超次元ゲイムネプテューヌ 銀陽の女神 Re;Birth   作:ミオン

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Game3:始まりの場所

ホテルを出た舞達はギルドに到着。舞達の知るプラネテューヌの首都にあるギルドとは違った場所に位置していた。ギルドの中に入ってみると中の様子は元の世界とほぼ同じだった。クエストの受注と報告を行う受付。誰でも受けることのできるフリークエスト掲示板に突発的に発生する緊急クエスト掲示板。ギルドで活躍している冒険者達に依頼される特定人物指定クエスト掲示板がある。

 

「ここがギルド? 何をするところなの?」

 

「ここではクエストって言う人々からの依頼を受けることができるよ。クエストを達成すれば報酬としてお金は勿論、それ以外に色々な物が手に入る。私はある事情があってクエストを沢山達成しないといけない。だから先にここに来させてもらったの」

 

「そうなんだー。舞達も色々と大変みたいだね。わたしもお手伝いしたほうがいいのかな?」

 

「ありがとう。それは記憶が戻ってからでいいよ。それなりに難しいクエストを受けることもあるからね。ネプテューヌが全てを取り戻した時には何か手伝ってもらおうかな。その時は私から声をかけるから待っていてくれると嬉しい」

 

舞とアリアとネプギアはネプテューヌと同じ守護女神である。守護女神の力の源は自らが守護する国民達の信仰心であるシェアの力。シェアはギルドに依頼されるクエストを通して困っている人々を助けたり、特定の時期になると開催されるイベントに参加するなどの方法で得ることができる。

 

自分の守護する国があれば国民からのシェアの力は常に女神に供給されるが、舞とアリアは自分の守護する国を持っていない。故にクエストを中心に人々を助けることでシェアを得る形になる。舞が保有しているシェアの総量は非常に大きいのだが、供給が無い分はクエストで積み上げておかなければ限界が来てしまう。

 

「舞さん。ギルドカードは新しい物を作った方がいいですよね?」

 

「そうだね。ちなみにネプギアにも私と同じようにクエストを沢山達成してもらう必要があるから一緒に頑張っていこうか」

 

ネプギアの場合はプラネテューヌがあるのだが、ここは元の世界とは異なるプラネテューヌ。シェアが供給されないので、舞と同じようにシェアを積み上げる必要がある。これらは先程アリアから貰った知識の一部だ。舞が得た知識はハード・リンクで共有されるので、他の大陸にいると思われる女神候補生達と彼女達と一緒にいる金と結晶の女神にも伝わっている。

 

舞達は受付に向かいギルドカードを新たに作成した。この二人は元からカードを持っているがそれは元の世界のギルドカードなので作り直す必要があった。ギルドカードというのは自分が達成したクエスト及び討伐したモンスターの数が記録される、自分の実力を示すカードだ。新しいカードを受け取った舞達はギルドのフリークエスト掲示板を確認する。

 

「バーチャフォレストのモンスター退治はあるかな…?」

 

掲示板に上がっているクエストの中にバーチャフォレストに生息しているスライヌとチューリップの討伐クエストを見つけることができた。目標討伐数は各五体。クエストを受注したらギルドを後にして街の入口に向かう。

 

後はこれでモンスターを倒しながらネプテューヌが突き刺さっていた場所に向かえばいいのだが、目的地に向かう前に解決しなければならない問題があった。

 

「ネプテューヌ、武器は持ってる?」

 

「無いなぁ…。実は何も持ってないんだよね…」

 

『それならこれを使いなさい』

 

声の主は舞のパーカーワンピのポケットに入っていたNの形の紫色の結晶。舞がポケットから結晶を取り出すと結晶は舞の手から離れ、ネプテューヌの前に浮かぶ。結晶が光を放つとネプテューヌの手には紫色の刀身を持った太刀があった。

 

『わたしがあなたの刃になってあげるわ』

 

「ねぷっ!? 喋った! 何だかすごい武器を手に入れちゃったよ!?」

 

「まさか武器に変わるとは思わなかった。これで一緒に戦えるね」

 

『ちなみにわたしも武器の姿を取れますよ?』

 

今度はネプギアのセーラーワンピのポケットにある薄紫色の結晶から声が聞こえる。ネプギアが結晶を取り出すと結晶が淡い光に包まれた。光が晴れるとネプギアの手に現れたのは白色の銃剣。それは女神化した自分が使用する武器のマルチプルビームランチャー。

 

「これで攻撃の幅が広がりましたね。練習を積み重ねないと…」

 

ネプギアの武器はこれ以外にもある。確かに複数の武器を所持すれば攻撃の幅は広がるが、同じ武器ばかりを使い続けてばかりでは意味が無い。使用頻度のバランス・敵との相性を考えて使い分ける必要があるのだ。武器の問題が解決したところで、目的地であるバーチャフォレストに向かう。到着したところで周囲の様子を観察。多数のモンスターが我が物顔で周囲を徘徊していた。

 

「あの水色のプルプルした体に犬みたいな耳と尻尾がついてるのがモンスター?」

 

「私が受けたクエストのターゲットのスライヌだね。それと少し離れた場所に黄色の花の蕾のようなモンスターがいるけど、あれもクエストのターゲットのチューリップ。あいつらを五体ずつ倒せばクエストはクリアになるよ」

 

「あれ? 舞さん。スライヌを見ても平気なんですか? 昨日ここを通った時もスライヌはいましたよね?」

 

「呪いのことかな? 何故かわからないけど大丈夫みたい。変身は一応できるよ」

 

舞の体が紫色の煙に包まれる。煙が晴れると舞の姿は無い。代わりに現れたのは頭部に銀の太陽の髪飾りが着いた銀色のスライヌ。これが舞スライヌである。元のゲイムギョウ界での旅の途中に起きたとある出来事が原因で発現した特殊能力で、スライヌに変身することができるという物。これまではスライヌを視界に入れると舞の意志とは関係無しにスライヌになってしまうという一種の呪いになってしまっていたが、いつの間にか呪いは舞の制御下に置かれ、変身を完全に舞の意志で制御できるようになっていた。

 

「ぬら。ぬらら。(こんな感じにね。いつの間にか体の色も変わったみたいだけど…)」

 

「あっちにいるのと違って可愛いね! お持ち帰りしたら駄目かな?」

 

この時にネプテューヌが指差したのは同じスライヌ族に分類されるもとスラというモンスター。ゼリー状の体は同じなのだが、特徴的な太い唇と表情は可愛いとは形容しづらいところがある。

 

「ぬら…。ぬら。(あっちと比較されても困るかな…。元の姿に戻るよ)」

 

舞スライヌの体が再び紫の煙に包まれる。煙が晴れるといつもの舞の姿に戻っていた。

 

「友好的なスライヌがいたら話しかけてみるのも有りかな…」

 

舞スライヌに変身した際には人の言葉が話せないが、ダンジョン内にいる他のスライヌと会話することができる。友好的なスライヌがいればダンジョン内の情報以外にも思わぬ情報が手に入ることがあるかもしれない。変わったスライヌを見かけたら試してみると言うことにしてこれからの流れを整理することに。

 

「さて、これからネプテューヌが突き刺さっていた場所に向かうわけだけど、道中にいるスライヌとチューリップはクエストのターゲットだから倒して行こうと思う。指定討伐数は各五体だよ。目標の場所に到着するまでには達成しておきたいかな」

 

「それ以外のモンスターはどうしたらいいの? 倒したほうがいいのかな?」

 

「ネプテューヌの場合は戦闘の感覚を取り戻す近道になると思うから、余裕があれば倒したほうがいいかもしれないね。ただし、無理は禁物だよ」

 

舞達はネプテューヌが突き刺さっていた場所を目指して進み始める。

 

「叩き斬るよーっ!」

 

ネプテューヌはスライヌの体当たりを回避。紫の太刀による斬撃をお見舞いする。ネプテューヌが斬り付ける度に紫色の電撃が発生していた。ネプテューヌの斬撃を受けたスライヌは光となって消滅。鋭い紫の刃から放出される電撃は斬撃と同時に対象の体内を駆け巡るのだ。電撃の放出は刃に宿る紫の女神(パープルハート)の意志が制御している。電撃に耐性を持つ相手の場合は電撃は放出されない仕組みだ。記憶を失っていても体は覚えているようで、動きに無駄は殆ど見られない。

 

「行きます!」

 

ネプギアの手に握られているのはマルチプルビームランチャー。チューリップに突きをお見舞いすると続けてトリガーを引き、レーザーを発射。銃口から放たれたレーザーはチューリップの体を貫通。チューリップは光となって消滅した。消滅した後には黄色い花びらが残されていたので回収を行う。ゲイムギョウ界に生息しているモンスターからは様々な素材を得ることができる。雑魚モンスターの素材は消費アイテムを開発する際に用いることが多い。反対に強いモンスターから得ることのできる素材は武具の作成及び強化に用いられることが多い。

 

「二人とも絶好調だね。負けてられないかな」

 

気がつけば紫の女神姉妹は次々とモンスターを討伐していた。舞が使う武器は銀色の炎を纏った太刀。スライヌとチューリップに加えてもとスラが舞に襲い掛かるが、放たれた舞の太刀の一閃がモンスターの体を斬り裂いた。斬られた傷口からは銀色の炎が立ち上りモンスターの体を包み込む。銀の炎に包まれたモンスターは消滅。続けて舞の前に新たなモンスターが現れた。

 

「見たことの無いモンスター…。危険種ではないみたいだね」

 

危険種と言うのはゲイムギョウ界に生息しているモンスターの中でも特に強い戦闘力を持つモンスターの総称である。危険度の高さに応じて危険種・上位危険種・接触禁止種・超接触禁止種と言った形で分類される。その戦闘力の高さは生半可な装備と実力では返り討ちにされる程だ。

 

舞の目の前に現れたモンスターは白い帽子と四角の眼鏡に赤いパンチグローブを着けた人型のモンスター。舞は太刀を仕舞うと拳に銀の炎を纏わせた。舞の戦闘スタイルは一つには留まらない。先に動いたのはモンスターの方だった。モンスターの手の動きに注目しながら放たれるパンチを最小限の動作で回避する。

 

「ライジンブレイクッ!」

 

銀の炎を纏わせた拳で強烈なアッパーをお見舞いする。モンスターの体は宙を舞い地面に激突。モンスターは光となって消滅した。無類のゲーム好きである舞は自分が過去にプレイしたゲームに登場する技を自分の力で再現して使うことができる。今回の技は敵を吸い込み能力を自らの物にして戦うピンクで丸いヒーローの技の一つ。

 

舞が倒したモンスターを最後に周囲のモンスターは粗方片付いたようで、スライヌとチューリップの討伐数は目標に到達していた。後は街に帰ったらギルドで報告を済ませることでクエストはクリアとなる。報告を忘れると未達成の状態で残ってしまうので注意が必要。無事に街に帰って報告を行うまでがクエストなのだから。

 

「ネプテューヌ、戦いの感覚は掴めた?」

 

「ぼちぼちってところかなー。わからないことの方が多いって感じ。今戦ったモンスターはゲームの序盤に登場するような雑魚モンスターだよね? 今のわたしの実力に合った中ボス級の敵とか出てこないかな?」

 

「わたしでよければ、空いている時間に練習相手になりますよ?」

 

「落ち着いたらまた朝の鍛練も再開したいね。活動拠点を確保したいところかな」

 

この世界に来るまでの活動拠点はプラネテューヌの教会だったが、今いるのは別のゲイムギョウ界のプラネテューヌの上に守護女神のネプテューヌが記憶喪失なのでこれまでのように教会を拠点にすることはできない。

 

流石に毎日外泊というのは辛いところがある。拠点の問題は街に帰ったら考えることにして先に進むことにした。数分歩いたところで目的の場所に到着したが既に先客がいた。

 

舞達の視界に映ったのはオレンジ色の髪の少女。服装は白のセーターと赤の布地に茶色のラインが入ったミニスカート。それはプラネテューヌに本社がある年頃の女子に大人気のブランドの物。Cの形をした飾りのついたカチューシャを着け、大きな注射器を持っている。何かを探しているようだが、舞達の足音に気付いたようで舞達の方に振り返った。

 

「あなた達も昨日の流れ星が気になってここまで来たです?」

 

「いや、私達は別の用事だよ。昨日の流れ星というのは?」

 

「アパートの部屋の窓から夜空を見てたら銀色と紫色と薄紫色の流れ星が見えたです。他にも見た人が大勢いるみたいで朝のニュースでも言ってたです。この辺りに落ちたように見えたので、何か落ちてないか気になって朝から探しに来たですよ。ここに来る途中はモンスターさんがいっぱいで怖かったです…。ここ最近になってモンスターさんが色々な所に出てきて悪さをするようになったです」

 

「ということは今までこの場所にはモンスターはいなかったということですか?」

 

「はいです。元々ここは自然公園なんですけど、今ではモンスターさんがいるので、誰も近寄らないですね。ここに大きな穴が空いてるんですが、流れ星はここに落ちたんでしょうか?」

 

「多分だけど、その流れ星ってわたしのことじゃないかな? 第一発見者のこの二人によるとわたしはこの場所に頭から突き刺さってたみたいなんだよね」

 

「本当ですか!? 頭からって…怪我とかは無かったですか? どこか痛いところがあるなら治療するですよ?」

 

「この通りだいじょーぶ! 何でか知らないけど無傷だったみたい! 心配してくれてありがとー! わたしはネプテューヌだよ! 君の名前は?」

 

「わたしですか? コンパって言うです。プラネテューヌの看護学校に通ってるですよ」

 

また一つ元の世界と違っている点が明らかになった瞬間だった。舞とネプギアが知っているコンパは既に看護学校を卒業して、プラネテューヌの病院に勤務する看護師になっている。彼女は怪我をした人たちの力になりたいという思いを原動力に努力を積み重ねて自分の夢を現実にした。それは本当に難しいことである。夢というのは努力を積み重ねたからと言って必ず実現するとは限らないのだから。

 

「私達が来る前からこの辺りを探しているみたいだけど、何か変わった物とか落ちてなかった?」

 

「大きい穴が空いてるだけで特に何も落ちてなかったですよ? 何か探してるですか?」

 

「実は舞とネプギアと出会う前の記憶がどうしても思い出せないんだよねー。手がかりが何か残ってないかなーって思ってここまで来てみたんだけど…」

 

「それって記憶喪失…ってことですか? 大変です。何とかしてあげたいですけど、記憶喪失の治療までは…」

 

「あー…。気にしなくていいよ。ここに何も無かったら別の場所を探せばいいだけだし。色々な場所を見て回れば何かの拍子に思い出すこともあるかもしれないって舞が言ってたから。今度は別の場所を当たってみるよ。舞、次はどこに行けばいいかな?」

 

「街に帰ったらどこか落ち着ける場所で考えてみようか。今後の計画を立てた方がいい」 

 

「そうですね。街に帰ったら一度状況を整理してみましょう」

 

「何だか複雑な事情があるみたいですね。もしよかったら、わたしのアパートの部屋でお話しませんか? 場所なら提供するですよ?」

 

「なら、お言葉に甘えさせてもらおうかな。この場所には何も残っていないみたいだから」

 

「それなら早速案内するです!」

 

コンパの住んでいるアパートの部屋に向かうことが決まったが、同時に舞とネプギアが異変に気付いた。足元を見るといつの間にか地面に罅が走っている。さらに何かが割れるような嫌な音まで響いて来る始末。

 

「ネプギア、翼のプロセッサユニットを部分展開! ネプテューヌをお願い! 私はコンパを!」

 

「わかりました! ウィングパーツ、部分展開!」

 

舞とネプギアの背中に銀色と薄紫色の光が集まると機械的な意匠の翼が現れた。舞はコンパ、ネプギアはネプテューヌの体を持って飛ぶ。先程まで自分達が立っていた地面が崩れたのは数秒後のことだった。

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