積みゲーが増えていきますわ』
『今日は待ちに待った歴女に送る鬼畜眼鏡ツンデレセットの発送日ですわ。早く届かないかしら?』
『サーバーエラーで四女神オンラインがまともに遊べませんでしたわ。はまじ。補填はよう』
以上がネプテューヌが読み上げた記事の内容だった。部屋の空気が何とも言えない物になる。
「なんというか…予想通りだね。というか四女神オンラインはこっちの世界にもあるんだ…」
「ベールらしい記事だね…。二番目の記事にある歴女に送る鬼畜女神ツンデレセットなんて乙メイトから販売されてる高級グッズセットだよ」
「グリーンハート様ってゲーマーだったんだね。何か親近感湧いてきたよ。ところで一つ気になったんだけど、一昨日の四女神オンラインが…って記事の中にある『はまじ。』ってどういう意味?」
「それはネットの中で使われる略語だよ。はあ…? まじ…? 略して『はまじ』って言うんだよ」
「おお。ネプギア物知り。やはり持つべきものは頼りになる妹だね! ってあれ、あいちゃん? どうしたの? そんなダークオーラを纏って」
「わ、私の中のグリーンハート様のイメージが…」
「理想と現実のギャップに打たれたみたいね…。信仰してくれるのは私達としては嬉しい限りだけど、たまに私達に対して物凄く美化された理想像を持ってる人もいるのよね…」
「そうだわ…。これは庶民アピールをするために教会の人が作ったページよ。そうに違いないわ。私のグリーンハート様がこんなゲーマーなわけがないもの。ねぇ、舞もそう思うでしょ?」
「えっ…。気になるなら直接会って確かめればいいんじゃないかな? どのみち次はリーンボックスなんだし、会った時に聞いてみればいいと思うよ」
因みに舞は真実を知っているが、それ以上は言わない。この手の物は自分の目で確かめてもらった方が本人にとっても一番いいことを知っているからである。
「これはガチだよ! 絶対そうだよ。わたしの勘がそう言ってるよ!」
「いいえ。これは庶民アピールに間違いないわ。こうなったら実際に会って確かめてやるわよ。もし違ったらネプ子、あんたの一週間分のプリンは私の物よ」
「望むところだよ。わたしの勘は当たるってことを証明してあげるから! あいちゃんこそ、一週間分のプリン、用意しておいてよね!」
いつの間にか一週間分のプリンをかけたバトルまで始まってしまった。真実を知っている舞達から見れば、勝敗は既に決まっているのだが、ここまで来てしまった以上は見守るしかなかった。
「あ、あれ? 何だか凄い理由でリーンボックスに行くことになっているです…?」
現状に困惑するコンパ。プラネテューヌからリーンボックスに渡れるようになるのは一週間後である。この場でこれ以上言い合いをしても意味のないことなので舞が止めようとした時、コンパの部屋のインターホンが来客を知らせる。
「誰か来たです?」
「私が出るよ。多分、楓が言ってた子だと思うから」
舞は玄関に向かうとドアを開ける。
「大きい舞姉が出てきた! ハロー!」
プラネテューヌ学園の制服を着た金髪の少女。身長は舞より低い。舞の銀陽の髪飾りと同じ位置についているのは雷の形をした髪飾り。
「あなたが楓の言ってた…?」
「そういうこと。僕の名は
これが二人目の神奈の姓を持つ少女との邂逅だった。
次回からChapter3.リーンボックス編に突入します。